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6.未来に向けて
12.王宮内客室にて 4 ※
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楽しかった夕食会のあとは、もう馴染みとなった王宮内客室に入った。断る文言も考えず、国王夫妻ならここに泊めてくれるだろうと思っていた。風呂に入って、借りられる王家の家紋入りのナイトドレスを着て、ベッドに腰掛けたミアが先に口を開いた。
「ルーク」
「うん?」
ミアなりに、何かしたいことでもあるのだろう。東方から帰ってきて、エリザベスの執務室にも前ほどは行っていないはずだが、誰かに入れ知恵でもされたのだろうか。
ナイトウェアを脱がされて、ミアに肩を押されてそのまま倒れる。ルークの腰の辺りに乗ってきたミアに、唇を奪われる。頬への啄み、それから耳にも口が当たる。
「…んん」
くすぐったいような、不思議な感覚だ。今まで、ルークがミアに攻められることはなかった。ルークがしたくて、ミアを舐めているだけだった。首筋や鎖骨の窪みにも、ミアの舌が這っていく。胸を通り越し、腹へと移っていく。
「…前から思ってたんだけど」
「ん…?」
ミアがしゃべると、その吐息がルークの肌に当たる。その位置で話さないで欲しいとは言えない。ルークも、ミアにさんざん同じことをしている。
「お腹、割れてるんだね」
「…今は薄いね、前はもうちょっとくっきりしてた」
ミアが腹筋の割れ目を舌でなぞってくる。くすぐったくて、声が出そうになる。ルークの上に乗っているミアを、押しのけてしまわないように気を付ける。
「男の人だと普通なの?」
「ん…、騎士なら普通かな、僕は貧弱なほう」
「そう?」
「そうだよ、男の割に華奢だしね、…っ、ちょっと」
「なあに?」
「…なんでもない」
ルークの臍回りを、ミアの舌がくるくると回る。熱が集まっているところが近くて、ゾクゾクする。手を伸ばして止めてもらおうとしたが、その表情があまりに楽し気で、言う気が失せてしまう。
(……ミア?)
どこまで舐めるつもりだろう。足の間にミアが収まって、おそらくとっくに気付いている、下着の中で大きくなったルーク自身には触れずに、太腿にキスをされる。
「…触ってもいい?」
「いいけど…、正直、我慢できる気がしない」
「ふふ」
「…んっ」
ミアが楽しそうだから、好きにやらせてみることにした。布ごしに、ミアの手のひらが上下する。
「男の人も濡れるんだね」
「そうだね…、っ」
手を止めずに、ミアが唇を奪いに来た。舌を絡ませるのかと思えば、すぐに離れ、ミアが降りて行ったのは、胸だ。
「んっ…!」
物足りないと思っていたところ、ぱくっと口に含まれ、そのまま細かく舌を動かして刺激してくる。ちょっと強めに吸われたあと、ゆっくり舐め上げられる。これは、本気で果てさせられる。
(っ……)
「はあっ…」
「気持ちい?」
とっくに息も上がっているし、言葉で言わなくても、今ミアの手が触れているものがそれを証明している。返事をせずに、ミアの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。ミアが、笑っているのが見える。
「…脱がしていい?」
「ん…」
腰を浮かせて、下着を取ってもらう。ミアが、ルーク自身をこんな至近距離で見たことは、ないはずだ。
「…これ、いつも入ってるの?」
「そうだよ」
「すごいね…」
「…っ、ミア」
本当に、どこで覚えてきたのだろう。いや、やり返されているだけだ。手は上下に動かしつつ、先端に舌を這わせられたり吸われたりする。
(……本気で、まずい)
「あの、ミア、このままだと…」
「出ちゃう?」
「っ……」
「見てみたい」
「…………」
どうやら、ミアは本気らしい。好奇心の勝った瞳は、今のルークにとっては刺激でしかない。ルーク自身に触れているミアの手に、ルークも手を重ねる。
「…もうちょっと、強く握っても大丈夫」
「うん」
ルークが速度を決めて、ミアの手と一緒に動かしていく。そもそも興味の薄かったルークは、自分ですることもあまりなかったが、そろそろだ。
「…ミア、手、かざして」
「ん?」
「…っく」
「わあ……」
波打つ自身を握らせたまま、もう片方の手に受けてもらった。これはこれで、気持ちよかったと認めざるを得ない。
枕元に用意されていたタオルで、ミアの手を拭ってやる。挿入が伴っていなくても、魔力が増えた感覚があった。それでも、挿入があるほうが増える量は多いし、交わりが魔力増強に必要なのは変わらない。
水や魔術を使って清めたわけではない。少し違和感の残っている手を眺めて油断しているミアを引き、組み敷いた。
「…分かってるよね?」
「うん」
期待している返事だ。ミアのナイトドレスと下着を一気に取り払ってしまう。もうすでに糸を引いて準備ができているミアに、思わずふっと笑ってしまう。
「早く触れられたい?」
「うん」
ミアは素直に認めてくれたものの、ルークにそんな気はなかった。やり返す趣味があるわけではないが、じっくり、味わってやろう。ひとまず、唇を奪い舌も絡める。
「…苦いな」
「そう? 甘かったけど」
「番だからね…、自分のは違うんだな、きっと。あんまり知りたい味じゃなかった」
(それを、確かめたかった?)
