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数えきれない妄想の果て
しおりを挟む片思いの相手の配達員の妄想を繰り返していたある日酔っ払っているときにその配達員に遭遇しエッチに誘ってしまう話。
現代 社会人 淫語
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「荷物、ここに置きますね」
「ありがとうございます」
彼が屈んで荷物を置くほんの少しの時間。彼が顔を伏せている隙を狙って、青菜は彼の全身をガン見する。
広い肩幅。引き締まった上半身。筋肉質な剥き出しの腕。太い首。綺麗な首筋。
男らしく魅力的な彼に、何度見てもドキドキする。興奮に息が上がりそうになるのを抑え、服の上からでもわかるほどがっしりと鍛えられた美しい肉体を目に焼き付けた。
荷物を床に置いて、彼はすぐに体を起こす。
青菜はだらしなく緩んでいた頬をサッと引き締めた。
「ここにサインお願いします」
「はい」
ボールペンを受け取り、サインする。
ボールペンの受け渡しのとき、たまに指が触れることがあった。それだけで青菜の心臓は跳ね上がり、歓喜に震える。
決してわざと触れるようなことはしない。一回やってしまえば、味をしめて繰り返してしまうことは目に見えている。毎回毎回触れれば不審に思われる。彼を不快にさせ、青菜は気持ち悪い男と認定されてしまう。
だからわざと接触をはかることはない。偶然、ほんのちょっぴり触れられるだけでも充分だ。
今日は残念なことに、指先が掠ることもなかった。
「ありがとうございました」
「ご苦労様です」
ペコリと頭を下げ、彼は背を向ける。
青菜は見えなくなるまでその背中を見つめていた。
彼の名前は春日。下の名前は知らない。いつも青菜の家に荷物を届けてくれる配達員だ。
彼について青菜が知っている情報はそれくらいで、それなのに、青菜は彼に恋心を抱いていた。
ここに引っ越してきた当初、色々と物を揃えるために頻繁に通販を利用していた。そのため、配達員の彼と顔を合わせる回数は多かった。
はじめて彼を見たとき、整った容姿と逞しい体つきに、純粋にカッコいいな、と思った。
二度、三度と顔を合わせていくうちに、彼の視線や声、汗を拭う仕草にドキドキして。
対面するにつれ、彼にどんどん惹かれていった。
しかし、彼は男で青菜も男だ。思いを告げるつもりはなかった。気持ちを知られれば、嫌われるかもしれない。気持ち悪がられ、担当区域を変えられてしまうかもしれない。
そこまで拒絶はされなかったとしても、これから顔を合わせるのが気まずくなるだろう。
ならば、ひっそりと思い続けている方が幸せだった。
春日を意識するようになってから、配達員もののエロをよく探すようになっていた。
もし青菜が妖艶な美女だったら。お風呂上がりに慌てて出てきた風を装って、バスタオル一枚の姿で彼の前に現れれば襲ってもらえたかもしれない。「わざとこんな男を煽るような格好で出て来たんでしょう? いけない人だ。こんな魅力的な体で、こんな無防備な姿を男に晒すなんてはあはあっ」って言ってもらえたかもしれない。
しかし悲しいことに青菜は犯罪を犯してまで襲いたくなるような整った容姿はしていない。そもそも男だからバスタオル一枚の姿で誘惑などされてくれないだろう。
もちろん実際にそんなことはしない。妄想だけにとどめておいた。
配達員エロで多いシチュエーションが人妻寝取られものだ。
青菜が色気の溢れるムチムチの体つきの欲求不満な人妻だったら、襲ってもらえたのだろうか。「外は暑いですし、冷たいお茶でも飲んでいきませんか」なんて美人の人妻から誘われたら、断らずに部屋に入ってきてくれたのだろうか。そして「はあはあっ、体が火照ってますよ。こんなにエロい体で男を誘惑して、悪い奥さんだ。やめて? 嘘はいけませんよ。ほら、体は正直だ。こうして襲ってほしかったんでしょう?」なんてリビングのソファに押し倒されたりしたのだろうか。
しかし悲しいことに青菜は色っぽい人妻ではない。青菜がお茶に誘っても、「仕事中ですから」と断られて終わるだけだろう。
