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後日譚:エピローグにかえて

19.夜会後の王宮内客室にて 後 ※

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 ゆっくりとナイトドレスを取り、待ち望むミアを見下ろす。一度果てているが、その視線すら刺激だ。背中から、ぞくぞくと何かが上がってくる。

 ミアの胸に触れると、ルークの手のひらにすっぽりと収まってしまう。もともとささやかだったが、最近ふっくらとしてきたミアの身体に合わせ、大きくなった気がする。

「ルーク…」
「ん?」
「っあ!」

 ふわふわと揉んで楽しんでいたが、しっかり上を向いた突起を忘れたわけではない。指先をほんの少し当ててあげるだけで、ミアからは嬌声と魔力が漏れる。

「触れて欲しそうだね」
「んん…」

 刺激が欲しくてたまらないのだろう、ミアの腰が浮いて、ルークに密着してくる。

「んあっ!」
「気持ちいい?」

 両の頂きをこりこりと摘んでいるだけでも、ミアは気持ちよさそうだ。鎖骨から胸へと下を滑らせ舐め上げれば、ミアの声はさらに高く大きく部屋に響く。あたたかい魔力も、ルークを包んでくる。

「あっ、ルークっ」
「ん、そろそろ?」
「はあっ、んっ…、あん…」

 指と舌で、突起をひたすら行き来して攻め立てる。この動きが好きで、身体の反りが強まることも知っている。いつも反りすぎて、海部魔術が腰に残ってしまうが、快感に溺れているミアにはどうにもできないのだろう。腰を浮かせずに済むなら、とっくにそうしているはずだ。

「あっ、あ、ルークっ!」
「まだ上だけだよ、ミア」
「んん、あっ、んああ!」

 胸だけで達したミアは敏感すぎるほどで、腹や腰を撫でるだけで身体を震わせる。どうしてこんなにも、満たされるのだろうか。番だからと、その一言で片付けていいものだろうか。

 普段から、交わるときはいつもそうだ。ルークの前戯でミアが感じているのを見るだけでも、幸せだと実感できる。セントレ王国へ帰ってきたときの平和が、いまだ続いているからだろうか。

 力の抜けたミアから、下着を取り払ってしまう。冷たくて、少し重たい。胸で達する前から相当に濡れていたのは分かっているし、挿れてほしいのだろうが、ルークが攻められた手前、そんなにすぐ、ミアの期待に応えるわけにはいかなかった。

 胸で感じながらルーク自身に押し当てられていたその秘部は、ミアの腰が浮くたびに擦れていた。潮も吹いたのかもしれない。ルークが耐えていられるのは、一度果てているからだ。

 十分に濡れているところに、顔を近づける。きっとミアは、もっと先を望んでいるはずだ。

「…ん、ルーク?」
「ミアにはさんざん舐められたからね」
「んっ」

 白くて滑らかな内腿に、ちゅっと強めに吸いつき痕を残す。こんなところ、他人に見られるわけがないのだから、ルークの好きなように痕を残していい場所だと思うと、痛々しいくらいに強い痕を残したくなるが、それは自重する。

 膝裏から太腿、秘部の近くまで舌を這わせると、それだけでも蜜は溢れ出てくる。

「準備はとっくにできてそうだけど、まだ挿れないよ」

 その言葉だけでも身を震わせるミアが、可愛くて仕方ない。秘部のそば、足の付け根を舐め上げると、ミアの腰が浮く。

「んあっ」
「ふふ、気持ちいいね」

 本当に刺激の欲しいところには触れず、足の指先やふくらはぎなども啄んで、そのたびに上がるミアの声を楽しんだ。ミアがどうして欲しいのかも、はっきりと分かっている。それでも、なかなかそうしてあげたくない。腰を揺らして焦れてくるミアが可愛すぎる。

「ルーク」
「どうしてほしい?」
「…いじわる」
「僕のこと、虐めておいてそれはないなあ」
「んんっ…」

 秘部に向かって息を吹きかけるだけでも、ミアは身体を震わせる。挿れたらどんなに気持ちいいかなんて、ずっと前から知っている。

「ルーク…」
「ん?」
「いれて、おねがい」
「…まだ挿れないけど、触ってあげる」

 恥ずかしさと気持ちよさに飲まれ、快感に蕩け切っているミアの蜜壷は、ルークが攻め始める前から受け入れる準備が整っている。

 それでも、まだ焦らしてみたかった。待たされているミアは泣きそうで、その表情がルークを誘った。きっと、もっと強い快感が待っている。番だから、常に快感は得られるものの、更に上があるのではないかと、探りたくなってしまう。


 ☆


 触れるだけのキスを落として、ベッドへと流れ出るその蜜を、大きく主張した蕾に塗りこんであげる。腰が跳ねるのは想定済みで、キスをしながら上半身でミアを押さえつけた。

 硬く芯を持つ蕾は、触れていると更に存在を増す。一度口を離し、ミアの足の間へと降りる。太腿を腕で押さえ、舌で大きく蕾を舐め上げる。

「…んああっ!!」
「今の、いってないよね」
「んん…」

 ミアは明確な返事をしない。快感に素直だが、何度交わっても言葉にする恥ずかしさは残っている。理性を完全に飛ばしているわけではないのがいじらしい。

 胸の頂きと同じように、舌で行き来して蕾を攻めてやる。蜜壷も攻めてやりたいが、ミアの腰が浮いてしまうため腕を離せない。傷つけたいわけではない。

「ミア、拘束してもいい?」
「ん…、ん!」

 オルディスには掛けたことがあったが、拘束魔術をミアに使うことになるとは。しかも、交わりの楽しみを増やすために。ジョンが知ったら、こんなことに魔術を使うなと怒られるだろうか。

