BL短編まとめ(現) ①

よしゆき

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軽い気持ちで

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 性欲の強い受けが軽い気持ちで友達にセックスしないかと誘ったらキレられて襲われる話。
 攻めが一方的に受けを愛してる。
 受けは色んな男との経験あり。

 現代 大学生 無理やり


─────────────




(あー、ムラムラする……)

 諒弥りょうやはイライラしながらノートにペンを走らせた。
 現在、諒弥は友人宅でレポートを書いていた。しかしムラムラして全く集中できない。
 諒弥は性欲が強かった。それを自覚していて、頻繁に発散させていたのだが、ここ最近それができていないのだ。
 自慰だけで満足できない諒弥には、発散させるための相手が必要だ。しかし決まった相手がいなかった。
 中学時代、諒弥には付き合っていた女子がいた。交際は順調だったのだが、ある日彼女の友達に告白された。もちろん告白は断った。それなのに友達が彼女になにか吹き込んだのか、浮気を疑われ、色々と面倒なことになり、結局その彼女とは別れることになった。
 そのごたごたが起きてから嫌気が差し、諒弥は女子と付き合うのを躊躇うようになった。
 だから性欲の発散は常に自慰で済ませていた。
 最初は手で。物足りなくなってオナホを使うようになり、それにも飽きてきて興味本位でアナルを弄ったらその快感にハマって、アナルセックスを体験してみたくなった。
 高校生になってから、諒弥はそれ専用の掲示板で相手を捜した。大学生になった今でも、そうして適当な相手を見つけてセックスをするようになった。
 あくまで性欲処理であり、深い関係になるつもりは毛頭ない。セックスはするが、キスはしないし諒弥がフェラをすることもない。諒弥はゲイではないので、相手には体だけの関係を望んだ。
 相手もそういうタイプを選んでいるのだが、一回セックスをしただけで諒弥に好きだと言ってきて恋人になってほしいと迫ってくる輩が多かった。最後に相手をした男にもしつこく言い寄られて、うんざりした諒弥は、それから次の相手を見つけられずにいた。またそういう相手を引っ掛けてしまったらと思うと、誰も選べなくなってしまった。
 そんな理由で、諒弥は一ヶ月くらいセックスできていない。自慰はするがやはり物足りない。ちっとも満足できないのだ。
 諒弥はストレスが溜まるとムラムラする。それを発散できずにイライラして、更にムラムラが高まっていくのだ。
 正直、レポートなんてできる状態ではない。

(あー、ムラムラが治まらなくてイライラする……)

 ノートにぐちゃぐちゃとペンを滑らせながら、諒弥は隣で黙々とレポートに励んでいる友人の彰宏あきひろを横目に見た。
 男らしい精悍な顔立ちに、逞しい体。性欲とは無縁そうな硬派な雰囲気を纏っている。
 彼とは高校で同じクラスになり、席が近いことから話すようになって、こうして家に招かれる仲にまでなった。
 友人と呼べる関係ではあるが、諒弥が性欲旺盛で男相手に何度もセックスしてるなんてことは彰宏は知らない。そんなことを教えれば、普通に引かれるだろう。友人だからって、わざわざ言い触らすようなことではない。

(そういえば、こいつチンコでかかったよな……)

 彰宏を見ながら、ぼんやりとそんなことを考える。じっくりと見たことはないが、トイレでチラッと目に入ったとき、その大きさに些か驚いた。勃起したらどれくらいなのだろう。
 そんなことを考えていると、もう無視できないほどにムラムラがピークに達していた。
 アナルが疼き、諒弥は腰を動かし臀部を床に擦り付ける。
 このままではレポートは全く捗らない。正直もうレポートどころではない。
 とにかく一回ヤッてスッキリしたかった。
 とりあえずもう、手っ取り早く手近で済まそうと考えた。
 そして諒弥は、本当に軽い気持ちで彰宏に言ったのだ。

「なぁ、彰宏。俺のケツにチンコ嵌めてみねぇ?」
「………………は?」

 たっぷり間を開けてから、彰宏は顔を上げた。
 彼は怪訝そうな表情を諒弥に向ける。

「今、なんて言ったんだ?」
「いやだから、俺のケツにチンコ嵌めねー? って」
「なにを言ってるんだ?」

 彰宏のものすごい胡乱げな視線が突き刺さり、諒弥も少し冷静さを取り戻した。
 そんなこと、友人にいきなり言われて受け入れる男などいないだろう。異性ならまだしも同性の友人相手に。

