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2.魔の紋章を持つ少女
14.最難関の特別任務 前 ※
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「ルーク様」
「ん?」
見慣れた食堂での夕食を終えて、「風呂に入ったら寝室に来て」と話したあと、引き留められた。その割ミアは話しにくそうに、少し首を傾けていた。
「…初夜が怖いのですか?」
「怖…、くはないかな。緊張、するね」
「私も同じです」
「うん」
(正直、怖いよ。ミアを失いたくはないから)
ルークから見れば、ミアは、いつものミアだ。緊張すると言うものの、普段どおりに見える。初夜の記録魔術なんて具体的なもの、見なければよかった。ミアを失いたくないからこそ、この緊張に飲まれそうになる。
「後で、ね」
「はい」
ミアが食堂から出ていくのを見送って、ルークも書斎に戻った。しっかりと身体を清め終え、今夜のためだけにあるナイトウェアに身を包み、ミアの部屋の前で待つことにした。あの広いベッドのある使っていない寝室で、ひとりで待つことは不可能だった。
腕を組み顎に手を当てしばらくすると扉が開き、ミアと目が合った。
「っ、ルーク様、いつからそこに」
「…少し前から」
初夜のために国王夫妻が用意したナイトドレスは薄く、ミアの身体のラインが綺麗に出ていた。目を向けられず、ミアの手を取って、寝室へ向かう。扉を開けると、掃除だけがされた部屋に、半年前から使われるのを待っていた天蓋付きの大きなベッドが見える。
もういっそのこと、任務のことなど忘れて、ミアと気持ちよく繋がりたい。そう割り切ろうと思うのに、身体が震え、誤魔化そうと力が入る。今までこなしてきたどんな任務でも感じたことのないほどの緊張に、ミアの小さな手を握りつぶしてしまいそうになる。
ベッドに腰掛けたルークの真横に、ミアがいつもソファや噴水でしているように座ってくれる。そのままミアを引き寄せ抱き締めて、人前では狙えなかった唇の中央をちゅっと奪った。
「…ミア」
一度身体を離して額を合わせ、名前を呼び目が合ってから、またキスをした。つんつんと舌で触れると、ミアの口が開いた。薄い舌を絡め取ったあと、華奢な身体を抱き締め直し、耳元に唇を寄せる。その形を確認するように、ゆっくりと舐め上げた。
「あっ…」
「逃げないで」
「んんっ…」
ミアの首筋にも口を近づける。じゅるっと音を立てて、舌を這わせる。くすぐったさから身体を捻って逃げようとするミアを、ベッドに押し倒した。
体重をかけないよう膝と肘で体を支えつつミアを覆い、左右どちらの耳も首も十分に舐めたころには、ミアの身体からはもう力が抜けていた。息も切れ、とろんとした目を向けられることに耐えられず、再度キスを落とすと返ってくる。
「あ、ルーク様っ…」
「敬称、もう要らないよ」
ミアのナイトドレスを脱がせ、初めて肉眼で女性の素肌を見た。この屋敷に来るまで外に出られなかったミアの肌は、どこまでも白い。背中から、ぞくぞくと何かが湧き上がってきて、身体の中心に熱が集まっていく。
(これが……)
「……ミア、すごく、綺麗」
耳元でささやくと、ミアが震えた。チャールズが「その場になれば、分かる」と言った意味が、だんだん分かってくる。
首筋から鎖骨のくぼみや肩に舌を這わせたあと、胸に触れる。記録魔術で見た女性よりもささやかな気がするが、あたたかくて柔らかい。動悸が強まっていくのを無視し、ミアの肌を舐めることに専念した。
息を上げながら、脇や腰回り、腹部へと舌を進めていく。たまにちゅっと強めに吸ってみるが、記録魔術で見たような痕はつかない。これ以上強くする気も起きず、そのままミアの肌を舌で堪能する。