もし本当に、ミアがこの濁液の味を好むのなら、それは番の効果でしかない。旧エスト王国でミアがどこまで相手をさせられていたのか、ルークですら全てを知らない。ミアが話したがらないし、無理に聞くこともしなかったが、ルークの味を確認したかったのであれば、この行動も腑に落ちた。
頬に口をつけて、そこから耳に移動し、ミアの脇腹や太腿に手を這わせる。ミアの身体は素直に反応して、腰を浮かせてくる。初夜のときよりも、少し大きくなった胸を揉み解しつつ、舌を首筋から鎖骨へと進め、胸の頂きの周囲をくるくると丁寧に舐めていく。期待でぴんと主張した頂きが、ルークに攻められるのを待っている。
「舐めてほしい?」
「うん、ほし…、んあっ!?」
口を近づけていた方とは反対の頂きを、指で弾いてやる。そのまま先端を転がしつつ、ときに摘みながら、頂きだけを攻める。
「あっ、ルーク…」
もう片方も、少し強めに勢いよく舐めてやると、ミアの腰が浮いて、上に居るルークに押し当てられる。左右を入れ替えて、さらに弄ってやる。
「あっ、まって、ルーク!」
「ん?」
ミアがルークの頭を押してくる。手もルークの手首を掴んでいる。すでに力が抜けてしまって、快感に耐えるための強張りしか持っておらず、ルークの力には敵わないことも分かっているはずなのだが。
「だめ、きちゃうから…」
「ああ、いいよ、いって」
「ん、あっ、んん、まって、んああっ!」
胸だけでミアが達したのは、初めてだ。息を整えるために上下するその胸にそっとキスをして、ミアの横に沿うように寝転ぶ。ミアの首元に枕のように腕を回し、空いた手は秘部へと伸ばす。
「こっちはどう? 欲しい?」
初めから欲しかったのだろうとは思うが、まだ揶揄ってやりたい気分は残っている。欲しがって、何度も頷くミアが可愛い。
蜜壷はとっくに愛液を垂れ流していて、それを掬って塗りつけながら、蕾を表に出して、少し擦ってやると、それだけでもミアには強い快感が走るのだろう。放出している魔力量が、見たことのない量だ。軽く達しているようにも見える。
これだけ濡れていれば、指一本なんてもう何も感じないくらいなのかもしれない。そう思って、いきなり二本を入り口に立て、沈めていく。首元に回した手に、ミアの手が絡まって、ぎゅっと握ってくる。
「…一気に二本、入ったよ」
言われなくても分かっているのだろうが、いちいち顔を赤く染めるその反応が可愛くて、つい言いたくなる。出し入れをしながら奥へと進め、ミアの好きなところで指を曲げる。
「…んああっ!」
「まだいってはないね?」
ミアが感じる、その好きなところをひたすら攻める。ゆっくり撫でるように、あるいは強く掻き出すように。
「んあっ、まって、まってルークっ」
「ん?」
恥ずかしくて待ってほしいと頼んでくるのは普段もそうだが、何か様子がおかしい。少し緩めて、ミアが話しやすいようにして待ってやる。
「ルーク、なんかへんだよ」
「どうした?」
「お手洗い、行きたい…」
昔見た、記録魔術を思い出す。身体が行為に慣れて、成熟して、より感じられるようになった証拠だ。
「…ああ、大丈夫。そのまま続けるよ」
「え、やだ!」
「大丈夫、出しちゃってもいいよ」
「いや、ルーク!」
乞うために、ミアが抱きついてくる。それでも、手を動かすのを止めない。
「…今までで、一番気持ちいいと思うよ、それ」
「んんっ、だめ、ルーク!」
ミアの好きなところを攻め立ててやる。ミアはしがみついているのが精一杯だろう。