「あー、悪い。ちょっとムラムラし過ぎて頭おかしくなってたわ」

 諒弥は声を立てて笑い、冗談ぽく言い訳した。

「俺って人より性欲強いんだよなー。発散させないと、すぐムラムラすんの。最近セックスしてなかったから、無性にムラムラしてきちゃって。いきなり変なこと言って悪かったな。冗談だと思って聞き流してくれよ」
「…………」
「俺、今日はもう帰るわ。全然集中できないし」
「待て」

 立ち上がろうとすると、がっちり腕を掴まれた。
 なにやら剣呑な空気を放つ彰宏に、諒弥は頬を引きつらせた。

「な、なんだよ、んなマジな顔して……」
「お前、男とセックスしてるのか?」

 下ネタなんて普段は一切口にしない彰宏の口から「セックス」という単語が飛び出し、諒弥はびっくりしてすぐに反応できなかった。

「答えろ、諒弥」
「へ? え、あ、ああ、えっと、うん、してる」
「誰と」
「ええ?」
「相手は誰だ」
「誰って……大体名前も知らないようなヤツだよ。殆ど一回きりだし……」
「……お前は、性欲を発散させるために、色んな男と関係を持っているのか?」
「関係って……まあ、一回ヤッて終わりだけどな」

 どうしてこんなに突っ込んで詳しく訊いてくるのだろう。諒弥がいきなり変なことを言い出してしまったから、混乱しているのかもしれない。そりゃそうだ。イライラとムラムラが治まらなくてついあんなことを口走ってしまったが、友人の彰宏に言っていいことではなかった。
 諒弥は後悔した。軽蔑され、もう友人ではいられなくなってしまうかもしれない。

「悪い、彰宏。今言ったこと、忘れてくれ。俺はできればこれからもお前とは友達でいたいと思ってて……」
「許さない」
「…………えっ?」

 いつもは寛大な彰宏の口からはっきりと言われた言葉に、諒弥は狼狽した。
 なんで。どうして。今まで隠していたから? 男に抱かれるような気持ち悪いヤツとは友達でいたくない?
 不安に駆られ、諒弥は彰宏を見つめる。
 すると彼はゆらりと立ち上がった。腕を掴まれている諒弥も自然とそれに倣う。

「許せるわけないだろう」

 彰宏は低く抑揚のない声で言う。無表情なのが余計に怖かった。

「いや、隠してたのは悪かったけど、でもこんなこと軽々しく言えることでもねーし……」
「俺の気も知らないで」
「わ、悪かったよ、けどさ……ぁあ!?」

 必死に言い募ろうとする諒弥を、彰宏は乱暴にベッドに投げ飛ばした。

「うおっ……ちょ、な、なにすんだよっ」

 まさか暴力を振るうつもりなのかと諒弥は焦る。中学、高校時代運動部に所属し今でもガッツリ体を鍛えている彰宏に、ずっと帰宅部で人並みの筋肉しか持たない諒弥が勝てるわけがない。
 彰宏は逃げようとする諒弥を押さえつけ、服を脱がせる。その脱がせた服を諒弥の両手首に巻き付け、頭上で纏めてベッドにくくりつけた。
 諒弥は本格的に身の危険を感じた。
 まさか、男に抱かれていることを軽く打ち明けただけで自分は殴られるのか。そこまで彼を不快にさせてしまったのか。
 二人の友情にヒビが入ってしまったのは確実だった。こうなってしまった以上、もう彰宏とは今まで通りの関係を続けていくことは不可能だろう。
 自分の不用意な発言がこんな結果を招いてしまったなんて。軽はずみに言っていいことではなかったのだ。
 諒弥は諦めたように溜め息を吐く。

