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前編

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あつむ、金」

 恋人のたっくんがぞんざいにそう言って手を差し出してくる。

「どこか行くの?」
「パチンコ」
「そっかー」

 面倒臭そうに答えるたっくんに、財布から取り出したお金を渡す。
 無言でお金を受け取って、たっくんはそのまま玄関に向かった。

「行ってらっしゃい、たっくん」

 振り返らないたっくんを、手を振って見送る。
 僕もバイトがあるから、急いでやることを済ませておかないと。
 部屋の掃除に洗濯。あとご飯も作っておかなきゃ。たっくんはいつ帰ってくるかわからないし、食べるかどうかもわからないけど。作っておけば、外で食べてこなかったら食べてもらえるから。
 僕の生活はたっくんを中心に回ってる。
 幸せな毎日だった。
 平凡で取り柄のない、冴えない僕の傍にいてくれるたっくんの事が僕は大好き。住むとこ追い出されたって、僕の住んでるアパートに来てくれて、今では一緒に住んでる。
 たっくんは働いてなくて、たまーにパチンコで勝った時にお菓子を持って帰ってきてくれる。
 僕はたっくんと自分の生活費の為にバイトでいっぱい働いてお金を稼いでる。
 僕のお金でたっくんは生活してる。
 好きな人に頼られてるなんて、幸せだ。
 たまに殴られる時もあるけど、それは僕がたっくんを怒らせてしまったから。僕が悪いから仕方ない。ただむしゃくしゃしてるからって理由で殴ってくる事もあるけど、その感情を僕にぶつけてくれる事が嬉しかった。
 数日帰ってこない時もあって、そんな時はたっくんの事が心配で心配でたまらないけど、連絡はしちゃダメってきつく言われてるからひたすら我慢するしかなくて、それがとても辛い。でも、たっくんは必ず僕のところに帰ってきてくれて、帰ってきてくれた時は心から嬉しいって思える。
 たっくんは僕をこんな気持ちにさせたくて、だから帰ってこないんだと思う。
 そんな風に喜ばせてくれるたっくんが、僕はもっともっと好きになっていく。
 たっくんが喜んでくれるなら、バイトも家事も全然苦にならない。いくらでも頑張れちゃうんだ。
 バイトの時間に間に合うように家事をこなしていると、チャイムが鳴った。
 誰だろう、なんて考える事もなく僕は玄関に急いだ。

「はーい、どちら様ですかー?」

 声をかけながらドアを開けた。
 するとそこに立っていたのはとっても綺麗な顔の男の人だった。
 たっくんもカッコいいけど、この人は次元が違う。体格もスラッとしてて、非の打ち所のないってこういう事を言うのかなってくらい完璧な美貌の持ち主だった。
 思わず見惚れちゃって、慌てて視線を逸らす。
 僕はたっくん一筋なんだから。いくら美形だからって、見つめるなんてダメ。胸がドキドキしてるけど、これは綺麗な景色を見たときと同じで、別にトキメキとかじゃないから。
 なんて、一人で言い訳をしてしまう。

