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第二十二話 この世界の夏の帰省シーズン到来 土産物買いにショッピングで楽し過ぎてヤバいよヤバいよ
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コリル達の通う学校の、夏休みの半分近くが過ぎたある日の朝、コリルからこんなことを伝えられた。
「哲朗おじさん、もうすぐこの国の夏の帰省シーズンが始まるよ。わたしも毎年田舎のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに会いに行くんだ。ビーボおじさんもこの時期家族連れで故郷のリジェアイナ王国に帰ってるよ」
「日本のお盆みたいなやつがこの国にもあるんっすね」
「哲朗おじさんもいっしょに来てね」
「俺も行っていいのか?」
「もっちろん。むしろ来て欲しいってお手紙出したらすごく楽しみにしてたよ」
「というわけで哲朗ちゃん、明日は帰省土産を買いにショッピングに行くからね」
「そりゃ楽しみっすね」
☆
翌朝、哲朗、コスヤさん、コリルの三人はいつものようにドラゴン風の乗り物に乗せてもらい、ロブウトツネ市内にある国内最大のショッピングモールへ。
哲朗は初訪問だ。
親子連れを中心に大勢の人々で賑わっていた。
食品売り場をはじめとしてファッション、コスメ、家具、宝石、花、おもちゃなどなど、何でも揃う場所である。
「テレビとか冷蔵庫とか、電子レンジとか家電は、さすがに売ってないよな。リアルな恐竜に乗れるアトラクションもあるじゃん。子どもにとっては俺のいた世界のイ〇ンよりも楽しい場所だよ」
哲朗は大興奮で散策する。
広場に設けられたステージ上ではイベントが行われていて、
「お姉さん、大学はどこですか?」
「バチ大学です」
「バチ大やって」
「バチ大か。まあまあやな」
「なんてこと言い張りますの。ええ大学やん」
二人組の芸人さんらしき人が客弄りをしている様子も窺えた。
「芸人さんやアイドルのイベントもここでよくやってるよ。今日はザロンっていうワガデ王国の西域を中心に活動してるお笑いコンビの人が来てるんだ。イケメンの方がガスロミヒフくんで、大学名を訊いて弄る人相の悪い方がハジウラくんっていうの。ハジウラくんは凄く頭が良くて、ワガデ王国でロブウトツネ大学に次いで二番目に難しいトヨウキ大学出てるの。ザロンはギムナジウム生クイズのゲストに来てた年もあるよ」
「へぇ。ロ〇ンみたいな奴もいるんだな」
「ハジウラくんも、クイズ大会のプロの人には全然歯が立たなくて、いっしょにまじって参加した時にはビリになったこともあるのよ。相方のガスちゃんはゼロハジって弄ったわ」
コスヤさんは楽しそうに伝えた。
「そこもロ〇ンのエピソードによく似てるな」
「ザロンの二人、話し口調がロブウトツネの人達とちょっと違うでしょ。やねんとか、せやろとか、なんとかしはるって言う言い方は、同じワガデ語なんだけど西域の方言なんだ」
「関西弁そっくりで馴染みやすいっすね」
哲朗はフフッと笑う。
「お兄さんどこの大学ですか?」
「ロブウトツネ大学です」
「ロブ大やって」
「……まあまあやな」
「何言うて張りますの。ハジウラさんの出たトヨ大より難関やん」
「だからオレ、ロブウトツネのイベントに来たくなかってん。ロブ大生や卒業生との遭遇率高過ぎやもん」
「せやかて依頼されたもんは受けんと干されてまうやん」
引き続き、ザロンがショーを繰り広げる中、
「俺も弄られに行って来ますわ」
哲朗も堂々とステージに登壇。
「「「「「哲朗だぁ~」」」」」
おうううううううう!
パチパチパチパチパチッ!
