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妖の世界と登場人物紹介
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第一篇までの内容や用語、登場人物をざっくりまとめています。ご参考まで。
第一篇の最後にあったものを最初に移動しました。ネタバレを含むので、そのまま次話からのお話へ進んでも構いません。
*世界(物語の舞台)について
<ふたつの世界>
【人間の世界】
翠月や天月がかつて暮らしていた世界。
特定の神社を介して妖の世界と繋がっている。
妖は人間の世界のことを、「向こうの世界・あちらの世界」などと呼ぶ。
【妖の世界】
妖の暮らす世界。妖は、特定の妖力を持てば神社からニンゲンの世界との行き来が可能。
ニンゲンは、特定の妖によって守られないと命の危険がある。
妖は妖の世界のことを、「この世界・こちらの世界」などと呼ぶ。
<ニンゲンとの違い>
【妖力】ようりょく
妖によって持つ量・得意な性質が異なり、妖術として使われる内容も様々。
量が多い者が強力とされ。身分証明などにも使われる。
妖力に対して最弱のニンゲンは、敵対的な妖力を目の前で放たれると《当たった》状態になり、人により程度はあるが、気絶・発熱などの症状が出る。
当たる事を完全に回避することは難しいが、症状をできるだけ軽減させるには、ニンゲンと妖の共寝が必要である。
妖が庇護したい者に妖力を込めた装飾品などを持たせれば、位置を追えるようになる。
【発情期】はつじょうき
妖によって頻度や程度、期間の長さが異なる。
一般的に、妖力が多い・強いほど欲も強く交わりたくなるが、高位であるほど薬剤で抑えている。
ただし、発情期の抑制に関わる薬剤の流通は抑えられつつあり、手に入らないことも。
【徴】しるし
妊娠すると訪れる体調不良のこと。悪阻。
<妖の身分序列>
天皇>高位貴族>貴族>>平民>>>ニンゲン
【高位貴族】
貴族の中でも強い妖力・発情期を維持する家系を指す。
中には純血(妖同士で身分の釣り合いのもと生まれた子)にこだわる家も。
天皇からの信頼が厚く歴史のある家は、表稼業の他に裏稼業を持つ。
子に宝石名をつける。親子で同名もあり得る。
高位貴族の中にも序列があり、最高位貴族は皇家。
*廓・深碧館関連
<全般>
【廓】くるわ
主に芸者が見世を披露し御客を楽しませる場。
発情期がある妖にとって、なくてはならない欲の発散場所。
【深碧館】しんぺきかん
下町と呼ばれる地域の中、花街と呼ばれる区画にある廓のひとつで、最高級館。
花街で唯一、男色芸者のいる廓。それぞれの役割から、六の宮に分かれている。
各宮では芸者や世話係、見習いや働き手などが生活し、御客を取る座敷も宮の中にある。
高位貴族である皇家が表家業として代々楼主を務める。
【芸者】げいしゃ
御客に対し、見世を行い楽しませる者のこと。
上位芸者となれば専属の世話係がつき、御客を目の前にする機会は減っていくため、価値が上がる。
【世話係】せわがかり
芸者の見世準備を手伝う者。着付けや化粧、舞見世の伴奏や宮番への伝令など、見世に関与する。
【侍女・近侍】じじょ・きんじ
生活の手伝いをする者。食事や寝間の管理などを担う。
【楼主】ろうしゅ
廓の長(総責任者)を指す。廓の運営を仕事とし、御客に見世をする芸者を宛がう。楼主代理を置く廓もある。
なお、深碧館では芸者を育て身請け先を探すことまでが仕事とされ、芸者を使い捨てるような真似は基本しない。
【身請け】みうけ
御客が芸者を買う行為。深碧館の御客は芸者を、妾(正妻ではない相手)として迎え入れることが多い。
【送り出し】おくりだし
身請けされた芸者が廓を発つ日に行われる行事。
【宮番】みやばん
深碧館の六の宮それぞれに長として妖が置かれ、その者を宮番と呼ぶ。
