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2.魔の紋章を持つ少女
7.ふたりきりの食事
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「…入っても?」
「っ、はい」
「扉を、開けてくれますか?」
やっと、声が聞けた。ひとりの時間を持てたことで、少し落ち着けただろうか。食事を持ってきたのはいいが扉を開けられず、ミアが開けてくれるのを待った。当然、魔術でいくらでも開けられるが、見慣れていないはずのミアの前で、魔術をいきなり使うのは迷った。とっくに、転移魔術は使ったのだが。
「食堂もありますが、こちらで食べても?」
「はい」
二人掛けのテーブルに、大皿をふたつ並べた。ルークは騎士生活で、一皿に全ての料理が盛り付けられ、洗い物を減らす食事に慣れていて、ミアにも同じものを用意した。近くに寄って来たミアに、チェアを引いて座らせる。
ミアは、薄い水色のワンピースに着替えていた。クローゼットの服を着てくれている。初め、エリザベスから提案された衣服は、ルークが旧公爵邸で見ていたミアのものとは異なっていて、普通の令嬢が着るものだった。令嬢が身に着けるものは基本的に使用人が着せるもので、ひとりでは着替えられない。ミアの今までの生活からも、ルークの理想からも離れてしまう。
「…あの」
「うん?」
ルークが反対側に座った途端、声を掛けられ、態度が崩れてしまった。話して欲しいと思っていたのに、いざ話しかけられるとは思っていなかったのだ。
「これ、ありがとうございます」
「気に入ってくれた?」
「はい」
ワンピースの肩のあたりを少し持ち上げて、ミアが礼を言ってくれた。爵位差はあるものの、ルークが年上で、何事もなければ結婚する。結界もあって誰にも知られないし、敬語を止めるのは早いほうがいいかと開き直った。
「このお部屋も…」
「変えたいものとか足りないものがあれば、遠慮なく言って。大抵は用意できるから」
「いえ、そんな…」
旧公爵邸にあんな状態で生活していたミアだ、この状況にまだまだ戸惑いがあってもおかしくないが、ルークの指示に従ってくれるのであれば、ひとまず安心できる。
「とりあえず持ってきたけど、食べられないものはない?」
「はい」
細いミアの身体は、きちんと栄養を摂れば年齢相応の体つきに近付くだろうと、書物で調べ、見当をつけていた。買っておいた食材なども栄養を考えたもので、筋肉を維持するための知識が、こんなふうに役立つとは思っていなかった。
今の細さのまま、半年後を迎えるわけにはいかない。折ってしまうのではないかと、考えてしまう。手入れさえすれば、乾燥した髪や肌も変わってくる。
「食べきれなかったら、残していいから。無理しないで」
「…ありがとうございます」
フォークを握りしめるように持ち、垂直に突いて、うるさく音を立てる。ミアの食べ方は、とても貴族出身とは思えなかった。ルークがカトラリーを意識して使うのは王家に招待される夕食会のみで、騎士として生活するには食事が取れれば問題がないため、特別得意だとも感じてはいないが。
カトラリーの持ち方なども含め、所作を強く意識しないルークでも教えられることが多そうだ。何せ、ミアは学校に行っていない。学校で教わることの全てを知らない。あの環境で育ったのであれば、おそらく食事を誰かと一緒に取ることもなかったのだろう。
しばらくその仕草を見つめていると、ミアの手が止まった。ルークが食べ始めないことに気付いたのか、それとも何か意図があるのか。
「お腹いっぱい?」
「…はい」
ミアはがつがつと食べ始めた割に、カトラリーを置くのが早かった。身体の細さからも、あまり食べている想像がつかなかったから、特に驚きもしなかった。
「あとで食べるなら置いておくけど、食べられそう?」
首を横に振るミアは、気を遣って食べ過ぎてしまったらしく、少し辛そうな表情をする。今まで、残すほどに食べた経験もなかったのだろう。
「残ってるの、僕が食べてもいい? 捨てるのは、もったいないから」
ミアが驚いて、一瞬ルークと目が合ったが、すぐに俯いてしまった。普通は、そんなことをしないと知っているのだ。
引き寄せたミアの食事を、ぺろりと食べてしまう。もともと、こうなることは分かっていたから、ルークのを少し取り分けているような量だったのもある。
「すみません、魔法爵様」
執事から、そう呼ぶように言われたのだろう。ルークを知る人なら、まず使わない呼び名だ。
「僕のことは名前で呼んでほしい、ルークと」
「…ルーク様」
「うん。君のことは…、ミアと呼んでも?」
「ミア、ですか」
「ディムとは少し呼びづらくてね」
「分かりました、ルーク様」
きっと、ミアはなぜ《ディム》という名前を付けられたのか、知らないのだろう。ルークが《ミア》と呼びたい理由を尋ねられても困るため、あっさりと受け入れてくれたことはありがたかった。
今のところ、想定が当たっていて、ルークとしてはやりやすい。自分の皿も空にして、じっと座って待っていたミアを誘った。
