天使のキララちゃん

カメと浦島太郎（前編）

　浦島太郎は、困っている人を助けることが好きだった。彼は近所中の人気者だったが、海辺に住んでいるカメはおもしろくなかった。そこで、いいことを思いついた。
「そうだ。オレが子供たちにいじめられているフリをしよう。きっと彼は助けに来るぞ」
　あくる日、子供たちに自分をいじめる「自作自演」を頼んだ。お金を払って。カメの言うとおりに子供たちがカメをいじめるフリしていると、やっぱり浦島太郎がやってきた。カメは愉快で仕方なかった。
　浦島太郎に言った。
「助けてくださって、ありがとうございました。お礼に竜宮城の乙姫様に合わせてさしあげます」
カメは浦島太郎を竜宮城へ連れて行った。
　竜宮城は海の中ではなく、街にある。ホテル「竜宮城」だ。そこには「乙姫様」という美女が一人待っていた。おいしい食べ物もあった。浦島太郎は大喜びだった。
「私のペットのカメを助けてくれたそうですね。私はそのような親切な人が大好きです。今夜は私を好きにしてください」