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しおりを挟むそれから数週間。朝昼の薬塗りと包帯替えの時間、それから湯浴みの時間には、互いに抜き合っていた。
だんだんと動けるようになったセオドアが、ノアを壁に押し付け、ふたりで握った自身を擦るように腰を振った。ただ、セオドアは特に、物足りなさを感じるようになっていた。早く、ノアに挿れて動きたいし、ノアの悦がる顔をもっと見たかった。
「ノア」
「うん?」
「少し、触れてもいいか」
「っ!」
一緒に入った浴室で、セオドアがノアの背中に回していた手を下げ、臀部に触れた。
「違和感しかないだろうから、その時が来るまでに解しておきたい」
「んっ」
「後ろを向いて、突き出して。ゆっくり息を吐いて」
「んんっ」
セオドアの指が、ノアの割れ目に沿って行き来する。濡れて滑る手がくすぐったい。身体にどうしても力が入ってしまうのを、ノアは避けられなかった。
「ノア」
「んあ!」
「また勃ってきてる」
すでに一度果てた後でも、動けないほどではなくなったのはノアも気づいていたが、ノア自身はまた上を向き始めていた。好きな人に耳元で名前を呼ばれて、興奮しないわけがない。
セオドアの左手はノア自身を握り、ゆっくりと上下に動きつつ、痒みの無くなった利き手は孔を撫でる。誰にも触れられないその場所を、セオドアの指の腹がくるくると回っている。
セオドアは、ノアの顔が見えないのがもどかしいと思うが、それ以外は気にしなかった。表情が見たいのはその方が滾るからで、ノアが本気で嫌がるかどうかの判断は声でもできる。
「はっ……、ああ……」
「声、響くな」
「そんなの……、毎回、言わないで」
「はは」
「んんっ!!」
セオドアの指が入ってきて、思わずノアは違和感に声を上げるが、とっくに好きな刺激を知られているセオドアに、前を扱かれているのが気持ち良すぎた。下半身から来る感覚が、おかしい。
「んあっ、あっ……、ふうっ」
「痛くはない?」
「ん……、んんっ、も、出そっ」
「いいよ、好きに果てて、ノア」
そんな風に耳元で囁かれれば、ノアは素直に果ててしまう。セオドアはノアの精を手のひらで受けた後、壁に肘をついたノアが息を整えている間に、その精をノアの割れ目に塗りつけた。
「ん……?」
「潤滑油代わりだよ」
「んんっ……」
セオドアは、ノアの孔に再度、指を入れた。果てた直後なのに、ノアの身体はまた震える。
「ノア、痛くない? 痛いの、分かる?」
「んん、へいき……。痛くはないよ、なんか、変な感じ」
「そうだろうね。気持ちいいところ、探すから」
「え」
「あるんだよ。中にも、性感帯」
セオドアは指をゆっくり捻って奥へ進めながら、壁の感触を確かめていく。狙うは、ノア自身の根本だ。おそらく、この辺り。
「……っ!?」
「ここ、触れられるの悦い?」
「……あっ、あっ、なに……、セオっ、なんかへんだ!」
普段以上に腰を反るノアに、セオドアが興奮しないわけがなかった。顔を見ていたら暴発すると思えるくらいに、ノアの声の高さや大きさ、そして細い身体の震えは、セオドアを掻き立てた。
「大丈夫、それで合ってるんだよ。もう一回抜いてあげるから、感覚に身を任せて」
「はっ、んん、んんっ……、ああっ」
首をぶんぶんと横に振りながら感じるノアに、セオドアはどうしようもなく欲情した。三度滾ったノア自身を、また握る。しっかりと硬さが戻ったそれの、先端を弄ぶ。
ノアがよく鳴く内壁を、指の腹で押すのも忘れない。セオドアは後ろを使ったことがないが、本で見る限り、相当な快感となるらしい。目の前で悦がるノアが、その証拠だ。
「あっ、セオっ、セオっ……」
「うん?」
「これ、きがくるう!!」
「気持ちいい?」
「んっ、きもちいっ、あっ、んん!」
ノアがまた放出を迎え、セオドアが指を抜く。足に力が入らないノアは、そのままペタンと座り込んだ。
そんなノアを見て、セオドアには後悔が浮かんだ。明らかに、攻めすぎた。セオドアが手に受けたノアの精は、だいぶ薄くなっていた。セオドアは手を舐めながらしゃがんで、息を切らしているノアの顎に触れ、目線を合わせる。
「……つい調子に乗った」
「はあっ……、なんか、すごく気持ち良かった……」
「……それなら、もっと悦くなれるかも。最終的には、ここに僕のを挿れたい」
「うん」
腰が抜けたノアに、セオドアが湯をかけ汗を流した後、ノアを支えながらふたり一緒に浴室を出た。
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