「はじめまして、侑」
「はぇっ……!?」

 名前を呼ばれてビックリして、また目の前の男の人を見ちゃう。綺麗な人は声も綺麗なんだな……って関係ない事を考えながら。

「えっ? あ、えっと、どちら様……ですか……? 知り合い……じゃない、ですよね?」

「はじめまして」って言ったから、初対面のはず。でも、じゃあどうして僕の名前を知ってるんだろう。

「あっ! もしかして、たっくんのお友達?」
「ははっ、違うよ。あんなクズと友達なんて、金積まれてもムリだから」

 あまりにも綺麗な笑顔で言うものだから、何を言われたのかすぐに理解できなかった。

「へ……? は、え……? く、クズって……あ、え……たっくんのこと……?」
「うん、そうだよ」
「ひ、ひどいっ……! なんでそんなこと……っ」

 たっくんの事を悪く言われて、カッと頭に血が上る。

「さ、サイテー、です! 誰だか知りませんけど、もう帰ってください……!」

 ドアを閉めようとするけど、それを阻むようにガッチリ押さえられてしまう。

「可哀想に……。すっかりあの男に侵されて……」

 悲哀に満ちた目で顔を覗き込まれて、慌てて仰け反る。

「やっ……なに、なんなんですか、あなた……!?」
「俺は侑を助けに来たんだよ。準備に時間がかかって、遅くなってごめんね」
「ひっ……! 近づかないで……! なに言ってるの!? わけわかんない、帰って、出てってよぉ!」

 どんどん近づいてくるから、僕は怖くて後退る。
 土足で部屋に上がられて、外への逃げ道は目の前の男の人に塞がれて、わけがわかんなくて、体を震わせて怯える事しかできない。

「やだ、怖いぃっ……来ないで、助けてぇ……!」
「大丈夫。俺が侑を助けてあげるからね」

 わけのわからない事を言って、距離を縮めてくる。恐怖で体が竦んで、すぐ近くまで来られても僕は動けない。
 あっという間に変な薬を嗅がされて、僕の意識は遠退いていった。





「んん……」

 ゆっくりと意識が覚醒して、僕は瞼を持ち上げる。
 ぼんやりと天井を見つめて、自分の体の違和感に気づいた。
 ベッドに寝かされた僕は手首を拘束されて、頭上で纏められてる。

「ひっ……なにっ……!?」

 体を起こそうとするけど、拘束されていてできない。
 パニックに陥りかけながら辺りに視線を向けて愕然とする。部屋の中は壁が見えないくらい無数の写真がはりつけられていた。

「ぼ、僕の、写真……?」

 全ての写真に僕が写ってる。しかも全部カメラ目線じゃなくて、明らかな隠し撮りのやつだ。

「そうだよ」
「ひっ……」

 近くから声が聞こえてビクッと肩を竦める。
 顔を向けると変わらず綺麗な顔をしたあの男の人がいた。彼はうっとりと微笑んでいる。

「侑の写真、まだまだ沢山あるんだよ。これからもいっぱい撮ろうね」
「なに、言って……」

 もしかして、だけど……。この人は僕のストーカー?
 そんなまさか。こんな美形が、僕みたいな平凡をストーカーなんてあり得ない。
 でもこの写真を見る限り、ストーカーとしか思えない……。気絶させて、こんな変なところに連れてきて……どう考えても異常者だ。

「と、とにかく、僕を帰してください……! 手首の、外して! 僕、これからバイトだし……こ、困ります……!」
「大丈夫。もう侑は働かなくていいから。お金は俺が稼ぐから、侑はずーっとここにいて」
「やっ……変なこと、言わないで……! こ、こんな……誘拐、ですよ……。今、帰してくれたら……僕、警察とか行きませんから……!」
「誘拐? なに言ってるの。俺達は結婚するんだよ?」
「け、結婚って……。なんで僕が、あなたなんかと……!」
「当然でしょう? 俺達は愛し合ってるんだから」
「違う! 僕が好きなのはたっくんで、あなたなんかじゃ……!」

 ダァン……!!

「ひぃっ……!」

 間近で強く壁を殴る音に、ビビって身を縮める。
 ストーカーの男の人はゾッとするような暗い瞳で僕を見下ろしてた。

「あんなクズの名前、二度と呼べないようにしてあげる」
「ぁ……う……」
「すぐに忘れさせてあげるからね。アイツの存在、侑の記憶から消そうね」
「ひぅっ……」

 にっこり微笑む男の顔が近づいてきて、思わずぎゅっと目を瞑る。
 ふにゃりと、柔らかい感触が唇に触れた。
 ビックリして目を開けると、視界いっぱいに綺麗な顔が。
 キスされてるって気づくのに数秒時間がかかった。

