乙女ゲームの主人公になったけど、やる気ゼロです。

こうじゃん

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14 モンスター殲滅できませんっ!

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 森の救世主さま、アルベルトっていう人だった。

どこかで聞いたような名前だけど、

あ、前世の自転車みたいな名前だw



寮まで送ってもらった。

帰り際に、「あれ、普通のスライムだからね。」と言われた。

「森の主かも?」ってつぶやきが聞こえてたらしい。

恥ずかしい。



スライムの魔石ももらった。売って小遣いにしよう。

いいひとだ。アルベルト先輩。





**





今日のホームルームで、来月、森に演習に行くことが発表された。

わーい。

それって、歓迎遠足的なやつですか?

バナナは、おやつに入りますか?



ルンルンで寮に帰る。

いろいろ用意しなくっちゃね。



いつもの通り夕飯を食べ、宿題と予習をする。

すでに基礎知識のある貴族の方々に合わせて進むので、予習しないとついていけない。

明日の準備をして床につく。

なんか、重大なことを忘れてるような気がするけど気のせいよね。

今世は、ピチピチ15歳。物忘れは早いよね?

まあ、気にしないで寝よう!っと。寝不足は美容の敵よ。





***





夢の中で、いとしい娘が茶の間でゲームをしている。



モンスターとバトル中だ。

「乙女ゲームなのに、モンスター倒すの?」

「うん。森に演習に行く途中で、モンスターに襲われるんだよ。

 まあ、主人公ハイスペックだから、魔法でガンガン倒しちゃうんだけどね。」





***





ハッと目が覚める。朝日がまぶしい。



ダメじゃん!!!!!

私、しょぼ魔法しか使えない。スライムにも負けた!

モンスター殲滅できませんっ!



このままでは、モンスターにやられる未来しか見えない。

なんで、しょぼい魔法しか発動しないんだろう。

今日、先生に相談に行こう。





**





昼休みに、担任のレイアス先生に相談に行った。

この学園の教師は、教科ごとに部屋が与えられてる。



レイアス先生の部屋は、壁が全部、本棚になっていた。たくさんの本と資料が並んでいる。

所々に、怪しげな魔法道具も見える。

先生の性格か、物がある割りにきちんと片付けられている。



「どうしたら、魔法の威力を上げられますか?」



レイアス先生は、う~んと頭をかきながらこう答えた。



「う~ん。問題は2つあると思う。

ひとつは、君の場合、魔力は十分あるから魔力のコントロールに問題があると考えれる。

もうひとつは、魔力を発揮するのがこわいんじゃないか?

君の場合、魔力の発見が魔力の暴走だったね。

だから、魔力の暴走がこわくて無意識に魔力を込めるのを押さえてるんじゃないか?」



「ひとつ目の問題は、杖を使ったらどうだろう?

杖がある方が魔法の威力も上がるし、コントロールもつけやすい。

今まで、杖を使ってないのはなぜなんだ?」



「お金が無くて、杖が買えないからです。

もちろん、入学が決まって、ルンルンで杖を買いに行きましたけどね、

杖って、10万ギル以上するんです。

我が家の生活費1ヶ月分です。買えません。」



「そうか……。」

頭をかきながらながら、レイアス先生は、困ったように微笑んだ。

いやあ、イケメン。困った顔も素敵です!



先生は、本棚をゴソゴソと探すと、

「あった! あった!」と、ほこりをかぶった古い本を差し出した。

「杖の作り方の本だ。杖を買えないなら、作ってみたらどうだ?」

先生、本を貸して下さいました。



ちなみに、ふたつ目の『魔力を発揮するのが、こわい』については、練習あるのみ!だそうです。

とほほ……







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