観客達から拍手喝采。
「哲朗さんやん。ロブウトツネで今大人気と噂の」
ガスロミヒフくん、
「生では初めて見たわ~。ロブウトツネ来てやっぱよかったかも。哲朗さんもイベントに呼ばれてはったんやね」
ハジウラくんも哲朗のことを知っていたようだ。
「いや、今日は完全プライベートだよ」
「そうでしたか。ところで哲朗さん、大学はどこ出てますか?」
ハジウラくんの問いかけに、
「大学は出てねえよ。俺の最終学歴は横浜放送映画専門学院だ」
哲朗は自信たっぷりにこう答えた。
「よこはま? ほうそう? えいが? 専門学院やって」
ガスロミヒフくんはぽかんとした表情で突っ込む。
「よこはまほうそうえいが専門学院か……まあまあやな」
ハシウラくんは少し間を置いてこう突っ込んだ。
「なんてこと言い張りますの。謎過ぎる経歴ですやん。ロブウトツネ大よりむずいかもしれへんやん。ほうそうって法律の専門家の法曹? それともきれいにラッピングする技術? えいがって何なん?」
「映画ってのはこの世界じゃまだないのか。芸術の一種だけど入るの超むずいぞ。リアルガチに。採点基準も人によって大きく変わるからな」
哲朗が大きな声で伝えると、
パチパチパチパチパチッパチパチパチパチパチッ!
「哲朗天才だぁっ!」
観客席から大拍手。
「ロブ芸大みたいなとこか。あっこはロブ大生も一生かかっても合格無理っていうくらい才能が全てのヤバい難易度やからな。学力はアホでもええけど」
ハジウラくんも、
「さすが哲朗さんやね」
ガスロミヒフくんも感心する。
本当は無試験で金さえ払えば誰でも入れるけどな。
そんな事実は伏せておいて。
哲朗は大拍手で見送られ、ステージから降りたあとも、コリル、コスヤさんとザロンのお笑い芸を見ることに。
途中、小さな子ども達とのふれあいの時間もあり、ザロンの二人と握手したりハイタッチしたり出来たが……。
子ども達が近寄っていくのはガスロミヒフくんの方ばかりで、
「わぁ~ん」
「こっちのお兄さんの方とも握手してきぃ」
「いやぁ~」
「こわい~」
ハジウラくんの方は避けられてしまい、泣き出してママやパパ、おじいちゃんおばあちゃんの後ろに隠れてしまう子もいた。
「ハジウラさん顔怖いもんね」
学歴では劣るガスロミヒフくんは朗らかに突っ込んで勝ち誇る。
「オレ、どこの地域行っても子どもに泣かれるねん」
ハジウラくん、慣れてはいるもののちょっぴり悲しむ。
☆
「学生さんの参考書にもぴったり。『トヨ大芸人式ワガデ王国史』と『ガスちゃんシュツリグンイ語で道案内しよっ!』、この二冊、モール内の本屋さんにも売られてると思うから、見かけたらぜひ買うたってや~」
「ガスちゃん、なにさりげなく著書の宣伝してはんの」
「だって売れたら印税入って来ますやん」
哲朗達はザロンの芸を最後まで見届けて、
「ザロンもロ〇ンと同じく漫才自体は正直面白くないな」
「微糖ケタシはハジウラくんのこと漫才は下手くそなのにバカな知識だけあるやつ。なんだ、あの野郎はって批判してたよ」
「ケタシくんはお笑いに学歴は不要って考えの人だから」
「その考え方も、ビートた〇しさんと似てますね」
引き続きショッピングモールを散策する。
「この薬草ジュースを飲めば、わたしのようにスリムになれますよ」
ほっとりとしたエルフ耳のきれいなお姉さんが、中で魔女が怪しげな薬を調合してそうな雰囲気のお店の前で、行き交う人々に呼びかけていた。
横には、そのお方の以前のふくよかなお姿のイラストが描かれた看板が。
周囲にはふくよかなおば様達が群がっていた。
「コキアちゃんは、ダイエット系の商品は全部詐欺って言ってたわ」
「あのイラスト、本当に本人なのか分からないもんね」
コリルも同感する。
