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22 ピンクブロンドとヒロインは赤の他人
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「……そうですか? そちらにとっては、そう悪い結末でもないんじゃないですか」
「どうしてかしら? 血を分けた唯一の身内の信用を喪った上に、縁まで切られるのに?」
そもそもお互い身内だなんて思ってないし。
喪う信用だって、最初からなかったでしょう。
「マカロンお嬢様の婚約者は、高貴な方々が見ている前で、不祥事を起こした。婚約解消には十分な理由でしょう。
そうすればお嬢様は好いた相手と結婚できるわけだし」
それがアタシが提示する妥協点。
マカロン嬢は、相手の有責による婚約解消を得て、あのバカから解放される。
アタシは、猶子解消料を貰う。
そしてお互い縁を切る。
「聞き捨てなりませんね。わたくし婚約者がありながら、他の方と浮気するような女でなくてよ?」
「貴女はそんな軽はずみなことはしないでしょうね。
でも、あんなバカで最悪な婚約者よりも、マシな方はいっぱいいるでしょうよ。
例えば、第二王子のフェルディナンド殿下とか」
「!」
マカロンお嬢様は、ほんの僅かだけど目を見開いた。
当たったみたいね。
会場に彼はいた。
凄く冷たい目でアタシのこと見てた。
表面上は完璧クールな貴公子だったけど、アタシ、人の感情に敏感なのよね。
すれ違いざまに嫌みまで言われたわ。
『君が何でも欲しがる卑しい妹さんか。まるで娼婦だ』
『先祖代々の宝石や部屋の次は婚約者かい』ともね。
お上品さで嫌悪を隠せないあたり、貴族にしては正直でいいひとなんでしょうね。
でも、いったい誰が吹き込んだんだか。
この屋敷の侍女達が話してのを小耳に挟みましたよ。
貴女の幼なじみでもあるフェルディナンド王子が婚約者ならよかったのにって。
最近こっそり会いに来るって。
義妹が自分の物を何でも欲しがるんですよ。
でも、あの子は今まで貧しい暮らしをしていたからわたくしが我慢しないと……とでも愚痴ってたんじゃないの?
マカロンお嬢様のものを取り上げてたのは、頭がお花畑のかあちゃんだったんですけどね!
つーか、アタシ、学園の寮に住んでてこの屋敷にほとんどいなかったんですけど!
アタシがあのバカに言いよられて難儀してる時、意外そうな顔をしてたから、
多分、アタシがあいつを拒むと思ってなかったんでしょうね。
にしても、第二王子でも、愛するお嬢様の言うことだったら鵜呑みにするとは。
ガタピシ小路に通ってたら、身ぐるみ剥がされるレベルのバカね。
この国の行く末が思いやられるわ。
あ、でも第二王子だからいいのか。
「いいご縁がありますように、影ながら願っておりますよ。
くれぐれも結婚式なんかに招待しないでくださいね。赤の他人ですから」
「……赤の他人ね。なるほど。確かにそうね。
最後まで貴女とわたくしは赤の他人でしたわね」
遠慮がちなノックの音が響いた。
執事が音もなくドアに近づき、向こうから何か聞いて、小さく頷く。
「タルト・ライスズッペ男爵と名乗る方がお見えです。
フランボワーズ様の弁護士だと」
「貴女の弁護士が来たようですわ」
こうして、義姉妹の会話は終わった。
最初で最後であって欲しいもんだわ。
「どうしてかしら? 血を分けた唯一の身内の信用を喪った上に、縁まで切られるのに?」
そもそもお互い身内だなんて思ってないし。
喪う信用だって、最初からなかったでしょう。
「マカロンお嬢様の婚約者は、高貴な方々が見ている前で、不祥事を起こした。婚約解消には十分な理由でしょう。
そうすればお嬢様は好いた相手と結婚できるわけだし」
それがアタシが提示する妥協点。
マカロン嬢は、相手の有責による婚約解消を得て、あのバカから解放される。
アタシは、猶子解消料を貰う。
そしてお互い縁を切る。
「聞き捨てなりませんね。わたくし婚約者がありながら、他の方と浮気するような女でなくてよ?」
「貴女はそんな軽はずみなことはしないでしょうね。
でも、あんなバカで最悪な婚約者よりも、マシな方はいっぱいいるでしょうよ。
例えば、第二王子のフェルディナンド殿下とか」
「!」
マカロンお嬢様は、ほんの僅かだけど目を見開いた。
当たったみたいね。
会場に彼はいた。
凄く冷たい目でアタシのこと見てた。
表面上は完璧クールな貴公子だったけど、アタシ、人の感情に敏感なのよね。
すれ違いざまに嫌みまで言われたわ。
『君が何でも欲しがる卑しい妹さんか。まるで娼婦だ』
『先祖代々の宝石や部屋の次は婚約者かい』ともね。
お上品さで嫌悪を隠せないあたり、貴族にしては正直でいいひとなんでしょうね。
でも、いったい誰が吹き込んだんだか。
この屋敷の侍女達が話してのを小耳に挟みましたよ。
貴女の幼なじみでもあるフェルディナンド王子が婚約者ならよかったのにって。
最近こっそり会いに来るって。
義妹が自分の物を何でも欲しがるんですよ。
でも、あの子は今まで貧しい暮らしをしていたからわたくしが我慢しないと……とでも愚痴ってたんじゃないの?
マカロンお嬢様のものを取り上げてたのは、頭がお花畑のかあちゃんだったんですけどね!
つーか、アタシ、学園の寮に住んでてこの屋敷にほとんどいなかったんですけど!
アタシがあのバカに言いよられて難儀してる時、意外そうな顔をしてたから、
多分、アタシがあいつを拒むと思ってなかったんでしょうね。
にしても、第二王子でも、愛するお嬢様の言うことだったら鵜呑みにするとは。
ガタピシ小路に通ってたら、身ぐるみ剥がされるレベルのバカね。
この国の行く末が思いやられるわ。
あ、でも第二王子だからいいのか。
「いいご縁がありますように、影ながら願っておりますよ。
くれぐれも結婚式なんかに招待しないでくださいね。赤の他人ですから」
「……赤の他人ね。なるほど。確かにそうね。
最後まで貴女とわたくしは赤の他人でしたわね」
遠慮がちなノックの音が響いた。
執事が音もなくドアに近づき、向こうから何か聞いて、小さく頷く。
「タルト・ライスズッペ男爵と名乗る方がお見えです。
フランボワーズ様の弁護士だと」
「貴女の弁護士が来たようですわ」
こうして、義姉妹の会話は終わった。
最初で最後であって欲しいもんだわ。
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