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客取り
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しおりを挟む――八月。いつもと変わらない一日。午後の『準備』の後、寝室のドアが軽快にノックされる。
「優輝くん、時間だよ」
覗き込む真柴の顔は満面の笑みに綻んでいる。朝の種付けで雄全員の子供を出産し終えた優輝は、今夜初めて客との子作りタイムに臨むのだ。前戯での高まりに芯を疼かせながらも緊張で身体を硬くする彼に、優しく声を掛ける真柴。
「不安なんだね。大丈夫だよ。雄くん達の時と何も変わらない。君はお客様に身を任せて、本能の赴くまま快楽に溺れていればいいだけだ」
ドライヤーで優輝の髪を整えた雄が、何処から取り出したのか太めの赤い紐を手に彼の腕を握る。細い両手首をひと纏めにして、クルリと紐を巻き付け緩く縛った。
「これは、お客様の為のおしゃれというか、衣装のようなものだよ。自由を奪われた男子を存分に犯して孕ませる――雄なら誰でも夢に見る最高のシチュエーション、それを演出する小道具なのさ。顔合わせが済んだらすぐに解いてあげるからね」
雄は、拘束された両手を見詰める優輝の身体を抱き上げる。「さぁ、行こう」と促して寝室を出ながら、思い出したように真柴が言った。
「あ、そうそう。今日までは雄くんが運んでくれるけど、次から子作り部屋への移動は自分で歩いていって貰うよ。ここにいるとなかなか脚を動かす機会がないだろう? 健康な体を維持する為に、最低限の筋力と身体機能は保つ必要があるからね。――だけど、『準備』で感じ過ぎて歩けないような時はちゃんと雄くんが抱っこしてくれるから、心配はいらないよ」
話しつつ子作り部屋の前に到着する。スッと開いた扉の向こう、ガラス張りの部屋の中に、三つの白い人影が見えた。白衣の雄が二人。そして残る一人の前に、優輝は連れていかれる。横に立った真柴が深く頭を垂れた。
「本日は誠にありがとうございます、城崎様。この子が、種付けして頂く優輝です。今回が『孕ませライフ』デビューになります」
白のバスローブを羽織った男――30代後半くらいだろうか。IT企業トップを思わせる知的で凛々しい顔立ちと、すらりとした体躯。ローブの合わせから覗く胸筋は無駄なく引き締まっていた。
「サイトの写真や見学で見ただけでもひと目で気に入ったけど、こうして間近にすると一層可愛いね。会いたかったよ、優輝くん。早く君を孕ませたくてウズウズしてた。君の初めてのお客になれるなんて光栄だ。たっぷりイかせて私の子種を注ぎ込んであげようね」
初モノを得られた興奮に多少呼吸が熱を持っているものの、落ち着いた言葉と柔らかな笑顔は大人の香りを纏っている。長い指で頬を撫でられて、雄に抱えられたままの優輝は目を閉じピクリと肩を竦ませた。
「それでは、間もなくお時間ですので支度に入らせて頂きます。城崎様もベッドの傍へどうぞ」
真柴の声を合図に、雄が優輝をマットレスの上に横たえる。一礼して去っていく彼と入れ替わるように進み出た白衣の雄の一人が赤い紐を解くその隣で、もう一人が淫具挿入の準備を始めた。自由になった両手を所在無く彷徨わせた優輝だったが、蜜口に触れたシリコンの感触に一瞬息を詰める。少しずつ潜り込む淫具に尿道を犯されていく感覚が堪らず、両脇のシーツに爪を立てギュッと握り締めた。
「…う…、ん…っ」
上気した頬を枕代わりのクッションに押し付ける優輝。装着が完了した彼の全身を眺めた客の男は、満足そうにニッコリと笑う。
「すごく卑猥でいやらしい姿なのに、表情は未経験の男の子みたいに初々しいんだね。期待通りで嬉しいよ」
雄達がベッドから離れ、それぞれの持ち場に待機する。真柴は改めてお辞儀をした。
「城崎様、お待たせ致しました。この子はどんなに激しい種付けでも受け入れ可能ですので、どうぞご存分に」
「うん、ありがとう」
するりとローブを脱ぐ客。現れた裸体は、雄達に比べると若干細身の体格だ。が、股間のモノは太く逞しく、これから訪れるだろう濃密な快楽と濃い子種を想像させた。
「真柴さんには随分とお世話になっていてね。ここでもう10人以上も子作りさせて貰ってるんだよ。名器を謳う優輝くんがどんなふうに他の子達と違うのか、じっくり可愛がって確かめさせて貰うよ。君が産んでくれる子供の顔を見るのも本当に楽しみなんだ。出来れば女の子が欲しいけど、男の子でもきっと玉のように可愛いんだろうなぁ」
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