「んっ……んんっ……!?」

 顔を背けようとするけど、ぐって強く顎を掴まれて動けない。

「んゃあ……っ」

 抵抗できないからせめて拒絶の言葉を上げようとするけど、口を開けたらすかさずぬるぬるしたものが侵入してきた。

「んんーっ」

 やめてと必死に叫ぶけど、全部キスに飲み込まれてしまう。
 キスなんて、たっくんとだってしたことない。
 キスしたいって頼んでも、お前とキスなんて気持ち悪くてできるわけねーだろって断られちゃったから。
 キスは気持ち悪いものなんだって、僕はたっくんに教えてもらったのに。
 どうしてこの人は僕とキスなんてするんだろう。
 気持ち悪くないの?
 微塵も嫌悪なんか感じてないのか、彼の舌が僕の口の中をめちゃくちゃに舐め回してる。

「んぁっ、あっ、んっ、んっ、はっ、ぁんんっ」

 ぴちゃぴちゃ音を立てながらぬるぬるの舌で中を擦られて、好き勝手されてるのに僕は気持ち悪いなんて思わなくて。
 背中がぞくぞくして、下半身がじんじんしてくる。
 舌をちゅうって吸われて、口の中の上の部分を舌で擦り上げられて、体がびくびく震えて頭がぼうっとしてくる。
 アソコがむずむずしてきて、僕は太股を擦り合わせた。
 どうしてこんなことになっちゃうんだろう。キスは気持ち悪いもののはずなのに。こんなになるなんておかしいのに。

「んはぁぁぁ……っ」

 漸く口を離してもらえて、僕ははあはあって一生懸命呼吸を繰り返した。
 そんな僕に、男の甘い甘い視線が絡み付く。

「キスだけでそんな蕩けた顔して……。可愛いね。気持ちよかった、侑?」
「っ……きもち、よくなっ……キス、なんて、きもちわるい、もんっ……」
「そっか。恋人とキスするのははじめてだからまだわからないんだね。これからいっぱいして、恋人同士の気持ちいいキス、覚えていこうね」

 僕の恋人はたっくんで、この人じゃないのに。勝手に恋人扱いして、僕の唾液で汚れた唇を親指で撫でてくる。

「も、キス、しないっ……おうち、帰して……っ」
「変なこと言うね。侑のおうちはここでしょ?」
「んひゃっ……」

 耳の中に息を吹き込むみたいに囁かれて、擽ったくて変な声を出しちゃう。

「可愛い……。耳、感じちゃう?」
「ち、がっ……あっ、やっ……」

 耳元で喋られると息がかかってびくびくってなっちゃう。背中のぞくぞくが止まらない。

「びくびくしちゃって、可愛い」
「きゃうぅ……っ」

 ぬるーって耳を舐められて、思わず大きい声が口から漏れた。僕は反射的に唇を噛んで声を抑える。
 僕が大きい声を出すと、うるさいってたっくんにいつも怒られてたから。我慢するのが癖になってる。

「こーら」
「っ……」

 やっぱり、この人も大きい声を出したら怒るんだ。
 僕は必死に唇を噛み締めた。
 けど、引き結んだ唇を彼の指でこじ開けられる。

「唇噛んじゃダメだよ。声は我慢しないの」
「ふぇっ……?」

 たっくんと真逆の事を言われて、戸惑ってしまう。

「気持ちよかったら、いっぱい声出していいんだよ」
「ら、め……こえ、うるはいから……」

 舌を指の腹で擦られて、口の端からたらたら涎が零れちゃう。こんなの、たっくんだったら汚いって怒ってる。なのにこの人は、汚いのに全然怒らない。ぬちゅぬちゅって舌を指で扱くように擦られて、「へあぁあっ……」って情けない声を出しちゃっても嗤ったりしない。

