4 / 13
4 焚き火の番
しおりを挟む
焚き火は動物避けになります。
おかげで、この近くには危険な動物は近づいて来ていないみたいです。
(でも、火が消えたら危ないんじゃない?)
ディックはしばらく考えたあと、少し離れた場所で、火が消えないか見張っておくことにしました。
(他の人間は居ないみたいだし、女の子ひとりなんて、危ないじゃないか)
昼間は突然現れた人間に驚いて逃げてしまいましたが、冷静に考えてみれば女の子ひとりにそんなに怯えることはないのです。
念のため耳を澄ませてみますが、女の子以外に人間がいる気配はありません。
「……くしゅっ」
女の子が突然、小さなクシャミをしました。
驚いて数歩下がってディックは女の子をじっと見つめますが、女の子が目覚めた様子はありません。
スヤスヤと小さな寝息が聴こえてきます。
でも、薄い毛布を被っているだけなので、とても寒そうに見えます。
(このままじゃ、風邪を引きそうだな)
ディックはそーっと女の子に近づくと、着ていたコートを脱いで、更にそーっと掛けてあげました。
温かさに包まれると、女の子は表情を柔らかくした気がして、ディックはホッと息を吐きます。
ディックは、女の子が眠っている木が見える場所で、火が消えないか見張ることにしました。
途中で、心配していた通り何度か火が消えそうになってしまいました。ディックは枯れ木を集めて、そっと火が消えないように焚き火にくべてあげました。
(人間の心配するなんて、僕は何やってるんだろう)
人間は怖いから近づきたくありません。
だけど、こんなか弱そうな女の子を夜の森に放っておく気にはなれませんでした。
チロチロと燃える火を遠くから眺めながら、ディックは自問自答しながら夜を過ごしました。
東の空が明るくなってきたころ、ディックは眠たい目をこすりながら立ち上がります。
朝になれば、女の子が肉食動物たちに襲われる危険は少なくなるはずです。
(あ、コートどうしよう)
女の子に掛けてあげたコートをどうするか、ディックは悩みました。
(まぁ、いっか。まだ寒いし、コートを取ったときに起きちゃうかもしれない)
コートは女の子に掛けたままにすることにしました。
家に帰れば、何枚かコートがあるので問題はありません。
ディックは立ち去る前に、もう一度枯れ木を焚き火にくべるため、女の子の眠る木に近づきました。
女の子はディックが近づいても起きる気配はなく、気持ち良さそうに眠っています。
夜中は暗くてあまり女の子を見ていませんでしたが、明るくなったのでよく見えるようになりました。
小柄な女の子です。
年はディックと同じか、少し年下のように見えます。
ディックのコートをキュッと掴む手は、ディックと比べると、とても小さな手でした。
(僕に何の用事だったんだろう?)
昨日話しかけてきたということは、ディックに用事があったからでしょう。
どうして話しかけてきたのか気になりましたが、自分から女の子を起こして聞く気にはなれません。
(まあ、いいや。きっと起きたら森の外に帰るだろうし、もう関係ないな)
ディックは少し後ろ髪を引かれる気持ちで帰路につきました。
おかげで、この近くには危険な動物は近づいて来ていないみたいです。
(でも、火が消えたら危ないんじゃない?)
ディックはしばらく考えたあと、少し離れた場所で、火が消えないか見張っておくことにしました。
(他の人間は居ないみたいだし、女の子ひとりなんて、危ないじゃないか)
昼間は突然現れた人間に驚いて逃げてしまいましたが、冷静に考えてみれば女の子ひとりにそんなに怯えることはないのです。
念のため耳を澄ませてみますが、女の子以外に人間がいる気配はありません。
「……くしゅっ」
女の子が突然、小さなクシャミをしました。
驚いて数歩下がってディックは女の子をじっと見つめますが、女の子が目覚めた様子はありません。
スヤスヤと小さな寝息が聴こえてきます。
でも、薄い毛布を被っているだけなので、とても寒そうに見えます。
(このままじゃ、風邪を引きそうだな)
ディックはそーっと女の子に近づくと、着ていたコートを脱いで、更にそーっと掛けてあげました。
温かさに包まれると、女の子は表情を柔らかくした気がして、ディックはホッと息を吐きます。
ディックは、女の子が眠っている木が見える場所で、火が消えないか見張ることにしました。
途中で、心配していた通り何度か火が消えそうになってしまいました。ディックは枯れ木を集めて、そっと火が消えないように焚き火にくべてあげました。
(人間の心配するなんて、僕は何やってるんだろう)
人間は怖いから近づきたくありません。
だけど、こんなか弱そうな女の子を夜の森に放っておく気にはなれませんでした。
チロチロと燃える火を遠くから眺めながら、ディックは自問自答しながら夜を過ごしました。
東の空が明るくなってきたころ、ディックは眠たい目をこすりながら立ち上がります。
朝になれば、女の子が肉食動物たちに襲われる危険は少なくなるはずです。
(あ、コートどうしよう)
女の子に掛けてあげたコートをどうするか、ディックは悩みました。
(まぁ、いっか。まだ寒いし、コートを取ったときに起きちゃうかもしれない)
コートは女の子に掛けたままにすることにしました。
家に帰れば、何枚かコートがあるので問題はありません。
ディックは立ち去る前に、もう一度枯れ木を焚き火にくべるため、女の子の眠る木に近づきました。
女の子はディックが近づいても起きる気配はなく、気持ち良さそうに眠っています。
夜中は暗くてあまり女の子を見ていませんでしたが、明るくなったのでよく見えるようになりました。
小柄な女の子です。
年はディックと同じか、少し年下のように見えます。
ディックのコートをキュッと掴む手は、ディックと比べると、とても小さな手でした。
(僕に何の用事だったんだろう?)
昨日話しかけてきたということは、ディックに用事があったからでしょう。
どうして話しかけてきたのか気になりましたが、自分から女の子を起こして聞く気にはなれません。
(まあ、いいや。きっと起きたら森の外に帰るだろうし、もう関係ないな)
ディックは少し後ろ髪を引かれる気持ちで帰路につきました。
1
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる