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寸劇 秋だフルーツ狩りだ! 哲朗狩りだ! いやそっちは違うだろ暴竜族の奴らに絡まれてヤバいよヤバいよ
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ある秋の日の夜遅く、コリル宅にて。
ガグォォォォ~、ゴォォォ~。
外の上空の方からドラゴンのけたたましい鳴き声が聞こえて来た。
「うぇ~い」
「いえーい」
「いやっほーい」
さらに若者達の騒ぐような声も。
「暴竜族の悪い子達ね。この住宅街にまで入ってくるなんて、今までなかったのに迷惑ね」
「うるさいよぉ~」
コリルも目を覚めしてしまったようだ。
「セイッニ学園でも暴竜族の総長だったって自慢してた奴いましたよ。電動どころか普通のバイクも無い代わりにドラゴン暴れさすなんて、この世界らしいっすね」
哲朗は朗らかな表情で呟く。
そんな時、
リンゴンリンゴンリンゴーン♪
この家の呼び鈴が激しく鳴らされ、
「おい、哲朗いるんだろう。遊ぼうぜ」
外からこんな声が。
「なんで知らない人たちと遊ばないといけないのよ」
対応した哲朗は呆れ顔で呟く。
「オレらファンなんです! 哲朗さんの」
「おまえらみたいな迷惑な奴らにファンになって欲しくないよ。予想は出来るけど、なんで家が分かった?」
「ムマツラがお前の家の地図書いて教えてくれたんだよ」
「やっぱりな。こっちの世界でもあの時と同じようなことが起きちゃってるよ。それに、ここは俺んちじゃなくて、コリルちゃんコスヤさんの家だから。俺は居候させていただいてる身分だから、大迷惑被ってるから、もう二度と来ないで欲しいんだけど」
「はいはーい、了解っす」
「テツロー、出来れば、サインを」
「もう来ないって約束してくれるなら、やるけどな」
「します、しまーす。もう来ませーん」
ピアスを付けたエルフの少女から色紙を手渡され、哲朗はしぶしぶ承諾。
「リアル哲朗のサイン、超嬉しい♪」
「哲朗さん、さよならっ!」
「おじゃましましたぁ~」
そう言って、暴竜族の子達は大人しく帰ってくれた。
「ガチで悪そうな感じじゃなくて、ただ大勢で騒ぎたいって感じな子達だったのはよかったっすね。コスヤさんコリルちゃん、俺のせいで真夜中に大迷惑おかけして大変申し訳ございません」
「いえいえ、哲朗ちゃん人気の証だからいいのよ」
「さっきのお兄ちゃんお姉ちゃん達、哲朗おじさんといっしょに歩いてる時に近寄って来たらなんか怖いから、出来ればムマツラさんだけを狙って欲しいね」
「俺のいた世界にいたこの世界の暴竜族的な暴走族といえば、充電バイクの旅の収録中、さんまさんがゲストのときも、暴走族が追いかけてきて囲まれたんだけど、昔だったら『オラー!』ってやられる、殴られるのに、その暴走族が『がんばってください!』って励まされましたよ。ただ、改造車だったんで放送じゃ使えませんでしたけどね」
★
翌日。ロブウトツネ中心地にて。
「おーい、ムマツラ~。家バラしやがったな」
哲朗は怒りまじりながらも朗らかな表情でムマツラさんに抗議したのだった。
「いやぁ、悪い悪い。あいつら毎晩毎晩やって来て、本当しつこいもんですから。哲朗さんちに行った方が楽しめるよって伝えちゃいまして。おかげさまで昨日は久し振りに夜、ぐっすり眠れましたよ」
ムマツラさんは朗らかな表情で語る。
「だからって俺に仕向けるんじゃないよ」
不愉快な哲朗、
そこへ、
「おいっ、ムマツラ。暴竜族の連中なんでオレの方に仕向けるんだよ。おまえがデビューしたての頃の仕返しかよ」
ウユリーヘ登場。彼もまた、当然のように不愉快そうだ。
「上島ぁ、おまえんちにも仕向けられたんだな」
「ああ、おかげでこれから大事な公演があるのに寝不足だよ。それから上島じゃなくてウユリーヘだよ。もう何千回も言ってるだろ! 哲朗ぉ、ムマツラが仕向けたのはおまえのせいだよ」
「なんで俺のせいなんだよ? ムマツラのせいだろ」
「ムマツラのやらかしはおまえのやらかしなんだよ」
「いや意味分かんねえよ」
哲朗とウユリーヘ、両者向かい合ってペチペチ叩き合って小競り合いののち、
チュッ!
