想像力豊かな俺が最強!?

鯨猫

文字の大きさ
上 下
16 / 23
一章

15話 少女の名前と朝ごはん

しおりを挟む
「ベルファーレ…?この辺では聞いたことない名前だけどあなた…」
訝しげな目に俺は冷や汗をかく。
流石にまずかったか…!?
「行商人の息子か何かなの?」
「え?」
思わず、声が出た。
慌てて頷く。
「あ、はい。みんなとはぐれてしまって…」
「そうなのね…よく無事だったわね」
よかった。バレてない。
助けてもらった少女に嘘をつくのは心苦しかったが俺は一応追われる身のため、素性は隠すしかなかった。
「まったく。倒れるなんて…一体どれだけさまよっていたのよ」
「それは…そのぅ…」
ここは正直に一日もないと言った方がいいのだろうか?それともこちらも嘘をついておいた方がいいのだろうか…?
しかし、その疑問はそこまで少女の中では大事では無かったのだろうか、
「まあ、いいわ」
と打ち切ってくれた。
「あのっ、あなたの名前は…」
と少女の名前も聞こうと思った矢先、腹の虫がなった。
思わず真っ赤になりながら俯くとクスッと少女が笑った。
「私の名前はリア。ご飯にしましょうか。作ってあげるわ」
「は、はい」
彼女の笑顔はヌイのそれとよく似ていて、俺は思わず見とれた。




「「いただきます」」
俺達は机を挟んで向かい合って座り、同時に手を合わせた。
パンにスープ、サラダにスクランブルエッグのようなものというこの世界でもザ・朝食といったメニューが食卓に並び、俺の腹の虫を活発化させていた。
どれも素朴ながらしっかりとした味付けで俺は3分ですべて食い尽くした。
「はあ、ごちそうさまでした」
「フフッ、本当にお腹が空いていたのね…お粗末様」
「倒れた俺を介抱してくれたり、食事を出してくれたり…何から何まで本当にありがとう」
「べ、別にライのためじゃないけどね。死なれたら後味悪いし、こんなのは自己満足よ」
耳を少し赤くし、そっぽを向いたままリアはいった。
ツンデレやん。しかも超テンプレ。
思わず関西弁でつっこんでしまった。
「だとしても、嬉しいよ」
「ふ、ふん。…そういえばまだ罰を決めてなかったわね」
「ごめん!俺絶対逃げないから、絶対に戻ってくるから先に行かせてくれないか!?」
厚かましい願いであることは重々承知していた。
「でも俺は先に会わなきゃ、行かなきゃいけないんだ」
「駄目!首筋にちょっと怪我してたから直そうと思って一度上だけその…脱がしたのよ…」
ものすごく恥ずかしそうにリアはいった。
「治療までしてくれたのか」
「え、ええ、まあ…で、上半身だけでも120も切り傷、擦り傷、打ち身…それら殆どが普通なら死んでるはずの傷ばっかり。正直にいうけど今あなたが生きてることそのものが異常なほどなの」
「そんな事言われても…俺は全然何ともないし、それにどうしても行かなきゃいけないんだ」
俺が頑なにそういうとそれでもリアは首を振って俺が外に出るのを拒んだ。
「じゃあ、せめて傷がある程度治るまでここにいなさい。…それが罰よ」
「…頼む」
「駄目。嫌なら私を倒していけばいいわ」
リアはそういって構えをとった。
二人の間に沈黙がおりる。
次の瞬間…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

転移ですか!? どうせなら、便利に楽させて! ~役立ち少女の異世界ライフ~

ままるり
ファンタジー
女子高生、美咲瑠璃(みさきるり)は、気がつくと泉の前にたたずんでいた。 あれ? 朝学校に行こうって玄関を出たはずなのに……。 現れた女神は言う。 「あなたは、異世界に飛んできました」 ……え? 帰してください。私、勇者とか聖女とか興味ないですから……。 帰還の方法がないことを知り、女神に願う。 ……分かりました。私はこの世界で生きていきます。 でも、戦いたくないからチカラとかいらない。 『どうせなら便利に楽させて!』 実はチートな自称普通の少女が、周りを幸せに、いや、巻き込みながら成長していく冒険ストーリー。 便利に生きるためなら自重しない。 令嬢の想いも、王女のわがままも、剣と魔法と、現代知識で無自覚に解決!! 「あなたのお役に立てましたか?」 「そうですわね。……でも、あなたやり過ぎですわ……」 ※R15は保険です。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも連載しております。

ファンタジー

春秋花壇
ファンタジー
ファンタジー短編

伯爵家の三男は冒険者を目指す!

おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました! 佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。 彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった... (...伶奈、ごめん...) 異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。 初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。 誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。 1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。

だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)

みなせ
ファンタジー
転生先は、ゲーム由来の異世界。 ヒロインの意地悪な姉役だったわ。 でも、私、お約束のチートを手に入れましたの。 ヒロインの邪魔をせず、 とっとと舞台から退場……の筈だったのに…… なかなか家から離れられないし、 せっかくのチートを使いたいのに、 使う暇も無い。 これどうしたらいいのかしら?

異世界漂流者ハーレム奇譚 ─望んでるわけでもなく目指してるわけでもないのに増えていくのは仕様です─

虹音 雪娜
ファンタジー
 単身赴任中の派遣SE、遊佐尚斗は、ある日目が覚めると森の中に。  直感と感覚で現実世界での人生が終わり異世界に転生したことを知ると、元々異世界ものと呼ばれるジャンルが好きだった尚斗は、それで知り得たことを元に異世界もの定番のチートがあること、若返りしていることが分かり、今度こそ悔いの無いようこの異世界で第二の人生を歩むことを決意。  転生した世界には、尚斗の他にも既に転生、転移、召喚されている人がおり、この世界では総じて『漂流者』と呼ばれていた。  流れ着いたばかりの尚斗は運良くこの世界の人達に受け入れられて、異世界もので憧れていた冒険者としてやっていくことを決める。  そこで3人の獣人の姫達─シータ、マール、アーネと出会い、冒険者パーティーを組む事になったが、何故か事を起こす度周りに異性が増えていき…。  本人の意志とは無関係で勝手にハーレムメンバーとして増えていく異性達(現在31.5人)とあれやこれやありながら冒険者として異世界を過ごしていく日常(稀にエッチとシリアス含む)を綴るお話です。 ※横書きベースで書いているので、縦読みにするとおかしな部分もあるかと思いますがご容赦を。 ※纏めて書いたものを話数分割しているので、違和感を覚える部分もあるかと思いますがご容赦を(一話4000〜6000文字程度)。 ※基本的にのんびりまったり進行です(会話率6割程度)。 ※小説家になろう様に同タイトルで投稿しています。

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...