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しおりを挟む学校が終わり、友也は誘われるままに晴臣の家に来た。
彼の部屋に入り、二人は適当に床に座る。それから沈黙が続いていた。
というのも、晴臣がずっと何かを言いたそうにしているのだ。頬を赤く染めて、言いたいけれど言うのを躊躇っているという雰囲気だ。
友也は彼がそれを口にするのを待っていた。表情を見る限り、別れ話とかそういうものではないだろう。
だから友也は不安を抱く事なく、彼が自分のタイミングで話すのを待つ。
そしてついに、晴臣が口を開いた。顔は真っ赤だ。
「あっ、あ、あ、あのな……友也……」
「うん。どうしたの、晴臣くん」
「あのな……その……」
彼は何度も言葉を詰まらせている。そんなに言いにくい事なのだろうか。
「つまりだな……と、友也の……」
「僕の?」
「む……」
「む?」
「む、む、む、胸! …………触らせてくんねーか?」
「えっ!? 僕、胸ないよ?」
「いや、胸はあるだろ……っ」
「あっ、うん……胸はあるけど」
晴臣の突っ込みに、ハハハと笑う。
まさかそんな事を言われるとは。全く想像していなかった。
だって友也は男だ。女の子のような柔らかい膨らみはない。筋肉もついてない。何の面白味もない胸だ。晴臣が興味を持つなんて思っていなかった。
ぽかんと黙り込む友也に、晴臣は勘違いする。
「……変なこと言って悪ぃ。嫌なら、いいんだ」
「あっ、違うよ、嫌じゃないよ、全然!」
晴臣が触りたいというのなら、触ってもらっても構わない。ただ、触ったところで何も楽しくないのではないかと思うのだ。
「ホントか……?」
「うん。でも、触り心地はよくないと思うよ?」
「俺はただ、友也の胸が触りたいだけだ」
晴臣は胸を張り、きっぱりと言う。
彼がそう言うのなら、断る理由はない。
「えっと……脱いだ方がいい……?」
「……あ、……ああ」
男同士なのにこんな事で恥ずかしがるのはおかしいだろうに、二人とも茹だったように顔を赤くしていた。
友也は上半身裸になった。
ベッドに腰かけた晴臣の前に、彼に背を向ける形で友也もベッドの端に腰を下ろす。
暫しの沈黙ののち、晴臣はゴクッと喉を鳴らした。
「さ、触る、ぞ……?」
「う、う、うん……」
彼の緊張が伝わってきて、友也もガチガチに固まってしまう。
後ろから回された晴臣の掌が、友也の両胸を包んだ。
彼の手は熱を持っているかのように熱い。ふうっふうっと荒い息が耳にかかる。かなり興奮しているようだが、友也に触れる彼の手は優しかった。繊細な手付きで友也の貧相な胸を揉んでいる。
背中に触れる彼の胸から、バクバクと高鳴る鼓動が伝わってくる。友也の触り心地の悪い胸を触って、こんなにもドキドキしてくれている。その事実に、友也も気持ちが高揚していく。
「はっ……はあっ……ふ、んっ……はあっ……」
「友也……大丈夫か……? 嫌じゃねーか?」
「ん……全然、嫌じゃ、ないよ……」
晴臣はこちらの反応を窺いながら、慎重に胸を揉む。
彼の大きな掌に両方の胸を包み込むように揉まれ、快感よりも興奮に息が上がっていく。
ふと、彼の指が胸の突起を掠めた。いつの間にかツンと尖っていたそこに触れられると、強い刺激が駆け抜ける。
「んぁっ、やぁ……っ」
友也が声を上げた瞬間、晴臣はパッと手を離した。
「わ、悪ぃっ……嫌だったか……?」
おろおろと上下する晴臣の手を握る。
「ち、違うよ……ビックリして、声が出ちゃっただけ、だから……」
彼の両手を、再び自分の胸へと導いた。
「と、友也……」
「嫌じゃない……。晴臣くんに触られて、嫌なところなんてない……。寧ろ、触られると嬉しい、から……。もっと、触って……」
