4 / 4
【プリシラ視点】
しおりを挟む
「君がプリシラか?」
王太子ジュディアンとはじめて会ったのは、プリシラが7才の時、婚約者に決まり王宮で対面した時だった。
輝く金髪に、意思の強そうな青い瞳の美しい少年に「よろしくな」と輝くような笑顔を向けられた時、プリシラは一目で恋に落ちた。
それと同時に、あることを思い出してしまった。
それは、ここが恋愛小説の世界で、『プリシラ』は主人公とジュディアンの恋路を邪魔する悪役令嬢であるということだった。
(私、悪役令嬢なの?ジュディアン様に婚約破棄されるの?そんなの……いや)
唐突に前世の記憶を思い出し混乱している上、ジュディアンに婚約破棄されてしまう未来を知ってしまったことにより、プリシラは泣き出してしまった。
気がつけば「嫌いにならないでください」とジュディアンの手を握りしめて泣きながら訴えていた。ジュディアンにしてみれば、顔合わせで、挨拶した途端に、まだお互いをあまり知らないにも関わらず「嫌わないで」と泣かれるという対応に困る状況だっただろう。気が触れたと思われてもおかしくなかった。しかし、ジュディアンはプリシラの手を握りしめ「大丈夫だよ」と言ってくれたのだ。
ジュディアンの優しさに触れ、プリシラは更に彼を好きになった。
その時の記憶は、ジュディアンにもしっかりと刻まれているようで、折に触れて「あの時のプリシラは、本当に可愛いかったな」とからかわれている。
ジュディアンとの婚約関係は何事もなく順調に築いていった。
独占欲の強いジュディアンの言動は、寂しがり屋なプリシラにとっては甘美な束縛で、愛されていると実感し安心することが出来た。
そして小説の主人公との出会い。
主人公のアイラとは、当初出来るだけ関わらないようにしようと思っていた。
主人公と関わることで、強制力的なもので彼女を虐めてしまうのではないか、そしてジュディアンに嫌われてしまうのではないかという心配があったのだ。
けれど教室に入って、一人でつまらそうに本を読んでいるアイラと、遠巻きで彼女のことをヒソヒソと卑下するクラスメイトと見て、プリシラは思わず声を掛けていた。
席が隣同士ということもあって、アイラとはよく話すようになった。
危惧していた強制力的なものはなく、プリシラはホッとした。
ひとつ気になったのは、小説のアイラとは少し違うことだった。
確か小説のアイラは治癒魔法が得意だったが、今のアイラは攻撃魔法が得意だ。それに、大人しく控えめな性格ではなく、思ったことは臆することなく発言するサバサバした性格だ。
ジュディアンが「俺の婚約者に馴れ馴れしくしすぎだ」と独占欲を垣間見せたときも、「私たちは今、友情を深め合っているところなので、殿下は近づかないで下さい」「殿下とプリシラは婚約者ですし、学園の外でも会えるじゃないですか……私は、ここでしかプリシラを愛で……プリシラとお話出来ないんですよ。少しくらい多目に見てください」と言い返していた。
王太子の婚約者として仲良くなろうとしてくれる令嬢は沢山いた。でもその肩書きなく仲良くなろうとしてくれた者は初めてだった。
プリシラは嬉しかった。
いつの間にか、関わらないでおこうと思っていた主人公の事を好きになっていた。
彼女が転生者で、プリシラも転生者だと確認してきた時は、自分が前世の記憶を思い出した時のように驚いたが、だから小説のアイラと違うのだと納得もした。
ジュディアンとアイラは、よくプリシラの事で言い合いをしている。
「だから、お前はプリシラと仲良くしすぎなんだ。俺とプリシラの時間を削るな」
「うわ、独占欲強すぎませんか?私もプリシラを愛でたいので、お断りです」
そんな言い合い。
ジュディアンは変わらずプリシラに対して独占欲強めだし、アイラはお互い転生者だと話したことで、遠慮がなくなったのか、「プリシラは私の推しだから!」「今日も可愛い。尊いわ~」などと、今まで秘めていたという心の声が駄々漏れになっている。
そんな二人に挟まれ、プリシラは嬉しそうに微笑んでいるのだった。
王太子ジュディアンとはじめて会ったのは、プリシラが7才の時、婚約者に決まり王宮で対面した時だった。
輝く金髪に、意思の強そうな青い瞳の美しい少年に「よろしくな」と輝くような笑顔を向けられた時、プリシラは一目で恋に落ちた。
それと同時に、あることを思い出してしまった。
それは、ここが恋愛小説の世界で、『プリシラ』は主人公とジュディアンの恋路を邪魔する悪役令嬢であるということだった。
(私、悪役令嬢なの?ジュディアン様に婚約破棄されるの?そんなの……いや)
唐突に前世の記憶を思い出し混乱している上、ジュディアンに婚約破棄されてしまう未来を知ってしまったことにより、プリシラは泣き出してしまった。
気がつけば「嫌いにならないでください」とジュディアンの手を握りしめて泣きながら訴えていた。ジュディアンにしてみれば、顔合わせで、挨拶した途端に、まだお互いをあまり知らないにも関わらず「嫌わないで」と泣かれるという対応に困る状況だっただろう。気が触れたと思われてもおかしくなかった。しかし、ジュディアンはプリシラの手を握りしめ「大丈夫だよ」と言ってくれたのだ。
ジュディアンの優しさに触れ、プリシラは更に彼を好きになった。
その時の記憶は、ジュディアンにもしっかりと刻まれているようで、折に触れて「あの時のプリシラは、本当に可愛いかったな」とからかわれている。
ジュディアンとの婚約関係は何事もなく順調に築いていった。
独占欲の強いジュディアンの言動は、寂しがり屋なプリシラにとっては甘美な束縛で、愛されていると実感し安心することが出来た。