あと、大人の玩具を購入したのがバレてしまうというシチュエーションも多い。段ボールが潰れたり袋が破れたりで中身を見られてしまうのだ。そして「エロいことなんてなにも知らないような可愛い顔して、こんなエッチな玩具買ってるなんて……はあはあっ欲求不満なんでしょう? 俺が解消してあげますよ。この玩具使ってたっぷり可愛がってあげますね」なんて言われて襲われるのだ。
青菜も数回大人の玩具を届けてもらったが、もちろんそんな展開にはならなかった。当たり前だ。犯罪だ。そもそも男の青菜が襲われるはずがない。大人の玩具を買っているのがバレれば、青菜が死ぬほど恥ずかしい思いをして終わるだけだ。恥ずかしくてもう顔も合わせられなくなる。
配達員ものを読み漁っては、配達員に春日を重ねて妄想を繰り広げる毎日だ。
こんなことをしてるなんて春日本人が知ったら、さぞ気分の悪いことだろう。けれど、妄想くらいは許してほしい。妄想以上のことは望まないから。
妄想だけを唯一の楽しみに日々を過ごしていたある日。会社の飲み会に誘われた。
お酒はあまり強くないし、飲むのが好きなわけでもない。だが付き合いで参加することになった。
仕事終わりに、同僚達と居酒屋へ向かう。店の中に入ってぞろぞろと席へ移動する途中。
見知った顔を見つけて足を止める。
春日がいた。
はじめて見る彼の私服姿にときめいたのは一瞬で、すぐに青菜の気分はどん底まで落ちた。
彼は女性と二人でいた。
美しい女性だった。
気心の知れた仲なのか、二人の親密さが見ているだけでわかった。
彼女だろう。
青菜はそう思った。
いるんだろうな、とは思っていた。でもこうして現実を目の当たりにすると、想像以上のダメージだった。
妄想以上のことは望んでいない。ならば、こんなにもショックを受けることなんてないはずなのに。
妄想だけでは物足りなくなるくらい、彼のことが好きになっていたのだろうか。
「なにしてんだ、青菜。さっさと来いよ」
足を止めた青菜を、同僚が席まで引き摺っていく。
正直、もう飲み会に参加できるような精神状態ではなかったが無理やり席に座らされてしまう。
いや、寧ろこの場合は飲んだ方がいいかもしれない、と思い直す。お酒を飲んで一晩ぐっすり眠って、春日のことはきっぱり諦めるのだ。ぐじぐじ悲しんでいたってどうしようもないのだから。
明日は休みだ。翌日のことなど気にせず飲んでしまおう。
青菜はいつもよりも早いペースで酒を飲み進めていった。
そして強くない青菜はすぐに酔っ払った。
顔が熱い。体も熱い。頭がふわふわして、もうなにも考えられない。
「おい、青菜。大丈夫かよ? だからペース落とせって言ったのに。強くないんだから、無理すんな」
隣に座る同僚が、青菜の手からグラスをもぎ取る。
「ううぅ~、お酒、飲まないと……」
「アホか。これ以上飲ませられるか」
「もう帰らせた方がいいね。誰かタクシー呼んできて」
別の同僚がふらふらの青菜の体を支える。
「ほら、青菜、立てる?」
「んーうんんー……」
同僚の腕に掴まり立ち上がろうとするが、足に力が入らない。ふらついて、そのまま同僚に体重をかける。
「うわっ、ちょ、青菜っ、しっかりしてっ」
「んんー……」
焦る同僚の声を聞きながら、青菜は意識をなくした。
体が揺れている。
ぐちゅぐちゅと濡れた音が耳に届く。それに、ぱんぱんと肌がぶつかる音と、ギシギシとなにかが軋む音。それから荒い息遣い。なによりも大きく響いているのは、AVでしか聞かないような下品な喘ぎ声だ。
「んひああぁっ」
ごちゅんっと胎内を抉られる刺激に、青菜の意識は覚醒させられた。
目の前には枕。青菜はそれにしがみついていた。 全裸でうつ伏せになって、腰だけを突き出す体勢になっている。
腰は大きな手に掴まれてがっちり固定されていた。
じゅぼっじゅぼっと濡れた音は、自分の下半身から聞こえてくる。ぱちゅっぱちゅっと音を立てて尻になにかがぶつかる。
脳天を突き抜けるような快感。
部屋に響き渡る嬌声は、紛うことなく自分のものだ。
アナルを、胎内を、太く硬いものが何度も行き来している。
まともに働かない頭で一つ一つ状況を把握し、漸く結論に辿り着く。
自分は今、男とセックスしているのだ。
気づいて、青菜は悲鳴を上げた。
「ぃやああっ、なんっ、なんれっ、やあぁっ」