羞恥に掠れた声で言えば、後ろから唾を飲み込む音が聞こえた。きっと彼の顔も自分と同じように真っ赤になっているのだろうと、見なくてもわかった。
友也に促されるまま、晴臣の手がまた胸に触れる。
「んっ……ふぁっ……」
「友也……」
名前を呼びながら、晴臣は優しく乳首を擦る。すりすりと乳頭を指の腹でさすられると、むずむずするような感覚が走り抜けた。
「あっ……んっ、んっ……んんっ」
気を抜くと鼻にかかったような甘い声が口をついて出る。
「声、我慢すんな」
必死に口を噛み締める友也に気付き、晴臣が耳元で囁く。
「ふぅっんっ……でも、恥ずかしぃ……っ」
正直、胸を触られても何も感じないだろうと思っていた。男だから、胸を触られて快感を得る事などないと。それなのに、感じていると言わんばかりの甘い声を上げてしまうのが恥ずかしかった。
「声我慢すんなら、もうやめる」
「えっ……!?」
晴臣は指の動きを止めた。
友也は縋るように声を上げる。
「や、やだっ……触って、晴臣くん……っ」
「お前に我慢させてまで、触りたくねーんだよ」
「やっ……声、我慢しないから……だから、触って……っ」
懇願すれば、再び指が動き出す。
「あっ……あんっ……」
「そうやって、ちゃんと声出せよ」
「ぅんっ、うん、ちゃんと、出すぅっ、んあっ」
褒めるようにクリクリと乳首を転がされた。
ビクッビクッと身を震わせながら、友也は蕩けた声を部屋に響かせる。
気づけば、ゴリゴリと固い感触が臀部に触れていた。それが彼の欲望だとわかり、友也の興奮も一層増した。身も心も昂り、友也のぺニスも頭を擡げる。
友也はひっきりなしに腰を捩った。
「んっ、あっ……あっんっ」
顎を仰け反らせ喘ぎ声を上げながら、じくじくと疼く下肢の熱を持て余す。
指に挟まれた乳首をコリコリと捩られ、強い刺激にぺニスから蜜が溢れた。
「んあぁっ、待って、晴臣くん……っ」
友也は咄嗟に彼の手を止めた。
「悪い、痛かったか……っ?」
焦る彼に、ふるふると首を横に振る。
「ち、違くて……あの……下も脱いでいい……? 汚しちゃう、から……」
「あっ……ああ……。俺も、ヤバいな……」
友也は全裸になり、晴臣は上半身裸になってズボンの前を寛げて陰茎を取り出した。
ベッドの中央に移動し、今度は向かい合う形で友也は腰を跨ぐように彼の脚に座る。
勃ち上がり反り返った互いの陰茎を友也は両手で包み込み、上下に擦る。
「あっあっ、きもちぃ、晴臣くん……っ」
「っ、ああ、俺も……友也っ、友也……」
晴臣の手はぷくりと膨らんだ両方の乳首を愛撫する。指でくにゅくにゅと押し潰され、快感にぺニスからとろりと蜜が溢れた。
「んぁあっ、んっ……晴臣、く、んんっ、ちゅぅ……ちゅう、したいぃ……っ」
潤んだ瞳でねだれば、彼はすぐに唇を重ねてくれた。どちらからともなく舌を触れ合わせ、深く口付ける。
「んふぅっ、んっ……ぁんっ……んんっんっ」
ぴちゃぴちゃと音を立て、舌で舌をねぶる。粘膜の擦れる感触が気持ちよくて、ぺニスからは先走りがとめどなく滴り続ける。流れる蜜を塗りつけるように、友也はぐちゅぐちゅとぺニスを扱いた。
キスと性器の刺激だけでなく晴臣に乳首も弄られて、どんどん快楽が蓄積されていく。
「んぁぁっ……んっ、ふっ……うぅっんっ」
「んっ……はあっ……友也……んっ、んっ」
気持ちよくて、友也は夢中で二人のぺニスを扱いた。技巧もなく、快感を追い求めがむしゃらに擦り上げる。
ぬちゅくちゅと卑猥な水音が口元と下肢から響く。
つまんだ乳首をくりゅくりゅと捏ね回され、痺れるような強い刺激に背筋が大きく震えた。
「んぅっ、んっ、ん~~~~~~っ」
