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悩みと神と僕と

今朝も生きている

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寝床から男は、起き上がりハッキリしていない思考でボンヤリとする。

それが、毎朝の日課であるし、これから家族に挨拶をして、朝食を食べて、歯を磨き、トイレに向かいつものルーチンを繰り返すわけだが。

ふと。起床するとそこは、だだっ広い。畳敷きの居間だった。

なんでこんなところにいるんだっけ?と自問する自分。

そろそろ50歳を過ぎで呆けて来たのか、変な夢でも見ているのか。。

さっきも妙な自己問答のような会話をしていたような夢。。

くるりと見渡すと周りはホントに広い居間でその中心に布団に寝ていた。

着ているものは、旅館に出てくるような浴衣で、上半身を起こしても、とんんとここがどこか分からない。

記憶にないのだ。まったく。

この居間?は、おそらく60畳はある。

その居間の先には、松を模った絵が描かれた立派な襖がぐるりと立てつけられ、閉まっている。

とまぁ、こんなわけ分からない状態で起床した男。年れもそうなのかもしれないが、
枕元に手を差し伸べて眼鏡を取る。

眼鏡はあるんだなとか、悠長な事を考えながら腕を組み。

ここはどこだ?とか妙に冷静に思ったりしながら、目を瞑った。

「ふむ。もう一度寝るか」

夢ならもう一度寝たことにして、起きればこんな変なデカい居間からの夢なんざ醒めるさ。

とすっと布団の中に再度、紛れ込む。

すると

「おいおい。お前さんは、そんな調子だから時間を無駄にしとるのとちゃうかな?」

なんだかしわがれたような年老いた爺さんのような声がそれこそ、今から二度寝しようとする
男の枕元から聞こえて来た。

「夢と現実は、おぬし次第であるのは、その年になれば分かって来てるであろうに」

最後にフヒヒと笑う感じに少しばかりムッとした男は、瞑っていた目を開いた。

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