それぞれの宮の色が分かる小物や装飾品を身に着けている。
【内儀】ないぎ
楼主の妻のこと。
<見世>
花街の全廓で大抵内容は共通している。床だけに特化した見世を行うような廓もある。
【楽】がく
主に琴を弾いて聴かせる。三線を使用する廓もある。
【舞】まい
扇を使い踊って見せる。使用する扇によって、芸者の個性を出しやすい。
【書】しょ
文字を書き写して見せる。唯一、御客が持ち帰ることのできる見世。
【語】かたり
物語を読んで聴かせる。ゆったりとした落ち着いた声が好まれやすい。
【床】ゆか
欲の発散のため、共寝をする見世。泊まりとなることも多い。
<深碧館の各宮とその特徴>
【翠玉宮】すいぎょくきゅう
深碧館で唯一、芸者のいない宮だった。別館のように独立した建物。楼主と楼主代理が住む。
六の宮の中で、番台と呼ばれる廓の受付が最も近い。
【紅玉宮】こうぎょくきゅう
個々での稼ぎを重視し、芸者同士が凌ぎを削っている宮。芸者の気が強く、楼主ですら管理するのが難しいと感じてしまうほどである。
深碧館の二階以上・正面から見て手前側に位置する。御客を誘惑し床見世に入る芸者が多いため、病気もしやすい。
【黄玉宮】おうぎょくきゅう
穏やかで和やか、知的で廓の運営・調整にも協力的な宮。床見世以外を得意とする芸者が集まるため、歴の長い芸者が多い。
深碧館の二階以上・中央部に位置する。
【蒼玉宮】そうぎょくきゅう
男色芸者の集まる宮。基本的に、床見世のみを行うが例外もある。深碧館の二階以上・正面から見て奥側に位置する。
【藍玉宮】あいぎょくきゅう
芸者や世話係の見習いやその他の働き手が稽古・生活を行う宮。芸者希望であれば、誰もが初めはこの宮に入り、稽古を終えると紅玉・黄玉・蒼玉に分かれていく。
深碧館の一階部分に位置する。
【瑪瑙宮】めのうきゅう
地下にある、体調を崩した元芸者が療養する宮。宛がわれた座敷から出ることはできないが、それ以外に生活の不自由はない。
【黒曜宮】こくようきゅう
地下にある、規律違反を犯した芸者が集まる宮。ここでの床見世は《過激遊戯》と呼ばれ、上階のそれとは区別される。
※【黒系宮】とは、地下にある瑪瑙宮と黒曜宮を指す。
*登場人物
<翠玉宮>
【皇 緑翠】すめらぎ りょくすい 二十六歳
腰ほどまである銀髪を頭の半分の高さでまとめている。淡緑色の目を持つ。
深碧館の現楼主で、最高位貴族である皇家の現当主。狐の墨が肩にある。
十五で表稼業である深碧館を継ぎ、十八で例祭の神事を継いだ。裏家業として、人攫いと呼ばれるニンゲンの保護と、深碧館で生まれた子を平民へ届ける子払いを行っている。
当主だった妖の父と、妾でニンゲンの母の間に生まれ、ニンゲンの匂いを感じにくく、発情期もないに近い。
強力な妖力を調整し、結界を張ったり心の揺れを視たりするために使うことが多い。
姉の翡翠とは長きに渡り会えていなかったが再会を果たし、妖力を吸い切ることで看取った。
ニンゲンの翠月と共寝をし、妖力を渡すことで守っている。
【鳳 翡翠/翠月】おおとり ひすい/すいげつ 十五歳(芸者最年少)
肩下ほどのさらさらとした黒髪で、翠色の瞳を持つ。
翠玉宮に住んでいるが、黄玉宮にて見世を行う芸者で、ニンゲンでありながら、緑翠の内儀となった。
宝石や琴、書道に慣れ親しんでおり、芸者を天職のように感じている。
妖の世界に来た頃は感情を表に出さなかったが、緑翠や天月の前では少しずつ解れた。
緑翠と共寝をし、妖力を身体に流され守られている。
【朧】おぼろ 四十九歳
楼主代理として緑翠を支える妖。
緑翠の父親の代から皇家に仕えていた。
【春霖・秋霖】しゅんりん・しゅうりん 二十一歳
翠玉宮の侍女。略して「はる・あき」と呼ばれる。十三の時に暁に拾われ、今に至る。双子。
<紅玉宮>
【東雲】しののめ 二十九歳
宮番。紅玉の芸者に手こずることが多い。緑翠とは直接話すことはほぼない。