「うるさくないよ。侑のエッチな声、いっぱい聞かせて」
「ひゃぁっ、あっあっ、ひはあぁぁっ」

 ぬるぬるぬるぬる、舌で耳を舐め回される。
 ぬちゃぬちゃいやらしい音が響いて、ぞくぞくぞわぞわして腰をくねらせた。

「ふふ……気持ちよくて腰動いちゃうの?」
「ひがっ、あっ、くしゅぐったぃ、だけ、あっあっはぁあっ、きもちく、ないぃっ」
「じゃあ耳が気持ちよくなるまで舐めようね」
「んゃぁああっ」

 耳の中まで舌を這わされて、びくんっびくんって体が跳ねた。

「ふぉっ、おっ、んぁあっ、あっ、やあぁっ」

 ぬちゅうって舌を耳の穴の中に突っ込まれて、ちゅぽちゅぽ出し入れされて、ぞくぞくする感覚に背中が仰け反る。

「らめっ、らめぇっ、みみっ、らめっ、なめるのらめっ、あっあっはひっ、やめ、も、やめへぇっ」

 ぢゅうっちゅぱっていっぱい吸われて、体がびくびくするのが止まらなくて、僕はやめてって懇願した。だってこんなの怖い。体がこんな風になるなんておかしい。

「やらぁっ、あぁっ、やめてっ、やあぁっ」
「だーめ。侑が気持ちよくなってくれるまでやめないよ」
「っ、あっ、きもちぃっ、きもちいいからぁっ」

 怖くて、やめてほしくて、僕は「気持ちいい」って繰り返した。

「ほんと? 俺に耳舐められるの気持ちい?」
「いいっ、きもちいいぃっ」
「俺の名前、隼人はやとだよ。隼人に耳舐められるの気持ちいいってちゃんと言って」
「ひぅっ、んっ、きもちぃっ、はやと、にっ、みみなめられるのっ、きもちいいっ」
「あはっ、可愛いっ……もっともっと気持ちよくなって……っ」
「ひゃあああぁんっ」

 気持ちいいって言ったのに、舐めるのをやめてくれなくて。むしゃぶりつくみたいにねぶり回される。

「やあっ、あっあっ、やらぁぁっ、みみ、らめぇっ、あっひっ、んっ、へはぁぁぁっ」

 耳を舐められてるのに、下半身がむずむずする。腰が浮いて、勝手にへこへこって揺れちゃう。
 恥ずかしい。怖い。なにこれ。僕、なにされてるの?

「やっ、なに、なんで僕にこんなことするのっ……僕に、なにするつもりなの……っ」
「なにって……恋人同士のセックスだよ?」

 当然のことみたいに言われて、僕は戸惑う。

「せっ……くす……? ち、違う、も……こんなの、セックスじゃないぃ……っ」

 たっくんがしてくれるセックスはこんなんじゃない。
 たっくんとセックスする時、僕は痛くても苦しくても絶対声出しちゃダメなんだ。たっくんは僕の口やお尻におちんぽを突っ込んで、僕が動けないように押さえつけて激しく出し入れする。痛くて反射的に体が逃げようとしちゃって、そうするとたっくんは「逃げるな」って怒鳴って更に激しくおちんぽを動かす。たっくんが射精して満足したら終わり。
 たっくんが気持ちよくなって、スッキリする。それがセックスで、キスしたり、耳を舐めたり、こんなのセックスじゃない。

「ああ、そっか。侑は恋人同士のセックスもはじめてだもんね」
「は、はじめてじゃないっ」
「大丈夫。俺が全部教えてあげるから」
「やっ、いらないっ、やだぁっ」

 隼人は僕の話なんて聞いてくれなくて、僕の服を捲り上げてしまう。

「下も脱いじゃおうか。さっきからもじもじして窮屈そうだし」
「ひっ、やだやだやだぁっ」

 足をばたつかせて抵抗するけど、簡単に押さえつけられてあっさり脱がされてしまう。
 下半身を剥き出しにされて、僕は恥ずかしくてたまらない。
 しかも、おちんぽが勃ってしまってる。たっくんといる時はこんな風にならないのに。なんでこうなっちゃうのか、自分の体がわからない。
 隼人は僕のそこを見て、嬉しそうに目を細めた。

