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46.王太子殿下の発病③

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注)本作品に出てくる薬や薬草はフィクションです。

私達は食事を済ませた後に私の鑑定でダンさん達の居場所を確認して、
余裕を持って向かった。

ダンさん達の居住している小屋は定期的に偵察の為に
遠くからは何度か確認していたけど、
改めて近くで見ると酷い有様だった。
子供が作った秘密基地の豪華版といった印象を受けた。

「来てくれてありがとう、殿下は中で聖女はそこにいる、
早速診断して貰えるとありがたい」
「ダン、壊れないように風魔法で部屋に篭っている空気を換気させてくれ」
「ああ、問題無い」

お義兄様が風魔法で換気させた後に、
狭かった為に私とお義兄様だけ小屋に入った。
折りたたんだ絨毯の上で寝ている王太子に早速鑑定をかけて病態を確認した。

『鑑定』

【鑑定結果】
名称: ハーレック王太子
階級:第一王子
状態:デボネア菌に感染中、衰弱、聖魔法若しくはデトール薬にて病状改善
その他:『王威』能力所有、玉座から離れている為弱体中

病状の確認も終わり一旦外に出た。

「診察は終わりました、デボネア菌に感染してるようです、
聖魔法かデトール薬で病状が改善するみたいです」

「デボネア菌でしたら最近王都でも発病者が多発したので調査済です。
南国の果実が感染源で死亡率も高いですね。
デトール薬は聞いた事はありますが、薬学は専門外ですね。
ダン、聖女に確認して来てもらえるか?」

しばらく聖女の方に向かい落ち込んだ顔でダンさんが戻って来た。

「解毒系の聖魔法は使えないらしい、
それとデュークさんとお茶がしたいらしい」

「は?私とお茶?何か意味があるのか?」
「多分ですが純粋にデュークさんと親睦を深めたいだけだと思いますよ」

「意味が分からない、婚約者が病気で俺と親睦を深めてどうしたいんだ。
賄賂的な何かか?」
「意味なんか考えても無駄です、変わった人間なんですよ、
例えるならシラスにたまに入っている小さなカニの様に異質な存在です」

「シラスにカニを見つけると少し嬉しいぞ」
「シラスの話は関係ないでしょ!」
「お前がシラスの話をしだしたんだろう!」
「シラスは例で異質が本題です!」

私の頭の良い旦那様二人が頭の悪い会話をしている…

「聖女は放っておきましょう。
聖魔法が使えないとなるとデトール薬に頼るしか無いのですが、
以前ツワブキ草を調べた時にリキュール草と調合すると出来る事は分かっています。
問題はリキュール草が何処に生えているかが分かりません。
能力で判明したと言うことは、
この島の何処かに生えている事に間違い無いのですが」

「今から当てもなくこの島の中から見た事もない薬草を探すのは絶望的だな」
「そんな、頼むお願いだ、殿下が助かるなら何でもする。
ルシエルさんに酷い態度を取った事で気に入らないなら、
俺を殺してくれて構わない」

お義兄様の言葉にダンさんが泣きながら懇願してきた。

もしも旦那様二人が同じ状況なら私も同じ様な気持ちになるだろう。
腹を括りますか。
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