「んっ…」
「ミア、動かないで。歯が当たる」
「ん、動いちゃっ…」
ミアが動くのは、感じてくれている証拠ではあるが、痛みを与えたいわけではない。一度ミアから離れ、呼吸を整えてもらう。その間にナイトウェアを脱ぎ、すでに上半身に何も纏っていないミアに、ゆっくり身体を重ねた。
(あったかいな……)
「……重たくない?」
ミアが頷いたのを見て、再度額から耳、頬、唇とキスを順に落とした。しつこいのかもしれないが、変身魔術で子犬になるルークには、それを受け入れてもらうだけでも心地よかった。
順に下って、胸に触れながら、ぴんと主張した胸の頂きを舐めると、ミアの腰がびくっと跳ねる。より固くなる突起の周辺を、舌先で転がした。
(汗すら、甘いな……)
「んあっ…」
「…声、もっと聞かせて」
ミアの口元には両手が当てられていて、その嬌声を聞かれたくないのは伝わってくるが、もっと鳴いてほしかった。気が付いたときには、ミアの足はルークの腰に絡みついていて、離れなくていいと態度で示されていた。歯が当たらないように気を付けながら、ルークはひたすら白い肌を舐め続けた。
(これ、やっぱり好きだ)
ミアのあたたかい素肌も、表情も、反応も、匂いも味も、舐めれば舐めるだけ、強まってくる。反対側にも口を寄せ、指も使って刺激する。
「あっ、だめっ…」
「気持ちいい?」
「んっ」
臍にも口づけを落とし吸いつき舌を入れながら、浮く腰の動きに合わせて、ミアの下着を取ってしまう。口元にあったはずのミアの両手が、その顔を覆い隠している。恥ずかしいのだろう、その姿でさえも愛おしい。表情を見たいと思ったが、無理に手を退かすことはしなかった。
その手の甲にキスをしてから、ミアの足先や内腿も舌で撫でた。光っているのが見えるほどによく濡れていて、受け入れる準備はできているようだったが、ルークはその甘い匂いの元へ顔を近づけた。
「ん?」
見慣れた食堂での夕食を終えて、「風呂に入ったら寝室に来て」と話したあと、引き留められた。その割ミアは話しにくそうに、少し首を傾けていた。
「…初夜が怖いのですか?」
「怖…、くはないかな。緊張、するね」
「私も同じです」
「うん」
(正直、怖いよ。ミアを失いたくはないから)
ルークから見れば、ミアは、いつものミアだ。緊張すると言うものの、普段どおりに見える。初夜の記録魔術なんて具体的なもの、見なければよかった。ミアを失いたくないからこそ、この緊張に飲まれそうになる。
「後で、ね」
「はい」
ミアが食堂から出ていくのを見送って、ルークも書斎に戻った。しっかりと身体を清め終え、今夜のためだけにあるナイトウェアに身を包み、ミアの部屋の前で待つことにした。あの広いベッドのある使っていない寝室で、ひとりで待つことは不可能だった。
腕を組み顎に手を当てしばらくすると扉が開き、ミアと目が合った。
「っ、ルーク様、いつからそこに」
「…少し前から」
初夜のために国王夫妻が用意したナイトドレスは薄く、ミアの身体のラインが綺麗に出ていた。目を向けられず、ミアの手を取って、寝室へ向かう。扉を開けると、掃除だけがされた部屋に、半年前から使われるのを待っていた天蓋付きの大きなベッドが見える。
もういっそのこと、任務のことなど忘れて、ミアと気持ちよく繋がりたい。そう割り切ろうと思うのに、身体が震え、誤魔化そうと力が入る。今までこなしてきたどんな任務でも感じたことのないほどの緊張に、ミアの小さな手を握りつぶしてしまいそうになる。
ベッドに腰掛けたルークの真横に、ミアがいつもソファや噴水でしているように座ってくれる。そのままミアを引き寄せ抱き締めて、人前では狙えなかった唇の中央をちゅっと奪った。
「…ミア」
一度身体を離して額を合わせ、名前を呼び目が合ってから、またキスをした。つんつんと舌で触れると、ミアの口が開いた。薄い舌を絡め取ったあと、華奢な身体を抱き締め直し、耳元に唇を寄せる。その形を確認するように、ゆっくりと舐め上げた。
「あっ…」
「逃げないで」
「んんっ…」
ミアの首筋にも口を近づける。じゅるっと音を立てて、舌を這わせる。くすぐったさから身体を捻って逃げようとするミアを、ベッドに押し倒した。
体重をかけないよう膝と肘で体を支えつつミアを覆い、左右どちらの耳も首も十分に舐めたころには、ミアの身体からはもう力が抜けていた。息も切れ、とろんとした目を向けられることに耐えられず、再度キスを落とすと返ってくる。
「あ、ルーク様っ…」
「敬称、もう要らないよ」
ミアのナイトドレスを脱がせ、初めて肉眼で女性の素肌を見た。この屋敷に来るまで外に出られなかったミアの肌は、どこまでも白い。背中から、ぞくぞくと何かが湧き上がってきて、身体の中心に熱が集まっていく。
(これが……)
「……ミア、すごく、綺麗」
耳元でささやくと、ミアが震えた。チャールズが「その場になれば、分かる」と言った意味が、だんだん分かってくる。
首筋から鎖骨のくぼみや肩に舌を這わせたあと、胸に触れる。記録魔術で見た女性よりもささやかな気がするが、あたたかくて柔らかい。動悸が強まっていくのを無視し、ミアの肌を舐めることに専念した。
息を上げながら、脇や腰回り、腹部へと舌を進めていく。たまにちゅっと強めに吸ってみるが、記録魔術で見たような痕はつかない。これ以上強くする気も起きず、そのままミアの肌を舌で堪能する。
「んっ…」
「ミア、動かないで。歯が当たる」
「ん、動いちゃっ…」
ミアが動くのは、感じてくれている証拠ではあるが、痛みを与えたいわけではない。一度ミアから離れ、呼吸を整えてもらう。その間にナイトウェアを脱ぎ、すでに上半身に何も纏っていないミアに、ゆっくり身体を重ねた。
(あったかいな……)
「……重たくない?」
ミアが頷いたのを見て、再度額から耳、頬、唇とキスを順に落とした。しつこいのかもしれないが、変身魔術で子犬になるルークには、それを受け入れてもらうだけでも心地よかった。
順に下って、胸に触れながら、ぴんと主張した胸の頂きを舐めると、ミアの腰がびくっと跳ねる。より固くなる突起の周辺を、舌先で転がした。
(汗すら、甘いな……)
「んあっ…」
「…声、もっと聞かせて」
ミアの口元には両手が当てられていて、その嬌声を聞かれたくないのは伝わってくるが、もっと鳴いてほしかった。気が付いたときには、ミアの足はルークの腰に絡みついていて、離れなくていいと態度で示されていた。歯が当たらないように気を付けながら、ルークはひたすら白い肌を舐め続けた。
(これ、やっぱり好きだ)
ミアのあたたかい素肌も、表情も、反応も、匂いも味も、舐めれば舐めるだけ、強まってくる。反対側にも口を寄せ、指も使って刺激する。
「あっ、だめっ…」
「気持ちいい?」
「んっ」
臍にも口づけを落とし吸いつき舌を入れながら、浮く腰の動きに合わせて、ミアの下着を取ってしまう。口元にあったはずのミアの両手が、その顔を覆い隠している。恥ずかしいのだろう、その姿でさえも愛おしい。表情を見たいと思ったが、無理に手を退かすことはしなかった。
その手の甲にキスをしてから、ミアの足先や内腿も舌で撫でた。光っているのが見えるほどによく濡れていて、受け入れる準備はできているようだったが、ルークはその甘い匂いの元へ顔を近づけた。
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