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第四話 もっと喋りたかった…

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その日私は大学の研究室に居た。大学は5年前に卒業してるから、つまりこれは夢なわけで。課題の論文をどうにか理解しようと読んでいても、てんで内容が入ってこない。諦めてぼーっと窓の方を見れば、研究室の先輩が外でキャッチボールをしている。いわゆる「囚人の遊び」というやつだ。
今日はもう帰ろ…。

研究室を出て、馬鹿でかい大学の敷地をとぼとぼと歩く。これは私の大学の記憶。
うちの学部は新校舎にあるのだが、これがまるで風情がない。木々も憩いの場もなく、学生に勉強だけをさせる為に設計したような意図を感じる。人の心と自然を無視するな、安らぎを与えろ。
「そうやって内側に溜め込んで何もしないのは、もうやめよう」
「え…?」
振り向くと見知らぬ少年が立っていた。
「やっと聞く気になってくれたんだね、良かった…」
「何のこと…」
「俺は大事なことを伝えに来た―」
その言葉にエコーがかかる。
夢から目覚めて時計を見る。午前3時。
…もっかい寝よ。
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