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12.アレキサンド公爵家①
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アイリーンの侯爵家当主としての地位を確固たる物にすれば、
目的を達成する事が出来るのだと思っていたが、
どうやらそんな単純な事では無かったらしい。
アイリーンが不幸に襲われるのは、寧ろこれからの様だ。
だとすれば主たる舞台は学園生活になる。
非常に不味い、学園内で問題が起こるとすると自分では援護射撃しか出来ない。
本来は、アイリーンにはゆっくりと将来の伴侶を決めさせてあげたかったが、
少なくとも学園内に味方だけは作っておかないと不味い事になる。
来年の四月にはアイリーンは、学園に通う事になる。
せめて後一年猶予があれば打つ手もいくつかあったのだが、
アイリーンの回復後にすぐにでも動かなければ致命的になる恐れがある。
幸か不幸かアイリーンと同じ年に王族の娘がいる為に、
有力な令息はまだ婚約など出来ずに出方を待っている状況だ。
だが逆に考えればアイリーンに不幸を招くのは王女になる可能性が高い。
王族と事を構えてもアイリーンを守り抜く基盤を築くのに、
一年しか猶予が無いのだ。
アイリーンには特殊な能力があるみたいなので、
ある程度は、その力を使うしか無いだろう。
アルマンは、先ずは最初の一手をうつために、
アレキサンド公爵家への文をしたためながらも、
娘アイリーンを守るための算段を考え苦悩していた。
ーーーその頃、アレキサンド公爵家。
血筋を辿れば王国の王の弟が当主である筆頭公爵家。
建国した際の王の志は立派で、民衆を導く強い王が必要だが、
子孫達が独裁者になってしまった場合に、
進言し諌められる組織を作った。
それが貴族会である。
国の重要な役職や政に関しては、
例え王の意見でも貴族会が反対した場合に、
その意見は各貴族で多数決を取り、
半数以上の賛同を得る事が出来なければならない。
建国時から貴族会の長を務めている宰相は、
アレキサンド公爵家の人間である。
たとえどの様な立派な志しがあったとしても、
時が流れ、利権が絡めば腐っていく。
現在の国王にとってアレキサンド公爵家は、
目の上のたんこぶだったのだろう。
国王は自分の末っ子娘で次女の王女を、
アレキサンド公爵家の次男に嫁がせる事を計画した。
叙爵してそこそこの領地を与えて、
時間をかけて取り込もうと考えているようだった。
それにアレキサンド公爵家の次男は、
金髪碧眼見目麗しく学業優秀で末っ子王女もたいそう乗り気だったみたいだ。
息子のレオンハルトが、まだ幼い頃から婚姻の打診が来ていたが、
アレキサンド公爵家当主のレンブランドは、色々な理由をつけて断ってきた。
だがそろそろ王女の結婚適齢期で、
これ以上断わるには、それなりの理由がなければ、
王族と本気で争う事になり国内が荒れてしまう。
そこそこの相手と次男のレオンハルトを婚約させてしまうのが、
一番手っ取り早かったのだが、
レオンハルトがあまりにも優秀で、
同世代に見合う令嬢がいないのだ。
末っ子わがまま王女よりは幾分ましと言う理由で婚姻させる訳にもいかない。
国としては損失だが、いっそ国外の王族の王配や高位貴族の婿入りを考えるか。
だとすれば、息子は国内の学園より、留学させた方が良い。
そんな事を考えている時に、
リシュール侯爵家から手紙が届いた。
目的を達成する事が出来るのだと思っていたが、
どうやらそんな単純な事では無かったらしい。
アイリーンが不幸に襲われるのは、寧ろこれからの様だ。
だとすれば主たる舞台は学園生活になる。
非常に不味い、学園内で問題が起こるとすると自分では援護射撃しか出来ない。
本来は、アイリーンにはゆっくりと将来の伴侶を決めさせてあげたかったが、
少なくとも学園内に味方だけは作っておかないと不味い事になる。
来年の四月にはアイリーンは、学園に通う事になる。
せめて後一年猶予があれば打つ手もいくつかあったのだが、
アイリーンの回復後にすぐにでも動かなければ致命的になる恐れがある。
幸か不幸かアイリーンと同じ年に王族の娘がいる為に、
有力な令息はまだ婚約など出来ずに出方を待っている状況だ。
だが逆に考えればアイリーンに不幸を招くのは王女になる可能性が高い。
王族と事を構えてもアイリーンを守り抜く基盤を築くのに、
一年しか猶予が無いのだ。
アイリーンには特殊な能力があるみたいなので、
ある程度は、その力を使うしか無いだろう。
アルマンは、先ずは最初の一手をうつために、
アレキサンド公爵家への文をしたためながらも、
娘アイリーンを守るための算段を考え苦悩していた。
ーーーその頃、アレキサンド公爵家。
血筋を辿れば王国の王の弟が当主である筆頭公爵家。
建国した際の王の志は立派で、民衆を導く強い王が必要だが、
子孫達が独裁者になってしまった場合に、
進言し諌められる組織を作った。
それが貴族会である。
国の重要な役職や政に関しては、
例え王の意見でも貴族会が反対した場合に、
その意見は各貴族で多数決を取り、
半数以上の賛同を得る事が出来なければならない。
建国時から貴族会の長を務めている宰相は、
アレキサンド公爵家の人間である。
たとえどの様な立派な志しがあったとしても、
時が流れ、利権が絡めば腐っていく。
現在の国王にとってアレキサンド公爵家は、
目の上のたんこぶだったのだろう。
国王は自分の末っ子娘で次女の王女を、
アレキサンド公爵家の次男に嫁がせる事を計画した。
叙爵してそこそこの領地を与えて、
時間をかけて取り込もうと考えているようだった。
それにアレキサンド公爵家の次男は、
金髪碧眼見目麗しく学業優秀で末っ子王女もたいそう乗り気だったみたいだ。
息子のレオンハルトが、まだ幼い頃から婚姻の打診が来ていたが、
アレキサンド公爵家当主のレンブランドは、色々な理由をつけて断ってきた。
だがそろそろ王女の結婚適齢期で、
これ以上断わるには、それなりの理由がなければ、
王族と本気で争う事になり国内が荒れてしまう。
そこそこの相手と次男のレオンハルトを婚約させてしまうのが、
一番手っ取り早かったのだが、
レオンハルトがあまりにも優秀で、
同世代に見合う令嬢がいないのだ。
末っ子わがまま王女よりは幾分ましと言う理由で婚姻させる訳にもいかない。
国としては損失だが、いっそ国外の王族の王配や高位貴族の婿入りを考えるか。
だとすれば、息子は国内の学園より、留学させた方が良い。
そんな事を考えている時に、
リシュール侯爵家から手紙が届いた。
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