発情期は年に一度程度あり、普段目に入る床が激しいことが悩み。
【糸遊】いとゆう 二十六歳
一番手。我が強い。黄玉・蒼玉どちらにも敵意を向ける。
【飛燕・胡蝶】ひえん・こちょう 二十四歳
二番手・三番手。糸遊の意思に従う。
【薄氷・白露】うすらい・しらつゆ 登場時十五歳
見習い。翠月とは稽古が同期だったが、糸遊に唆されニンゲンを脅かす事件を起こした。黒曜宮に落ち、それぞれ画策した男妖に身請けされた。
<黄玉宮>
【黎明】れいめい 三十一歳
宮番。黄玉で厄介事は稀なため、必要に応じて紅玉や藍玉を助けているが、臨機応変な対応が苦手で、あたふたしがちになる。
発情期が来ると紅玉宮を歩き回るようになる。
【星羅】せいら 三十三歳・【菘】すずな 二十六歳
一番手とその専属世話係。翠月の良き先輩。藤黄の間を使う。
【淡雪】あわゆき 三十歳・【柚・芹】ゆず・せり 二十三歳
二番手とその世話係。非番の日でも積極的に床の準備をする。柚・芹は双子で、黄玉宮全体の世話係として動くこともある。蒲公英の間を使う。
【夕星】ゆうづつ 登場時三十歳
元三番手。翠月が黄玉に入った時には身請けが決まっていた。黎明への想いを隠したまま、送り出された。黄檗の間は、翠月に引き継がれた。
【梓】あずさ 十九歳
夕星の専属世話係で、現在は翠月の専属世話係を務める。翠月の良き相談相手。
<蒼玉宮>
【宵】よい 二十六歳
宮番。短髪で体格の良い男。ニンゲンである天月と共寝をし、妖力を渡し守っている。
【天月】てんづき 十九歳
ニンゲンで、一番手を張っている。ふわふわとした黒髪に青い瞳を持ち、華奢。
妖の世界に入ったばかりの翠月に妖の世界の理を教えたが、所作はまだまだ修行中。
宵と共寝をして、妖力を身体に流され守られている。水縹の間を使う。
【君影】きみかげ 二十一歳
二番手。灰褐色の髪と水色の瞳を持ち、華奢。
発情期の発散を天月に頼んでいる。一応、天月の先輩にあたる。
【時雨】しぐれ 二十六歳
三番手。東風・南風との関係を認めてほしいと緑翠に直訴した。
【東風・南風】こち・はえ 二十歳
蒼玉宮全体の世話係。時雨の発情期には、その対処を担う。
<藍玉宮>
【暁】あかつき 四十一歳
宮番。見習いや働き手たちをまとめる。
【婆】ばあ ?歳
芸者見習いに見世の稽古をする先生。
<黒系宮>
黒系宮の宮番は、緑翠の裏家業に協力する高位貴族の御客がいることを知っている。
【月白】つきしろ 二十七歳
瑪瑙宮の宮番。心優しく共感しやすい。雰囲気で察するのが上手い。瑪瑙宮の元芸者に寄り添ってやれる。首は見えるが長めの髪。
【烏夜】うや 二十五歳(宮番最年少)
黒曜宮の宮番。少々お調子者で、話を聞き出すのが上手い。
<高位貴族>
貴族の中でも、地位と権力を持つ者たち。妖力や発情期が強く、制御に苦労する場合が多い。
【楪 瑠璃】ゆずりは るり 三十三歳
女だが、男として来る深碧館の蒼玉宮の上客。天月と君影を指名する。床には入らず食事などで楽しむ。
表家業も裏家業も、医師として緑翠に協力。
【蘭 孔雀】あららぎ くじゃく 三十六歳
深碧館の蒼玉宮の上客。天月を指名する。床には入るものの挿入まではしない。
表も裏も飛脚として、伝令や荷を届けている。
【扇 柘榴】おうぎ ざくろ 三十歳
深碧館の黄玉宮の上客。翠月を指名し、床の解禁を待っている。
表家業は《九重屋》という平民も利用する反物屋、裏家業は隠密調査。
着物を合わせるために見世前に深碧館に来ることも多い。
【? 橄欖】かんらん 二十四歳(名字未登場)
見習いだった翠月を組み敷こうとした妖。深碧館を出禁になった。
【? 菫青】きんせい 二十三歳(名字未登場)
下町で妖力を放ち、翠月が当たった原因を作った妖。深碧館を出禁になった。
<その他>
【夜光】やこう 四十一歳
この国の天皇。緑翠と同様の銀髪を持つ。
