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13 ピンクブロンドの思う結婚
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「それに、大事なことなのでもう一度言いますけど、
公衆の面前で婚約者の妹ということになっている存在に言いよって、しかも体を触ってくるとか、人間として終わってます」
「相手は公爵令息ですよ!」
「それが何か? 婚約者の妹ということになっている存在に堂々と言いよってくる破廉恥男です」
「アッアンタ判ってないでしょ!
昔から男あしらいが下手くそで愛想のない子だったけど、まさかこんなチャンスまでぶちこわしにするなんて! あーもう信じられないっ!
貴族様がたの前で暴力なんてふるったら、パーティに二度と呼ばれませんよ!
貴女だって玉の輿にのりたいんでしょう!? その機会をみすみす! 下手すれば未来永劫!
胸だろうが股ぐらだろうが触らせておけばいいのよっ!
なんだったら物陰に誘ってやらせたっていいのよっ! 減るもんじゃ無いんだから!」
実の娘に言う台詞かよ。
このお屋敷から追い出されて長い間娼婦だったからしょーがないけど。
乳どころかもっと色々アレコレされるのが普通だったもんね。
そのお金でアタシを養ってくれたとかなら感謝もするけど、
隣でハクハクしてるおっさんに貢いでたのよね……。
アタシは物心ついた時からずっと、娼館の客の財布から抜いたり、娼婦達の世話をしたり手紙の代筆したりで喰ってたんだ。
しかもそんなアタシから、かあちゃん平然と金をむしり取ってた。
『娘なんだから母親を助けるのが当然よ』とかほざいてね。
血が繋がってるだけの相手に対する適切な(以下略)
「何度も何度も言ってますけど。
そもそもお貴族様のお仲間の輪になんかになりたくないんで、玉の輿自体お断りです」
「うそおっしゃい!
貴族様の奥方や愛人になれば、どんな贅沢だってし放題なのよ!」
そんなわけないでしょ。
どんな家にも収入と支出のバランスというがあってね……。
でも、この人にとって結婚ってのはそういうものなんでしょう。
『金払いのいい客を、ずっと捕まえておく』=結婚。
そうとでも思わないと、あそこではやっていけない。
実際、娼婦だって結婚する。
アタシも16歳になった時、最初のお客をとる時は、結婚させられる予定だった。
正式の結婚じゃないわよ。『薔薇の脚亭』での恒例行事。
娼婦デビューの日。
娼婦になる子は、全身を隅から隅までピカピカに磨き上げられ、豪華なウェディングドレスを着せられて。
その子の『はじめて』を買った客に提供されるという行事があったのよ。
それがアタシ達の結婚。残酷なごっこ遊び。惨めな初夜。一日限りのなんちゃって花嫁。
ごくごくたまに、それで惚れられて、本当に結婚出来た女がいるとかいないとか。
恐らくいないんでしょうね。だって、詳しく聞くと、又聞きばっかりだったもの。
そんな夢でもみないと心が潰れてしまうのが、アタシの生まれ育った場所。
かあちゃんの心は、とっくの昔に、どこかが潰れてしまったんだろう。
「それに、お前はこの人の血を! 由緒正しい貴族の血を引いてるんだから、本来ならこのお屋敷のお嬢様なんだから! 悔しいはずよ! 憎いはずよ! あの頭が少々足りない男をたらしこめば全てが手に入ったのに!」
そりゃアンタはね。悔しいでしょうよ憎いでしょう恨むでしょうよ。
このお屋敷にメイドとして奉公している時に、このおっさんのお手つきになって。
んで、アタシを孕んだら、マカロンお嬢様の母親に泥棒猫めと無一文で叩き出されて。
生きるため&このおっさんに貢ぐために娼婦になって。
でも、それはアンタの気持ちでしょうがっ。
もう日付も変わってるから遠慮することもないや。
「前から思ってたけど、お母様、いいや面倒くさいかあちゃん。頭にウジ湧いてるんじゃね?」
「なっっ」
「アタシに玉の輿なんかくるわきゃないでしょこのコンコンチキが!
寄って来るヤツは、体目当ての勘違い野郎ばっかり!
ピンクブロンドは股がゆるいと思い込んでるアホバカアホ!
しかも、アタシは碌な礼儀作法も身につけちゃいない。かてーしーだかかーてすーだかも出来ないんだから!
あんな場じゃ珍獣よ珍獣! 珍獣のピンクブロンドよ!
そういうのがいいと思うバカもいるでしょうけど、そんなバカとどうかなったら不幸一直線じゃない!」
「バカでもいいじゃないお貴族様なら! お金持ちなんだから!」
あー。この人終わってるわ。
一番よく知ってる貴族が、隣でオロオロしてるおっさんじゃ仕方ないけど。
その時、応接室の扉がゆっくりと開いた。
「誰が入っていいと言った! 下がりなさい!」
かあちゃんがヒステリックにわめいた。
恐らく、アタシと同じように、誰も入って来るなと言っておいたのだろう。
でも、アタシは全く驚かなかった。
公衆の面前で婚約者の妹ということになっている存在に言いよって、しかも体を触ってくるとか、人間として終わってます」
「相手は公爵令息ですよ!」
「それが何か? 婚約者の妹ということになっている存在に堂々と言いよってくる破廉恥男です」
「アッアンタ判ってないでしょ!
