自暴自棄になってJK令嬢を襲ったら何故か飼われる事になりました

出会い

３ 暴行②

「なにか？」
思っていたより落ち着いた大人っぽい声。
短い単語だが意味は伝わる。
とっさに答えようとしたが、うまく口が動かない。
２か月以上も、まともに人と会話してないのだ。しかもアルコールが入ってる。声がうまく発音できない。
「い、いや」
何とかそれだけを絞り出す。
それを聞いた彼女は、軽く口角を上げる。
蔑むような淫靡なような表情。
精神が安定している通常時なら我慢できたかもしれない。
だがその時の俺は、自暴自棄・人間不信、更には被害妄想まで混ざった最悪な精神状態。しかも酔っている。
一瞬で色々な感情が頭を巡る。
怒り・性的な欲求・暴力的な衝動。
どうせ死ぬつもりだったんだ。
最後にこの子を…

先程買ったコンビニの袋を左手の手首にぶら下げ右手で中からカッターナイフを取り出しながら彼女に速足で近づく。
何故か彼女は逃げずに理解できない笑顔のまま、こちらを見つめている。
その笑みがムカつくんだよ！
そう頭の中で叫びながら彼女に密着するくらい近づくと、右手のカッターナイフを刃を出さずに首元に押し当て、左手で彼女の口をふさぐ。
左腕にひっかけた、チューハイ入りのコンビニ袋が重いし邪魔だが捨てるのも勿体ない。
「騒ぐな。騒いだら殺す」
なるべくゆっくりと低い声を意識して耳元で囁く。
（良かった。噛まなかった）
そんな事が頭をよぎるくらいに何故か冷静だった。
俺の言葉で彼女が２度頷くのを確認して左手を下す。
首元にカッターナイフを当てたまま背後に回り、左手で手首を掴む
背後から表情をうかがうと、全くの無表情。
（こいつ恐怖心とか無いのかよ）
戸惑っていると無表情のまま彼女が呟く
「で、どうするの？お金が欲しいなら鞄に財布が入っているけど？中身は、たいして入ってないけど」
襲われている人間が襲っている人間より冷静だと困る。
しかも衝動的な行動なので、次の展開など何も考えてない。
だが、ここは道の真ん中。
いつ通行人が通るかも分からない。
とりあえずこの場を離れなければ。
俺は彼女の問いを無視して。
「真っ直ぐ歩いて左にあるアパートへ入れ」
と指示をだす。
それを聞いた彼女は、軽いため息をし一度頷いて歩き出す。
体をピッタリ密着させながら一緒に歩く。
後ろから密着しているため、丁度臀部が俺の股間に当たるのと微かに汗の匂いが混ざったフローラルな甘い香りが鼻を刺激し、頭の中が性欲で支配されそうになるのを一旦必死に抑えこむ。
アパートの敷地内に入ると次の指示
「一階の一番左の部屋に入れ。鍵は空いている。」
コンビニ程度だったら、めんどくさいのと盗られて困るものなど無いので鍵などかけない。
それが幸いし二人揃ってスムーズに入室する。
ワンルームアパートの玄関に二人で居るとかなり狭い。
玄関の鍵をかけ、左手で掴んでいた彼女の手首を放し次の指示。
「中に入れ。」
「靴はどうするの？脱いだ方が良いの？」
予想外の返事。思わずツッコミをいれる。
「当たり前だろ！外国人かよ！」
「日本生まれで日本育ちよ。外国人に見えた？」
真面目に返された。
何なのだろう。緊張感が全く無い。