殆ど動かない体でじたばたと暴れる。
「っく、はあっ、急に締めないで……。起きたんですか、青菜さん」
「っ……!?」
背後から聞こえてきた声に聞き覚えがあった。
そっと、首だけ振り返る。
こちらを見下ろす春日と目が合った。上半身裸の彼を見て、瞠目する。
「かす、がさ……な、なんで……!?」
「覚えてないんだ」
「へ、え……?」
「どこまで覚えてます?」
「え? え、えっと……?」
必死に頭を回転させるけれど、混乱していて頭の中は真っ白のままだ。
困惑する青菜を見て、春日が尋ねる。
「居酒屋にいたのは?」
言われて、漸く記憶が蘇る。
「あ、うん……そういえば、居酒屋にいて……」
そして、女性と一緒の春日を見つけ、失恋した青菜はやけ酒して酔っ払って、それからの記憶がない。
「俺もあの店にいて、青菜さん達がいる席の横をたまたま通りかかったんです。そうしたら、寝ちゃってる青菜さんが目に入って、思わず声をかけました。それで青菜さんの会社の人達に友達だと思われて」
「はあ……」
「会社の人達、青菜さんの住所誰も知らなくて。俺は立場上、青菜さんの住んでる場所は把握していたので」
確かに、大まかな場所は教えていたが、細かい住所など同僚には言ったことなどない。付き合いで飲みには行くが、家を教えるほど親しい同僚はいなかった。
「だから、俺が青菜さんを家まで送るように頼まれたんです。一緒にタクシー乗って、青菜さんをここまで運びました」
「そ、それは、大変、ご迷惑をおかけしまして……?」
ここは間違いなく自分の部屋だ。彼がここまで送ってくれたのは確かなのだろう。しかし、なぜこんなことになっているのかわからない。なんで自分は片思いしていた失恋相手とセックスしているのか。
「家に着いたら、青菜さん、目を覚ましたんだけど」
「ぅえっ……?」
目を覚ました? そんな記憶は全くない。気づいたらバックでガンガン掘られていたのだ。
戸惑う青菜に、春日は苦笑する。
「その様子じゃ、全然覚えてないみたいですね。まあ、完全に酔っ払ってたし仕方ないか」
「す、すみません……」
「部屋に送り届けて帰ろうとする俺を、青菜さんが引き止めてきたんですよ」
「お、俺が……?」
なんだかとてつもなく嫌な予感がする。
青ざめる青菜を見下ろし、春日はうっすらと微笑んだ。
「『帰らないで、一緒にいて』って、俺のこと強引に部屋の中に連れ込んで」
「ひっ……」
「『好き好き大好き春日さんとエッチしたいー』って縋りついてきて」
「はうっ……」
青菜は白目を剥いた。
最悪だ。酔っ払って理性をなくし欲望のままに彼に迫ってしまったのだ。
「俺をここまで引っ張ってきて、いかがわしい玩具が入った箱取り出して、全裸になってベッドに上がって、ローションでお尻とディルドぬるぬるにして」
「っ……っ……っ」
青菜は声も出せず、はくはくと口を開閉させた。
「ぶっといディルド、ひくひくしてるケツの穴に突っ込んで、俺に見せつけるみたいに出し入れして、『ここに春日さんのおちんぽ欲しい、春日さんのおちんぽずぼずぼしてー』ってエロい顔で言ってきて」
「っ~~~~」
「可愛く俺を誘ってくれたのに、忘れちゃったんですか」
いっそ気絶してしまいたかったが、そうしたところでなにも解決はしない。
これはいかがわしい妄想を繰り返してきた罰だ。現実で視姦と言っても差し支えないほどにこっそりと彼を凝視し、頭の中で散々恥ずかしいセリフを言わせ、自慰のネタにしてきた報いを受けたのだ。妄想だけなら許されると自分に言い訳し、脳内で彼を辱しめてきた。
妄想すらしてはいけなかったのだ。毎日のように妄想をしていたせいで、酔っ払って現実と妄想の区別もつかなくなった。妄想さえしていなければ、こんな過ちは犯さなかった。今までの妄想の積み重ねが、青菜に罪を犯させたのだ。
「ごっ……んひあぁあ……!?」
謝って済む問題ではないがとにかく謝ろうと口を開けば、いきなりどちゅんっと直腸を突き上げられて謝罪ではなく悲鳴が上がった。
謝りたいのに、そのままずんっずんっと腰を揺すられ、まともな言葉など紡ぐことができない。
「ひあっあっあっあっ、まっ、あっ、か、すがっ、あっ、あっひっひんっ」