そして小説の主人公との出会い。
主人公のアイラとは、当初出来るだけ関わらないようにしようと思っていた。
主人公と関わることで、強制力的なもので彼女を虐めてしまうのではないか、そしてジュディアンに嫌われてしまうのではないかという心配があったのだ。
けれど教室に入って、一人でつまらそうに本を読んでいるアイラと、遠巻きで彼女のことをヒソヒソと卑下するクラスメイトと見て、プリシラは思わず声を掛けていた。
席が隣同士ということもあって、アイラとはよく話すようになった。
危惧していた強制力的なものはなく、プリシラはホッとした。
ひとつ気になったのは、小説のアイラとは少し違うことだった。
確か小説のアイラは治癒魔法が得意だったが、今のアイラは攻撃魔法が得意だ。それに、大人しく控えめな性格ではなく、思ったことは臆することなく発言するサバサバした性格だ。
ジュディアンが「俺の婚約者に馴れ馴れしくしすぎだ」と独占欲を垣間見せたときも、「私たちは今、友情を深め合っているところなので、殿下は近づかないで下さい」「殿下とプリシラは婚約者ですし、学園の外でも会えるじゃないですか……私は、ここでしかプリシラを愛で……プリシラとお話出来ないんですよ。少しくらい多目に見てください」と言い返していた。
王太子の婚約者として仲良くなろうとしてくれる令嬢は沢山いた。でもその肩書きなく仲良くなろうとしてくれた者は初めてだった。
プリシラは嬉しかった。
いつの間にか、関わらないでおこうと思っていた主人公の事を好きになっていた。
彼女が転生者で、プリシラも転生者だと確認してきた時は、自分が前世の記憶を思い出した時のように驚いたが、だから小説のアイラと違うのだと納得もした。
ジュディアンとアイラは、よくプリシラの事で言い合いをしている。
「だから、お前はプリシラと仲良くしすぎなんだ。俺とプリシラの時間を削るな」
「うわ、独占欲強すぎませんか?私もプリシラを愛でたいので、お断りです」
そんな言い合い。
ジュディアンは変わらずプリシラに対して独占欲強めだし、アイラはお互い転生者だと話したことで、遠慮がなくなったのか、「プリシラは私の推しだから!」「今日も可愛い。尊いわ~」などと、今まで秘めていたという心の声が駄々漏れになっている。
そんな二人に挟まれ、プリシラは嬉しそうに微笑んでいるのだった。
109
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(5件)
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。
このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる!
それは、悪役教授ネクロセフ。
顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。
「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」
……のはずが。
「夢小説とは何だ?」
「殿下、私の夢小説を読まないでください!」
完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。
破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ!
小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない
エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい
最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。
でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
「プリシラを愛でる同士」の会に入会希望です。プリシラちゃんが可愛い……。
あのね、アイラちゃん、念のため言っておくけど、学校のアレは建前よ?不敬罪にならなくてよかったね(≧∇≦)
王子とのやりとりが面白いね。プリシラちゃんは寂しがり屋だからね、引かれなくてよかったね。
悪役令嬢とヒロインのお話なのに、ギスギスしてなくて、読めばクスッと笑えて、ほっこりできるような、面白いお話を書いてくださりありがとうございます♪
「プリシラを愛でる会」への入会ありがとうございます!!一緒に愛でましょう✨
こちらの物語も読んでくださって、ありがとうございました!
感想、嬉しいです。:+((*´艸`))+:。
穂波先生には他の作品があったので、試しに読んでみました。小説と転生先では、キャラの性格などが逆転していて、読んでいてほっこりしました。プリシラが可愛いですね、ジュディアン君とアイラさんがプリシラの取り合いをしているところが面白いです。(同担に参加してもいいですか?)
余談ですが、私の作品は読んでみましたか?感想などをくれると嬉しいです。これからも作品を書き続けるので、応援よろしくお願いします。
わぁっ(*^^*)こちらの作品も読んで頂き、ありがとうございます😄同担OKです!プリシラを一緒に愛でて下さい(`・ω・´)ゞ
マイマイン様の作品「勇者エルニスのワンダーランド」を拝読中です…が、連勤で読む時間が確保出来ず、まだはじめの方でして💦休みの日に一気に読ませて頂く予定です(^-^)読みましたら、感想も書かせて頂きますね!
こちらこそ、これからも宜しくお願い致します。
だが私は同担を拒否する!(嘘)