「ああ、まって、ほんとにだめっ、ねえ、ルークっ…」
「絶対気持ちいいから、その感覚に任せてみて」
指がミアの蜜壷の奥へと、どんどん引っ張られるような感覚がある。ミアが達しそうなのに、我慢してしまっている。安心させるようにキスを落としながら、角度を多少変えつつ、攻め続ける。
「ん、あっ、も、んんっ」
「うん、ミア、いって」
「あ、ん、んあっあああっ!」
ミアがしがみついていたため肝心な瞬間は見えなかったが、ルークの手のひらがびしょびしょに濡れていて、ミアが潮を吹いたのは明らかだった。呼吸を整えているミアに、改めて唇をそっと添えて、足の間に座った。
「…忘れて、ないよね?」
放心状態のミアに問いかけると、頷きが返ってきた。よく濡れている秘部に、すっかり滾ったルーク自身を当てて、滑らせる。それだけでも気持ちよくて、どうにかなってしまいそうなのは、ミアも一緒だろう。
「…んん」
「ああっ…!」
宛がって、少しずつ押し進めていく。挿れただけでも軽く達しているミアの蜜壷は、ルークを持っていこうと吸いついてくる。ミアの口で一度果てていて助かった。
「…っ、ミア、力、抜いて…!」
「むりっ」
余計に締め付けてきている気がする。ルークにまとわりついて、休む余裕はくれない。だが、それはミアにとってもきっと同じだ。
腰を動かすたびに軽く達し続けているミアを、引き寄せ身体を起こさせた。挿れたまま、ミアがルークの上に座っている。最奥に当たるのか、もたれて耐えているようなミアに、声を掛ける。
「…動いてみて。いいところに当たるように」
快感に蕩け切ったミアは、両手をルークの首に回し、素直に腰を動かし始める。ルークは、物欲しそうなミアの唇に触れてから、肩に吸いついて痕を付けた。片手でミアの上半身を支えつつ、もう片方は胸の頂きを弄ってやる。
「あっ…、んんっ」
恥ずかしさが勝つのだろうか、ミアは達するほどの動きはしない。疲れているのもあるだろうが、止めたそうでもない。両手でミアの腰を支えて、下から突き上げる。
「んああっ、ルーク!」
「気持ちい?」
「ん、あっ、だめ、またでちゃ…」
「いいよ、いっぱい出して」
「まって、まって、んんんっ!」
ルーク自身の周りにミアの潮がかかったのだろう、少しひんやりする。そんなに気持ちよく感じてくれるなら、ルークとしても気分がいい。
達した余韻で震えるミアを抱き締めつつ、背中をベッドへ降ろしてやる。ミアの足を肩に抱えて、最奥を突く準備をすると、ミアの中がまた締まった。
「ルーク、それだめだよ…」
「気持ちいいんでしょ? ここ締まって僕のこと離さないよ?」
ミアの下腹部をとんとんと指して、ずんっと奥を一突きしてやると、それだけでもミアは腰を大きく反らせて、また締まる。すごく、気持ちがいい。
「…っはあ、ミア」
「んんっ、ルークっ」
出し入れをさせながら手を繋いで、呼吸も絶え絶えな口を、似たような状況の口で塞ぐ。そろそろ、限界だ。
「ミア、出すよ」
感じすぎて、涙を流しながら頷くミアを抱き締め、腰を速める。
「あっ、まっ、いっちゃ…!」
「ん、いいよ」
「んっ、んんっんあああっ!」
ミアの中が今日一番に締まって、ルークを搾り取っていく。抗わずに、そのまま吐き出した。ミアに覆いかぶさったまま、息を整える。少し離れて顔を見ると、意識は飛ばさずに目を開けているミアが居た。
「…気持ちよかった?」
声には出さず、ふんわり笑うことで応えてくれた。
☆
「…今日、どうしたの」
「ん?」