皇妃・側妃を合わせ三名の妃を持つ。妃の見世が上達すると皇子に繋がるため、深碧館から芸者を呼んで学ばせている。
第一篇の最後にあったものを最初に移動しました。ネタバレを含むので、そのまま次話からのお話へ進んでも構いません。
*世界(物語の舞台)について
<ふたつの世界>
【人間の世界】
翠月や天月がかつて暮らしていた世界。
特定の神社を介して妖の世界と繋がっている。
妖は人間の世界のことを、「向こうの世界・あちらの世界」などと呼ぶ。
【妖の世界】
妖の暮らす世界。妖は、特定の妖力を持てば神社からニンゲンの世界との行き来が可能。
ニンゲンは、特定の妖によって守られないと命の危険がある。
妖は妖の世界のことを、「この世界・こちらの世界」などと呼ぶ。
<ニンゲンとの違い>
【妖力】ようりょく
妖によって持つ量・得意な性質が異なり、妖術として使われる内容も様々。
量が多い者が強力とされ。身分証明などにも使われる。
妖力に対して最弱のニンゲンは、敵対的な妖力を目の前で放たれると《当たった》状態になり、人により程度はあるが、気絶・発熱などの症状が出る。
当たる事を完全に回避することは難しいが、症状をできるだけ軽減させるには、ニンゲンと妖の共寝が必要である。
妖が庇護したい者に妖力を込めた装飾品などを持たせれば、位置を追えるようになる。
【発情期】はつじょうき
妖によって頻度や程度、期間の長さが異なる。
一般的に、妖力が多い・強いほど欲も強く交わりたくなるが、高位であるほど薬剤で抑えている。
ただし、発情期の抑制に関わる薬剤の流通は抑えられつつあり、手に入らないことも。
【徴】しるし
妊娠すると訪れる体調不良のこと。悪阻。
<妖の身分序列>
天皇>高位貴族>貴族>>平民>>>ニンゲン
【高位貴族】
貴族の中でも強い妖力・発情期を維持する家系を指す。
中には純血(妖同士で身分の釣り合いのもと生まれた子)にこだわる家も。
天皇からの信頼が厚く歴史のある家は、表稼業の他に裏稼業を持つ。
子に宝石名をつける。親子で同名もあり得る。
高位貴族の中にも序列があり、最高位貴族は皇家。
*廓・深碧館関連
<全般>
【廓】くるわ
主に芸者が見世を披露し御客を楽しませる場。
発情期がある妖にとって、なくてはならない欲の発散場所。
【深碧館】しんぺきかん
下町と呼ばれる地域の中、花街と呼ばれる区画にある廓のひとつで、最高級館。
花街で唯一、男色芸者のいる廓。それぞれの役割から、六の宮に分かれている。
各宮では芸者や世話係、見習いや働き手などが生活し、御客を取る座敷も宮の中にある。
高位貴族である皇家が表家業として代々楼主を務める。
【芸者】げいしゃ
御客に対し、見世を行い楽しませる者のこと。
上位芸者となれば専属の世話係がつき、御客を目の前にする機会は減っていくため、価値が上がる。
【世話係】せわがかり
芸者の見世準備を手伝う者。着付けや化粧、舞見世の伴奏や宮番への伝令など、見世に関与する。
【侍女・近侍】じじょ・きんじ
生活の手伝いをする者。食事や寝間の管理などを担う。
【楼主】ろうしゅ
廓の長(総責任者)を指す。廓の運営を仕事とし、御客に見世をする芸者を宛がう。楼主代理を置く廓もある。
なお、深碧館では芸者を育て身請け先を探すことまでが仕事とされ、芸者を使い捨てるような真似は基本しない。
【身請け】みうけ
御客が芸者を買う行為。深碧館の御客は芸者を、妾(正妻ではない相手)として迎え入れることが多い。
【送り出し】おくりだし
身請けされた芸者が廓を発つ日に行われる行事。
【宮番】みやばん
深碧館の六の宮それぞれに長として妖が置かれ、その者を宮番と呼ぶ。
それぞれの宮の色が分かる小物や装飾品を身に着けている。
【内儀】ないぎ
楼主の妻のこと。
<見世>
花街の全廓で大抵内容は共通している。床だけに特化した見世を行うような廓もある。
【楽】がく