「ダイエットといえば、あれを思い出しますよ。女優の泉ピ〇子さんっていうお方といっしょにMCを務めている通販番組のダイエットの企画で、あのお方のイラストみたいに体型のビフォーアフターの写真が出まして、僕らもお客さんもびっくりしてたんですけど、ピ〇子さんが『これ怪しいな? ちがう人なんじゃねぇか!』って言いだして。『怪しいから、この商品買わなくていい!』って、通販のMCですよ。しかも客前でスポンサーもいるんですよ。初めて心の底から『お前はバカか?!』って。でも、すごいのはそれがそのまま放送されて。ピ〇子さんがそう言ったから逆にその商品が一番売れたんですよ」
「あらあら。面白エピソードね」
そんな会話を弾ませていると、
「ババア、これ買えよっ!」
おもちゃ屋さんの前で、おねだりする子どもの声が。
「この声、聞き覚えあるな」
哲朗はにやけ顔で呟く。
あの悪がきがいたのだ。
「クシフ、ダメって言ってるでしょ」
「いいじゃんババア。買えよ。こんなに金持ってるじゃん」
クシフ君、そう言いながらパパの財布を奪い取り、床に札束を大量にばらまいてしまう。
「ハハハッ」
クシフ君パパ、ミロヒツさんは朗らかに笑っていた。
「クシフ、お金をそんな風に扱っちゃ、ダメでしょ!」
クシフ君ママの怒号が飛ぶ。
周囲にいた人達にも笑われてしまう。
「クシフ伝説、また一つ増えた!」
ミロヒツさんの側にいた雑誌記者らしき人は大喜びだ。
「クシフ君、相変わらずの悪がきっぷりっすね」
「クシフ、買ってあげたいんだけど、パパがあとでママから制裁を受けるから勘弁して欲しいんだ」
パパのミロヒツさん、申し訳なさそうな表情でお願いする。
「しょうがないなぁ。じゃあ哲朗、おまえが代わりに買ってくれよ。哲朗も人気芸人なんだからパパには遠く追ばないけどおまえも金いっぱい持ってるだろ」
「嫌だね。なんで俺がクシフのためにおもちゃ買ってやらなきゃいけねえんだよ」
哲朗は朗らかな表情でお断りした。
「クシフ、いい加減にしなさい! 哲朗さん、クシフが多大なご迷惑をかけて申し訳ございません」
クシフ君ママ、深々と謝罪。
「いやいや、べつに迷惑でもないっすから。ミロヒツさん一家も帰省土産を買いに来たんですか?」
「明後日からパパ達と豪華客船に乗って外国旅行へ行くんだ。ナバンマナ諸島のリゾート地で過ごすんだよ。いいだろ」
クシフ君は即、自慢げに伝えてくる。
「ミロヒツさん一家の外国旅行の取材も兼ねてます。面白い記事にしますのでご期待下さい」
同行の記者さんが伝える。
「おまえらは来なくていいんだよ。邪魔なんだよ。パパに付き纏うなよ」
クシフ君は迷惑顔だ。
「俺はあっちの世界じゃ外国行きまくってたけど、この世界の外国にもそのうち行ってみたいっすね。ミロヒツさん、そこの土産期待して待ってますよ」
「お任せ下さい哲朗さん」
ミロヒツさん一家と別れを告げて、哲朗達はお昼ご飯をとることに。
「魔物料理もフルーツもデザートも、ワガデ王国はグルメも最高っすね」
フードコートにて、哲朗は初めて見る形状の魔物料理にも舌鼓を打っていると、
「みんな、夏休み楽しんでる? お姉さんとダンスの時間だよ」
付近のステージ上から、そんな声が聞こえてくる。
ケットシーっぽい着ぐるみを身に纏ったお方がいた。
「この声も聞き覚えあるな。カバリチタナさんって方のような」
「その通りだよ。カバリチタナさんは他にも数え切れないほどの着ぐるみのキャラクターの声を当ててる超売れっ子アイドルなんだよ」
コリルは楽しそうに伝える。
客席には、いろんな種族の幼い子ども連れの親子を中心に、大きなお兄さんお姉さんおっさん達もまじっていた。
ケットシー:CVカバリチタナさんのパフォーマンスが繰り広げられる中、
