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悩みと神と僕と

あらぬ方向へ

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彼は、少女が飛びつく老婆の姿を見て、ほっと息をついた。
少女が助けを求める相手が現れたことに、少し安心したようだった。

「でも、その老婆は現実には存在していなかったんだろうな」と彼はつぶやいた。

左にいる美女は、何も言わずにただ微笑んでいた。彼は、その微笑みに胸がときめいた。

「あなたは誰なんですか?」と彼は尋ねた。

美女は、静かにこう答えた。

「私は、あなたの願いを叶えるために現れた存在です」

「願いを叶える?何の話ですか?」と彼は驚いた。

美女は、ふと少女が拾い上げたマッチを指差した。

「あなたは、あの少女を助けたいと願っているでしょう。私がその願いを叶えます」

彼は、美女の言葉に心を打たれた。確かに、少女を救いたいと思っていた。しかし、どうすればいいのかわからなかった。

「でも、どうすればいいのですか?」と彼は尋ねた。

美女は、微笑んでこう答えた。

「あなたには、特別な力が備わっています。私は、その力を引き出してあげます」

彼は、不思議な感覚に包まれた。何かが変わり始めているようだった。

「今から、私が言う言葉を口にしてください。そして、あなたの力を解放してください」

美女の言葉に従い、彼は口にする。

「私は、世界を救うために生まれてきた。私は、力を解放する」

すると、彼の身体から強い光が放たれた。その光は、周囲の街灯すらも凌ぐほどの輝きだった。

そして、彼は気付くと少女の側に立っていた。少女は、彼を見上げて微笑んでいた。

「ありがとう、お兄さん」と少女が言った。

彼は、自分の手を差し伸べて少女を助け起こした。

「あなたは、これから幸せな人生を歩んでいくんだよ」と彼は優しく言った。

そして、彼は自分の持っていた財布からお金を取り出し、少女に手渡した。

「これで、暖かいものを買ってね」と彼は言った。
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