EDEN ―孕ませ―

豆たん

文字の大きさ
上 下
19 / 43
客取り

しおりを挟む

 ――八月。いつもと変わらない一日。午後の『準備』の後、寝室のドアが軽快にノックされる。


「優輝くん、時間だよ」


 覗き込む真柴の顔は満面の笑みに綻んでいる。朝の種付けで雄全員の子供を出産し終えた優輝は、今夜初めて客との子作りタイムに臨むのだ。前戯での高まりに芯を疼かせながらも緊張で身体を硬くする彼に、優しく声を掛ける真柴。

「不安なんだね。大丈夫だよ。雄くん達の時と何も変わらない。君はお客様に身を任せて、本能の赴くまま快楽に溺れていればいいだけだ」

 ドライヤーで優輝の髪を整えた雄が、何処から取り出したのか太めの赤い紐を手に彼の腕を握る。細い両手首をひと纏めにして、クルリと紐を巻き付け緩く縛った。

「これは、お客様の為のおしゃれというか、衣装のようなものだよ。自由を奪われた男子を存分に犯して孕ませる――雄なら誰でも夢に見る最高のシチュエーション、それを演出する小道具なのさ。顔合わせが済んだらすぐに解いてあげるからね」

 雄は、拘束された両手を見詰める優輝の身体を抱き上げる。「さぁ、行こう」と促して寝室を出ながら、思い出したように真柴が言った。

「あ、そうそう。今日までは雄くんが運んでくれるけど、次から子作り部屋への移動は自分で歩いていって貰うよ。ここにいるとなかなか脚を動かす機会がないだろう? 健康な体を維持する為に、最低限の筋力と身体機能は保つ必要があるからね。――だけど、『準備』で感じ過ぎて歩けないような時はちゃんと雄くんが抱っこしてくれるから、心配はいらないよ」

 話しつつ子作り部屋の前に到着する。スッと開いた扉の向こう、ガラス張りの部屋の中に、三つの白い人影が見えた。白衣の雄が二人。そして残る一人の前に、優輝は連れていかれる。横に立った真柴が深く頭を垂れた。

「本日は誠にありがとうございます、城崎きざき様。この子が、種付けして頂く優輝です。今回が『孕ませライフ』デビューになります」

 白のバスローブを羽織った男――30代後半くらいだろうか。IT企業トップを思わせる知的で凛々しい顔立ちと、すらりとした体躯。ローブの合わせから覗く胸筋は無駄なく引き締まっていた。

「サイトの写真や見学で見ただけでもひと目で気に入ったけど、こうして間近にすると一層可愛いね。会いたかったよ、優輝くん。早く君を孕ませたくてウズウズしてた。君の初めてのお客になれるなんて光栄だ。たっぷりイかせて私の子種を注ぎ込んであげようね」

 初モノを得られた興奮に多少呼吸が熱を持っているものの、落ち着いた言葉と柔らかな笑顔は大人の香りを纏っている。長い指で頬を撫でられて、雄に抱えられたままの優輝は目を閉じピクリと肩を竦ませた。

「それでは、間もなくお時間ですので支度に入らせて頂きます。城崎様もベッドの傍へどうぞ」

 真柴の声を合図に、雄が優輝をマットレスの上に横たえる。一礼して去っていく彼と入れ替わるように進み出た白衣の雄の一人が赤い紐を解くその隣で、もう一人が淫具挿入の準備を始めた。自由になった両手を所在無く彷徨わせた優輝だったが、蜜口に触れたシリコンの感触に一瞬息を詰める。少しずつ潜り込む淫具に尿道を犯されていく感覚が堪らず、両脇のシーツに爪を立てギュッと握り締めた。

「…う…、ん…っ」

 上気した頬を枕代わりのクッションに押し付ける優輝。装着が完了した彼の全身を眺めた客の男は、満足そうにニッコリと笑う。

「すごく卑猥でいやらしい姿なのに、表情は未経験の男の子みたいに初々しいんだね。期待通りで嬉しいよ」

 雄達がベッドから離れ、それぞれの持ち場に待機する。真柴は改めてお辞儀をした。

「城崎様、お待たせ致しました。この子はどんなに激しい種付けでも受け入れ可能ですので、どうぞご存分に」

「うん、ありがとう」

 するりとローブを脱ぐ客。現れた裸体は、雄達に比べると若干細身の体格だ。が、股間のモノは太く逞しく、これから訪れるだろう濃密な快楽と濃い子種を想像させた。

「真柴さんには随分とお世話になっていてね。ここでもう10人以上も子作りさせて貰ってるんだよ。名器を謳う優輝くんがどんなふうに他の子達と違うのか、じっくり可愛がって確かめさせて貰うよ。君が産んでくれる子供の顔を見るのも本当に楽しみなんだ。出来れば女の子が欲しいけど、男の子でもきっと玉のように可愛いんだろうなぁ」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

処理中です...