とお決まりのキス。
「おううううう!」
「あの芸だ!」
パチパチパチパチパチッ!
周りにいた観客達から拍手喝采。
「暴竜族の件、おまえらで何とかしてくれよ」
ウユリーヘはそう告げて、ドラゴンに乗って帰っていった。
「ムマツラ、ウユリーヘとけっこう仲良さそうっすね」
「ウユリーヘさんはおれの先輩芸人でして、困っている人や後輩に対しては本当に優しい人ですし、悩みもよく聞いてもらいました。芸人デビュー目指して上ロブしたての頃、身寄りのないおれは所属芸能事務所近くのマンションに住まわせてもらってたんすけど、それを知ったウユリーヘさんが酔っ払った状態で夜中にいきなりおれの家にやって来て、「帰れなくなったから泊めてくれ」というのも日常茶飯事でしたよ」
「俺のいた世界のまっちゃんと竜ちゃんの関係と、よく似てるとこもあるんっすね」
哲朗がムマツラさんと別れたあと、徒歩でコリル宅へ帰っていく途中、
「あっ、哲朗だ!」
「マジだ!」
「ヤバいよヤバいよ!」
「リアル哲朗発見!」
「てっちゃーん」
様々な種族の少年少女達が近寄って来て、哲朗を蹴ったり触ったり指さしたりして囃し立ててくる。
「おまえら昨日の暴竜族の奴らだな」
「ムマツラ狩り飽きたから、今日からは哲朗狩りして遊ぶことにしたんだ」
「俺で遊ぶんじゃないよ!」
「哲朗さん、こいつ今日誕生日なんすよ。祝ってあげて下さいよ」
「なんで俺が祝わなきゃいけないよ?」
「20歳の誕生日は、特別なんすよ。だから哲朗さんに祝ってもらいたくて。酒もたばこもギャンブルも解禁で、大人の仲間入りで。まあおれはそのずっと前から全部やってるけどな」
「うぇーい! 20歳!」
「お、め、で、とう!」
パチパチパチパチパチ!
仲間内で騒ぎまくる。
「20歳の誕生日は、俺の出身の国でも特別だから、騒ぎたい気持ちはよく分かるけどな、おまえも20歳になったら大人なんだから暴竜族なんか卒業しなさいよ」
「そりゃ無理っすよ」
「俺のいた世界では最近じゃだいぶ減ったけど、バイクをブォンブォン騒音出しながら乗り回す暴走族っていうのがいるけど、二十歳頃までには一部を除いて卒業してるもんなんだよ。とにかく、今日からは家には“絶対に”来るなよ」
哲朗、苦笑いで念を押す。
そして、
「あいつら今日は来てないみたいだな。ちゃんと約束守ってくれてよかったすよ」
「哲朗ちゃん、上手く説得出来たみたいね」
この日は静かな夜を過ごすことが出来たのであった。
というのも、
暴竜族の少年少女達はあのあと、コキアダワさんら子どもを健全に育成する会のおば様方に厳しく注意されていたからなのであった。
それに懲りて、住宅街で暴れることは一切なくなったという。
「ぃえーい!」
「うぇーい」
グガグォォォォ!
ゴオオオオオッ!
