上 下
6 / 17

もっとやったれ!

しおりを挟む
 フリードリヒアホの有責で婚約破棄。我が家にはなんの落ち度もなし。
 事前の契約にのっとって、サクセン侯爵家からは我が家に巨額の賠償金が払われます。
 サクセン侯爵家には払う金なんかありませんから、城も館も領地も全部うちのものです。
 領地再建して金のなる木にする計画は既に出来てますが、私が先方の家に入って操るより、直接経営したほうがぜんぜん効率的です。これで領地再建も早く進むでしょう。

 表面上は何もかもうまくいきました。
 これでまたもウチは資産倍増です。うはうはな結果なはずです。

 本来なら笑いがこみあげてくるところなんですけど……この子がこのバカに穢されたと思うと……くぅぅぅぅ!

 ああ、まったく嬉しくないです!

 この子の純潔に比べれば、侯爵家の資産なんてゴミクズも同じですもの。

「はっはっは! 悔しそうだな! 哀しそうだな!
 いつもオレ様を見下げているお前が、絶望にのたうつのは愉快痛快!
 思い知ったか! 卑しいあぶく銭のカタマリに対する高貴なる精神の優越性を! 
 真実の愛の前には金など無力なのダァァッ!」

 こんなことなら、諦めないであの子とずっと一緒にいられるように方策をめぐらすべきでした。
 でも、後悔先立たずです。
 私はこれからずっと、この悔いを背負って生きるのでしょう。

 決めました。
 このアホは絶対にギッタンギッタンにしてやります。

 鉱山送りくらいじゃすみません。
 生かしたまんま、地獄の苦しみを味あわせてやります。
 理性とか合理とかくそくらえです。

 私の身を焦がす怒りに気づきもせず、アホは隣の女の、あの子の腰を抱きよせ。

「エリザベータ! 悪は滅びたよ!
 オレ様達のバラ色の輝かしい高貴な未来を邪魔するものはもういない!
 さぁオレ様と正式に婚約してめくるめく夜のパラダイスへ――ぎゃぁぁぁぁはぶぅっっ」

 エリザベータと自称する女のヒールがバカ男の足を床に縫い付けてロックオンしたと思うと。
 体重が乗った平手打ちがバカの頬に炸裂!

「うぎゃぁぁぁ。ぶぎひぃぃぃぃぃ」

「おとといきやがれこのロリコン伯爵!
 お前を本当に好きになるヤツがいるわけねーだろ! このコンコンチキが!」

 平手打ちの衝撃に鍛えてないヤワな体が倒れそうになったところへ、もう一発!

「ぎひぃぃぃぃ、どぼじてぇぇぇ」

 倒れることさえ許されず、倒れていく方の頬へ、バチーン!

「ぎひぃぃ。舌かんだぁいたひいたひぃぃぃぃぃぃ」

 アホの口から血がごふごふ溢れますが、構わず連続ビンタ!

 バチーン! バチーン! バチーン! と平手打ちが炸裂しまくりです。

 顔だけがいいバカ男が、メトロノームの針みたいに、ぐらんグラン。


 もっとやったれ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。 「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」 ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。 本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

婚約者に妹を紹介したら、美人な妹の方と婚約したかったと言われたので、譲ってあげることにいたしました

奏音 美都
恋愛
「こちら、妹のマリアンヌですわ」  妹を紹介した途端、私のご婚約者であるジェイコブ様の顔つきが変わったのを感じました。 「マリアンヌですわ。どうぞよろしくお願いいたします、お義兄様」 「ど、どうも……」  ジェイコブ様が瞳を大きくし、マリアンヌに見惚れています。ジェイコブ様が私をチラッと見て、おっしゃいました。 「リリーにこんな美しい妹がいたなんて、知らなかったよ。婚約するなら妹君の方としたかったなぁ、なんて……」 「分かりましたわ」  こうして私のご婚約者は、妹のご婚約者となったのでした。

婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢アンナの婚約者:スティーブンが不倫をして…でも、アンナは平気だった。そこに真実の愛がないことなんて、最初から分かっていたから。

幼馴染のために婚約者を追放した旦那様。しかしその後大変なことになっているようです

新野乃花(大舟)
恋愛
クライク侯爵は自身の婚約者として、一目ぼれしたエレーナの事を受け入れていた。しかしクライクはその後、自身の幼馴染であるシェリアの事ばかりを偏愛し、エレーナの事を冷遇し始める。そんな日々が繰り返されたのち、ついにクライクはエレーナのことを婚約破棄することを決める。もう戻れないところまで来てしまったクライクは、その後大きな後悔をすることとなるのだった…。

今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです) hotランキング1位入りしました。ありがとうございます

聖夜は愛人と過ごしたい?それなら、こちらにも考えがあります

法華
恋愛
貴族の令嬢であるメイシアは、親同士の政略によってランディと婚約していた。年明けには結婚が迫っているというのに、ランディは準備もせず愛人と過ごしてばかり。そんな中迎えたクリスマス、ランディはメイシアが懸命に用意した互いの親族を招いてのパーティーをすっぽかし、愛人と過ごすと言い出して......。 そんなに協力する気がないなら、こちらにも考えがあります。最高のプレゼントをご用意しましょう。 ※四話完結

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

処理中です...