「やっぱり、もうおっきくなっちゃってたね。先っぽからこんなにぬるぬるが溢れて……」
「んひぁああっ」

 くちゅくちゅっておちんぽの先を指で擦られて、はしたない声を上げてしまう。痺れるみたいな感覚がそこから生まれて、僕は目を見開いて体を震わせた。
 そんなところ、誰にも触られたことなんてない。たっくんだって触らない。どうして彼は躊躇いもなく触れてくるんだろう。

「びっくりしちゃって可愛い。おちんぽ気持ちいいね?」
「きも、ちい……っ?」
「そう。気持ちいいんだよ」
「んひっ、ひっあっあっあっあーっ」

 溢れた体液を塗りつけるみたいに先端を指で撫で回されて、強すぎる刺激に悲鳴みたいな声が上がる。
 こんなに大きな声を出してるのにやっぱり彼は怒ったりしない。寧ろ嬉しそうに僕のおちんぽを弄り続ける。

「ひっおっ、おぉっ、んっひっ、あっ、らめっ、らめぇっ」

 腰が浮き上がってガクガクする。先走りがだらだら流れてくる。射精感が込み上げてきて、僕は懸命にそれを我慢する。セックス中、お前は射精するなよってたっくんにきつく言われてるから。
 たっくんとセックスしてる時は僕のおちんぽは勃ったりしないから、我慢なんかしなくても射精する心配なんてないのに。だってたっくんは僕のおちんぽには指一本触れたりしないし、僕だって自分のは触らない。たっくんの快感だけを優先してるから。
 それなのに、この人の言うセックスはたっくんのセックスと全然違う。こんなの怖い。

「やあぁっ、やめへっ、おちんぽくちゅくちゅしないれぇっ、あっあっああぁっ、いっちゃうぅっ、でちゃうの、やめてぇっ」
「イッていいよ。俺の手に出してごらん」

 耳元で囁いて、先っぽの穴をくちゅくちゅくちゅくちゅ擦られる。

「あひぁあああっ、らめぇっ、先っぽぉっ、おっ、ひぃっ、いっくぅぅっ、でる、でちゃうぅっ、ひっおっおっおっお~~~~っ」

 我慢できなくて、下品な声を上げながら、下品に腰を突き出して射精してしまう。
 射精なんてずっとしてなかったから、強すぎる快感に頭がくらくらして、目の前がチカチカする。
 別にオナニーも禁止されてたわけじゃないけど、特にしたいとも思わないから射精するのは随分久しぶりだった。
 ぴゅっぴゅって吐き出した精液で隼人の手を汚してしまう。たっくんにこんなことしたら絶対に殴られてた。なのに彼はやっぱり怒らない。
 なんで? あんな汚い声出して、手も汚しちゃったのに。

「上手に射精できたね、侑。いい子」

 褒めながら頭を撫でられて、そんなのされたことなくて胸がきゅんきゅんする。

「しゃせぃ……いいこ、なの……?」
「うん。上手に射精できて、侑はとってもいい子だよ」
「ふぁぁ……っ」

 頭をなでなでされると嬉しくなっちゃう。もっともっとって心と体が求めちゃう。
 そんなのダメなのに。

「たくさんイこうね」
「あひっ、ひはぁっあああっ」

 いったばかりのおちんぽを精液でぬるぬるの手で扱かれて、強烈な快楽に身悶える。

「はひぃっんんっ、らめっ、ひっ、ぃっ、いま、おちんぽくちゅくちゅらめぇぇっ」
「気持ちよすぎて痙攣しちゃってるね。大丈夫だよ、また気持ちよく射精しようね」
「あっあっあっあっあっ、ひぃっんぅっ、らめっ、ぃっ、くぅっ、ああっ、いくいくいくぅっ」