「悪かったよ、変なこと言って。もう二度とお前に近づかない。話しかけたりしねーよ。謝るから、ほどいてくれよ」
「許さないって言っただろう」

 謝るから解放してくれと訴えるが、すげなく突っぱねられてしまう。
 どうやらなにが何でも殴らなければ気が済まないようだ。一体なにがそんなに気にくわなかったのだろう。普段彰宏は常にどっしりと構えていて、大抵のことでは腹を立てたりしない。人に暴力を振るうところを見たこともない。その彼がこんなことをするなんてよっぽどだ。友人だと思っていた男が尻軽だった事実に苛立っているのか、それともそれを隠していたことを怒っているのか。
 わからないが、この状況で逃げ出すことは不可能だ。諒弥はもうおとなしく殴られるしかなかった。
 強く顎を掴まれ、諒弥は衝撃に備えて歯を食い縛って目を瞑る。
 しかし覚悟した痛みに襲われることはなく、代わりに唇を塞がれた。
 驚いて目を開ければ、眼前に彰宏の顔がある。
 唇に触れる感触。
 キスをされているのだと気付き、諒弥は思い切り顔を背けた。

「なっ……に、すんだよっ……!」

 諒弥の強い拒絶に彰宏は憮然と眉を顰める。

「他の男にはさせたんだろ?」
「は? 他の男って……キスをか?」
「そうだ」
「させるわけねーだろ、気色悪ぃ」

 きっぱり言うと、彰宏は怪訝そうな表情を浮かべる。

「……男に抱かれたんだろ?」
「それとこれとは別だっての。俺は男が好きなわけじゃねーんだよ。性欲発散させたいだけ」
「……それだけの為に、その辺の男にこの体を抱かせたのか」
「なに言ってんだよ、てかなんなんだよ、俺のこと殴るんじゃねーのかよ」
「殴る? そんなことするわけないだろう」

 あっさり否定され、諒弥は戸惑う。ならば、なぜ自分はベッドに押し倒され手首を縛られているのか。
 困惑する諒弥の剥き出しの胸に、彰宏の掌が触れる。

「ちょ、やめろって……っ」
「ここは? 触らせたのか?」
「んぃっ……!?」

 ぐりっと強く乳首を押し潰され、諒弥は情けない声を上げてしまう。
 彰宏の太く硬い指が、ぐにぐにとそこを捏ね繰り回す。

「いっ、やっ、やめっ……」
「答えろ、諒弥」
「んひぃっ」

 ぎゅうっと引っ張られ、諒弥の瞳に涙が滲む。

「触、られた……っ」
「触らせたんだな」
「ひっ、んゃあっ」
「どんな風に触らせた?」
「やっ、あっあっ」
「諒弥、答えろ」
「ひうぅっ、そん、なの、覚えてねー、んあぁっ」
「覚えられないくらい色んなことをされたってことか? あ?」
「ひああぁっ」

 彰宏が乳首にしゃぶりつく。
 乳輪ごと強く吸い上げられ、諒弥は悲鳴を上げた。
 視線を向ければ、彰宏が乳首を口に含んでいる。もう片方は指でぐりぐりと刺激し続けながら。
 諒弥はその光景を、信じられない気持ちで見ていた。

(なんで……なんで俺、彰宏にこんなことされてんだよ……!?)

 わけがわからない。
 混乱する諒弥を上目遣いに睨み、彰宏は乳首に歯を立てた。

「んくうぅんっ」
「考え事か? 余裕だな。こんなことされ慣れてるからか?」
「な、なに、なにわけわかんねーこと……っ」
「すぐに俺のことしか考えられなくなるようにしてやる」

 彰宏がなにを言っているのかわからない。
 どうしてこんなことをされているのか。彰宏がなにを考えているのか。なにもわからない。
 乱暴な手付きでズボンと下着を脱がされる。

「やめっ……ぅわっ……!?」

 ぐいっと、強引に脚を開かれた。
 陰部が露になり、そこに彰宏の視線が突き刺さる。
 自分で見たことはないが、諒弥のアナルは既にしっかり使い込まれたことがわかる見た目をしているらしい。セックスした相手に指摘されたことがある。
 彰宏にも一目でそれがわかったのか、彼の目が険しくなった。