聞くに耐えない喘ぎ声が断続的に漏れる。動きが激しすぎて口を塞ぐ余裕もない。
容赦なく何度も奧を突かれ、自慰では経験したこともない快楽に翻弄される。
春日は怒っていて、だからこんなことをしているのだろうか。いや、それはおかしい。青菜が誘ってセックスしているのだから。青菜の体は完全にこの行為を悦んでいるのだ。怒っているのなら、喜ばせるようなことはしないはずだ。
ではどういうつもりで彼は青菜を抱いているのだろう。青菜は彼が拒めないほどしつこく絡んでしまったのだろうか。
溜まっていたから一回くらいなら抱いてやってもいいと思われたのか。でも、春日は彼女と一緒にいたのに。ほんとは彼女とセックスする予定だったのに青菜のせいでできなかったから青菜を代わりに? それとも同情だろうか。覚えてないけれど、泣いて抱いてほしいと縋ってしまったのかもしれない。そんな青菜を哀れに思って一度だけ抱いてくれたのだろうか。
色々考えるけれど、さっぱりわからない。
青菜が誘ったところまではわかったが、そのあとなにがどうなってこんな展開になったのか全くわからない。
「考え事ですか、青菜さん……っ」
「ひはあぁんっ」
ごりごりごりっと前立腺を亀頭で抉るように押し潰され、青菜のぺニスから精液が噴出した。
「はひっ、ひっ、ひあぁっ」
「こんなときに考え事なんて、まだまだ余裕ありそうですね」
「んあぁっ、あっあっ、ひぅんっ」
「じゃあ、もっと奧まで入れちゃって大丈夫かな……?」
「はぇ……!?」
聞き捨てならない言葉に、青菜は首だけ振り返って春日を見上げる。
彼は唇の端を吊り上げ、酷薄な笑みを浮かべてこちらを見下ろしていた。
「青菜さんがはじめてだって言ってたから、遠慮してたんですけど、必要なかったみたいですね」
遠慮? あれで? と訊きたかったが声にならなかった。
彼の表情に、声に、言葉に、ぞくぞくと震えが走る。それは恐怖でもあり、期待でもあった。
ぐっと腰を掴まれ、亀頭が更に奧へとめり込んでくる。
「あっ、待っ、あっあっ、お、奧、入って……っ」
「っは、すご、ちゅうちゅうって吸い付いてくる、たまんね……っ」
ちゅぽっちゅぽっと亀頭が最奥を優しく突き、迎え入れたがっているようにそこは勝手に綻んでいく。
体が受け入れようとしても、未知の感覚に青菜は怯えた。
「んひっ、まっ、らめ、待って待ってっ、入れないで、奧だめぇっ」
「結腸はまだ未開発? そこまで玩具入れたことないの?」
「ないっ、ないからっ、おく怖い、おちんぽでちゅっちゅってしないれぇっ」
かぶりを振って哀願するが、聞き入れてはもらえない。
寧ろ春日は興奮したように息を乱し、ぐぐぐ……っと肉塊を押し込めてくる。
「んやあぁっ」
「はっ、怖くないですよ、気持ちいいだけ、ほら、ちんぽも悦んでる……っ」
「ひあぁんっ」
濡れたぺニスを春日の掌に包まれる。
先程射精した青菜のぺニスは、既に頭を擡げてだらだらと先走りを漏らしていた。怯えながらも、体は確かに悦んでいた。
ぺニスを優しく擦り、春日は腰を進める。
「俺に犯されたかったんでしょう? こんな風に、奧の奧までちんぽ突っ込まれて、ずぼずぼ出し入れされて、腹の中、俺の精液でいっぱいにされたいんでしょう……っ?」
「んあっ、あっあっ、おくっ、おくぅっ、入ってくる、おちんぽ入っちゃうぅっ」
じゅぼっと、亀頭が入り口を抉じ開け捩じ込まれた。
青菜は目を見開き、だらしなく涎を垂らしながらまた射精した。ぴゅっぴゅっと精液がシーツに飛ぶ。
「ひぅっ、うっ、おく、はいっひゃったぁ……っ」
痛くも苦しくもないが、涙が止まらない。目の前がチカチカする。痺れるような快感に、全身が痙攣する。
「はあっ、あー、きっつ……青菜さんの中、ぎゅうぎゅうですね……っ」
「あひっ、ひぃんんっ、んひっ、待っ、あっ、らめっ、おくっ、いっぱい、ずんずんしないれっ」
「っは、どうしてですか? 感じてるくせにっ」
「んひぃいっ、こぁいっ、きもちよすぎて、おかひくなるっ、うぅっ、んんあぁっ、あっあっ」
神経を直接刺激されているような強烈な快感に、青菜は指が白くなるほどきつく枕にしがみつく。
こんな快感を断続的に与えられれば、頭がおかしくなってしまう。
