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本編
04 心の変化
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出された食事を出来る限り食べ、薬湯もきちんと飲んだ結果、一ヶ月程するとルイシャは固形物も少しずつ食べられるようになった。
(お肉もお魚も、こんなに美味しかったのね)
肉や魚も嫌いだと思っていたが、どうやら弱過ぎる胃腸が受け付けなかっただけのようだ。肉や魚だけではない。はじめは「生きるため」と無理して食べていたスープも、今では美味しいと感じるようになっていた。それはルイシャの体調が良くなった事による変化だった。
(「美味しい」って伝えたら、すごく喜んでくれたわ)
毎回、ルイシャが美味しく食べられるようにと工夫を凝らしてくれている料理人たちには、とても感謝している。
また、以前はすぐに疲れてしまい、一日の大半をベッドの上で過ごしていたが、少しずつ起きていられる時間も増えていた。陽当たりの良い窓辺に揺り椅子を置いてもらい、本を眺めるのがルイシャの日常になっている。
あの日の訪問以降も、カインは度々ルイシャに会いに来てくれていたが、ここ二週間は学園の行事が忙しいようで、会えない日が続いていた。それでも数日おきに贈り物をジェイスに預けてくれている。
以前から会えない日が続く時は、花やぬいぐるみを贈ってくれていたが、最近ではキャンディをはじめ、体に良い食材など、色々な物を贈ってくれる。今、ルイシャの膝の上にある不思議な動物たちが登場する絵本もカインからの贈り物だ。
貰ってばかりで申し訳ないと思うが、ジェイスいわく「選んでいるときのカインはイキイキしてるから良いんじゃないか」らしい。
カインがルイシャのために贈り物を選んでくれていることが、とても嬉しかった。
(こんなに良くして頂いて、私は幸せだわ……)
以前は、そう考える余裕もなかった。
あの指切りの日から、カインの事を考えると、ルイシャの心は温かくなる。
今でも、こんな病弱な婚約者で申し訳ないという気持ちは大きいが、体調が良くなるに連れて、ルイシャの心境も少しずつ変化してきていた。
(もっとカイン様と一緒に過ごしたい、カイン様の事を知りたい)
思えば、カインの事は『いつもお見舞いに来てくれる優しい婚約者』としか知らないのだ。カインの好きな物や苦手な物が何なのか、休日はどんな風に過ごしているのか……ルイシャは知らない。
だから知りたかった。
ジェイスから聞くカインではなく、ルイシャ自身が彼と過ごして知って行きたいと思った。
(そのためには、体力をつけなくちゃ)
暖かくなったら一緒に庭園を散歩してくれると約束を交わしたのだ。少し体力は付いたが、それはまだ部屋の中で座って過ごすことが出来る程度である。少し歩いただけで、すぐに疲れてしまう体だ。ルイシャは、まだ部屋の外に出たことがなかった。庭園を散歩するには、まだまだ遠い道のりである。
前世を思い出した当初は、食事が一番の試練だったが、美味しさを感じるまで克服することが出来た。あとは、食べる種類や量を増やしていきたいが、「食事」が試練だと思うことはなくなっていた。
(あの薬湯だけは、いつまでも慣れそうにないけど)
あの味と食感に慣れる日は来ない気がしている。はやく薬湯が要らなくなるくらい健康になりたい。
(体力を付けるために、薬湯以外にも何か頑張れないかな?)
しかし、これまで寝ることが仕事のような生活をしてきたルイシャに、よい方法が思い浮かぶはずもなかった。
(そうだ、お兄様に相談してみようかしら)
ルイシャは、毎日訪ねてくれるジェイスに、何か良い方法がないか尋ねることにした。
(お肉もお魚も、こんなに美味しかったのね)
肉や魚も嫌いだと思っていたが、どうやら弱過ぎる胃腸が受け付けなかっただけのようだ。肉や魚だけではない。はじめは「生きるため」と無理して食べていたスープも、今では美味しいと感じるようになっていた。それはルイシャの体調が良くなった事による変化だった。
(「美味しい」って伝えたら、すごく喜んでくれたわ)
毎回、ルイシャが美味しく食べられるようにと工夫を凝らしてくれている料理人たちには、とても感謝している。
また、以前はすぐに疲れてしまい、一日の大半をベッドの上で過ごしていたが、少しずつ起きていられる時間も増えていた。陽当たりの良い窓辺に揺り椅子を置いてもらい、本を眺めるのがルイシャの日常になっている。
あの日の訪問以降も、カインは度々ルイシャに会いに来てくれていたが、ここ二週間は学園の行事が忙しいようで、会えない日が続いていた。それでも数日おきに贈り物をジェイスに預けてくれている。
以前から会えない日が続く時は、花やぬいぐるみを贈ってくれていたが、最近ではキャンディをはじめ、体に良い食材など、色々な物を贈ってくれる。今、ルイシャの膝の上にある不思議な動物たちが登場する絵本もカインからの贈り物だ。
貰ってばかりで申し訳ないと思うが、ジェイスいわく「選んでいるときのカインはイキイキしてるから良いんじゃないか」らしい。
カインがルイシャのために贈り物を選んでくれていることが、とても嬉しかった。
(こんなに良くして頂いて、私は幸せだわ……)
以前は、そう考える余裕もなかった。
あの指切りの日から、カインの事を考えると、ルイシャの心は温かくなる。
今でも、こんな病弱な婚約者で申し訳ないという気持ちは大きいが、体調が良くなるに連れて、ルイシャの心境も少しずつ変化してきていた。
(もっとカイン様と一緒に過ごしたい、カイン様の事を知りたい)
思えば、カインの事は『いつもお見舞いに来てくれる優しい婚約者』としか知らないのだ。カインの好きな物や苦手な物が何なのか、休日はどんな風に過ごしているのか……ルイシャは知らない。
だから知りたかった。
ジェイスから聞くカインではなく、ルイシャ自身が彼と過ごして知って行きたいと思った。
(そのためには、体力をつけなくちゃ)
暖かくなったら一緒に庭園を散歩してくれると約束を交わしたのだ。少し体力は付いたが、それはまだ部屋の中で座って過ごすことが出来る程度である。少し歩いただけで、すぐに疲れてしまう体だ。ルイシャは、まだ部屋の外に出たことがなかった。庭園を散歩するには、まだまだ遠い道のりである。
前世を思い出した当初は、食事が一番の試練だったが、美味しさを感じるまで克服することが出来た。あとは、食べる種類や量を増やしていきたいが、「食事」が試練だと思うことはなくなっていた。
(あの薬湯だけは、いつまでも慣れそうにないけど)
あの味と食感に慣れる日は来ない気がしている。はやく薬湯が要らなくなるくらい健康になりたい。
(体力を付けるために、薬湯以外にも何か頑張れないかな?)
しかし、これまで寝ることが仕事のような生活をしてきたルイシャに、よい方法が思い浮かぶはずもなかった。
(そうだ、お兄様に相談してみようかしら)
ルイシャは、毎日訪ねてくれるジェイスに、何か良い方法がないか尋ねることにした。
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