ビクビクッと体を弾ませ、友也は絶頂を迎える。それから間もなく、晴臣も射精した。二人分の体液が友也の手を汚す。
「んはぁっ……はんっ……ぁ、ふ……っ」
「はっ、はあっ……友也……」
糸を引きながら唇を離せば、二人の荒い息遣いが部屋を満たした。
ゆっくりと、友也の体が押し倒された。ベッドに仰向けになった友也に晴臣が覆い被さる。
彼の指がそっと、労るように乳首を撫でた。
「ぁんっ……」
「弄り過ぎたか……? 大丈夫か、友也?」
心配そうに見下ろす晴臣に、とろんと蕩けた瞳を向ける。
「大丈夫、だよ……。弄られるの、きもちぃ……から……晴臣くんがやじゃなかったら……また、いっぱい弄って、ほし……あぁんっ」
言い終わる前に、乳首にしゃぶりつかれた。
「ひゃっぅんっ、あっあっ、晴臣くぅんっ」
指で弄られるのとは全く違う刺激に、友也は背中を仰け反らせ身悶えた。ぬめった粘膜に乳輪ごと含まれ、熱い舌で押し潰すように舐められる。
「ひぁっあっ、きもちいっ、ああっ、ちくび、きもちい、の、晴臣くぅっ、んっあっあっ」
片方はねぶられ、もう片方は指で弄られる。甘い快楽に背中がゾクゾクッと震えた。
「あぁっ、んっ、晴臣、くっ、んっあっ、ぅんんっ」
互いの性器は再び熱を取り戻していた。勃起したそれがまた擦れ合い、二人に快感をもたらした。
「んんぅっ、あっあっ、おちんち、こすれて、あぁっ、いいっ、きもちいぃっ、あんっ、んっああぁっ」
友也の乳首をしゃぶりながら、晴臣は腰を揺すり性器同士を擦り合う。先ほど出した精液で互いの陰茎はぬるぬるに濡れている。
固く反り返った彼の肉棒に裏筋をぬちゅぬちゅと激しく擦られ、強い快感にひっきりなしに嬌声が漏れた。
「んあぁっ、あっ、ひぅんっ、はるおみくぅっ、あっあっ、きもちいいよぅっ、んっああぁっ」
ぢゅるっぢゅるっと乳首を吸い上げられる。気持ちよくて、無意識に友也の腰も動いてしまう。
大きく広げた脚の間で、彼が腰を振っている。
まるでセックスをしているようだ。
そう考えると興奮が高まり、体が絶頂へ向けて一気に駆け上がる。
「ひっ、あっあっ、すきっ、すきっ、はるおみくぅんっ、すきぃっ、あっあっ、んんんっ、もう、いくっ、いっちゃ、あっあっあっ」
煽られたように、晴臣の愛撫は激しくなった。片方の乳首を爪の先で優しくカリカリと引っ掻き、もう片方にぢゅぱぢゅぱと吸い付く。そうしながら、自分の陰茎を友也のそれにぐちゃぐちゃに擦り付けた。
「んひっ、いくっ、いくぅっ、っ、~~~~~~っ」
背中を弓なりに反らせ、友也は自分の下腹に精液を飛び散らせた。間を置かず、晴臣も同じように達する。
二人は暫く射精の余韻にじっとしていた。
呼吸を落ち着け、晴臣は友也の胸元から顔を上げる。
ぽってりと赤く色づく友也の乳首を見て、申し訳なさそうに眉を下げた。
「悪い……さすがにやり過ぎたな。痛くねーか……?」
腫れたような感じはするけれど、痛みはない。
「だいじょーぶ……。じんじんするけど、痛くないから……もっとしても、平気だよ……」
友也の言葉にゴクリと生唾を飲み込む晴臣だが、ぶんぶんっとかぶりを振った。
「いや、これ以上は痛くなるかもしんねーから、今日はもうやめとこーぜ」
晴臣の優しさに小さく笑みを零し、友也は彼に向かって両手を伸ばした。
「じゃあ、今度はいっぱいキスしてほしい……。晴臣くんと、ちゅーしたい……」
はにかみながらねだれば、噛みつくようにキスをされた。
それから二人は飽きる事なく口づけを交わし、帰る時間になるまでイチャイチャしたのだった。
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