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しおりを挟むはじめて晴臣とキスをしてから、二人きりになれば毎日のように唇を重ねてきた。一月以上経った今でもそれは変わらないのだが、今、友也は晴臣とのキスを我慢していた。
授業を終えて、今は友也の家に晴臣と一緒にいる。家の中には友也と晴臣の二人しかいない。いつもだったらとっくにキスしていただろう。今だってしたい。
けれど友也は必死に耐えていた。
一週間後にテストが控えているからだ。
今日、晴臣が来たのは友也の部屋で一緒にテスト勉強をする為だ。
晴臣はテスト勉強なんてしないだろうと思っていたのだが、友也の邪魔はしたくない、でも友也の傍にいたい、そんな思いから一緒に勉強をする、と言ってくれた。
意外にも彼は真面目に勉強に取り組んでいた。眉間に皺を寄せ、難しい顔で教科書を読み込んでいる。
彼が友也の邪魔をしたくないと思ってくれているのに、友也が彼の邪魔をしてはいけない。だから、キスはお預けだ。
一度キスをしてしまえば、もっともっとと彼に縋り勉強どころではなくなってしまうだろう。ちょっとだけなら……なんて自分を甘やかしてはいけない。ちょっとだけで済まないのは、自分でよくわかっているのだ。
がり勉ではないけれど、テスト前はテスト勉強をしなくては落ち着かない友也は昼休みも勉強する。
だから、晴臣と二人きりという状況にありながら友也はひたすらキスをしたいという気持ちを抑え込んでいた。
頭の中では晴臣とキスしたいという事しか考えておらず、全く勉強に集中できていない。
これはよくない。勉強はちゃんとしなくては。
真面目な友也は懸命に意識をキスから逸らそうとする。
そうだ、キスをご褒美だと思えばいいのではないか。そんな考えが思い付いた。
テストを頑張って、ご褒美に晴臣にいっぱいキスしてもらうのだ。我慢している今の状況に苦しむのでなく、テストが終わった後の晴臣とのキスを目標に勉強を頑張るのだ。
そう考えると、俄然勉強へのやる気が湧いてきた。
友也は気持ちを切り替え、かつてないほど勉強に集中する事ができた。
そしてテスト最終日。ご褒美の為に勉強をしっかり頑張った友也はいつも以上の力を発揮してテストを終える事ができた。
放課後、晴臣を自分の家に誘う。彼は照れ臭そうな面持ちで頷いてくれた。
両親は仕事で、家には誰もいない。静まり返った家の中へ足を踏み入れ、ドアが閉まると同時に晴臣にキスされた。
「ひゃ、ま、んっ、んんんっ」
久しぶりの彼の唇の感触と体温に、友也は陶然となった。玄関だとかそんな事は既に気にならない。
ただ晴臣とのキスに耽溺する。
「ふぁっんっ……はっ……んっんっ」
友也は自ら口を開いて彼の舌を招き入れた。差し込まれた舌がくちゅくちゅと口の中を舐め回す。この感触も久しぶりで、友也はぞくぞくと背筋を震わせ酔いしれる。
「んふっぅ……んっ……んんっ、んっ」
舌を伸ばせばちゅぱちゅぱとしゃぶられ、快感に体が火照る。じぃん……と全身に熱が伝わり、頭がくらくらした。
晴臣とキスできた事が嬉しくて、このままずっとこうしてキスしていたいと思った。
「ふっ、ふぅっ、んっんぅ、んっ」
ぎゅっとしがみつけば、ぢゅうぅっと強く舌を吸い上げられた。
その瞬間、ガクッと膝が折れた。唇が離れ、くずおれそうになる友也の体を晴臣が支える。
「っあ、ご、ごめ……っ」
キスで腰を抜かしてしまったようだ。腰を抜かすほど夢中になっていた事に友也は羞恥を覚えた。
「俺の方こそ、悪ぃ……。こんなとこで、がっついちまって……。ずっと、宮瀬とキス、したかったから……我慢できなくなっちまって……」
顔を真っ赤にして謝る晴臣に、ぶんぶんと首を振る。