「ここに、色んな男を咥え込んできたのか」
「うぅっ……」

 本名も知らないようなただセックスをする相手ではない、親しい友人である彰宏にそんなところを見られ、羞恥が募る。

「なあ、諒弥。一体何人の男をここに受け入れてきたんだ?」
「っ……そんなん、覚えてねーって……っ」

 人数なんて数えていないし、相手の顔も名前も殆ど覚えていない。
 彰宏がどんどん不機嫌になるのが伝わってきて、でもなににそんなに憤っているのかもわからないし、謝っても許してはもらえないし、諒弥はどうすることもできない。
 彰宏は一度ベッドから離れた。机の引き出しからなにかを取り出し、戻ってくる。彼の手に握られていたのはワセリンだった。
 蓋を開け、彰宏がたっぷりと中身を指に掬う。
 それをどうするつもりなのか、諒弥には本当にわからなかった。
 だから、反応が遅れた。
 広げられた脚の間、性器の下の窄まりに彰宏の指が触れ、そこで漸く諒弥は気づいたのだ。
 彼がなにをしようとしているのか。

(ウソだろ……!?)

「ばっ、やっ、あああぁっ」

 制止の声を上げる前に、クリームを纏った指が後孔に差し込まれた。そのまま、ぐちゅんぐちゅんっと中を掻き回される。

「ひっ、あっ、彰宏、てめ、なに考えてっ……」
「お前が言い出したんだろう。ここに嵌めてほしかったんだろ?」
「違っ、あぁっ、じょ、だんっ、本気じゃ、なくてぇっ、ぇああっあっ」

 ムラムライライラして、冷静さを欠いてつい深く考えずに言ってしまっただけだ。
 彰宏は友達なのだ。彰宏相手に性欲処理のセックスなんて、本当にできるわけがない。

「んひっ、ひっ、抜け、ばかっ、やめろってぇっ」
「駄目だ。ここでやめれば、お前は別の男とセックスするんだろ」
「そん、なの、お前に関係ないっ、ぃんあぁっ、あひっ、ひうぅっ、やめっ、俺が、誰とヤろうと、俺の勝手、だろっ、んっ、んひあぁっ」
「許さない。もう他の誰ともセックスなんてさせない」

 低い声で断言しながら、彰宏は中を擦る指の動きを止めない。いつの間にか増やされ、三本の指でにちゅにちゅと出し入れを繰り返す。
 指の腹が何度も前立腺を押し潰し、そのたびに諒弥は激しく背中を反らし、甲高い嬌声を上げた。
 指一本触れられていないぺニスは頭を擡げ、彰宏に刺激され快感を得ているのだと如実に示してしまっていた。

「んひぃっ、ひあっあっあっあっ」

 自慰だけでは満足できない体は、諒弥の心とは裏腹に久しぶりに他人から快楽を与えられ歓喜していた。胎内が疼き、もっと強い刺激を求めて埋め込まれた指を締め付ける。
 勝手に腰が浮き、自ら両脚を限界まで開いてはしたないポーズをとってしまう。体はどうしようもなく彰宏とのセックスをねだっていた。
 ぬぽんっと勢いよく指が抜かれ、その刺激にも感じて諒弥は目を見開いてよがり声を上げる。
 はあっはあっと荒い息を吐きながら視線を向けると、彰宏が陰茎を取り出していた。

「ひっ……」

 その大きさに目を剥く。
 勃起し、そそり立つ男根は今まで見たことがないほどの大きさだった。大きいのはわかっていたが、ここまでとは思っていなかった。
 経験したことがない長さと太さを兼ね備えたそれに、諒弥は怯えた。そんなものを入れられたら、どうなってしまうのか。

「まっ、待って、やめろ彰宏、そんなん、ムリだって……っ」
「今更、やめるわけがないだろ」

 無情に諒弥を突き放し、彰宏は僅かに息を乱しながら下肢を押し付けてくる。
 手首を縛られ逃げることもできず、腰をがっちり掴まれて抵抗もできない。
 ぐり……っと太い亀頭が後孔にめり込んでくる。

「ひっ、待っ、あっ、ああぁあああ──っ」

 ずぶんっと、一気に半分まで挿入された。指でしっかり解されていたので痛みはなかったが、圧迫感がすごくて諒弥は浅い呼吸を繰り返す。
 ぎちぎちと肉筒に陰茎を締め付けられ、彰宏も額に汗を浮かべて顔を歪めた。僅かに頬が紅潮した彰宏のその顔は息を呑むほどの艶を孕んでいた。

