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本編

16.サバイバル生活 二日目 聖女リリーナ①

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日が上るとノロノロと皆無口で動き出した。

こんな状況なので誰もがゆっくり眠れなかったようで
野営もした事があり体力も一番あるダンが少しはマシ程度。

野営の経験があるのであれば
この場で使える知識が少しはあるのかと思ったが
そんな事は全く無かった。

軍の野営は物資を持ち込んで目的地までの行進中に
目的地に行くまでの途中でテントで寝て
持ってきた食材を器材で調理するので
基本的に何もない今の状況で使える知識が無い
大型剣を携帯しているが細かな作業は出来なさそうだ。

「ルイードはいなくなったみたいだな、デュークを探しに行ったみたいだが」
ハーレックはあまり信じていなかった。

もし本当にデュークを探しに行くのであれば
わざわざ夜中に居なくなる必要が無かったのだから
だが最近ルイードの進言がいちいち癇に障り
ルイードのいけんを聞いていたかと言うと微妙だが。

どちらにせよ、この状況でルイードよりも
デュークやダンや聖女の方がよほど貴重な人材なので
本当にデュークを見つけて来れば儲け物だ

そう言えば聖女が最近回復魔法を使った所を見た事がない
先ほども夜中に虫に噛まれた傷の回復を頼んだが
体調が万全で無いと上手く使え無いと断られた。

リリーナが回復をするところは何度か見たので
疑う余地はないのだが
体調が万全で無いと使え無いとなると
この先どこまで役に立つかが微妙なところになってしまう。


「とりあえず食事を見つけないとな」
ハーレック王太子に続き皆で歩き出すが当てがある訳では無かった。

ルイードの進言通りにある程度の離れた距離で島の全容を確認していれば
高低差や地形から川がありそうな場所や
鳥の群れなどが見れれば食べられる木の実がありそうな場所や鳥自体を
捕まえられそうな場所、森がどこまで広がっているのかなどの
おおよそ計画が立てられたが、直ぐに目の前の森に入ってしまった
ここまで森が深いとはおもってもいなかったのだ。
せめてもの救いがダンに定期的に目の高さの枝を切らせているので同じ場所を
何度もグルグル回ってしまうのは避けられたが。

ーーーーリリーナ
くそくそ
もう声を出して文句を言う気力もない
とにかく何かを食べて体を洗いゆっくりと休みたかった。
ほんの少し前までは、侯爵家のご令嬢であり聖女でもあり
ゆくゆくは一国の王妃様になる予定の自分が
何でこんな目に遭っているのか分からない。

ヒロインである自分がこんな場所を彷徨う様なルートなど
あって良い訳が無いんだ。

全てはあの女が生き残っているのが元凶だ
あの女が生き残っている以上はゲームが終了しないのだろう

だからあれ程あの女を処刑すると主張したのに
馬鹿王太子が弱腰になって島流しなどにしたからこんな目にあっているんだ。
本当に使えない男
やはり一推しのデューク様の方が何倍も良い。
せめてもの救いが、あの女は周りに男もいない状況で
この島を彷徨っているだろうから、持って一週間程度であろう。
あの女が死ねば、ゲームエンドが確定して
自分は栄光の道に戻れるのだ。
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