「なんで僕のこと、攻めたかったの」
ミアはまた笑って、枯れた声で答えてくれた。
「ルークの味、知りたかった。甘くて美味しかった」
「やっぱりそれか…」
「あとは返してみたかった。男の人もされると気持ちいいって」
「何か見たり聞いたりしたんだね?」
はにかみながら頷くミアが可愛い。セントレ王国に戻ってきてから、愛しさが増しているのは間違いない。
「僕は、そうだったね。ちょっと変な感じではあったよ、ミアを攻めるほうが好きだし」
ぎゅっと引き寄せ、額に口づけて、それを合図に目を閉じた。
☆ ☆ ☆
もうとっくに朝になっているのに、いつもの屋敷のベッドに横になったままだ。抱き合っていると、ふたりきりで過ごせると分かっていても、離れるのが惜しくなる。ずっと、このあたたかさを感じていたい。
「ルーク」
「うん?」
「本当に、しばらく一緒に居られるの?」
「居られるよ。ひとりで呼び出されたとき以外は、仕事でもそばにいる」
ミアをぎゅっと抱き締めながら、髪を撫でる。条件を付けても、ずっと一緒に居られるとは言ってあげられない。約束してあげたいが、状況は毎日変わる。何があるかは、平穏が訪れたとしても、結局分からない。
どうせなら、宣誓魔術でもかけてくれたほうが気楽かもしれない。宣誓を破ったら罰が下る魔術で、ジョンの書斎で監視下にあるオルディスに掛けられているものだ。優しいミアが、ルークに対して思いつく魔術ではないだろう。
ミアを安心させるには、やはり事実が必要だ。一緒に過ごすことのできた思い出を、増やしていきたい。ルークはもうとっくに、ミアがいないと生きられない。ミアが居なくなるなんて、ルークの人生設計にはないのだ。
「楽しいこと、たくさんしよう。今までできなかったこと、やってみたいことをしよう」
「うん」
ルークはミアが隣にいることを実感しながら、再び目を閉じた。きっとミアも、すぐに夢の世界へ戻るだろう。
「ルーク」
「うん?」
ミアなりに、何かしたいことでもあるのだろう。東方から帰ってきて、エリザベスの執務室にも前ほどは行っていないはずだが、誰かに入れ知恵でもされたのだろうか。
ナイトウェアを脱がされて、ミアに肩を押されてそのまま倒れる。ルークの腰の辺りに乗ってきたミアに、唇を奪われる。頬への啄み、それから耳にも口が当たる。
「…んん」
くすぐったいような、不思議な感覚だ。今まで、ルークがミアに攻められることはなかった。ルークがしたくて、ミアを舐めているだけだった。首筋や鎖骨の窪みにも、ミアの舌が這っていく。胸を通り越し、腹へと移っていく。
「…前から思ってたんだけど」
「ん…?」
ミアがしゃべると、その吐息がルークの肌に当たる。その位置で話さないで欲しいとは言えない。ルークも、ミアにさんざん同じことをしている。
「お腹、割れてるんだね」
「…今は薄いね、前はもうちょっとくっきりしてた」
ミアが腹筋の割れ目を舌でなぞってくる。くすぐったくて、声が出そうになる。ルークの上に乗っているミアを、押しのけてしまわないように気を付ける。
「男の人だと普通なの?」
「ん…、騎士なら普通かな、僕は貧弱なほう」
「そう?」
「そうだよ、男の割に華奢だしね、…っ、ちょっと」
「なあに?」
「…なんでもない」
ルークの臍回りを、ミアの舌がくるくると回る。熱が集まっているところが近くて、ゾクゾクする。手を伸ばして止めてもらおうとしたが、その表情があまりに楽し気で、言う気が失せてしまう。
(……ミア?)