 我慢なんて許されなくて、おちんぽをちゅこちゅこ擦られてあっという間に限界がきた。
 大きく仰け反り、ぎゅうって爪先を丸めて激しく射精する。

「っ、ひっくぅぅぅんっ」

 射精の余韻に浸る暇もなく、いったばかりのおちんぽの先端を掌に包まれて擦られた。

「やらやらやらぁっ、もうらめっ、やめてぇ゛っ、おちんぽいじらないでぇっ、ああ゛っあっあっあっんひぃいっ」
「大丈夫だよ。敏感になってるおちんぽ、いっぱい弄ってすっきりしようね」
「ひんぅ゛ぅ゛っ、くっひぃんっ、やめっ、はなしてっ、あっあっ、らめっ、おねがいぃっ、でる、でるっ、でちゃうのっ、しゃせいじゃないのっ、らめぇっ、ひはぁあんっ」
「びくびく震えて可愛いよ、侑。精液じゃないの出しちゃおうね」

 やめてって必死に訴えてるのに全然やめてくれなくて、僕は涙を流して首を振り立てた。
 精液にまみれた掌で、ぐちゃぐちゃに先端を擦り回され続ける。
 我慢するけど、もう限界だった。

「んひっぃぃっ、もれぢゃっ、あ゛っ、でるっ、ぅぅっ、──~~~~っ」

 ぷしゃあって、おちんぽから体液が噴き出す。勢いがすごくてあちこちに飛び散ってる。

「あ゛ぁっ、ひっ、ごめ、なしゃっ、ああっ……」

 恥ずかしさと情けなさと申し訳なさに涙をぽろぽろ流しながら謝った。

「謝らなくていいんだよ」
「ひっく……うぅっ……でっ、でも、いっぱい、よごして……っ」
「うん。たくさん出せて偉いね。いい子いい子」

 泣きべそをかく僕を、隼人は褒めてくれる。
 こんなに汚して、悪いことをしているはずなのに。いい子だねって優しい笑顔で言ってくれる。
 そうされると、胸がぽわぽわ温かくなる。
 彼が怒らないで褒めてくれるから、これはいい事なんだって思えてくる。

「ぼく、いいこなの……?」
「うん。侑はいい子だよ」

 うっとりと微笑みながら、隼人は僕の体に飛び散った体液を舐める。

「あっ、だめ、汚い、からぁっ」
「汚くないよ。すごく美味しい」

 そんなわけないのに、隼人は本当に美味しそうに肌に舌を這わせてくる。ぴちゃぴちゃ音を立ててねぶられて、またぞくぞくしてきちゃう。

「んゃあっあんっ、なめちゃ、やあぁっ」
「どうして? 侑の美味しいの、いっぱい舐めさせて」
「ふあぁっんっ」

 熱くてぬるぬるの舌が、僕の乳首を舐め上げた。そこは勝手にツンと尖ってて、舐められるとむずむずする。ちゅうって吸われるとびくって背中が浮いた。
 たまにたっくんにぎゅうって引っ張られる時があって、すごく痛くて、だから乳首を刺激されるのは苦手なのに。
 隼人に舐め回されると気持ちよくなる。吸われるのも、優しく歯を立てられるのも。全部気持ちいい。

「あぁんっ、んっあんっあっああっ」
「侑の可愛い乳首、美味しいよ」
「やぁぁんっ」

 恥ずかしいし、こんなの嫌なはずなのに。嫌じゃなきゃおかしいのに。
 もし拘束を解かれても、逃げようなんて思えなくなってる。
 自分の変化が怖くて、いやいやって首を振って形ばかりの抵抗を見せた。