「おかしくなってもいいでしょうっ……? 青菜さんはずっと、俺にこうやって犯されたかったんでしょ……怖いって言いながら、青菜さん、全然嫌がってないですよ……っ」
「はひっ、ひあっあっあっあっあんんっ」
「嫌がるどころか、もうずーっとイきっぱなしですね……っ」
「んあっあっあっ、っ~~~~!」
ぐっぽり奥に嵌め込まれた亀頭で中をぐちゅぐちゅと掻き回され、青菜は何度も射精を伴わない絶頂を迎えていた。
絶頂するたびに直腸が蠕動し、肉棒を締め付ける。
それがずっと繰り返され、春日の欲望も刺激され続けていた。
興奮した春日が青菜の背中に覆い被さり、背後から回した手で青菜の乳首をきゅうっと引っ張る。
「んゃああぁあっ」
「っは、あっ、またイッた……」
「ひあっあっ、ちくび、らめっ、らめぇっ」
「ウソばっかり。乳首気持ちいいんでしょう? ほら、こりこりってするたびに、中が、はっ、うねって、悦んでますよっ……」
「あぁんっ、そんな、しちゃ、あっ、きもちいっ、あっあっあ────っ」
固く尖った突起を指の先でこりこりこりっと弄り回され、青菜は腸壁を激しく蠢かせながらまた絶頂を迎えた。
最奥を穿たれ、乳首を弾かれ、繰り返す絶頂の何度かに一回精液を撒き散らし、青菜は快楽に溺れ続ける。
「ひぃうぅっ、いくっ、またいくぅっ」
「はあっ、女の子みたいに何回もイッちゃって……可愛いですね、青菜さん……っ」
「んああぁっ、あっ、あぅんんっ」
うなじを舐められて、ぞくぞくっと肌が粟立った。春日の熱い息が肌を掠め、ぬるぬるとした舌の感触に快感が走る。
「ああっ、俺もイきそう、出していい? どこに出してほしい?」
「ひんっ、んっんっあっ」
「ねえ、どこ? 青菜さんっ」
「ひああぁっんんっ」
ごちゅっごちゅっと奧を貫かれ、快楽に支配された青菜は考えることもなくずっと望んでいたことを口にする。
「なかっ、中にほしいっ、かすがしゃ、の、あっ、あんっ、中にぃっ」
「っは……中出ししてほしいんですか?」
「して、してぇっ、お腹、春日さんのせーえきで、あぁっ、いっぱいに、してっ」
「はじめてでそんなこと言っちゃうなんて、青菜さんはほんとに淫乱ですねっ……」
「んひあぁっ、あっあっあっ」
「ほら、出しますよ、中にっ」
「あっあっあっあっ」
「たっぷり俺の精子注ぎ込んであげますからねっ」
「あぁっ、はげしっ、おちんぽ、じゅぽじゅぽ、しゅごいぃっ」
射精に向け、一層抽挿が激しくなる。一番奧へ注ぎ込もうとするかのように、亀頭を最奥へ強く突き入れられた。
次の瞬間、胎内で熱が弾ける。
背中から青菜を強く抱き締めながら、春日は射精した。
「っは、出る、出る、青菜さんの中っ」
「ひあっあっ、出てる、あついのっ」
「全部飲んでっ……ああ、すごい、俺の精子ごくごくしてる……っ」
「っ、っ、っ~~~~!」
どぷどぷどぷっと大量の精液を注がれ、それを受け入れながら青菜もまた絶頂を迎えていた。
春日に抱き締められ、彼の体温を直に感じ、青菜は陶然となる。
「青菜さん、大丈夫?」
青菜の体を気遣いながら、春日はそっと身を離そうとした。
それを青菜は引き止める。
「だめっ、抜かないで……っ」
「青菜さん……?」
気まぐれでも同情でも、理由なんてなんでもいい。これが最初で最後なのだ。それならば、もうなにも考えずにただ彼に抱かれたい。
だってずっと望んでいたのだ。彼に抱かれたくて、触れてほしくて、めちゃくちゃに犯してほしいと、そんなことばかり考えていた。
妄想だけを繰り返して、自分を無理やり満足させていた。
現実になるはずがない妄想が、どんな理由であれ現実になったのだ。
この先二度とこんなことはないだろう。今が終われば、もうそれっきりだ。
まだ離れたくない。終わりにしたくない。
「春日さん、お願い、もっとして、犯して、俺のこと、めちゃくちゃにしてぇ……っ」
「っ…………」
青菜の懇願に、春日はごくりと息を呑んだ。
胎内に埋め込まれたままの男根が再び体積を増していく。
「そんなに俺に犯されたかったんですか……?」
「犯されたかった……いっぱい、何回も、春日さんに犯されるの想像して、春日さんの顔見るたび、ドキドキしてたのっ」
「ずっと仕事中の俺を、エロい目で見てたんですか?」
