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17 作ったら、性能テストだよね?
しおりを挟むへろへろになって、寮に戻ったエリカです。
3時間の大演芸大会で、さすがのレイアス先生も疲れた顔をしてた。
憂いをおびたイケメンの破壊力は、すごかった。
カインはまだいけると木刀を振っていた。
体力バカだ。
杖職人は普通、枝に穴を開け魔法素材を芯に通し封印し、呪文を刻み、魔力を注ぎ杖を作る。
帰り道、先生に、なぜ皆この方法で杖を作らないのか聞いてみた。
「精霊を召喚するのに多くの魔力が必要だし、精霊に何を要求されるか分からないからねえ。成功率が低いんだよ。
それに失敗すると、イモムシに変えられたりするから、危険なんだよ。アハハハ。」と爽やかに笑った。
イモムシになる危険があったのか……
何が「アハハハ。」だ!
**
翌日が休日で良かった。
お寝坊し、ヨダレをたらして寝てるところを、琥珀にほほをポフポフと叩かれてます。
肉球でほほをポフポフされるなんて、ご褒美です。
もう少しこの感触を楽しみたいと、寝たふりしてたら、
おでこにもふもふとした感触が……
いやん、おでこにおはようのチュー?ちゅーなの?と、思ったら、
おでこをカプッと、噛まれました(泣)
( いいかげん、起きろ! )だそうです……
朝ご飯を食べて、イザベラ様の寮に向かう。
上流貴族の寮は、豪華ホテル並みだ。
出てきたメイドさんに、面会を申し出る。
イザベラ様に「つえ出来たら、一番に見てあげてもよろしくってよ。」と、ツンデレ語で出来たら一番に見せてと、お願いされてたのだ。
本当は作るところも見たがっていたのだが、貴族のお嬢様は夜間徘徊、禁止なのだ。
夜間徘徊禁止でよかった。イザベラ様に盆踊りを披露する羽目になるところだった。
ハートの真ん中に椿がついた魔法少女の杖を見たイザベラ様は、
「きゃー、かわいいわ! こういうのもアリだわ!」と大興奮だった。
さっそく、工房に頼んで作らせなきゃと、おっしゃってたので、今後、杖界?に新たなウェーブが来るかもしれない……
**
昼食をとって演習場へ行くと、すでにレイアス先生とカインが待っていた。
レイアス先生がつえの出来映えを確認したいと、午後、演習場で落ち合う約束をしていたのだ。
ちなみに、カインは野次馬だ。
演習場はテニスコートほどの小演習場5つと、体育館ほどの広さの大演習場がある。
各演習場は、魔法を撃っても大丈夫なように魔法障壁が張られている。
小演習場を借りて、つえの性能テストをする。
「じゃあ、まず、ファイヤーボールを撃って。」レイアス先生が指示を出す。
魔法少女のつえを構えて、呪文を唱える。
ううう、精神年齢おばさんが、魔法少女のつえ、イタイ。
こぶし大のファイヤーボールが、的に命中する。
ホタルほどの大きさだったファイヤーボールが、こぶし大に!
「やったあ! 先生、これなら、スライム倒せますか?」
「うん。ゴブリンとか小さなモンスターはいけると思うよ。」
私は、ニヤッと笑うと、「じゃあ、こうしたらどのくらいいけますか?」
と、ダ、ダダ、ダダーンと、ファイヤーボールを連打した。
的が木っ端みじんだ。
人間機関銃。こちとら、魔力の量には自信があるぜっ!
カインが口を開けてポカンとしている。やったネ!
「オークくらいの中型モンスターも数が多くなければ、いけると思うよ。」
レイアス先生が、とウィンクした。
夢で思い出した演習で襲ってきたモンスター、小型と中型だった。
数もそんなに多くなかった。いけるよね?
**
つえの性能テストの帰り、「大事な話がある。」と、カインを人気のない場所へ誘った。
何を思ったのか、カインは「え? そういうのって男から……、いや、うん。」と訳の分からないことを言ってたが、気にしない。
呼び出しとか、タイマンじゃないぞ、カイン。
「前にここって、娘がやってたゲームの世界に似てるって言ったの覚えてる?
ゲームだと、今度、森に行く演習でモンスターに襲われるんだ。小型から中型、5、6匹だったと思う。
だから、念のため、演習で気をつけて欲しいんだ。」
「そういう話か……。 分かった。気をつける。」とカインは、肩を落としていた。
ん? なぜ、肩を落とす?
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