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4.茶会・夜会にて

14.王宮内客室にて 2 ※

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 昼間に行われたイレギュラーな夜会のあと、ルークとミアは以前も利用した王宮の客室にいた。転移魔術ですぐに帰ることができるのは当然知られているが、国王夫妻が泊まっていくように強く言い、何よりミアが嬉しそうで、ルークに断る選択肢はなかった。

 ジャケットを脱いでから、すでにベッドに腰掛けたミアの隣に座る。普段とは違う装いに、ミアが意識しているのが伝わってくる。

「…脱がせていい?」
「うん」

 ミアの背中へ回り、丁寧に結ばれた紐を解いていく。ミアの腹部を逃げないように支えながら、露になっていく素肌にキスを落としていく。

「すごく、綺麗」
「最近よく言うね」
「本当に綺麗だよ。ずっと舐めてたい」

 乾燥していた肌が懐かしいほどに、今のミアの肌は潤っていて気持ちがいい。背骨に沿って、腰の当たりから舐め上げると、ミアの背筋が伸びる。

「んんっ」
「何か、教わったの?」

 エリザベスに任せている淑女教育の内容は、知っているものもあれば知らないものもある。女性だけが知っていることも、当然あるのが貴族社会だ。

「お風呂のあと、クリームを塗ると滑らかになるの」
「なるほどね」

 ミアはきちんと食べるようになって、身体の内部からも変わっただろうが、今は外部からも手入れをして、さらに艶を増している。番としても夫としても、すごくそそられる。

「あっ、ルーク」
「汚れちゃうからね、全部取るよ」

 肩から腰にかけて、少しずつ位置を変えながら啄むようなキスを落とすと、ミアが縋るように腕を掴んでくる。夜会の最中もずっと触れていてくれた。淑女教育を受けていたミアのほうがずっと、貴族らしい振る舞いができていた。気配も表情も、動揺を隠せなかったから余計に、顔を見られたくなかった。

「あっ、ちょっと、どこに…!」
「ん、お尻。手、前について」

 恥ずかしがるミアを前に倒し、腰を持ち上げ背中を反らせた。いい眺めで、その桃のように綺麗な臀部に口をつける。

「んっ」

 ルークの身体の中心に、どんどん熱が集まっていく。一方で、この行為は愛を確かめるものであることも過ぎる。交わりは、子を授かるための行為だ。

「ねえ、ルーク…」
「恥ずかしい?」
「うん」
「顔見えないから、ね?」
「でも…、んあっ?!」

 割れ目を左右に少し広げ、すでに濡れた蜜口を舐め上げる。溢れてくる愛液が零れないように、腹側からしっかり掬いとる。力を入れて割れ目を隠そうとするのを、両手で支えながら唇と舌を這わせ、じゅっと吸い上げる。

「ああっ、ルーク…」

 ミアの腰や腹部がびくびくと痙攣するのを見ると、騎士服を押し上げる自身を止められない。ベルトを緩めて解放しながら、ミアの蕾をかすめるように舐めるのに戻る。

「あんっ…」
「気持ちい?」
「ん…」

 恥ずかしがってあまり言葉で認めてくれないが、身体の反応でも分かるし、心地いいミアの魔力が漂うのも感じられる。

「ミア」

 声を掛けると、とろんと溶けきった顔を見せてくれる。この状態なら、ミアの頭はあまり回っていない。夜会でのルークの様子など、思い出してほしくなかった。

 唇にキスを落としつつ、四つん這いのミアを倒す。力の抜けているミアは、ごろんと向きを替えた拍子に、無意識だろう、足が開いてしまっている。

「やっぱり、この体勢が一番やりやすいかな」
「ん…、あっ!」

 ミアは目をぎゅっとつぶって、片手を口に当てて、もう片方は枕を握っている。何をされるのか分かっていて、与えられる快感に準備している様子を見ると、どうしてこうも愛おしく感じるのだろう。

 膝を広げ、秘部に顔を埋め、蕾をミアの好きな角度で舐めてやると、可愛い声が聞こえ腰が浮く。太腿を抱えるように腕を回して、少し力をかけながら、たまにちゅっと吸って、さらにミアを高めていく。

「はあ…、ん、まって、ルーク」
「いきそ?」
「ん、あっ、だめ、とまって」
「やだ」

 ミアがルークの頭を押してくる。その手を絡めとって、身体の横へ置く。ミアの手や両足に力が入って、達するのが近いことを教えてくれる。

「まっ、ルーク……、んああっ!」

 息を乱して力を抜くミアを、余韻を楽しむように軽く吸うと、またすぐ手を握り返される。そんな素直な反応が好きで、普段ならもっと時間をかけて楽しむが、今日はもう挿れてしまいたい。