どこまで舐めるつもりだろう。足の間にミアが収まって、おそらくとっくに気付いている、下着の中で大きくなったルーク自身には触れずに、太腿にキスをされる。
「…触ってもいい?」
「いいけど…、正直、我慢できる気がしない」
「ふふ」
「…んっ」
ミアが楽しそうだから、好きにやらせてみることにした。布ごしに、ミアの手のひらが上下する。
「男の人も濡れるんだね」
「そうだね…、っ」
手を止めずに、ミアが唇を奪いに来た。舌を絡ませるのかと思えば、すぐに離れ、ミアが降りて行ったのは、胸だ。
「んっ…!」
物足りないと思っていたところ、ぱくっと口に含まれ、そのまま細かく舌を動かして刺激してくる。ちょっと強めに吸われたあと、ゆっくり舐め上げられる。これは、本気で果てさせられる。
(っ……)
「はあっ…」
「気持ちい?」
とっくに息も上がっているし、言葉で言わなくても、今ミアの手が触れているものがそれを証明している。返事をせずに、ミアの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。ミアが、笑っているのが見える。
「…脱がしていい?」
「ん…」
腰を浮かせて、下着を取ってもらう。ミアが、ルーク自身をこんな至近距離で見たことは、ないはずだ。
「…これ、いつも入ってるの?」
「そうだよ」
「すごいね…」
「…っ、ミア」
本当に、どこで覚えてきたのだろう。いや、やり返されているだけだ。手は上下に動かしつつ、先端に舌を這わせられたり吸われたりする。
(……本気で、まずい)
「あの、ミア、このままだと…」
「出ちゃう?」
「っ……」
「見てみたい」
「…………」
どうやら、ミアは本気らしい。好奇心の勝った瞳は、今のルークにとっては刺激でしかない。ルーク自身に触れているミアの手に、ルークも手を重ねる。
「…もうちょっと、強く握っても大丈夫」
「うん」
ルークが速度を決めて、ミアの手と一緒に動かしていく。そもそも興味の薄かったルークは、自分ですることもあまりなかったが、そろそろだ。
「…ミア、手、かざして」
「ん?」
「…っく」
「わあ……」
波打つ自身を握らせたまま、もう片方の手に受けてもらった。これはこれで、気持ちよかったと認めざるを得ない。
枕元に用意されていたタオルで、ミアの手を拭ってやる。挿入が伴っていなくても、魔力が増えた感覚があった。それでも、挿入があるほうが増える量は多いし、交わりが魔力増強に必要なのは変わらない。
水や魔術を使って清めたわけではない。少し違和感の残っている手を眺めて油断しているミアを引き、組み敷いた。
「…分かってるよね?」
「うん」
期待している返事だ。ミアのナイトドレスと下着を一気に取り払ってしまう。もうすでに糸を引いて準備ができているミアに、思わずふっと笑ってしまう。
「早く触れられたい?」
「うん」
ミアは素直に認めてくれたものの、ルークにそんな気はなかった。やり返す趣味があるわけではないが、じっくり、味わってやろう。ひとまず、唇を奪い舌も絡める。
「…苦いな」
「そう? 甘かったけど」
「番だからね…、自分のは違うんだな、きっと。あんまり知りたい味じゃなかった」
(それを、確かめたかった?)
