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本編
14 口論
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「ヒューリックさまっ! 今夜の舞踏会、わたしをエスコートしないって、どうしてですの!?」
部屋の扉がバタンッと開き、女の子が怒った顔で入ってきました。
突然のことで驚いたティナリアとルイでしたが、女の子には見覚えがありました。女の子も、部屋の中にいるのがヒューリックだけではないことに気がついたみたいで、ルイと目が合います。
「あら?あなた方は、ルイさんとティナリアさん? どうしてお城に?」
女の子は岩場で助けた、ローズマリーでした。
「コンテストで優勝したティナリアさんを、舞踏会に招待したんだよ」
ローズマリーの問いに、ヒューリックが答えてくれました。
「まあ、コンテストって、お花のコンテストですわよね。すごいですわ! ティナリアさん、おめでとうございます」
ローズマリーは表情を明るくさせて、ティナリアを祝福してくれました。
「ありがとう。えっと、ローズマリーさんって、ヒューリックさまの婚約者だったんだね」
人間の本に「世間は意外と狭い」という言葉が載っていた気がしますが、その通りだと思いました。
「そう。そうですわ。わたし、ヒューロックさまの婚約者なのです。なのに……」
ローズマリーは表情を暗くさせると、ヒューリックへキッと目線を移します。
「婚約者なのに、どうして今日の舞踏会のエスコートをしてくれませんの?」
睨むような視線にヒューリックは、はぁっとため息を吐きました。
「どうしても何も、君は今日溺れたばかりだろう。病み上がりなんだから、舞踏会は欠席するべきだ」
「そんな、大丈夫ですわ」
「今は大丈夫でも、これから熱が出るかもしれないだろ」
「その時は、気力で乗りきりますわ!」
自信満々に言い切るローズマリーに、ヒューリックは手で目元を覆うと、先程よりも長いため息を吐きました。
「だって、今日はーー」
「迷惑だって言ってるんだ」
キッパリと冷たい声のヒューリックに、ローズマリーは怯んだように、言いかけた言葉を飲み込み、口を閉ざします。
ギュッとドレスを握りしめる手は震えていました。
「……」
なんとも言えない、居心地の悪い雰囲気が部屋を満たしています。
ティナリアはどうしてヒューリックがローズマリーに冷たい態度を取るのか分からず困惑していました。
一方ルイは、面倒事の気配しかしないこの部屋から早く出たい気持ちでいっぱいでした。
ルイはそっとティナリアに部屋から出ようと小声で伝えようとしました。婚約者同士のケンカに部外者のティナリアとルイの出る幕はないのです。変に関わると、二人の関係が余計にこじれてします可能性もあります。
しかし、ルイがティナリアに声をかける前にローズマリーが口を開きました。
「ヒューリックさまが何と言おうと今日の舞踏会には参加しますわ。どうしてもエスコートしてくれないと言うのなら……ルイさんにエスコートして貰います!!」
「え?」
ティナリアの突拍子もない行動には慣れているルイですが、流石にローズマリーの言葉には驚き固まってしまいました。そもそも、ティナリア以外でルイを振り回す者は居なかったので、まさかここで自分の名前が出てくるとは思いもよらなかったのです。
「それでは、また後で舞踏会で会いましょう」
固まるルイの腕を引っ張り、ローズマリーは、来たときと同じような勢いで部屋から出て行きました。
部屋の扉がバタンッと開き、女の子が怒った顔で入ってきました。
突然のことで驚いたティナリアとルイでしたが、女の子には見覚えがありました。女の子も、部屋の中にいるのがヒューリックだけではないことに気がついたみたいで、ルイと目が合います。
「あら?あなた方は、ルイさんとティナリアさん? どうしてお城に?」
女の子は岩場で助けた、ローズマリーでした。
「コンテストで優勝したティナリアさんを、舞踏会に招待したんだよ」
ローズマリーの問いに、ヒューリックが答えてくれました。
「まあ、コンテストって、お花のコンテストですわよね。すごいですわ! ティナリアさん、おめでとうございます」
ローズマリーは表情を明るくさせて、ティナリアを祝福してくれました。
「ありがとう。えっと、ローズマリーさんって、ヒューリックさまの婚約者だったんだね」
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「そう。そうですわ。わたし、ヒューロックさまの婚約者なのです。なのに……」
ローズマリーは表情を暗くさせると、ヒューリックへキッと目線を移します。
「婚約者なのに、どうして今日の舞踏会のエスコートをしてくれませんの?」
睨むような視線にヒューリックは、はぁっとため息を吐きました。
「どうしても何も、君は今日溺れたばかりだろう。病み上がりなんだから、舞踏会は欠席するべきだ」
「そんな、大丈夫ですわ」
「今は大丈夫でも、これから熱が出るかもしれないだろ」
「その時は、気力で乗りきりますわ!」
自信満々に言い切るローズマリーに、ヒューリックは手で目元を覆うと、先程よりも長いため息を吐きました。
「だって、今日はーー」
「迷惑だって言ってるんだ」
キッパリと冷たい声のヒューリックに、ローズマリーは怯んだように、言いかけた言葉を飲み込み、口を閉ざします。
ギュッとドレスを握りしめる手は震えていました。
「……」
なんとも言えない、居心地の悪い雰囲気が部屋を満たしています。
ティナリアはどうしてヒューリックがローズマリーに冷たい態度を取るのか分からず困惑していました。
一方ルイは、面倒事の気配しかしないこの部屋から早く出たい気持ちでいっぱいでした。
ルイはそっとティナリアに部屋から出ようと小声で伝えようとしました。婚約者同士のケンカに部外者のティナリアとルイの出る幕はないのです。変に関わると、二人の関係が余計にこじれてします可能性もあります。
しかし、ルイがティナリアに声をかける前にローズマリーが口を開きました。
「ヒューリックさまが何と言おうと今日の舞踏会には参加しますわ。どうしてもエスコートしてくれないと言うのなら……ルイさんにエスコートして貰います!!」
「え?」
ティナリアの突拍子もない行動には慣れているルイですが、流石にローズマリーの言葉には驚き固まってしまいました。そもそも、ティナリア以外でルイを振り回す者は居なかったので、まさかここで自分の名前が出てくるとは思いもよらなかったのです。
「それでは、また後で舞踏会で会いましょう」
固まるルイの腕を引っ張り、ローズマリーは、来たときと同じような勢いで部屋から出て行きました。
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