「よかったら、ソファで話さない?」
この屋敷に住み始めてしばらくは、ミアの部屋で過ごすことが多くなると踏んで、部屋が少し狭くなるがソファを用意した。ルークが普段接しているのは男性ばかりで、いくら子犬の姿で話していたとしても、対面で女性の顔を見ながら話すのは少し気恥ずかしい。
先に座ってもらい、ルークは紅茶をふたり分、サイドテーブルに用意してから隣に腰を下ろしたが、ミアが強張ったのを感じて、すぐに少し離れて座り直した。初夜について知っているのかは分からないが、あの執事なら書物くらい見せているかもしれない。迂闊だった。
「ごめん、怯えないで。怖がることをするつもりはないよ」
そう言葉をかけると、ほんの少し、ミアの肩の力が抜けた気がした。膝の上で握りしめられた小さな両手に、ルークは片手を重ねた。
「ただ、顔をよく見たいんだけど…、見せてくれる?」
結婚することは私事だとしても、特別任務がある。紋章だけは、今日中に確認しておきたかった。
他人に見せると虐げられるため、もしくは周りが見たくないからと隠すように言いつけてきたのかもしれない、前髪で隠している顔の左側を、ルークに見せる決断をしてくれるだろうか。対面だとテーブルの分、距離もあった。今ならより近くで、人間の目で、魔の紋章を確認できる。
「…はい、ルーク様」
「ありがとう、少し触れるよ」
覚悟を決めたような声で、手は変わらず握ったままだった。やはり、人に見られることに抵抗があるのだろう。できるだけそっと、ミアの前髪をかき上げる。怖いのか、目をぎゅっとつぶってしまっている。
「目を開けて、ミア」
眉間に皺を寄せたまま、ゆっくりと目を開けてくれた。
漆黒の左目を、脳裏に焼き付ける。子犬の姿で確認したときは、部屋自体が暗かったのもあって、少しおぞましいものに見えていたが、実際は綺麗な模様にも見える。魔力は、感じられないままだ。
「……醜く、ありませんか」
「まさか。きっと綺麗な瞳が現れるよ」
「……え?」
確定事項ではないが、口に出てしまった。番としての本能なのか、ミアとなら任務を乗り越えられるだろうと、根拠のない自信が浮かんでくる。
(うん。ミアの、レッドの瞳を見てみたい)
ぽかんと呆けているミアに、ふっと思わず笑ってしまった。ミアが俯こうとするのを、前髪をかき上げたまま頭に触れている手で阻止する。頬がどんどんと赤く染まっていくミアは、目を伏せ両手を見つめている。迷いつつ覗き込んで、泣いてないのが分かると、目線を外し頭を撫でた。
(僕の瞳には、慣れてくれるといいんだけど)
「っ、はい」
「扉を、開けてくれますか?」
やっと、声が聞けた。ひとりの時間を持てたことで、少し落ち着けただろうか。食事を持ってきたのはいいが扉を開けられず、ミアが開けてくれるのを待った。当然、魔術でいくらでも開けられるが、見慣れていないはずのミアの前で、魔術をいきなり使うのは迷った。とっくに、転移魔術は使ったのだが。
「食堂もありますが、こちらで食べても?」
「はい」
二人掛けのテーブルに、大皿をふたつ並べた。ルークは騎士生活で、一皿に全ての料理が盛り付けられ、洗い物を減らす食事に慣れていて、ミアにも同じものを用意した。近くに寄って来たミアに、チェアを引いて座らせる。
ミアは、薄い水色のワンピースに着替えていた。クローゼットの服を着てくれている。初め、エリザベスから提案された衣服は、ルークが旧公爵邸で見ていたミアのものとは異なっていて、普通の令嬢が着るものだった。令嬢が身に着けるものは基本的に使用人が着せるもので、ひとりでは着替えられない。ミアの今までの生活からも、ルークの理想からも離れてしまう。
「…あの」
「うん?」
ルークが反対側に座った途端、声を掛けられ、態度が崩れてしまった。話して欲しいと思っていたのに、いざ話しかけられるとは思っていなかったのだ。
「これ、ありがとうございます」
「気に入ってくれた?」
「はい」
ワンピースの肩のあたりを少し持ち上げて、ミアが礼を言ってくれた。爵位差はあるものの、ルークが年上で、何事もなければ結婚する。結界もあって誰にも知られないし、敬語を止めるのは早いほうがいいかと開き直った。
「このお部屋も…」
「変えたいものとか足りないものがあれば、遠慮なく言って。大抵は用意できるから」
「いえ、そんな…」
旧公爵邸にあんな状態で生活していたミアだ、この状況にまだまだ戸惑いがあってもおかしくないが、ルークの指示に従ってくれるのであれば、ひとまず安心できる。
「とりあえず持ってきたけど、食べられないものはない?」
「はい」
細いミアの身体は、きちんと栄養を摂れば年齢相応の体つきに近付くだろうと、書物で調べ、見当をつけていた。買っておいた食材なども栄養を考えたもので、筋肉を維持するための知識が、こんなふうに役立つとは思っていなかった。
今の細さのまま、半年後を迎えるわけにはいかない。折ってしまうのではないかと、考えてしまう。手入れさえすれば、乾燥した髪や肌も変わってくる。