もし本当に、ミアがこの濁液の味を好むのなら、それは番の効果でしかない。旧エスト王国でミアがどこまで相手をさせられていたのか、ルークですら全てを知らない。ミアが話したがらないし、無理に聞くこともしなかったが、ルークの味を確認したかったのであれば、この行動も腑に落ちた。
頬に口をつけて、そこから耳に移動し、ミアの脇腹や太腿に手を這わせる。ミアの身体は素直に反応して、腰を浮かせてくる。初夜のときよりも、少し大きくなった胸を揉み解しつつ、舌を首筋から鎖骨へと進め、胸の頂きの周囲をくるくると丁寧に舐めていく。期待でぴんと主張した頂きが、ルークに攻められるのを待っている。
「舐めてほしい?」
「うん、ほし…、んあっ!?」
口を近づけていた方とは反対の頂きを、指で弾いてやる。そのまま先端を転がしつつ、ときに摘みながら、頂きだけを攻める。
「あっ、ルーク…」
もう片方も、少し強めに勢いよく舐めてやると、ミアの腰が浮いて、上に居るルークに押し当てられる。左右を入れ替えて、さらに弄ってやる。
「あっ、まって、ルーク!」
「ん?」
ミアがルークの頭を押してくる。手もルークの手首を掴んでいる。すでに力が抜けてしまって、快感に耐えるための強張りしか持っておらず、ルークの力には敵わないことも分かっているはずなのだが。
「だめ、きちゃうから…」
「ああ、いいよ、いって」
「ん、あっ、んん、まって、んああっ!」
胸だけでミアが達したのは、初めてだ。息を整えるために上下するその胸にそっとキスをして、ミアの横に沿うように寝転ぶ。ミアの首元に枕のように腕を回し、空いた手は秘部へと伸ばす。
「こっちはどう? 欲しい?」
初めから欲しかったのだろうとは思うが、まだ揶揄ってやりたい気分は残っている。欲しがって、何度も頷くミアが可愛い。
蜜壷はとっくに愛液を垂れ流していて、それを掬って塗りつけながら、蕾を表に出して、少し擦ってやると、それだけでもミアには強い快感が走るのだろう。放出している魔力量が、見たことのない量だ。軽く達しているようにも見える。
これだけ濡れていれば、指一本なんてもう何も感じないくらいなのかもしれない。そう思って、いきなり二本を入り口に立て、沈めていく。首元に回した手に、ミアの手が絡まって、ぎゅっと握ってくる。
「…一気に二本、入ったよ」
言われなくても分かっているのだろうが、いちいち顔を赤く染めるその反応が可愛くて、つい言いたくなる。出し入れをしながら奥へと進め、ミアの好きなところで指を曲げる。
「…んああっ!」
「まだいってはないね?」
ミアが感じる、その好きなところをひたすら攻める。ゆっくり撫でるように、あるいは強く掻き出すように。
「んあっ、まって、まってルークっ」
「ん?」
恥ずかしくて待ってほしいと頼んでくるのは普段もそうだが、何か様子がおかしい。少し緩めて、ミアが話しやすいようにして待ってやる。
「ルーク、なんかへんだよ」
「どうした?」
「お手洗い、行きたい…」
昔見た、記録魔術を思い出す。身体が行為に慣れて、成熟して、より感じられるようになった証拠だ。
「…ああ、大丈夫。そのまま続けるよ」
「え、やだ!」
「大丈夫、出しちゃってもいいよ」
「いや、ルーク!」
乞うために、ミアが抱きついてくる。それでも、手を動かすのを止めない。
「…今までで、一番気持ちいいと思うよ、それ」
「んんっ、だめ、ルーク!」
ミアの好きなところを攻め立ててやる。ミアはしがみついているのが精一杯だろう。
「ああ、まって、ほんとにだめっ、ねえ、ルークっ…」
「絶対気持ちいいから、その感覚に任せてみて」
指がミアの蜜壷の奥へと、どんどん引っ張られるような感覚がある。ミアが達しそうなのに、我慢してしまっている。安心させるようにキスを落としながら、角度を多少変えつつ、攻め続ける。
「ん、あっ、も、んんっ」
「うん、ミア、いって」
「あ、ん、んあっあああっ!」
ミアがしがみついていたため肝心な瞬間は見えなかったが、ルークの手のひらがびしょびしょに濡れていて、ミアが潮を吹いたのは明らかだった。呼吸を整えているミアに、改めて唇をそっと添えて、足の間に座った。
「…忘れて、ないよね?」
放心状態のミアに問いかけると、頷きが返ってきた。よく濡れている秘部に、すっかり滾ったルーク自身を当てて、滑らせる。それだけでも気持ちよくて、どうにかなってしまいそうなのは、ミアも一緒だろう。
「…んん」
「ああっ…!」
宛がって、少しずつ押し進めていく。挿れただけでも軽く達しているミアの蜜壷は、ルークを持っていこうと吸いついてくる。ミアの口で一度果てていて助かった。
「…っ、ミア、力、抜いて…!」
