「キミ」が居る日々を

あの

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本編

前編2~別人格、ハル~

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「あ、そうだ。」
『何?』
「ハルっていつからいるんだ?」

昨日からずっと聞きたかったことだ。

落ち着いてから色々聞こうかと思っていたのに結局聞きそびれていた。

なんせ色々あったからな…
疲れですぐ寝てしまっていた。
そりゃもう、ぐっすりと。

昨日のことを考えてまた少し目が遠くなっているのが自分でもわかる。

『うーん、結構前からだな。…セツが小学校の低学年ぐらいのときだったかな?』
「うえ⁉︎そんなに前からなのか⁉︎」

本当に結構前からだな⁉︎

というか、

「だから俺の名前知ってたのか」
『そういうことだ。…まぁ、名前ぐらいなら昨日どころか今日の朝に生まれてたとしてもわかると思うがな』

こいつ…
一言多いんだよ……

ん?今日の朝生まれたとしたら生まれたてだし言葉もわからんのじゃないのか?
いやでも、別人格としてだし精神年齢は同じぐらいで言葉ぐらいはわかるか?
それとも、そもそも体は一緒だし知識が共有されてるってこともあるかもしれないのか?

ぐるぐると色々な考えが頭を巡ったが、よくわからなくなってきて結局は考えることを諦めた。

なんかデジャヴ…
昨日も似たようなことしてなかったか?

そうして本日何度目になるかわからない遠い目をしていたら、また別の疑問がふっと頭に浮かんだ。

…小さい頃に何かハルが生まれるような出来事があっただろうか。
記憶を遡ってみても思い当たるものはない。

そもそもそんなに前のことなんてほとんど覚えちゃいないが。

こういうのって思い出したくないものに限って覚えているもんだ。思い出せないってことはそこまでのことでもなかったんだろう。

若干適当に、そう結論づけて意識の波を過去から今に引き戻す。


「だけど、そんなに長くいてきつくなかったのか?」

俺には耐えられそうにないが…

今の生活が普通になっているからそう思うだけで、生まれたときからそうだったハルはそうは思わないのか?

『まぁ、確かに誰にも気づいてもらえないのは辛かったが、セツを通して色々見れていたからな。退屈はしてない。それに俺は……あ、いや、なんでもない』
「?」

誤魔化したけど、なんか言いかけたな?
誤魔化されると余計聞きたくなるのが人の性ってもんだ。言いかけてやっぱやめたはやめてくれよ…。

『あ、そうそう、今みたいに声に出さなくても、俺に話しかけるつもりで心に言いたいことを強く思えば聞こえるよ。多分だけど』

んぇ??
え?マジで??

えーとじゃあ、

『これで聞こえるか?』

言われた通りに次の言葉は声には出さずに、心に思い浮かべるだけにした。

『おー、成功だな。聞こえるぞ』

ハルはなんでもなさそうに答えた。

マジかよ⁉︎
えぇ…じゃあこうすれば昨日変人扱いされずに済んだじゃん!!
わかってたんならもっと早く言って欲しかった!!!

いや、2人とも混乱してたし、今更そんなこと考えたって無駄だってわかってるけども。
わかってるけどもさ!!?
あのとき向けられた目を思えば、そう思ってしまっても仕方がないと思うんだ……

「はぁーーーーーーーーーーー」

…自分でも驚くほど長いため息が出た。
このときの俺はさぞかし目が死んでいたことだろう。

そして、俺は緩慢な動きでベッドに寝そべった。

なんだかどっと疲れたような気がする。
主に精神的に。

ほんと、こいつ無自覚に精神攻撃すんのやめてくれないかな。

寝そべっていると、今度は眠気が襲ってくる。
まだ昼過ぎではあるが、疲れたしもう寝てしまおうかな。夕ご飯の時間になったら起こしてもらえるだろう。

そう半分程夢に浸かりかけた頭でうっすらと考えたあと、幾許もしないうちに完全な眠りへと就いたのだった。
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