「おいドラゴン、そっちの方へは行くなって」
「ヤバいよヤバいよ」
街の中心地では相変わらずだが。
あの訪問の日から数日後の朝。
イィィィィィィィ~♪
イィィィィィィィ~♪
イィィィィィィィ~♪
コリル宅の外から、こんな音が聞こえて来た。
「暴竜族の奴らは来なくなったけど、やけにうるさい虫が鳴き始めましたね。俺のいた世界じゃこんな鳴き声で鳴く虫なんて、出会ったことないっすよ」
「あれはアシヨリゼミっていう秋を告げる虫の魔物さんの鳴き声だよ。秋になると南に向かって大陸を大移動するんだ。でもその虫さん、自力で移動出来る距離は短くて、ドラゴンや恐竜の背中や、馬車とかに張り付いて、ヒッチハイクするみたいに移動する不思議な性質を持ってるんだよ。別名ヒッチハイクゼミとも呼ばれてるんだ」
コリルは楽しそうに教える。
「そんな虫もいるんっすね」
哲朗はさっそく外に出て、その虫を探しに行くのだった。
ガグォォォォ~、ゴォォォ~。
外の上空の方からドラゴンのけたたましい鳴き声が聞こえて来た。
「うぇ~い」
「いえーい」
「いやっほーい」
さらに若者達の騒ぐような声も。
「暴竜族の悪い子達ね。この住宅街にまで入ってくるなんて、今までなかったのに迷惑ね」
「うるさいよぉ~」
コリルも目を覚めしてしまったようだ。
「セイッニ学園でも暴竜族の総長だったって自慢してた奴いましたよ。電動どころか普通のバイクも無い代わりにドラゴン暴れさすなんて、この世界らしいっすね」
哲朗は朗らかな表情で呟く。
そんな時、
リンゴンリンゴンリンゴーン♪
この家の呼び鈴が激しく鳴らされ、
「おい、哲朗いるんだろう。遊ぼうぜ」
外からこんな声が。
「なんで知らない人たちと遊ばないといけないのよ」
対応した哲朗は呆れ顔で呟く。
「オレらファンなんです! 哲朗さんの」
「おまえらみたいな迷惑な奴らにファンになって欲しくないよ。予想は出来るけど、なんで家が分かった?」
「ムマツラがお前の家の地図書いて教えてくれたんだよ」
「やっぱりな。こっちの世界でもあの時と同じようなことが起きちゃってるよ。それに、ここは俺んちじゃなくて、コリルちゃんコスヤさんの家だから。俺は居候させていただいてる身分だから、大迷惑被ってるから、もう二度と来ないで欲しいんだけど」
「はいはーい、了解っす」
「テツロー、出来れば、サインを」
「もう来ないって約束してくれるなら、やるけどな」
「します、しまーす。もう来ませーん」
ピアスを付けたエルフの少女から色紙を手渡され、哲朗はしぶしぶ承諾。
「リアル哲朗のサイン、超嬉しい♪」
「哲朗さん、さよならっ!」
「おじゃましましたぁ~」
そう言って、暴竜族の子達は大人しく帰ってくれた。
「ガチで悪そうな感じじゃなくて、ただ大勢で騒ぎたいって感じな子達だったのはよかったっすね。コスヤさんコリルちゃん、俺のせいで真夜中に大迷惑おかけして大変申し訳ございません」
「いえいえ、哲朗ちゃん人気の証だからいいのよ」
「さっきのお兄ちゃんお姉ちゃん達、哲朗おじさんといっしょに歩いてる時に近寄って来たらなんか怖いから、出来ればムマツラさんだけを狙って欲しいね」
「俺のいた世界にいたこの世界の暴竜族的な暴走族といえば、充電バイクの旅の収録中、さんまさんがゲストのときも、暴走族が追いかけてきて囲まれたんだけど、昔だったら『オラー!』ってやられる、殴られるのに、その暴走族が『がんばってください!』って励まされましたよ。ただ、改造車だったんで放送じゃ使えませんでしたけどね」
★
翌日。ロブウトツネ中心地にて。
「おーい、ムマツラ~。家バラしやがったな」
哲朗は怒りまじりながらも朗らかな表情でムマツラさんに抗議したのだった。
「いやぁ、悪い悪い。あいつら毎晩毎晩やって来て、本当しつこいもんですから。哲朗さんちに行った方が楽しめるよって伝えちゃいまして。おかげさまで昨日は久し振りに夜、ぐっすり眠れましたよ」
ムマツラさんは朗らかな表情で語る。
「だからって俺に仕向けるんじゃないよ」
不愉快な哲朗、
そこへ、
「おいっ、ムマツラ。暴竜族の連中なんでオレの方に仕向けるんだよ。おまえがデビューしたての頃の仕返しかよ」
ウユリーヘ登場。彼もまた、当然のように不愉快そうだ。
「上島ぁ、おまえんちにも仕向けられたんだな」
「ああ、おかげでこれから大事な公演があるのに寝不足だよ。それから上島じゃなくてウユリーヘだよ。もう何千回も言ってるだろ! 哲朗ぉ、ムマツラが仕向けたのはおまえのせいだよ」
「なんで俺のせいなんだよ? ムマツラのせいだろ」
「ムマツラのやらかしはおまえのやらかしなんだよ」
「いや意味分かんねえよ」
哲朗とウユリーヘ、両者向かい合ってペチペチ叩き合って小競り合いののち、
チュッ!