 一瞬そんなことが頭を過ぎったが、すぐに目の前のミアに引き戻される。足と腰、手を拘束されたミアは自由に動けず、身体を反って快感を逃がすことができない。

 つまり、魔力放出と、普段頑張って堪えていそうな声で逃がすしかなくなった。ルークには好都合だ。

「ん、ルークっ、だめっ」
「感じてるんでしょ?」
「だめ、つよい!」
「うん、知ってる。痛かったら、言って」

 蕾を舌で攻めながら、指を二本蜜壷へと沈める。さすがに焦らしすぎたのか、ミアの中は狭く、ルークの指を引きちぎるように締めてくる。ルークは思わず、「ふっ」と笑ってしまう。

「すごい締め付け。欲しいよね」

 ミアが涙目で首を縦に振る。それでもルークは、ミアが指で達してからしか挿入する気がなかった。今の状態で挿入したら、きっとすぐに果ててしまう。それでは、ミアを十分に味わえない。焦らしているのも楽しいが、一度果てているとはいえ、こんなに愛らしい妻を見続けていたら、暴発する自信しかない。

 蕾を吸い上げながら、中に入れた指を折り、ミアのいいところを押しながら掻き回す。

「ん、ああ、ルーク、むり!」
「うん」
「あ、ルーク、んん、でちゃう!」
「いいよ、出して」
「はなれてっ、ルークっ」
「ふふっ」

 余裕がないのに、顔に潮がかかることを気にしてくれるミアが、本当に愛おしい。かかったとしても、魔術ですぐに片付けられるし、むしろその甘さを浴びてみたい。ルークには、指の動きを止める理由がない。

「ルーク、だめ、あっ、んっんあああ!」

 やはりミアはそのまま達したが、腰が浮かなかったぶん、潮はさほどかからなかった。拘束を解いてあげて、一度ゆっくりと足を伸ばしてやる。身体を重ねて、涙を流すミアに口付ける。その表情を見ると、少し攻めすぎたかと罪悪感も生まれるくらいには、ミアがぐったりと疲れていた。

「休憩する?」

 今にも寝落ちてしまいそうなミアが、首を横に振る。挿れてほしい気分は残っているらしい。伸ばした足を再度折りたたみ、ミアの秘部にルーク自身を擦る。

「…あっ」
「手で支えなくても、入るね」
「んんんっ!」

 ミアが仰け反って逃げようとするが、太腿を抱えて奥まで挿れ切ってしまう。

「あああっ!」
「…っはあ」

 相変わらず、どうしてミアの中はこんなにも気持ちが良いのだろう。番だからと言えばそうなのだろう。番以外とすることなんて二度と考えたくもない。ただ、ミアとの快感を追うだけだ。

 上半身を反ってしまうミアを、ルークは自分の体重で上から押さえつけるように腰を振る。その動きで奥に当たり、余計に感じてしまうのは、ミアの声と魔力で分かる。

「あっ、ルーク、それだめっ」
「知ってる」

 ミアの足を持ち上げて、より奥に当たる体勢へと突きながら変えていく。ふたりが繋がった部分からは、卑猥に音が鳴り続け、ミアが潮をまた吹いているのが分かる。

「ん、んっ、んあ…」
「ミア…」

 声が出なくなってきている。さっきもすでに疲れていた様子は見て取れたし、少し意地悪しすぎた。ミアの意識が飛びかかっているが、腰の動きを止められない。果てるまで、動くだけだ。

「…ミア、強く動くよ」
「ん…」

 ミアの足を抱えて腰を振りつつ、唇にキスを落とす。目を合わせると、ミアは自分の意志とは関係なく魔力を放出させてしまう。それが、ルークを安心させた。上半身を起こして、何回か律動したあと、ミアの腰を掴んで思いきり奥へと突き刺した。

「んあああっ…」
「ミア」

 中で果てるのが当たり前になり、ルーク自身が治まるのを待つ間、ルークはミアの肩や胸に痕をたくさん残した。今日の夜会で皆が見ていたのは、何もルークだけではない。男性貴族がミアを目で追っていたことを、独占欲の強いルークが、気付いていないわけがない。ただ、ミアよりは割り切れていただけだ。余計に、ミアを抱き潰すことになる。

「…ミア」

 治まったルーク自身を引き抜こうと声を掛けても、ミアは反応を返さない。目は開いているから、言葉を返したければ何か言うだろう。ルークは自身の処理と、ミアの身体やシーツも合わせて綺麗にしてしまう。ミアに回復魔術を掛けながら、横に寝転んで抱き寄せた。

「…ルーク」
「なに」
「気持ちよかった」
「煽らないで。まだ足りないの?」
「もう無理」

 ミアがふっと笑った。慣れない夜会と、オルディスに覚えてもらうための挨拶回りに疲れていたのか、ルークはミアの匂いを感じつつ、ミアをすっぽり腕の中に収め、そのまま目を閉じた。

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