「っ……きついな」
「ばっ、かぁっ……おま、でかすぎ、んだよっ、あっあっひんっ」

 内部を彼の剛直で押し広げられ、大きくて苦しいのに、体は確かに快感を得ていた。その証拠に諒弥のぺニスは萎えることなく張り詰めたまま、鈴口から透明な蜜を溢れさせている。
 それを見て、彰宏は諒弥の腰を強く押さえ固定した。

「全部入れるぞ」
「はあっ!? あっあっ、ムリだって、も、ぎっちぎちなんだぞ、これ以上、なんて、え、あっ、待っ……ひあ゛っ!!」

 ばちゅんっと、一気に最奥を貫かれた。
 諒弥は目を見開き、全身を痙攣させる。

「あひっ、ひんっ、おま、あっ、ムリって、言ったのに、ぃああっ、ばかっ、くそっ、んひっ、うぅっ、入れ、入れすぎ、奥、そこダメ、抜け、抜けよぉっ」

 諒弥は強すぎる快楽にぽろぽろと涙を零した。
 彰宏の陰茎は、確実に結腸に届いている。これまでの経験で、そんな奥まで受け入れたことなどなかった。そもそもそんな場所まで届くことの方が少ないのだ。
 はじめてそこを攻められ、頭のてっぺんから爪先まで、全身を駆け抜けるような強烈な快感に襲われ、諒弥はひくひくと喉を震わせた。

「ひっ、やめ、ほんとムリっ、ひぅんっ、んくぅっ、あき、ひっ、あぁっ、抜いてっ、まじで、おかひくなるぅっ」

 涙まで流して訴えているのに、彰宏は容赦なく最奥を突き上げ、抉る。

「んひっ、ひっ、ひあぁっ、あき、たのむってぇっ、あぁっ、あっあっあひぃんっ」

 諒弥は今まで、セックスの相手に年上の男ばかりを相手に選んできた。適当に甘えれば可愛がってくれたから。諒弥の快感を優先し、蕩けるほどに気持ちよくしてくれたから。
 こんな暴力的な快楽を与えられたことなんてなかった。

「諒弥、諒弥……っ」

 彰宏は何度も諒弥の名前を呼びながら、激しく腰を打ち付ける。
 情欲を孕みながらも、切なく潤んだ双眸が諒弥を見つめ、強い視線が絡み付いて離れない。
 こんな彰宏を諒弥は知らない。
 知りたくなかった。

「ああぁっ、あっあっ、んゃぁああっ」

 目も眩むような快感に襲われ、体は確実に絶頂へと高められていく。心がどれだけ拒んでも、快楽に弱い諒弥の体は我慢なんてできない。

「ひんっ、んっ、やっ、もう辛いっ、あきひろぉっ、チンコ扱いて、イかせてくれっ、あぁっ」

 手首を縛られた諒弥は、彰宏に縋ることでしか熱を吐き出せない。
 耐えきれず懇願すれば、彰宏は大きな掌に諒弥のぺニスを握り込んだ。
 上下に擦られ、そのまま射精させてもらえると思ったのに、彰宏はギリギリで手の動きを止めた。
 諒弥は責めるように彰宏を見上げる。

「あぁっ、なんれっ、もぉイきたい、出せないの辛いぃっ」

 絶頂の寸前で熱を塞き止められ、もどかしさに諒弥は腰を揺する。
 するとそれを咎めるように、彰宏は諒弥のぺニスの根元をきつく握り締めた。そのまま、腰を回して最奥をぐりぐりと擦る。

「んひぃっ、やあぁっ、あぁっあっあっあっ」

 射精できない状態で胎内を刺激され、熱は蓄積していく一方だ。

「ぃやあっ、やら、あき、あきひろぉっ」

 諒弥は首を振り立てて、必死に限界を訴えた。
 涙でぐちゃぐちゃの諒弥の顔を見下ろし、彰宏は静かに問いかける。

「射精したいか、諒弥?」
「したいぃっ、したいって、言ってるだろっ」
「だったら約束しろ。もう二度と俺以外の奴とセックスしないって」
「は……ああ? なんで、そんな……」
「これからは、俺だけとセックスしろ」
「なに、バカなこと……」

