杜の国の王〜この子を守るためならなんだって〜

メロのん

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第1章 安住の地を求めて

第5話 未知の森

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 ザワザワ…ザワザワ

 未知の森へと足を踏み入れたが生き物の気配が凄いな。ひとまずは気配を殺して進もう。

 「テン。気配の殺し方は分かるかな?こうやってやるんだけど」

 足元をついてきているテンにそう言って実践してやる。

 「キュ?キュー!?キュー!?」

 テンは僕の気配が消えた事にビックリして僕の足の周りをグルグル回り始めた。
 
 「テン。僕と同じように出来るかい?」

 「キュー!キューーー…キューーー…キュキュ!」

 なんとなく伝わったのか踏ん張りながら試行している。そうして少しの後ドヤ顔をしながら僕を見てきた。いや…可愛いけれども全く出来てないぞ。

 「今後一緒に練習していこうな。」

 「キュ!」

 分かっているのかいないのか元気に返事をするテン。

 さあまずは寝とまり出来る場所を探すのと狩れそうな獲物の偵察だな。1日分の食事は持って来た分で賄えるが、明日以降は獲物を狩れないときつい。

 未知の森を進んでいくらか経つがかなり自然に溢れているな。そこかしこに薬草や見たこともない草や植物で溢れている。

 「キュキュ キューキュー」

 テンも見たことのない景色に心を躍らせているようだ。テンは本来自然豊かな場所で暮らしていたのだろうか?

 それにしても生き物の気配はそこかしこにするが殺伐とした雰囲気ではない。過去の捜索隊は浅い層で動物や魔物に返り討ちに遭ったと聞いた。だからかなり生き物の気配に気をつかっていたんだが襲われたり、暴れているような雰囲気はない。

 数種類の生き物の気配はあるから、おそらく自分達の縄張りを形成しているのだろう。過去の捜索隊はその縄張りを侵したのだろうか。それとも生態系が変わったのか。

 「キュ!キュ!」

 色々と考えながら進んでいたら不意にテンが興奮しながら鳴き、前を進んでいく。

 「ちょっとテン!危ないから1人で進まないで!」

 ふとテンが足を止め、見やる先には大きな穴が開いた洞窟があった。

 「キュイキュイ!」

 「おお、良く見つけてくれたなテン。えらいぞえらいぞー。でも今後は1人で先には行かないでくれよ。」

 寝床を探しているとテンに言った覚えはないが、僕のために探してくれたのかな。もしかしたら結構賢いのかな?褒めて褒めてと僕の顔を見つめているテンを撫でてやる。

 中は奥行きはそこそこあり一方通行だ。もしかしたら元々何かが寝床にするためにこの穴を開けて住んでいたのだろうか。今は生き物の匂いや痕跡はないから大丈夫だと思うが少し気をつけないとな。

 さて、寝床が、決まったことだし次は周辺の探索だ。もし危険な生き物がいたら最悪寝床も変えなきゃいけないからな。気合いを入れてそろそろ行くとしよう。
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