「ごめ、なさい……春日さんの腕とか体とか、こっそり見てて……それ思い出して……」
「思い出して? オナニーしたんですか? 俺のこと考えながら玩具突っ込んでたの?」
春日は陰茎をゆっくり出し入れする。
「こんな風に、お尻ぐちゅぐちゅしたの? はじめてでも女の子みたいに感じちゃうくらい、自分でいっぱいお尻弄ったんですか?」
「あっはっ……した……あっ、何回も、春日さんのおちんぽで犯されるの想像しながら、オナニー、しました……っ」
お酒とこの状況に陶酔していた青菜は、恥じらいながらも隠さずに事実を口にしていた。素面だったら決して打ち明けることのなかった、絶対に隠し通そうとしていた自分の秘密を、気持ちを吐露する。
「大好きな春日さんに犯されたくてっ……春日さんのこと考えながら、いっぱい、お尻、ぐちゅぐちゅしました……っ」
「エロすぎますよ、青菜さん……っ」
「ひあっあああぁっ……!」
ぐいっと、逞しい腕に体を引っ張られた。背面座位の体勢になり、自重で男根が奥に突き刺さる。青菜のぺニスから、ぴゅくっと体液が漏れた。
「はひっ、ぃううっ、ふぅっ、あっあっ」
「知らなかったです、青菜さんがこんなにいやらしかったなんて」
「んあっあっ、あんっ」
「こんなエロい体して……玩具なんかじゃ満足できないでしょう? ずっと我慢してたんですか?」
「ひっはっ、あぁっあっ、ひんんっ」
下から腰を突き上げられ、されるがまま青菜は揺さぶられる。
ぐじゅっぐじゅっと、中に出された精液が結合部から溢れて泡立っていた。
はしたない嬌声が止まらない。開きっぱなしの口から唾液が零れる。それを、春日が指で掬った。
内奥を抉りながら、春日は唾液に濡れた指で青菜の乳首を捏ね回す。
その刺激に背中を仰け反らせれば、更に強く押し潰された。
「んひぁっ、あぁっあっんんーっ」
「はあっ、我慢なんてしないで、もっと早く言ってくれればよかったのにっ。……そしたら、すぐにでもこうやって、犯してあげたのにっ」
耳元で春日が息を荒げながら囁く。
そのまま耳を舐めしゃぶられて、青菜はびくびくと肩を震わせた。
「言えなっあっ……かすがしゃ、に、嫌われるって、思って……んんっ」
「っは、ああっ……そんな風に、考えてたんですか……。心配しなくても、こんなにエロくて可愛い青菜さんを、嫌いになったりしませんよ……っ」
「ほん、とぉっ……?」
「はい、嫌いになったりしませんから、もっと、いやらしい青菜さんを見せてくださいっ」
「ひあぁっ、ああっあっ、おく、たくさんしちゃらめっ、ちくびも、そんな、されたらぁっ、あっ、いくっ、またいっちゃうっ、ずっといって、いくの止まらなくなるぅっ」
「いいですよ、ほらっ、イッて、イくの止まらなくなってっ」
「んああぁっあっあっあっ、~~~~っ」
激しく快楽で攻め立てられ、青菜は絶頂の波に飲み込まれた。
痙攣する青菜の体を背後から抱き締め、春日は休む暇も与えずに刺激し続ける。
ぐぽっぐぽっと、雁の部分で引っ掛けるように最奥を擦られ、青菜は悲鳴のような嬌声を上げながら何度も絶頂を迎えた。
肉筒がきつく締まり、抽挿を繰り返す陰茎に絡み付く。強い締め付けに、春日は顔を歪め呻き声を漏らした。
「っくぅ、はあっ、出るっ、また、青菜さんの中に出しますよ……っ」
「出してっ、おく、んんぁっ、あっ、奥にっ、かしゅがさんの、せーえきほしいっ」
「っあー、出る、出る出るっ、くっ、うぅっ」
射精を促すように肉襞が男根を扱く。
春日は再び最奥に精液を吐き出した。
熱い体液を胎内に浴びせられ、青菜はぶるぶると全身を震わせる。恍惚とした表情を浮かべて愉悦に浸った。
二人の体もシーツも互いの体液でどろどろに汚れている。それでも青菜はまだ彼から離れたくなかった。
体液を注がれた下腹を無意識に撫でながら、首を傾けて春日を見つめる。
「春日さん、キス、したい……」
拒まれる覚悟でねだれば、顎を掴まれ、貪るように口付けられた。
「んふぅっ、んんっ……は、ぁんんっ」
差し込まれた舌に口腔内を蹂躙され、息苦しさにくぐもった声が漏れた。
春日の熱い舌が口の中を動き回り、青菜の舌を捕らえて絡み付く。青菜は舌を擦り合わせ、必死にキスに応えた。
春日の陰茎は既に固く張り詰め、青菜の胎内を圧迫している。