(雑念を払うためにするような交わりは、望んでないけど…)

 ルークも生まれたままの姿になり、自身をミアの秘部へ擦りながら、胸の頂きを口に含んだ。

「ん? え、あっ、ルーク?」
「うん?」

 指で馴染ませることなく、自身を宛がい滑らせている。いつもと違う攻め方なのが、ミアにも分かったのだろう。

「あ、え? んああ!?」
「…っ」

 手で支えるまでもなく、大きく主張したルーク自身はミアの蜜壷へ誘われた。指で広げていないそこは、狭いが進めないわけではない。ミアの魔力や表情も、痛みや辛さを現してはいない。

 ゆっくりと腰を振り、少しずつ奥へと押し入れながら、ミアの胸や唇を奪っていく。たまに合う涙目が、余計にルークを高めていくが、雑念を忘れられるわけではない。

 強弱をつけながら最奥をつついてやると、ミアはたちまち達してしまうが、ルークにはまだ足りない。ミアの負担にならないように、少し体勢を変えながら動く。ミアが何回も達する割に、ルークが果てる気配はなく、時間をかけても今日は難しいと悟った。

(番でも、無理なときは無理なのか…)

「…ごめん、夜会とか慣れてなくて疲れてるのかも」

 自身を挿れたまま、腰の動きを止めた。覆いかぶさるように抱き締め、優しくキスを落としたあと、首元からミアの甘い匂いを吸い込むが、普段よりも弱い気がした。

 魔術を使う場面はほぼなかったし、魔力を使った疲れではないことは、ミアも分かっているだろう。それなら、交わって回復するのではなく、食事や睡眠が必要なのだろうが、本当にそれが最適なのか疑問は残る。解決の糸口は、思い当たっている。国王夫妻にも、父親や兄にも、あの令嬢たちにも言われたことだ。

 なぜ、皆が皆、子を授かることを求めるのだろう。それが結婚した男女として自然なのだろうか。貴族の虐げを受けたり、ルークの偉業に影響されたりするのはミアだけで十分だ。ミアにすら、経験させたくない。ミアだけでも、こんなに愛おしいのだが。

 達しすぎて意識が虚ろなミアが、ルークの異変に気付いて戻ってくる。背中に回された手が、ぽんぽんと撫でてくる。

「……周りから言われてどうするってよりは、いてもいいなって思えたときに、授かるほうがいいね」

(っ、知られたく、なかった…)

 ミアには、伝わっていたらしい。息を止めてしまい、身体にも力が入ってしまった。認めたようなものだ。どうしても、誤魔化せない。

 授かることを求められるのは、結婚したなら当然だというのも理解ができないわけではない。ただ、ミアとの初夜の準備をしていたころのように、知識を入れるエネルギーが湧いてこない。初めての経験に際して、できる限りの準備をするのがルークだが、その程度の関心しか今は持てていないのだ。

 その言葉を信じるなら、ミアも急いではいない。想いが重なったときに授かるのが、きっと子どもにとっても一番いいだろう。改めて、ゆっくりと匂いを吸うと、少し濃くなっていた。

「……ありがとう、ミア。少し、軽くなった」
「うん」

 身体を起こし、果てていないのに緩くなってしまった自身を抜き、処理をした。軽く魔術で清めたあと、寝転んで待っているミアをぎゅっと抱き締めると、いつもルークがミアにするように、頭を撫でられた。


 ☆


 しばらくの間、週に二回のペースを変えずに王都へ行き、国王と王妃の外交や情報整理を手伝いつつ、オッドアイ魔術師として、ジョンが行っている魔術道具の製作を手伝った。

 例えば、一般貴族向けに、指輪に魔力を込めて持ち主を簡単な攻撃から守る。魔術師向けに、結界を張るための魔力を込めた石や杭を作る。戦争のない平和な国だが、犯罪がないわけではない。特に女性や子どもが身を守るための手段として、利用されている。

 互いに魔力の増強や回復ができるルークとミアは、質の良い魔術道具をたくさん製作できる。それを、ジョンも使っている王家のルートで販売するのだ。王家のお墨付きがあって質も間違いない。誰が製作したかを伏せられていても、ふたりの魔術道具は売れていく。

 人気のない屋敷には、魔術道具として加工するための指輪やネックレスなど、アクセサリーを持ち帰った。箱に入れ括ってひとつにまとめれば、ルークの転移魔術で一気に運ぶことができる。

 ルークは複数の道具に対して一気に魔力を込めてしまうし、ミアも魔力を込め続けてもほぼ疲れない。加工前の素材はすぐに魔力入りとなり、ジョンに引き渡された。
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