「むりっ」
余計に締め付けてきている気がする。ルークにまとわりついて、休む余裕はくれない。だが、それはミアにとってもきっと同じだ。
腰を動かすたびに軽く達し続けているミアを、引き寄せ身体を起こさせた。挿れたまま、ミアがルークの上に座っている。最奥に当たるのか、もたれて耐えているようなミアに、声を掛ける。
「…動いてみて。いいところに当たるように」
快感に蕩け切ったミアは、両手をルークの首に回し、素直に腰を動かし始める。ルークは、物欲しそうなミアの唇に触れてから、肩に吸いついて痕を付けた。片手でミアの上半身を支えつつ、もう片方は胸の頂きを弄ってやる。
「あっ…、んんっ」
恥ずかしさが勝つのだろうか、ミアは達するほどの動きはしない。疲れているのもあるだろうが、止めたそうでもない。両手でミアの腰を支えて、下から突き上げる。
「んああっ、ルーク!」
「気持ちい?」
「ん、あっ、だめ、またでちゃ…」
「いいよ、いっぱい出して」
「まって、まって、んんんっ!」
ルーク自身の周りにミアの潮がかかったのだろう、少しひんやりする。そんなに気持ちよく感じてくれるなら、ルークとしても気分がいい。
達した余韻で震えるミアを抱き締めつつ、背中をベッドへ降ろしてやる。ミアの足を肩に抱えて、最奥を突く準備をすると、ミアの中がまた締まった。
「ルーク、それだめだよ…」
「気持ちいいんでしょ? ここ締まって僕のこと離さないよ?」
ミアの下腹部をとんとんと指して、ずんっと奥を一突きしてやると、それだけでもミアは腰を大きく反らせて、また締まる。すごく、気持ちがいい。
「…っはあ、ミア」
「んんっ、ルークっ」
出し入れをさせながら手を繋いで、呼吸も絶え絶えな口を、似たような状況の口で塞ぐ。そろそろ、限界だ。
「ミア、出すよ」
感じすぎて、涙を流しながら頷くミアを抱き締め、腰を速める。
「あっ、まっ、いっちゃ…!」
「ん、いいよ」
「んっ、んんっんあああっ!」
ミアの中が今日一番に締まって、ルークを搾り取っていく。抗わずに、そのまま吐き出した。ミアに覆いかぶさったまま、息を整える。少し離れて顔を見ると、意識は飛ばさずに目を開けているミアが居た。
「…気持ちよかった?」
声には出さず、ふんわり笑うことで応えてくれた。
☆
「…今日、どうしたの」
「ん?」
「なんで僕のこと、攻めたかったの」
ミアはまた笑って、枯れた声で答えてくれた。
「ルークの味、知りたかった。甘くて美味しかった」
「やっぱりそれか…」
「あとは返してみたかった。男の人もされると気持ちいいって」
「何か見たり聞いたりしたんだね?」
はにかみながら頷くミアが可愛い。セントレ王国に戻ってきてから、愛しさが増しているのは間違いない。
「僕は、そうだったね。ちょっと変な感じではあったよ、ミアを攻めるほうが好きだし」
ぎゅっと引き寄せ、額に口づけて、それを合図に目を閉じた。
☆ ☆ ☆
もうとっくに朝になっているのに、いつもの屋敷のベッドに横になったままだ。抱き合っていると、ふたりきりで過ごせると分かっていても、離れるのが惜しくなる。ずっと、このあたたかさを感じていたい。
「ルーク」
「うん?」
「本当に、しばらく一緒に居られるの?」
「居られるよ。ひとりで呼び出されたとき以外は、仕事でもそばにいる」
ミアをぎゅっと抱き締めながら、髪を撫でる。条件を付けても、ずっと一緒に居られるとは言ってあげられない。約束してあげたいが、状況は毎日変わる。何があるかは、平穏が訪れたとしても、結局分からない。
どうせなら、宣誓魔術でもかけてくれたほうが気楽かもしれない。宣誓を破ったら罰が下る魔術で、ジョンの書斎で監視下にあるオルディスに掛けられているものだ。優しいミアが、ルークに対して思いつく魔術ではないだろう。
ミアを安心させるには、やはり事実が必要だ。一緒に過ごすことのできた思い出を、増やしていきたい。ルークはもうとっくに、ミアがいないと生きられない。ミアが居なくなるなんて、ルークの人生設計にはないのだ。
「楽しいこと、たくさんしよう。今までできなかったこと、やってみたいことをしよう」
「うん」
ルークはミアが隣にいることを実感しながら、再び目を閉じた。きっとミアも、すぐに夢の世界へ戻るだろう。
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でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
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