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本編
10 お花のコンテスト
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「楽になってきたから、そろそろ大通り広場に行ってみようか」
ベンチで冷たいジュースを飲んで、体調が良くなってきたルイは、立ち上がるとティナリアに手を差し出しました。
一瞬キョトンとした表情を見せたティナリアが、嬉しそうにルイの手を取り立ち上がります。
「うん! 行こう」
そしてルイを引っ張るように、大広場に向かって歩き始めました。
ルイの体調が良くなったのなら、いつも通りのティナリアに戻ります。さっきまでは、いつもより大人しくしていたので、きっと気持ちも落ち込んでしまったに違いありません。
少しモヤモヤとしていた気持ちも、ルイが手を繋いでくれたので、気にしないことにしました。
さっきまでルイに気を使って大人しかったのか、少し元気のなかったティナリアが急に元気になったので、ルイは苦笑しながらも、安心していました。
やっぱりティナリアは元気なのが一番似合っています。
大通りは、かなり賑やかな雰囲気でした。
本の中でしか見たことのない大道芸をする人たちが居ます。そして、それを囲む大勢の人間たち。
色々なお店も、たくさんあります。
お祭りの飾りも、先程いたところよりも派手になっていました。
ティナリアとルイは、興味の向くままにお店を覗いてみたり、人々に混じって大道芸を見てみたりと、お祭りを楽しみます。
「見るものがたくさんあって、楽しいねー」
ティナリアは笑顔でルイに話しかけます。
「そうだね。さっきのお店は後でもう一度行ってみたいかな」
ルイもお祭りを満喫しているようです。
「さっきのお店って、本を売っているお店?」
「よく分かったね」
“さっきのお店”だけで通じたことに、軽くルイは驚いた顔をしました。
「だって、すっごく真剣に見てたから」
人間の歴史がかかれた本や、食べ物や植物が書かれた本を、ルイがジッと見つめていたことにティナリアは気がついていました。結局なにも買わずに店を出ましたが、きっとその本が欲しかったんだなと思ったのです。
「もうすぐお祭りのメインイベントがあるみたいだから、その後にもう一回行ってみよう」
お祭りの紙をみると、もうすぐこの大広場で[花のコンテスト]というイベントが始まるようです。
先程よりも人が集まって来ています。
油断すると人混みに押し流されて行きそうで、ティナリアは繋いでいたルイの手をギュッと握りました。
お店の壁にこれから始まるコンテストの内容が書かれて紙が貼ってあったので、ルイは読んでみます。
「へぇ、コンテストの審査員は王子さまだって」
「え? そうなの?」
ティナリアが少しつま先立ちになり、貼り紙を見ると、確かにそう書いてありました。[花のコンテスト]と聞いただけでは、お花のキレイさを競うコンテストなのかなと思っていましたが、どうやら競うのは花ではなくて女の子みたいです。要するに[美少女コンテスト]というわけです。
「ここに居る女の子も可愛いぞ」
「本当だ。参加してみれば良いよ」
ティナリアの近くにいた人が、突然そんなことをいい始めました。周りの人たちも乗り気で、ティナリアにコンテストの参加を薦めてきます。
ガヤガヤとしているところに、コンテストの運営をしているという人がやって来て「飛び入りも大歓迎だけど、どうする?」と聞いてきました。
ティナリアは突然人間に囲まれて困惑していましたが、コンテストに出るのは少し興味があります。ルイの方を見ると「気になるなら、出てみたら?」と言ってくれます。少し諦め気味の顔だったのは、きっとティナリアから「出てみたい」というオーラを感じたからでしょう。
というわけで、ティナリアも飛び入りで[花のコンテスト]に参加することが決まりました。
ベンチで冷たいジュースを飲んで、体調が良くなってきたルイは、立ち上がるとティナリアに手を差し出しました。
一瞬キョトンとした表情を見せたティナリアが、嬉しそうにルイの手を取り立ち上がります。
「うん! 行こう」
そしてルイを引っ張るように、大広場に向かって歩き始めました。
ルイの体調が良くなったのなら、いつも通りのティナリアに戻ります。さっきまでは、いつもより大人しくしていたので、きっと気持ちも落ち込んでしまったに違いありません。
少しモヤモヤとしていた気持ちも、ルイが手を繋いでくれたので、気にしないことにしました。
さっきまでルイに気を使って大人しかったのか、少し元気のなかったティナリアが急に元気になったので、ルイは苦笑しながらも、安心していました。
やっぱりティナリアは元気なのが一番似合っています。
大通りは、かなり賑やかな雰囲気でした。
本の中でしか見たことのない大道芸をする人たちが居ます。そして、それを囲む大勢の人間たち。
色々なお店も、たくさんあります。
お祭りの飾りも、先程いたところよりも派手になっていました。
ティナリアとルイは、興味の向くままにお店を覗いてみたり、人々に混じって大道芸を見てみたりと、お祭りを楽しみます。
「見るものがたくさんあって、楽しいねー」
ティナリアは笑顔でルイに話しかけます。
「そうだね。さっきのお店は後でもう一度行ってみたいかな」
ルイもお祭りを満喫しているようです。
「さっきのお店って、本を売っているお店?」
「よく分かったね」
“さっきのお店”だけで通じたことに、軽くルイは驚いた顔をしました。
「だって、すっごく真剣に見てたから」
人間の歴史がかかれた本や、食べ物や植物が書かれた本を、ルイがジッと見つめていたことにティナリアは気がついていました。結局なにも買わずに店を出ましたが、きっとその本が欲しかったんだなと思ったのです。
「もうすぐお祭りのメインイベントがあるみたいだから、その後にもう一回行ってみよう」
お祭りの紙をみると、もうすぐこの大広場で[花のコンテスト]というイベントが始まるようです。
先程よりも人が集まって来ています。
油断すると人混みに押し流されて行きそうで、ティナリアは繋いでいたルイの手をギュッと握りました。
お店の壁にこれから始まるコンテストの内容が書かれて紙が貼ってあったので、ルイは読んでみます。
「へぇ、コンテストの審査員は王子さまだって」
「え? そうなの?」
ティナリアが少しつま先立ちになり、貼り紙を見ると、確かにそう書いてありました。[花のコンテスト]と聞いただけでは、お花のキレイさを競うコンテストなのかなと思っていましたが、どうやら競うのは花ではなくて女の子みたいです。要するに[美少女コンテスト]というわけです。
「ここに居る女の子も可愛いぞ」
「本当だ。参加してみれば良いよ」
ティナリアの近くにいた人が、突然そんなことをいい始めました。周りの人たちも乗り気で、ティナリアにコンテストの参加を薦めてきます。
ガヤガヤとしているところに、コンテストの運営をしているという人がやって来て「飛び入りも大歓迎だけど、どうする?」と聞いてきました。
ティナリアは突然人間に囲まれて困惑していましたが、コンテストに出るのは少し興味があります。ルイの方を見ると「気になるなら、出てみたら?」と言ってくれます。少し諦め気味の顔だったのは、きっとティナリアから「出てみたい」というオーラを感じたからでしょう。
というわけで、ティナリアも飛び入りで[花のコンテスト]に参加することが決まりました。
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