「ううん! 嬉しかった、から……。僕も、ずっと桧山くんと、キス、したくて……」
「っ……そ、そうか……」
「あ、の……へ、部屋に、行こう……?」
互いに耳まで赤く染めながら、友也の部屋へ移動する。
友也はベッドに押し倒され、覆い被さってくる晴臣に再び唇を重ねられた。
彼の重みを感じなから、キスを堪能する。何度も何度も舌を触れ合わせ絡め合い、吸い上げて甘噛みした。混ざり合う唾液を飲み下し、もっととねだるように舌を伸ばした。
じんじんと痺れるような快感が全身に広がる。下腹部に熱が籠り、友也はもぞもぞと腰を捩った。股間が晴臣の太股に擦れ、びくんっと肩が跳ねる。
「んはっ、あ……桧山、く……待ってぇ……」
「わ、悪ぃ……またがっついちまって……。苦しかったか……?」
「違……くて……。その……僕……ぱ、ぱ、パンツ……汚しちゃい、そう……」
そんな報告をするのは堪らなく恥ずかしかったが、このままでは本当に下着を汚してしまう。友也は恥を忍んで伝えた。
こんな事を言って、彼に嫌われてしまうかもしれない。
勘違いで付き合う事になって、でもすぐに飽きられてフラれるから大丈夫だろう、なんて考えていたのに。
今は彼に嫌われたくないと思っている。飽きたから別れる、なんて言われたらきっと悲しくて泣いてしまうだろう。
それくらい、彼は友也にとって大切な存在になっていた。
「ご、ごめん、なさ……」
泣きそうな声で謝れば、晴臣はゴクンッと喉を鳴らした。見ると、彼は首まで赤く染めている。
「なに謝ってんだよ……」
「だって……僕……」
「…………脱がせていいか?」
「っえ………?」
言われた事の意味がわからず反応が遅れた。その間に晴臣は友也のズボンに手をかけ、下着ごとずり下ろしてしまう。
「ひゃあ……!?」
陰部を露出され、思わず悲鳴を上げる。
勃起し、先走りを漏らすぺニスを凝視し、晴臣は熱い息を吐き出した。
「マジで、濡れてんだな……」
「や、見ないで……ごめんなさ……っ」
「だから、なんで謝んだよ」
「だって……こんな……」
「言っとくけど、俺だって勃ってんだからな」
「…………え?」
「当たり前だろ。…………好きな、ヤツと、エロいキスしたんだから……フツー勃つだろ」
晴臣は視線を逸らし、照れながら言う。
「ほ、ほんと……?」
「こんなウソつくかよ。…………ほら」
晴臣に手を握られ、下肢へと導かれる。彼の股間に触れると、布越しに固く膨らんだ感触が伝わってきた。
大きく張り詰めたそれの熱が伝わってきて、友也は興奮に息を乱す。
「桧山、くん、のも……だ、出して、いい……?」
「っ…………ああ」
友也は震える手で彼のそれを取り出す。
自分のものよりも大きくどっしりとした陰茎が、反り返り先端を濡らしていた。
友也は勃起した彼の欲望を目にし、喜びと興奮を覚えた。自然と息が上がり、ぞくぞくとした震えが駆け巡る。
「すご、ぃ……おっき……」
「っ……あんまエロい事言うな」
「えっ……ご、ごめん……?」
友也はただ感想を言っただけのつもりだったのだが。
「触るぞ」
「えっ、あっ……うそ……んんっ」
勝手な宣言と共に、晴臣は友也のぺニスを掌に包み込んだ。
大きな手に握られ、上下に擦られる。強い快感に襲われ、友也の口から嬌声が漏れた。
「ひゃっ、ぅんっ、んっ、あっあっ」
気持ちよくて、変な声が出てしまう。顔もきっとぐちゃぐちゃになっている。みっともない姿を見られて恥ずかしい。
「……可愛い」
可愛いわけがないのに、変な声を上げ変な表情を晒す友也を見下ろし、晴臣が言う。彼の瞳には情欲が浮かび、興奮したように息を荒げている。
そんなわけがないと思うのに、彼に可愛いと言われると嬉しくて脳髄が痺れた。ぞくっぞくっと背筋が震え、ぺニスから新たな蜜が溢れ出す。
「んぁっあっ、桧山、くっ、んっんっ、ぼ、僕も、触りたいぃ……っ」
