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吉井浩人
第4話 妹のランドセル
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年末も近くなった二ヶ月後、僕達は何とか生き残っていた。
あれ以降もご飯を抜きにされた事はあったけど、配達のお駄賃で稼いだお金で食パンを買って食べたり、晴臣くんが内緒でおにぎりを作って食べさせてくれたりもしたからだ。
また、僕はクラスメイトの女子達に頭を下げて、成長して着れなくなった冬用の洋服が無いかどうかを聞いて周り、何着か妹の洋服を手に入れる事も出来た。
これで妹が寒い思いをしなくて済む。
協力してくれたクラスメイトには本当に感謝しかない。
いつか恩返しが出来ればと思う。
ーーーーー
最近、僕はこのまま伯父さんの世話になり続けて、本当に妹の真由子を幸せに出来るかを考える様になった。
伯父さんの気まぐれでご飯を抜きにされる事や、暴力などが絶えないからだ。
実は僕には一つ秘密にしている事があった。
それはお父さんの事だ。
僕のお父さんの名前は吉井浩二だけど本当は一条浩二という名前らしい。
お父さんからは誰にも言ってはいけないよと言われていたんだけど、お父さんの親戚を探す手掛かりにはなりそうだと思う。
そして、もしもの時の為にとお父さんの本当の名前が書かれた免許証も渡されていたんだ。
伯父さんはお父さん達の物は全て捨ててしまったみたいだけど、この免許証だけは僕のランドセルの内ポケットに隠してあったので無事だった。
そのうちここに書かれている住所を訪ねてみるのも良いかもしれない。
僕は晴臣くんにだけは秘密を明かして協力してもらう事にした。
晴臣くん家はお手伝いさんもいる裕福な家庭みたいで、パソコンも自分用に持っているらしく、インターネットとかいう物で名前を探してみるとの事だった。
ーーーーー
何日か後の放課後、伯父さんの中華店の定休日に僕は妹の真由子と一緒に街のデパートに来ていた。
そこには事前に晴臣くんが下見してくれていた通り、簡素なピンク色の一番安いランドセルが売られていたんだ。
今日は毎日の新聞配達のお駄賃を貯めていたお金が、とうとう安いランドセルを買えるぐらいに貯まったので妹のランドセルを買いに来たんだ。
お金は無駄使いを一切してないので、ランドセルを買っても少しだけ余裕がある。
妹にはもし売っていなかったり、売り切れていたりしたらかわいそうなので、ランドセルを買いに来たとはまだ言ってない。
僕がそのピンク色のランドセルを手に取って見せると、真由子の顔が輝いた。
「今日は真由子のランドセルを買いに来たんだ。これでも良いかな?」
「ピンク色のランドセル! かわいい! おにいちゃん、ありがとう!」
真由子は女の子らしいピンク色のランドセルが気に入った様だ。
すごく飛び跳ねて喜んでいる。
僕はレジにランドセルを持って行く。
レジのお姉さんは僕たちの喜ぶ様子を見て、小銭ばかりだったのに嫌な顔もせず会計をしてくれたんだ。
これで貯めていたお金は殆ど無くなっちゃったけど、妹の喜び様を見ると買ってあげることが出来て本当に良かったと思う。
翌日、ピンク色のランドセルを背負って学校に向かう真由子は、僕にはとても幸せそうに見えた。
あれ以降もご飯を抜きにされた事はあったけど、配達のお駄賃で稼いだお金で食パンを買って食べたり、晴臣くんが内緒でおにぎりを作って食べさせてくれたりもしたからだ。
また、僕はクラスメイトの女子達に頭を下げて、成長して着れなくなった冬用の洋服が無いかどうかを聞いて周り、何着か妹の洋服を手に入れる事も出来た。
これで妹が寒い思いをしなくて済む。
協力してくれたクラスメイトには本当に感謝しかない。
いつか恩返しが出来ればと思う。
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最近、僕はこのまま伯父さんの世話になり続けて、本当に妹の真由子を幸せに出来るかを考える様になった。
伯父さんの気まぐれでご飯を抜きにされる事や、暴力などが絶えないからだ。
実は僕には一つ秘密にしている事があった。
それはお父さんの事だ。
僕のお父さんの名前は吉井浩二だけど本当は一条浩二という名前らしい。
お父さんからは誰にも言ってはいけないよと言われていたんだけど、お父さんの親戚を探す手掛かりにはなりそうだと思う。
そして、もしもの時の為にとお父さんの本当の名前が書かれた免許証も渡されていたんだ。
伯父さんはお父さん達の物は全て捨ててしまったみたいだけど、この免許証だけは僕のランドセルの内ポケットに隠してあったので無事だった。
そのうちここに書かれている住所を訪ねてみるのも良いかもしれない。
僕は晴臣くんにだけは秘密を明かして協力してもらう事にした。
晴臣くん家はお手伝いさんもいる裕福な家庭みたいで、パソコンも自分用に持っているらしく、インターネットとかいう物で名前を探してみるとの事だった。
ーーーーー
何日か後の放課後、伯父さんの中華店の定休日に僕は妹の真由子と一緒に街のデパートに来ていた。
そこには事前に晴臣くんが下見してくれていた通り、簡素なピンク色の一番安いランドセルが売られていたんだ。
今日は毎日の新聞配達のお駄賃を貯めていたお金が、とうとう安いランドセルを買えるぐらいに貯まったので妹のランドセルを買いに来たんだ。
お金は無駄使いを一切してないので、ランドセルを買っても少しだけ余裕がある。
妹にはもし売っていなかったり、売り切れていたりしたらかわいそうなので、ランドセルを買いに来たとはまだ言ってない。
僕がそのピンク色のランドセルを手に取って見せると、真由子の顔が輝いた。
「今日は真由子のランドセルを買いに来たんだ。これでも良いかな?」
「ピンク色のランドセル! かわいい! おにいちゃん、ありがとう!」
真由子は女の子らしいピンク色のランドセルが気に入った様だ。
すごく飛び跳ねて喜んでいる。
僕はレジにランドセルを持って行く。
レジのお姉さんは僕たちの喜ぶ様子を見て、小銭ばかりだったのに嫌な顔もせず会計をしてくれたんだ。
これで貯めていたお金は殆ど無くなっちゃったけど、妹の喜び様を見ると買ってあげることが出来て本当に良かったと思う。
翌日、ピンク色のランドセルを背負って学校に向かう真由子は、僕にはとても幸せそうに見えた。
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