 冗談であってほしいのに、彰宏の目は本気だ。
 そんなの到底受け入れられない。
 諒弥にとって男とのセックスはただの性欲処理だ。恋愛対象は女性であり、この先女性の恋人を作る気はあるのだ。それなのに、彰宏としかセックスできないなんて、それでは恋人なんて作れないではないか。

「無茶言うなってぇっ、そんなん、ムリだろっ」
「なんで無理なんだ? 簡単なことだろ」

 彰宏は平然とそんなことを言ってくる。
 本当に、この男の考えていることがさっぱりわからない。

「どこがだよっ、お前としかセックス、できなかったら、彼女作れないだろっ」
「俺と付き合えばいい」
「はあ?」
「俺と恋人になって、俺とだけセックスすればいい。簡単だろ」
「なんで、俺が、お前と付き合わなくちゃなんねーんだよっ」
「嫌なのか?」
「当たり前だろっ、なんでダチのお前と……俺は女の子と付き合いたいんだっ……あひぃんんっ」

 ごちゅんっと内奥を突き上げられ、諒弥は背中を仰け反らせて喘いだ。

「だったら、ずっとこのままだ」

 諒弥のぺニスの根元を握り、射精を許さずに、彰宏は肉筒を擦り上げて快感を与える。

「ひっあっあっんんっ、そんな、ぁあっ」

 最奥を抉られ、前立腺を擦られ、断続的に快感を与えられ続け、それなのに射精はさせてもらえず、吐き出せない熱は諒弥を苦しめ、追い詰めていく。

「んひっ、むりぃっ、こんな、あっあっ、ひんっ、あたま、おかひくなるっ、ぅああっ、イかせてっ」
「イきたかったら約束しろ。そしたらすぐにでも出させてやる」
「ひっ、うぅっ……」

 諒弥は子供のように涙を流してしゃくり上げた。
 人一倍性欲の強い諒弥が、この快楽の攻め苦に耐えられるわけがない。このまま生殺しのような時間が続けば、本当に狂ってしまうのではないかと思った。
 逃げることはできない。我慢なんてできない。ならばもう、諦める以外に道などない。
 諒弥は陥落した。

「っ……する、約束、するからっ……」
「なにを?」
「もう、彰宏としか、セックスしない……っ」

 その言葉を聞いた瞬間、僅かに彰宏の瞳が和らいだ。
 ほんの少し口角を上げ、彰宏はまっすぐに諒弥を見つめる。

「その言葉、忘れるなよ」
「ひあっあっあっあああぁ~~~~っ」

 激しい律動で直腸を擦られるのと同時に、ぺニスを扱かれた。
 射精を促すように強く擦り上げられ、とっくに限界だった諒弥は呆気なく絶頂を迎える。噴き出した精液が胸元まで飛び散った。
 諒弥が射精しているのも構わず、彰宏はばちゅっばちゅっと腰を打ち付ける。

「んひぃんんっ、イってる、のにっ、あぁっ、はげしっ、おく、つぶれるぅっ」
「はあっ、諒弥、もう、二度と誰にも触らせないっ、俺のものだ、諒弥っ」

 彰宏がなにを言っているのかも理解できないまま、諒弥は激しく揺さぶられ続けた。

「はひっ、ひあっ、あっあぁっ」
「好きだ、諒弥っ……くっ、うぅっ」

 一際強く最奥を穿たれ、同時に中で熱が爆ぜた。 どぶどぷっと大量の熱い体液を注がれるのを感じながら、諒弥もまた達していた。

「諒弥、約束は必ず守れよ」

 彰宏の声は諒弥を戒めるように鋭い。
 けれど、諒弥の涙を拭う彰宏の指先は泣きたくなるほど優しかった。
 もう二度と、友達には戻れない。
 自分の軽はずみな言動が、全てを変えてしまったのだ。
 彰宏を恨めばいいのか、自分の浅はかさを嘆くべきなのか。
 わからないまま、諒弥は疲れたように目を閉じた。

 

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 読んでくださってありがとうございます。



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