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第一章

01

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周りが俺を見てざわざわとしている。

そりゃそうだろうな。
俺はずっとフード被って今まで過ごしてきたんだ。今更フードを取っても誰も判りゃしないのだろう。

あれ前に鏡で見てみたけど結構フードが影になってて目元あんま見えなかったし。しかも鏡見るために少し上にしてたからいつもは見えづらいどころか口ぐらいしか見えてないだろうな。
わかるわけねぇよ。

遠巻きに「誰だ?アイツ」という声が聞こえてくるが、いちいち説明するのも面倒で無視して食堂の通路を進み続ける。

スッと目線だけを動かし、目的の奴の後ろ姿を視界の端に捉えると、そいつめがけて歩を進める。そして、その後ろに立ち声を掛けた。

「おい、ザク。」
「なんだレ……?…誰だ?」
「レ、イ、だ!お前がフード取れって言ったんだろが!!」

振り返って俺の顔を見た途端に怪訝そうな顔で俺にそう抜かしやがる男ーーザクにイラっとして、思わず大きな声を出してしまった。

分からないのは当たり前なのだが、こいつがフードを取れと言った手前、「誰だ?」なんて言われたらイラッときてしまうのも仕方がないと思う。

「え、おまっ…雰囲気、違い過ぎねぇか…?」

フード被って顔もほとんど見えない全身黒尽くめのどう見ても不審者な格好から、相変わらずの黒尽くめ装備だが、顔がしっかり見えている今の姿になっても雰囲気が変わらないとか言われたら逆に複雑な気分になるわ!

と言っても俺の髪も目も黒色で黒尽くめ装備も合わせて暗いって言われてしまえばお終いだがな!

「てか、身長低いなとは思っていたがマジで子供だったんだな」
「あ?子供じゃねえし、お前より年上だわ!」
「いやお前それは流石に無理があるだろ」

ザクが間髪を入れずに否定してきた。解せぬ。

俺は別に子供と言われるほど低いわけではない。160cm後半はある、と思う。測ったことがないので分からないが。
因みにザクは182cmだそうだ。他のやつらも似たようなものだ。
クソッ!羨ましいな⁉︎巨人族どもめ!

とはいえ俺の身長がもうこれ以上伸びないことはわかっている。
ほんとはもっと伸びるはずだったんだがなぁ…

だれでもいいからその身長を少し分けてもらうことはできないものか、と本気で考え始めた頃、視界の端に数人の足が映り、下げていた視線を上げた。

「お前、レイだったのか!フード無かったから気づかなかったぞ。」
「そんな顔してたんだな…」
「何で今までフード被ってたんだ?」

遠巻きにこちらを伺っていたやつらが寄ってきて若干食い気味で俺に話しかけてきた。
俺たちの会話を聞いて俺が誰なのか分かったようだ。
だが、みんな一斉に話し出すんじゃねぇよ…どれに答えればいいのか分からねぇじゃんかよ。
とりあえず「あぁ」とだけ答えておく。空返事気味なのは許してほしい。

「にしても本当に取って来るとはなぁ。もう少し粘るかと思ったが…」
「はぁ…お前は俺が粘ったところで無理矢理取ろうとするだろうが」

「まぁな」

あっけらかんと言い放つザクに再度イラっとするが、今までしてこなかったあたりこいつなりに我慢してたのだろう。今度は俺も言い返したりはしなかった。
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