「やだぁっ、あっあんっ、やめてぇっ、ちくび、しないれぇっ」
「どうして? 乳首されるの気持ちいいでしょ?」
「んっあっあっ、よくな、もんっ」
「ウソついちゃダメだよ。おちんぽまた勃ってるよ?」
「あぅっ……」

 おちんぽの根元から先までをつーって指で撫でられる。さっき出したばっかりなのに、隼人の言う通りもう勃っちゃってる。
 いつもは全然勃ったりしないのに。

「やらぁっ、おちんぽ、へんになったぁっ……隼人が、いっぱいいじるからぁ……っ」
「あはっ、可愛いなあ……。泣かないで。大丈夫、変じゃないよ。気持ちいいとおちんぽ勃っちゃうのは普通のことだよ」

 隼人は僕の胸元から離れて、下半身の方へ移動する。

「だから、何回でもイッていいからね」
「ふぇっ……?」

 脚を広げられたかと思ったら、隼人は躊躇うことなく僕の股間に顔を埋めた。

「んきゃぁあっ」

 おちんぽをぬめった粘膜にすっぽり包まれて、強烈な刺激に思わず変な悲鳴を上げてしまった。
 信じられない気持ちで隼人を見つめる。
 隼人は僕のおちんぽを平然と口に含んでいた。

「うそっ、やらぁぁっ、だめ、だめぇっ、そんなっあひぁあっあぁんっ、きたない、からぁっ、だめっ、あっあっあっあーっ」

 必死に身を捩ろうとするけど、腰を掴まれて動けない。
 柔らかくて温かい粘膜におちんぽ全部を包み込まれて、気持ちよすぎておかしくなりそう。
 咥えられてるだけでもすごいのに、隼人はれろれろ舌を動かして、ちゅうちゅう吸い付いて、じゅぽじゅぽ出し入れしたりするから、僕は快感に悶え続けた。

「ひっあっあっあっ、あああっ、あ゛っ、ひぃっ、らめぇっ、そんな、しちゃぁ゛っ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ」

 先っぽの穴にぐりぐりって舌先を捩じ込むみたいに舐められて、刺激が強すぎて痛みと紙一重の快感に悲鳴を上げる。

「はひぁああ゛、い゛くっ、いくっ、いっちゃあああっ、んぅ゛う゛~~~~~~っ」

 早く出せと言わんばかりに攻め立てられて、僕は呆気なく射精した。

「はっ、ひっ、ひっ……くふぅっ……んんんんっ、やっ、すっちゃ、ぁああっ」

 残滓を吸い出すみたいにぢゅうっていった後のおちんぽを吸われて、ビクビク震えが止まらない。
 ごくごくって隼人の喉の音が聞こえて、それから彼は口を離した。

「んっ、はあっ……美味しい、侑の精液……」
「そんなの、うそ、だも……おいしくないもん……」

 たっくんは僕の口に出した時、零さないで全部飲み干せって言ってくる。精液はドロドロしてて苦くて美味しくないけど、吐き出したら怒られるから僕はいつも我慢して飲み込んでた。
 あんなの、美味しいわけない。
 でも隼人の顔は恍惚としてて、本当にまるで美味しいものを口にしたかのようだ。

「侑はまだ知らないだけだよ。愛する人の体液はなによりも美味しいって感じるんだってこと」
「っえ……」

 当然の事のように言われて狼狽した。
 だって僕はたっくんの事、誰よりも好きなはずなのに。彼の精液を美味しいなんて思った事ない。

「そんなの、う、うそだもん……っ」
「ウソじゃないよ。俺は侑の事を心から愛してるから、侑の何もかもを美味しいって感じるんだよ」
「ひゃっ……!?」

 腰を持ち上げられて、恥ずかしい箇所が丸見えになっちゃう。
 そんなところ汚いのに、隼人はうっとりとした目で見つめてる。

「侑のここも、すごーく美味しそうだね」
「えっ、あっ、うそ……!?」

 隼人の顔がどんどんそこに近づいて、僕は愕然とした。




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