「おばちゃん、この着ぐるみの声、ぼくにやらせろよ」
突然そんな要求をして、ステージ上にずかずか上がっていく男の子の姿が。
「クシフ君、またしても迷惑なことしてますね」
哲朗は微笑ましく眺める。
「ちょっとあんた、なにわがままで勝手なこと言ってんのよ。ぶっ〇すぞ!」
ケットシー:CVカバリチタナさん、お怒りだ。
「カバリしゃま、キャラのイメージ壊さないで下さぁい」
スタッフさんから苦笑いで注意されてしまうも、
「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」
「「「「「カバリしゃまぁ~」」」」」
「おれに向かっても言ってくれぇ~」
一部の観客からは大好評だ。
そんな中、
「クシフの将来に向けた勉強のために、やらせてあげて下さい」
ミロヒツさん、息子のためにスタッフに頼み込む。
「ミロヒツさんのお願いなら、仕方ないですね」
スタッフさん、苦笑いで引き受けた。
さらにはミロヒツさん、
「カバリチタナさん、今日のギャラを十倍払いますので、どうか、クシフに声の役を譲ってあげて下さい」
ステージ裏にいて、ケットシーの動きに合わせて声を出していたカバリチタナさんにも直談判。
「ふんっ、それだけの額が貰えるって言うのなら……譲ってあげてもいいわよ」
カバリチタナさん、ほんのり頬を赤らめながら承諾した。
これにて着ぐるみの中の人は同じまま、声は交代。
「てめえの声なんか聞きたくねえぞ」
「クソガキ引っ込め」
「クシフ、帰れ!」
「おまえの声はむかつくんだよ」
クシフ君、一部の観客からヤジを飛ばされるも、お構いなし。
「こんにちは、ぼく、ケットシーだよ」
堂々と声を当てる。
そして着ぐるみは踊り出す。
子ども達もいっしょに楽しそうに踊り出す。
「スタッフさんよぉ、カバリしゃまの癒しボイスに戻せよ」
その後も一部の観客からヤジを飛ばされるも、
「みんな、楽しんでるみたいだね。僕も楽しんでるよ」
クシフ君は気にせず声を演じ続け、着ぐるみといっしょにダンスショーを終えたのだった。
「クシフ君、なかなか上手いじゃないっすか」
哲朗は絶賛する。
「ふぅん、なかなかやるじゃない。あのクソガキ。まっ、わたしの足元にも及ばないけどね」
カバリチタナさんもお褒めの言葉を呟いた。
ちなみにクシフ君が声を演じたこのイベント、付近に設置されたお客様の声ノートに、
クシフ君意外といい声しててワロタ。
十数年後、リアルガチにプロになってそう。ミロヒツさんのコネ関係なく。
とかの感想も書かれていた。
哲朗達は、いよいよ一番のお目当ての帰省土産売り場へ。
ロブウトツネご当地のお土産がたくさん並べられていた。
「俺の商品もあるじゃないっすか!」
哲朗は朗らかに微笑む。哲朗おじさんのチーズケーキ、哲朗を模ったクッキー、チョコレート菓子なんかも売られていたのだ。
「哲朗ちゃんのおかげで新商品が今年はいっぱいね」
コスヤさんはフフッと微笑む。
「哲朗おじさんはすっかりロブウトツネの名物になったね。これ買って帰ったらお祖父ちゃんとお祖母ちゃん喜びそう」
「そうなったら俺としても光栄なことっすね」
引き続き、土産物選びを楽しんでいると、
「ボコボコにするから」
どこからか、こんな声が聞こえてくる。
「この声は――! さっきヤバい発言が聞こえたような」
哲朗は声のした方へ近寄る。
「やはりビーボさんじゃないっすか」
ビーボさんと、奥様。子ども達がいた。
「ビーボさん、さっきヤバい発言されてましたよね?」
哲朗が苦笑いで問うと、
「哲朗、何がヤバいんだよ? わけ分かんねえよ」
ビーボさんはいつものリアクション時と同じく素っ頓狂な表情へ。
「さっきボコボコにするって」
「ボコボコの何がヤバいんだよ?」
