乙女ゲームの主人公になったけど、やる気ゼロです。

こうじゃん

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39 召喚しました。

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重厚な石造りの扉を開けると、召喚の関係者とみられる方々がいた。



いかにも魔法使いのおじいさんといったふうの白いひげのおじいさんと、弟子ぽいローブ2人。

役人だろうか、銀縁の眼鏡をかけた30代くらいの男。

研究者か学者といった感じの青年。

警備の人だろうか騎士も何人がいる。

おう、アルベルト様とエンバー先輩もいる。

楽団や踊り子も用意は、控えの間に用意されているらしい。本当に用意したんだ。レイアス先生。



白いひげのおじいさんが、レイアス先生に手をあげる。

「レイアス、来たか! その子が全属性持ちか?」



「ええ、シュタルバーン師、エリカです」

「エリカ、カイン挨拶して。魔法長のシュタルバーン師、私の師匠だ。」

「初めまして。魔法科1年エリカです」「付き添いで来ました。騎士科1年カインです」



レイアス先生が中の人達を紹介する。

「エリカ、こちらはドライオン調査隊の方達だ」

「魔法省の双子トーマスとパーシー、役人のマルチーノ、学者のユーゴ、騎士のフェルナンドだ」

おおう、双子機関車コンビだ。全員、顔で選んだのかと思うくらいイケメン揃いだ。



カインと私は「よろしくお願いします」と頭を下げた。



部屋の真ん中にみごとな召喚陣が書かれている。

私が杖を作るときに書いたのとは違って、円が3つ組み合わさった複雑な図形が描かれている。

それに精密な魔法文字と初めて見る印章が記された美しい魔方陣だ。



「エリカ、この魔方陣に魔力を込めて欲しい」

このままモンスターが活性化すると、普通の人々の暮らしにも影響が出る。

一刻も早く遺跡の封印を解き、中の調査をしないといけない。



「わかりました」

魔方陣に手を伸ばし、心を込めて魔方陣に魔力を注ぐ。

遺跡の封印を解きモンスターの活性化が収まりますように、人々の暮らしが安寧なもので有りますように。

なるべく心優しいものが召喚されますように。イモムシにされませんように。イモムシにされませんように。




魔方陣の隅々まで魔力が注ぎ込む。

魔方陣がキラキラと輝いていく。

光がどんどん強くなってまぶしくて目を開けていられない。

ドサッと音がして、魔方陣の真ん中に何かが落ちてきた。



「召喚の儀が、成った」



――魔法長のシュタルバーン師が、重々しく宣言した。



20代くらいの若い女性が、うつぶせで床に倒れている。

黒髪、東洋系の肌の色、こちらにはないフレアの短いスカートに水色のセーター。もしかして地球のひと?

でもこう見えて、幻獣?精霊?

目をこらして鑑定してみる。





モリムラ ハルカ:23歳 女性 日本人 召喚されし者 ランク:不明






「!!!!!!」






なんで!? なんで!!!

幻獣や精霊召喚するんじゃなかったの???



異世界召喚 !!!

うわん、拉致誘拐しちゃったよ!!!!!

どうしよう!!!



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