主に琴を弾いて聴かせる。三線を使用する廓もある。
【舞】まい
扇を使い踊って見せる。使用する扇によって、芸者の個性を出しやすい。
【書】しょ
文字を書き写して見せる。唯一、御客が持ち帰ることのできる見世。
【語】かたり
物語を読んで聴かせる。ゆったりとした落ち着いた声が好まれやすい。
【床】ゆか
欲の発散のため、共寝をする見世。泊まりとなることも多い。
<深碧館の各宮とその特徴>
【翠玉宮】すいぎょくきゅう
深碧館で唯一、芸者のいない宮だった。別館のように独立した建物。楼主と楼主代理が住む。
六の宮の中で、番台と呼ばれる廓の受付が最も近い。
【紅玉宮】こうぎょくきゅう
個々での稼ぎを重視し、芸者同士が凌ぎを削っている宮。芸者の気が強く、楼主ですら管理するのが難しいと感じてしまうほどである。
深碧館の二階以上・正面から見て手前側に位置する。御客を誘惑し床見世に入る芸者が多いため、病気もしやすい。
【黄玉宮】おうぎょくきゅう
穏やかで和やか、知的で廓の運営・調整にも協力的な宮。床見世以外を得意とする芸者が集まるため、歴の長い芸者が多い。
深碧館の二階以上・中央部に位置する。
【蒼玉宮】そうぎょくきゅう
男色芸者の集まる宮。基本的に、床見世のみを行うが例外もある。深碧館の二階以上・正面から見て奥側に位置する。
【藍玉宮】あいぎょくきゅう
芸者や世話係の見習いやその他の働き手が稽古・生活を行う宮。芸者希望であれば、誰もが初めはこの宮に入り、稽古を終えると紅玉・黄玉・蒼玉に分かれていく。
深碧館の一階部分に位置する。
【瑪瑙宮】めのうきゅう
地下にある、体調を崩した元芸者が療養する宮。宛がわれた座敷から出ることはできないが、それ以外に生活の不自由はない。
【黒曜宮】こくようきゅう
地下にある、規律違反を犯した芸者が集まる宮。ここでの床見世は《過激遊戯》と呼ばれ、上階のそれとは区別される。
※【黒系宮】とは、地下にある瑪瑙宮と黒曜宮を指す。
*登場人物
<翠玉宮>
【皇 緑翠】すめらぎ りょくすい 二十六歳
腰ほどまである銀髪を頭の半分の高さでまとめている。淡緑色の目を持つ。
深碧館の現楼主で、最高位貴族である皇家の現当主。狐の墨が肩にある。
十五で表稼業である深碧館を継ぎ、十八で例祭の神事を継いだ。裏家業として、人攫いと呼ばれるニンゲンの保護と、深碧館で生まれた子を平民へ届ける子払いを行っている。
当主だった妖の父と、妾でニンゲンの母の間に生まれ、ニンゲンの匂いを感じにくく、発情期もないに近い。
強力な妖力を調整し、結界を張ったり心の揺れを視たりするために使うことが多い。
姉の翡翠とは長きに渡り会えていなかったが再会を果たし、妖力を吸い切ることで看取った。
ニンゲンの翠月と共寝をし、妖力を渡すことで守っている。
【鳳 翡翠/翠月】おおとり ひすい/すいげつ 十五歳(芸者最年少)
肩下ほどのさらさらとした黒髪で、翠色の瞳を持つ。
翠玉宮に住んでいるが、黄玉宮にて見世を行う芸者で、ニンゲンでありながら、緑翠の内儀となった。
宝石や琴、書道に慣れ親しんでおり、芸者を天職のように感じている。
妖の世界に来た頃は感情を表に出さなかったが、緑翠や天月の前では少しずつ解れた。
緑翠と共寝をし、妖力を身体に流され守られている。
【朧】おぼろ 四十九歳
楼主代理として緑翠を支える妖。
緑翠の父親の代から皇家に仕えていた。
【春霖・秋霖】しゅんりん・しゅうりん 二十一歳
翠玉宮の侍女。略して「はる・あき」と呼ばれる。十三の時に暁に拾われ、今に至る。双子。
<紅玉宮>
【東雲】しののめ 二十九歳
宮番。紅玉の芸者に手こずることが多い。緑翠とは直接話すことはほぼない。
発情期は年に一度程度あり、普段目に入る床が激しいことが悩み。
【糸遊】いとゆう 二十六歳
一番手。我が強い。黄玉・蒼玉どちらにも敵意を向ける。
【飛燕・胡蝶】ひえん・こちょう 二十四歳
