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プロローグ

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9月24日 
体育館中が一瞬で静まり返る。
体育館のステージ上に姿を現した彼女は、1000人近くの視線に全く臆することなくマイクの前に立つと、優雅に一礼して真っ直ぐ前を見据えた。金髪のポニーテールが、ふわりと揺れる。
「生徒会長立候補、1年1組 まどかです」
その微笑みで全ての魔法が溶けたかのように、彼女から目を離すことの出来なかった生徒たちは瞬きして、そしてざわめいた。
私は1人彼女から目を離さなかった。どうやっても、胸の高まりを抑えられなかった。
彼女は微笑みを崩さないまま体育館中に視線を向けると、口を開く。
「私は、この学校を変えます」
自信に満ちた表情で発された凛とした声が、ざわめきを一瞬で消す。
ここにある全てがこの美少女に魅せられているかのように、誰もが彼女から目を離せない。
そして続ける。
「理不尽な規則や制度を壊し、正当かつ本当に私たちの為になること、この学校に通いたいと思わせることができるような新しいものを提案し、必ず実行します。全ての理不尽な人間に、いかに子供が利口であるかを教えて差し上げるのです」
なんの迷いもない口調で、張りのある声のまま。
そして、私達の改革は始まる。
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