それが嬉しくて、アナルがきゅっと締まり彼の欲望を刺激した。
「っ……はあっ、青菜さん……っ」
春日は息を詰め、情欲を孕んだ眼差しを青菜に向ける。
視線だけで青菜は感じ、ぶるりと震えた。
「体、こっちに向けてください」
そう言って、春日は体を繋げたまま青菜の体を反転させる。
ぐちゅりと内部を擦られ、青菜はぺニスから精液を零しながら春日と向かい合う体勢になった。
今度は正面から春日に抱き締められ、キスを交わす。青菜も彼の背中に腕を回してしがみついた。
何度も何度も想像してきた彼の体が、目の前にある。服の上からしか見ることが叶わなかった彼の逞しい肉体が、しっかりと青菜の体に重なっている。
この感触を忘れたくなくて、青菜は強く彼に抱きついた。
彼のキスも、体温も、なにもかもを記憶に焼き付ける。
「ふぁっ、かすがしゃ、ぁんっ、好き、好き、んんっ」
濃厚なキスの合間に、その言葉を繰り返す。
決して伝えてはいけないと思っていた自分の気持ち。
箍が外れてしまったかのように、何度も「好き」と口にする。
舌足らずな青菜の告白を飲み込むように、春日は唇を重ねた。
青菜の舌をしゃぶりながら、春日は緩く腰を揺する。
熱い楔に内部を擦られ、青菜の体は飽きもせず快楽に溺れた。
体はくたくたで、ぺニスからはもうなにも出ない。それでも体の内の熱は冷めることなく、春日を求め続けていた。
明日になれば、終わってしまう。
一夜限りの関係ならば、少しでも長く彼と抱き合っていたい。
再び激しく体を揺さぶられながら、ただこのひとときに酔いしれた。
目を覚ました青菜は、寝返りさえ億劫なほどの体のだるさを感じた。
ぼうっとしながら時計を確認すると、もうお昼近かった。
痛む腰を庇いながら、ゆっくりと体を起こす。
ベッドの上には青菜しかいない。
隣で春日が寝ていることを期待していたわけではない。予想通りの展開だ。
あれだけ色んな体液でどろどろに汚れていた体は綺麗になっていて、自分で綺麗にした覚えがないということは春日が後始末をしてくれたわけで、寧ろここまで親切にしてくれるなんて思っていなかった。
結局、あれから朝方までセックスしていて、青菜は気絶するように意識をなくしてしまった。
春日にお礼も謝罪もできなかった上、後始末までさせてしまったことが申し訳ない。
一晩中彼の欲望を咥え込んでいた青菜の後孔は、まだじんじんと熱を持っている。
酔いが醒めていきなりベッドの上で春日に抱かれていると気づいたときは、とんでもない過ちを犯してしまったと思った。事実、春日にとっては過ちでしかなかったかもしれない。
けれど、青菜にとっては正に夢のようなひとときだった。本当ならば、絶対に彼に抱かれることなどなかったのだ。配達員と配達先の住人という関係のまま、なにも起こることはなく終わるはずだった。
それが、一度でも彼に抱いてもらうことができたのだ。奇跡でしかない。
この思い出を一生大切にしよう。
そんなことを考えていると、玄関の方で物音が聞こえてきた。
まさか泥棒かと身構えていると、寝室のドアが開く。
入ってきたのは春日だった。
「あ、青菜さん、起きたんですね」
爽やかに微笑む彼を、青菜はポカンと見上げる。
「春日さん……? どうして……帰ったんじゃ……」
「いえ、ちょっとコンビニに必要な物を買いに行ってただけですよ」
言いながら、春日はベッドに近づいてくる。まるで恋人にするように優しく青菜の頭を撫で、顔を覗き込む。
「体調は大丈夫ですか?」
「は、はあ……」
「頭は痛くありませんか? 気分は?」
困惑していた青菜は、まともに答えることができなかった。
どうしてここに戻って来たのだろう。なんの用があるというのだ。戻ってくる必要なんてないはずなのに。そういえばタクシー代を返していないことを思い出した。そうだった。だから春日は帰れなかったのだ。
「青菜さん? 体、辛いんですか?」
「い、いえ、大丈夫、です……」
心配そうに顔を近づけてくる春日に、慌てて首を振った。
「本当に? 無理しちゃ駄目ですよ」
「ほ、本当に、大丈夫です……。そんな、心配していただくことでは……」
「恋人の体調を心配するのは当然でしょう」
「はあ…………はあ!?」