とお決まりのキス。
「おううううう!」
「あの芸だ!」
パチパチパチパチパチッ!
周りにいた観客達から拍手喝采。
「暴竜族の件、おまえらで何とかしてくれよ」
ウユリーヘはそう告げて、ドラゴンに乗って帰っていった。
「ムマツラ、ウユリーヘとけっこう仲良さそうっすね」
「ウユリーヘさんはおれの先輩芸人でして、困っている人や後輩に対しては本当に優しい人ですし、悩みもよく聞いてもらいました。芸人デビュー目指して上ロブしたての頃、身寄りのないおれは所属芸能事務所近くのマンションに住まわせてもらってたんすけど、それを知ったウユリーヘさんが酔っ払った状態で夜中にいきなりおれの家にやって来て、「帰れなくなったから泊めてくれ」というのも日常茶飯事でしたよ」
「俺のいた世界のまっちゃんと竜ちゃんの関係と、よく似てるとこもあるんっすね」
哲朗がムマツラさんと別れたあと、徒歩でコリル宅へ帰っていく途中、
「あっ、哲朗だ!」
「マジだ!」
「ヤバいよヤバいよ!」
「リアル哲朗発見!」
「てっちゃーん」
様々な種族の少年少女達が近寄って来て、哲朗を蹴ったり触ったり指さしたりして囃し立ててくる。
「おまえら昨日の暴竜族の奴らだな」
「ムマツラ狩り飽きたから、今日からは哲朗狩りして遊ぶことにしたんだ」
「俺で遊ぶんじゃないよ!」
「哲朗さん、こいつ今日誕生日なんすよ。祝ってあげて下さいよ」
「なんで俺が祝わなきゃいけないよ?」
「20歳の誕生日は、特別なんすよ。だから哲朗さんに祝ってもらいたくて。酒もたばこもギャンブルも解禁で、大人の仲間入りで。まあおれはそのずっと前から全部やってるけどな」
「うぇーい! 20歳!」
「お、め、で、とう!」
パチパチパチパチパチ!
仲間内で騒ぎまくる。
「20歳の誕生日は、俺の出身の国でも特別だから、騒ぎたい気持ちはよく分かるけどな、おまえも20歳になったら大人なんだから暴竜族なんか卒業しなさいよ」
「そりゃ無理っすよ」
「俺のいた世界では最近じゃだいぶ減ったけど、バイクをブォンブォン騒音出しながら乗り回す暴走族っていうのがいるけど、二十歳頃までには一部を除いて卒業してるもんなんだよ。とにかく、今日からは家には“絶対に”来るなよ」
哲朗、苦笑いで念を押す。
そして、
「あいつら今日は来てないみたいだな。ちゃんと約束守ってくれてよかったすよ」
「哲朗ちゃん、上手く説得出来たみたいね」
この日は静かな夜を過ごすことが出来たのであった。
というのも、
暴竜族の少年少女達はあのあと、コキアダワさんら子どもを健全に育成する会のおば様方に厳しく注意されていたからなのであった。
それに懲りて、住宅街で暴れることは一切なくなったという。
「ぃえーい!」
「うぇーい」
グガグォォォォ!
ゴオオオオオッ!
「おいドラゴン、そっちの方へは行くなって」
「ヤバいよヤバいよ」
街の中心地では相変わらずだが。
あの訪問の日から数日後の朝。
イィィィィィィィ~♪
イィィィィィィィ~♪
イィィィィィィィ~♪
コリル宅の外から、こんな音が聞こえて来た。
「暴竜族の奴らは来なくなったけど、やけにうるさい虫が鳴き始めましたね。俺のいた世界じゃこんな鳴き声で鳴く虫なんて、出会ったことないっすよ」
「あれはアシヨリゼミっていう秋を告げる虫の魔物さんの鳴き声だよ。秋になると南に向かって大陸を大移動するんだ。でもその虫さん、自力で移動出来る距離は短くて、ドラゴンや恐竜の背中や、馬車とかに張り付いて、ヒッチハイクするみたいに移動する不思議な性質を持ってるんだよ。別名ヒッチハイクゼミとも呼ばれてるんだ」
コリルは楽しそうに教える。
「そんな虫もいるんっすね」
哲朗はさっそく外に出て、その虫を探しに行くのだった。
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