「食べきれなかったら、残していいから。無理しないで」
「…ありがとうございます」
フォークを握りしめるように持ち、垂直に突いて、うるさく音を立てる。ミアの食べ方は、とても貴族出身とは思えなかった。ルークがカトラリーを意識して使うのは王家に招待される夕食会のみで、騎士として生活するには食事が取れれば問題がないため、特別得意だとも感じてはいないが。
カトラリーの持ち方なども含め、所作を強く意識しないルークでも教えられることが多そうだ。何せ、ミアは学校に行っていない。学校で教わることの全てを知らない。あの環境で育ったのであれば、おそらく食事を誰かと一緒に取ることもなかったのだろう。
しばらくその仕草を見つめていると、ミアの手が止まった。ルークが食べ始めないことに気付いたのか、それとも何か意図があるのか。
「お腹いっぱい?」
「…はい」
ミアはがつがつと食べ始めた割に、カトラリーを置くのが早かった。身体の細さからも、あまり食べている想像がつかなかったから、特に驚きもしなかった。
「あとで食べるなら置いておくけど、食べられそう?」
首を横に振るミアは、気を遣って食べ過ぎてしまったらしく、少し辛そうな表情をする。今まで、残すほどに食べた経験もなかったのだろう。
「残ってるの、僕が食べてもいい? 捨てるのは、もったいないから」
ミアが驚いて、一瞬ルークと目が合ったが、すぐに俯いてしまった。普通は、そんなことをしないと知っているのだ。
引き寄せたミアの食事を、ぺろりと食べてしまう。もともと、こうなることは分かっていたから、ルークのを少し取り分けているような量だったのもある。
「すみません、魔法爵様」
執事から、そう呼ぶように言われたのだろう。ルークを知る人なら、まず使わない呼び名だ。
「僕のことは名前で呼んでほしい、ルークと」
「…ルーク様」
「うん。君のことは…、ミアと呼んでも?」
「ミア、ですか」
「ディムとは少し呼びづらくてね」
「分かりました、ルーク様」
きっと、ミアはなぜ《ディム》という名前を付けられたのか、知らないのだろう。ルークが《ミア》と呼びたい理由を尋ねられても困るため、あっさりと受け入れてくれたことはありがたかった。
今のところ、想定が当たっていて、ルークとしてはやりやすい。自分の皿も空にして、じっと座って待っていたミアを誘った。
「よかったら、ソファで話さない?」
この屋敷に住み始めてしばらくは、ミアの部屋で過ごすことが多くなると踏んで、部屋が少し狭くなるがソファを用意した。ルークが普段接しているのは男性ばかりで、いくら子犬の姿で話していたとしても、対面で女性の顔を見ながら話すのは少し気恥ずかしい。
先に座ってもらい、ルークは紅茶をふたり分、サイドテーブルに用意してから隣に腰を下ろしたが、ミアが強張ったのを感じて、すぐに少し離れて座り直した。初夜について知っているのかは分からないが、あの執事なら書物くらい見せているかもしれない。迂闊だった。
「ごめん、怯えないで。怖がることをするつもりはないよ」
そう言葉をかけると、ほんの少し、ミアの肩の力が抜けた気がした。膝の上で握りしめられた小さな両手に、ルークは片手を重ねた。
「ただ、顔をよく見たいんだけど…、見せてくれる?」
結婚することは私事だとしても、特別任務がある。紋章だけは、今日中に確認しておきたかった。
他人に見せると虐げられるため、もしくは周りが見たくないからと隠すように言いつけてきたのかもしれない、前髪で隠している顔の左側を、ルークに見せる決断をしてくれるだろうか。対面だとテーブルの分、距離もあった。今ならより近くで、人間の目で、魔の紋章を確認できる。
「…はい、ルーク様」
「ありがとう、少し触れるよ」
覚悟を決めたような声で、手は変わらず握ったままだった。やはり、人に見られることに抵抗があるのだろう。できるだけそっと、ミアの前髪をかき上げる。怖いのか、目をぎゅっとつぶってしまっている。
「目を開けて、ミア」
眉間に皺を寄せたまま、ゆっくりと目を開けてくれた。
漆黒の左目を、脳裏に焼き付ける。子犬の姿で確認したときは、部屋自体が暗かったのもあって、少しおぞましいものに見えていたが、実際は綺麗な模様にも見える。魔力は、感じられないままだ。
「……醜く、ありませんか」
「まさか。きっと綺麗な瞳が現れるよ」
「……え?」
確定事項ではないが、口に出てしまった。番としての本能なのか、ミアとなら任務を乗り越えられるだろうと、根拠のない自信が浮かんでくる。
(うん。ミアの、レッドの瞳を見てみたい)
ぽかんと呆けているミアに、ふっと思わず笑ってしまった。ミアが俯こうとするのを、前髪をかき上げたまま頭に触れている手で阻止する。頬がどんどんと赤く染まっていくミアは、目を伏せ両手を見つめている。迷いつつ覗き込んで、泣いてないのが分かると、目線を外し頭を撫でた。
(僕の瞳には、慣れてくれるといいんだけど)
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