昔から男あしらいが下手くそで愛想のない子だったけど、まさかこんなチャンスまでぶちこわしにするなんて! あーもう信じられないっ!
貴族様がたの前で暴力なんてふるったら、パーティに二度と呼ばれませんよ!
貴女だって玉の輿にのりたいんでしょう!? その機会をみすみす! 下手すれば未来永劫!
胸だろうが股ぐらだろうが触らせておけばいいのよっ!
なんだったら物陰に誘ってやらせたっていいのよっ! 減るもんじゃ無いんだから!」
実の娘に言う台詞かよ。
このお屋敷から追い出されて長い間娼婦だったからしょーがないけど。
乳どころかもっと色々アレコレされるのが普通だったもんね。
そのお金でアタシを養ってくれたとかなら感謝もするけど、
隣でハクハクしてるおっさんに貢いでたのよね……。
アタシは物心ついた時からずっと、娼館の客の財布から抜いたり、娼婦達の世話をしたり手紙の代筆したりで喰ってたんだ。
しかもそんなアタシから、かあちゃん平然と金をむしり取ってた。
『娘なんだから母親を助けるのが当然よ』とかほざいてね。
血が繋がってるだけの相手に対する適切な(以下略)
「何度も何度も言ってますけど。
そもそもお貴族様のお仲間の輪になんかになりたくないんで、玉の輿自体お断りです」
「うそおっしゃい!
貴族様の奥方や愛人になれば、どんな贅沢だってし放題なのよ!」
そんなわけないでしょ。
どんな家にも収入と支出のバランスというがあってね……。
でも、この人にとって結婚ってのはそういうものなんでしょう。
『金払いのいい客を、ずっと捕まえておく』=結婚。
そうとでも思わないと、あそこではやっていけない。
実際、娼婦だって結婚する。
アタシも16歳になった時、最初のお客をとる時は、結婚させられる予定だった。
正式の結婚じゃないわよ。『薔薇の脚亭』での恒例行事。
娼婦デビューの日。
娼婦になる子は、全身を隅から隅までピカピカに磨き上げられ、豪華なウェディングドレスを着せられて。
その子の『はじめて』を買った客に提供されるという行事があったのよ。
それがアタシ達の結婚。残酷なごっこ遊び。惨めな初夜。一日限りのなんちゃって花嫁。
ごくごくたまに、それで惚れられて、本当に結婚出来た女がいるとかいないとか。
恐らくいないんでしょうね。だって、詳しく聞くと、又聞きばっかりだったもの。
そんな夢でもみないと心が潰れてしまうのが、アタシの生まれ育った場所。
かあちゃんの心は、とっくの昔に、どこかが潰れてしまったんだろう。
「それに、お前はこの人の血を! 由緒正しい貴族の血を引いてるんだから、本来ならこのお屋敷のお嬢様なんだから! 悔しいはずよ! 憎いはずよ! あの頭が少々足りない男をたらしこめば全てが手に入ったのに!」
そりゃアンタはね。悔しいでしょうよ憎いでしょう恨むでしょうよ。
このお屋敷にメイドとして奉公している時に、このおっさんのお手つきになって。
んで、アタシを孕んだら、マカロンお嬢様の母親に泥棒猫めと無一文で叩き出されて。
生きるため&このおっさんに貢ぐために娼婦になって。
でも、それはアンタの気持ちでしょうがっ。
もう日付も変わってるから遠慮することもないや。
「前から思ってたけど、お母様、いいや面倒くさいかあちゃん。頭にウジ湧いてるんじゃね?」
「なっっ」
「アタシに玉の輿なんかくるわきゃないでしょこのコンコンチキが!
寄って来るヤツは、体目当ての勘違い野郎ばっかり!
ピンクブロンドは股がゆるいと思い込んでるアホバカアホ!
しかも、アタシは碌な礼儀作法も身につけちゃいない。かてーしーだかかーてすーだかも出来ないんだから!
あんな場じゃ珍獣よ珍獣! 珍獣のピンクブロンドよ!
そういうのがいいと思うバカもいるでしょうけど、そんなバカとどうかなったら不幸一直線じゃない!」
「バカでもいいじゃないお貴族様なら! お金持ちなんだから!」
あー。この人終わってるわ。
一番よく知ってる貴族が、隣でオロオロしてるおっさんじゃ仕方ないけど。
その時、応接室の扉がゆっくりと開いた。
「誰が入っていいと言った! 下がりなさい!」
かあちゃんがヒステリックにわめいた。
恐らく、アタシと同じように、誰も入って来るなと言っておいたのだろう。
でも、アタシは全く驚かなかった。
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