一度頷いて、言われたことを反芻し、思わず大きな声を出してしまう。
青菜は見開いた目で春日を見つめた。彼はきょとんとしていて、冗談を言ったわけではなさそうだった。
青菜は混乱する。
「こ、恋人? 恋人って、恋人のことですか?」
「恋人は恋人ですよ」
「つまり恋人?」
「はい」
「誰と誰が?」
「俺と青菜さんが」
さらりと言われて、青菜は驚愕に頭が真っ白になる。
「な、な、なんでっ? だ、だだだだって、春日さんには恋人が、彼女がいるのに……っ」
まさか二股か浮気かそれとも不倫? と、パニックに陥りかける青菜に、春日は冷静に言った。
「彼女なんていませんよ」
「え!? でもだって、昨日居酒屋で女の人と一緒にいましたよね!?」
「あれは姉です」
「ありがちな勘違い!!」
姉弟ならば、あの仲の良さそうな雰囲気も頷けるけれど。青菜はその可能性を全く考えず、恋人だと決めつけていた。
「ほ、本当にお姉さんなんですか……?」
「なんなら今度紹介しますよ。というか青菜さん、俺のこと、恋人がいるのに他の人に手を出すような不誠実な人間だと思ってたんですか?」
心外そうに非難がましい視線を向けられ、青菜は焦って言い訳する。
「決してそういうわけでは! というか、昨日はあんまり深く考えてなくて……俺が無理やり誘って、春日さんは断れなかっただけで、悪いのは俺で、春日さんはなにも悪くないと思ってて……」
「俺、ちゃんと昨日青菜さんに『好き』って言ったのに」
「ええっ!?」
「『付き合ってくれますか?』 って訊いたら、青菜さん『うん』って言ってたのに」
「えええ!?」
青ざめ、必死に記憶を辿るけれど全く思い出せない。
春日は仕方なさそうに溜め息を零した。
「まあ、青菜さんが感じすぎてヘロヘロのとろとろになってたときなんで。あのときの青菜さん、もう自分でなに言ってるのかもわかってない感じだったし、ちゃんと聞いてなかったみたいですね」
「…………すみません」
ずぅん……っと落ち込む青菜を慰めるように、春日は優しく微笑んだ。
「いいですよ、覚えてないなら、改めて言いますから」
「え……」
「好きです、青菜さん。俺と付き合ってください」
「………………」
まっすぐに見つめられ、真摯な言葉を向けられ、けれど突然のことに青菜は反応できない。
「青菜さん?」
「ぁ、う……」
「返事は?」
「その……」
言い淀む青菜に、春日は目を眇める。
「もしかして、俺と付き合うの嫌なんですか? あんなに『好き好き』言ってくれたのに。ひょっとして酔った勢いであんなことになって後悔してます?」
「してない! けど……」
「けど?」
「だって、春日さんが、俺を好きなんて……」
そんなの、信じられない。
「お、俺が好きって言ったから? しつこく誘ったから? だから……」
「違いますよ。俺も青菜さんが前から好きだったんです」
「え……?」
「居酒屋で声をかけたのも、家まで送ったのも、それがきっかけで青菜さんと親しくなれるかなって思ったからですよ」
照れたように僅かに頬を染める春日を、呆然と見つめる。
「そもそも、好きじゃなかったらどれだけしつこく誘われたって、あんなことしませんよ。相手が青菜さんだったから、誘われたんです。好きな人にあんな風に誘われて、手を出さずにはいられませんでした」
打ち明けられる彼の言葉を、信じられない気持ちで聞いていた。
未だ半信半疑の青菜を見て、春日は笑みを零す。
「信じてくれなくてもいいですよ。信じてもらえるまで言いますから」
「っ…………」
するりと頬を撫でられ、青菜はピクリと反応する。
青菜に触れる彼の手の感触は、優しくて甘い。
「…………もしかして俺、妄想の世界に行っちゃったとか?」
だって、こんなことが現実だなんてあり得るのだろうか。
こんな幸せな展開が、妄想ではなく現実で起こるなんて。
春日はクスリと笑って青菜に口付けた。
「妄想でも現実でも、どろっどろに甘やかして、俺から離れられなくしてあげますよ」
もうとっくに離れられなくなっている気がする。
与えられる春日のキスの甘さにくらくらしながら、青菜はされるがまま、身を任せていた。
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