反り返った彼の陰茎に触れる。自分のものとは太さが違う。大きくて固くてドクドクと脈打っている。
彼の欲望に直接自分の手で触れているのだと思うと恥ずかしくて、そして堪らなく気持ちが高揚した。
晴臣がしてくれるのと同じように、ぎこちない手付きでそれを扱く。
「っ……はっ……」
晴臣の口から喘ぐような吐息が漏れ、更に気持ちが昂った。
彼の頬は紅潮し、瞳には情欲を滾らせている。 まっすぐに友也を見つめる彼の視線にすら感じて、ぶるっと肩を震わせた。
見つめ合いながら互いの性器を擦り上げる。徐々に顔が近づいて、どちらからともなく唇を重ねた。
「んっ、ふ、ぅ……あ、桧山、く……んんっ」
「っは……宮瀬……ん、ん……っ」
舌を絡め、深く唇を重ね合う。ぴちゃぴちゃと音を立ててキスを交わしながら、ぺニスを刺激する。
晴臣の大きな掌に握り込まれ擦られると、今まで味わった事のない快楽が押し寄せてくる。自慰では得られない強烈な感覚に友也はびくびくと身をくねらせた。
友也も彼の性器を懸命に刺激するけれど、快感が強すぎてうまく手を動かせない。
「は、んっ、ちゅっ……ぁっ、んっ、ひ、やま、くんんっ、んんぁっ」
「んっ……は、ぁ……んっ……宮瀬、んちゅっ……宮瀬……んっ……」
晴臣の舌が口腔内を掻き回す。口の中をねぶりながら、彼の指は友也のぺニスの先端をぬちゅぬちゅと擦った。
敏感な箇所を弄り回され、快感にはしたなく腰が浮き上がる。
「んはぁっ、んんっ、ぁっ、まっ……あ、んっ、でちゃ……んんんっ、もう、はなし……んっんっ、でちゃうぅ、んっんっんーっ」
射精しそうだから手を離してほしいと頼みたいのに、晴臣はキスをやめてくれないし、ぺニスを扱く手も止めてくれない。
「んっ、あ、も……でる、んんっ、でちゃぁっ、はんんっ、んっ、っ、~~~~~~っ」
射精を促すように激しく擦られて、友也は呆気なく精を吐き出した。放たれた体液が、晴臣の陰茎にかかる。
唇を解放され、友也は荒い呼吸を繰り返す。息を整えながら下肢へ視線を向け、自分の失態に気づいた。
「ぁ……ごめ……桧山くんの、おちんちん……汚しちゃった……」
涙目で謝れば、噛みつくような勢いで再びキスをされた。
「んんん……っ!?」
「ん、ふーっ……ふーっ」
鼻から興奮したように息を漏らしながら、晴臣は友也の手の上から自身の性器を握る。そしてそのまま激しく扱きはじめた。
友也の精液でぬめりを帯び、擦るたびにぐちゅぐちゅと卑猥な音が響く。
「んんっ、んっ、ん……っ」
友也の唇を貪りながら、晴臣は陰茎を擦り上げる。
その動きの激しさに友也は興奮を覚えた。友也の手の中で彼の陰茎は更に体積を増していく。
彼の熱を肌で直に感じ、ぞくんっぞくんっと腰が痺れた。射精したばかりのぺニスがゆらりと勃ち上がる。
「んっ、んんぅううっ」
ぢゅうーっと友也の舌を吸い上げながら晴臣も射精した。吐き出された精液が友也の下腹部に飛散する。
「んはっ、はっ……はあぁ……っ」
「っは……はーっ、はーっ」
唇を離し、二人は荒い息をつく。
友也は胸を上下させながら、蕩けた瞳で下腹部を見つめた。
「すご、ぃ……いっぱい……」
陶然と呟きを漏らした。
友也はワイシャツの裾を捲り上げ、自分の体にかかった晴臣の体液に視線を注ぐ。
「おっ、まえ……エロい事言うなって……。止まんなくなるだろーが……っ」
既に陰茎を緩く勃起させながら、晴臣が怒ったように言う。
「ご、ごめん……?」
「お前が悪いんだから、責任取れよ」
「んっ……」
再び彼の唇が近づいてきて、友也は嬉々としてそれを受け入れる。
それから二人は時間いっぱいキスをして、互いの体に触れ合った。
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