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01 今夜の主役『呪われたピンクブロンド』(俯瞰視点)
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ワッフル侯爵家が主催するパーティは、いつにも増して盛況だった。
今夜、10年に一度起きるか起きないかの珍事が見られるからだ。
珍事のお題は『呪われたピンクブロンド』
主役はふたり。
一人はすでにスタンバイ済み。小柄な娘だ。
会場の隅に立つ姿は壁の花だ。
だが欺されてはいけない。あれは会場の男達の品定めをしているのだ。
腐臭を放つふしだらな花なのだ。
娘は、見事なピンクブロンドの髪の持ち主。
淑女の中の淑女と言われる、モンブラン侯爵家令嬢マカロンの義妹。
マカロン嬢の父が、屋敷勤めの侍女に誘惑されて関係をもち産まれた娘だ。
当然ながら、侍女も見事なピンクブロンドの髪の持ち主。
ピンクブロンドと関わるとろくでもないことになるのだ。まさしく呪い。
ふしだらな侍女は、出産もしないうちに、たっぷりと手切れ金をせしめて家から出て行き。
浪費の結果、すぐ金を使い果たし身を持ち崩し娼館へ墜ちた。
うんざりするほど良くある話だ。
そして、この続きも良くある話で。
屋敷を追放されたあとも、令嬢の父と元侍女の関係は続いており。
マカロン嬢の母が亡くなると、父は忌日があけた途端、娼館から元侍女とその娘を引き取った。
こうして不義の娘は、マカロン嬢の義妹となった。
せっかく追い払った卑しい血が侯爵家へ舞い戻ってきたのだ。
娼館で生まれ育った娘は、当然娼婦。
その証拠に、高貴な人々の集うパーティに出席しているとは思えないドレスを着ている。
真っ赤なドレスは透け透けで、肩や腕どころか、股下ギリギリまで丸見えだ。
しかも胸の部分は大きく開いて、小柄な割には豊満な乳房が、先端ギリギリまで見える。
まっとうな貴族の令嬢なら、恥ずかしさの余り、卒倒する格好だ。
卑しく強欲な母と娘は、屋敷で我が物顔にふるまっているそうな。
淑女の中の淑女と呼ばれたマカロン嬢は、哀れ本宅を追い出され、あばら屋同然の離れへ追いやられ。
全てのドレスと宝飾品を奪われ、服装は使用人なみ、食事は残飯。
マカロン嬢に味方する奉公人達は次々とお屋敷を追い出された。
おいたわしいことだ。
今夜、10年に一度起きるか起きないかの珍事が見られるからだ。
珍事のお題は『呪われたピンクブロンド』
主役はふたり。
一人はすでにスタンバイ済み。小柄な娘だ。
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だが欺されてはいけない。あれは会場の男達の品定めをしているのだ。
腐臭を放つふしだらな花なのだ。
娘は、見事なピンクブロンドの髪の持ち主。
淑女の中の淑女と言われる、モンブラン侯爵家令嬢マカロンの義妹。
マカロン嬢の父が、屋敷勤めの侍女に誘惑されて関係をもち産まれた娘だ。
当然ながら、侍女も見事なピンクブロンドの髪の持ち主。
ピンクブロンドと関わるとろくでもないことになるのだ。まさしく呪い。
ふしだらな侍女は、出産もしないうちに、たっぷりと手切れ金をせしめて家から出て行き。
浪費の結果、すぐ金を使い果たし身を持ち崩し娼館へ墜ちた。
うんざりするほど良くある話だ。
そして、この続きも良くある話で。
屋敷を追放されたあとも、令嬢の父と元侍女の関係は続いており。
マカロン嬢の母が亡くなると、父は忌日があけた途端、娼館から元侍女とその娘を引き取った。
こうして不義の娘は、マカロン嬢の義妹となった。
せっかく追い払った卑しい血が侯爵家へ舞い戻ってきたのだ。
娼館で生まれ育った娘は、当然娼婦。
その証拠に、高貴な人々の集うパーティに出席しているとは思えないドレスを着ている。
真っ赤なドレスは透け透けで、肩や腕どころか、股下ギリギリまで丸見えだ。
しかも胸の部分は大きく開いて、小柄な割には豊満な乳房が、先端ギリギリまで見える。
まっとうな貴族の令嬢なら、恥ずかしさの余り、卒倒する格好だ。
卑しく強欲な母と娘は、屋敷で我が物顔にふるまっているそうな。
淑女の中の淑女と呼ばれたマカロン嬢は、哀れ本宅を追い出され、あばら屋同然の離れへ追いやられ。
全てのドレスと宝飾品を奪われ、服装は使用人なみ、食事は残飯。
マカロン嬢に味方する奉公人達は次々とお屋敷を追い出された。
おいたわしいことだ。
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