二番手・三番手。糸遊の意思に従う。
【薄氷・白露】うすらい・しらつゆ 登場時十五歳
見習い。翠月とは稽古が同期だったが、糸遊に唆されニンゲンを脅かす事件を起こした。黒曜宮に落ち、それぞれ画策した男妖に身請けされた。
<黄玉宮>
【黎明】れいめい 三十一歳
宮番。黄玉で厄介事は稀なため、必要に応じて紅玉や藍玉を助けているが、臨機応変な対応が苦手で、あたふたしがちになる。
発情期が来ると紅玉宮を歩き回るようになる。
【星羅】せいら 三十三歳・【菘】すずな 二十六歳
一番手とその専属世話係。翠月の良き先輩。藤黄の間を使う。
【淡雪】あわゆき 三十歳・【柚・芹】ゆず・せり 二十三歳
二番手とその世話係。非番の日でも積極的に床の準備をする。柚・芹は双子で、黄玉宮全体の世話係として動くこともある。蒲公英の間を使う。
【夕星】ゆうづつ 登場時三十歳
元三番手。翠月が黄玉に入った時には身請けが決まっていた。黎明への想いを隠したまま、送り出された。黄檗の間は、翠月に引き継がれた。
【梓】あずさ 十九歳
夕星の専属世話係で、現在は翠月の専属世話係を務める。翠月の良き相談相手。
<蒼玉宮>
【宵】よい 二十六歳
宮番。短髪で体格の良い男。ニンゲンである天月と共寝をし、妖力を渡し守っている。
【天月】てんづき 十九歳
ニンゲンで、一番手を張っている。ふわふわとした黒髪に青い瞳を持ち、華奢。
妖の世界に入ったばかりの翠月に妖の世界の理を教えたが、所作はまだまだ修行中。
宵と共寝をして、妖力を身体に流され守られている。水縹の間を使う。
【君影】きみかげ 二十一歳
二番手。灰褐色の髪と水色の瞳を持ち、華奢。
発情期の発散を天月に頼んでいる。一応、天月の先輩にあたる。
【時雨】しぐれ 二十六歳
三番手。東風・南風との関係を認めてほしいと緑翠に直訴した。
【東風・南風】こち・はえ 二十歳
蒼玉宮全体の世話係。時雨の発情期には、その対処を担う。
<藍玉宮>
【暁】あかつき 四十一歳
宮番。見習いや働き手たちをまとめる。
【婆】ばあ ?歳
芸者見習いに見世の稽古をする先生。
<黒系宮>
黒系宮の宮番は、緑翠の裏家業に協力する高位貴族の御客がいることを知っている。
【月白】つきしろ 二十七歳
瑪瑙宮の宮番。心優しく共感しやすい。雰囲気で察するのが上手い。瑪瑙宮の元芸者に寄り添ってやれる。首は見えるが長めの髪。
【烏夜】うや 二十五歳(宮番最年少)
黒曜宮の宮番。少々お調子者で、話を聞き出すのが上手い。
<高位貴族>
貴族の中でも、地位と権力を持つ者たち。妖力や発情期が強く、制御に苦労する場合が多い。
【楪 瑠璃】ゆずりは るり 三十三歳
女だが、男として来る深碧館の蒼玉宮の上客。天月と君影を指名する。床には入らず食事などで楽しむ。
表家業も裏家業も、医師として緑翠に協力。
【蘭 孔雀】あららぎ くじゃく 三十六歳
深碧館の蒼玉宮の上客。天月を指名する。床には入るものの挿入まではしない。
表も裏も飛脚として、伝令や荷を届けている。
【扇 柘榴】おうぎ ざくろ 三十歳
深碧館の黄玉宮の上客。翠月を指名し、床の解禁を待っている。
表家業は《九重屋》という平民も利用する反物屋、裏家業は隠密調査。
着物を合わせるために見世前に深碧館に来ることも多い。
【? 橄欖】かんらん 二十四歳(名字未登場)
見習いだった翠月を組み敷こうとした妖。深碧館を出禁になった。
【? 菫青】きんせい 二十三歳(名字未登場)
下町で妖力を放ち、翠月が当たった原因を作った妖。深碧館を出禁になった。
<その他>
【夜光】やこう 四十一歳
この国の天皇。緑翠と同様の銀髪を持つ。
皇妃・側妃を合わせ三名の妃を持つ。妃の見世が上達すると皇子に繋がるため、深碧館から芸者を呼んで学ばせている。
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