「日本語じゃヤバい発言なんすよ」
「ボコボコは、この果物のことよ。ロブウトツネ近郊の山に自生してて、これからの時期が旬なの。甘くて瑞々しくて、とっても美味しいわ」
奥様は微笑み顔で伝える。
エメラルドグリーン色で、形はドラゴンフルーツっぽかった。
「そうなんっすか。いやぁ、安心しました。ボコボコを帰省土産に選ぼうとしてたんすね。俺のいた世界のビーボそっくりのボビーって奴はボコボコ発言で逮捕されて罰金刑食らって芸能活動しばらく自粛を余儀なくされてましたからね」
「日本っていう謎の国ではボコボコはヤバい言葉なのかよ。日本恐ろしいよ」
ビーボさんは強張った表情を浮かべていた。
「ワガデ語ではボコボコにするは、その美味しさから『あなたを愛してます』って愛情表現の意味も込められてるのよ。ねっ、ビーボさん♪」
ビーボさんの奥様はそう伝えて、夫のビーボさんにふふっと微笑みかけた。
「オッ、オッ、オレは、そういう意味では言ってねえよ」
ビーボさんは俯き加減でそう伝え、両手で顔を覆った。
「ボコボコって宝石みたいでめっちゃ美味そうっすね。俺も記念に買っときますよ」
哲朗は手に取って買い物籠に入れる。
「哲朗おじちゃん、リジェアイナ王国のお土産楽しみにしててね」
ビーボさんの一番下の息子、プテッス君から無邪気な笑顔で言われ、
「おう、楽しみに待ってるよ、少年」
哲朗は朗らかな表情で応えた。
ビーボさん一家と別れを告げて、ショッピングモールをあとにした哲朗達、
「スイカよりもメロンよりも、ずっと高級感が出てて最高じゃないっすか!」
夕飯にボコボコをいただいたのだった。
ちなみにワガデ語辞典には、
【ボコボコ】エメラルドグリーンに輝く凹凸のある木の実。ロブウトツネ近郊の山々がワガデ王国一の産地となっている。甘くて瑞々しい味で、晩夏から秋にかけてが旬である。
【ボコボコにする】ボコボコの実の見た目、手触りや味が多くの人々から愛されていることから生まれた俗語。あなたを愛しています。よりも強い愛情表現の意味が込められている。古くから初恋の相手への告白や、プロポーズの言葉によく使われている。
と現地の文字で記載されていた。
「ビーボさん、昼間に言ったあの言葉、わたしの顔を見つめながらもう一回言って欲しいな♪」
「あっ、あんな恐ろしい言葉、使いたくねえよ。哲朗の故郷じゃ、相手に恐怖心を抱かせる言葉なんだろ。もう二度とボコボコにするって言わない人生を生きていきたいよ」
「さりげなく言ってくれた。嬉しい♪」
「さっ、さっきのは、その意味じゃないから……」
この日の夜遅く、ビーボさん宅の寝室にて、奥様とこんな会話が繰り広げられたのだった。
「哲朗おじさん、もうすぐこの国の夏の帰省シーズンが始まるよ。わたしも毎年田舎のお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに会いに行くんだ。ビーボおじさんもこの時期家族連れで故郷のリジェアイナ王国に帰ってるよ」
「日本のお盆みたいなやつがこの国にもあるんっすね」
「哲朗おじさんもいっしょに来てね」
「俺も行っていいのか?」
「もっちろん。むしろ来て欲しいってお手紙出したらすごく楽しみにしてたよ」
「というわけで哲朗ちゃん、明日は帰省土産を買いにショッピングに行くからね」
「そりゃ楽しみっすね」
☆
翌朝、哲朗、コスヤさん、コリルの三人はいつものようにドラゴン風の乗り物に乗せてもらい、ロブウトツネ市内にある国内最大のショッピングモールへ。
哲朗は初訪問だ。
親子連れを中心に大勢の人々で賑わっていた。
食品売り場をはじめとしてファッション、コスメ、家具、宝石、花、おもちゃなどなど、何でも揃う場所である。
「テレビとか冷蔵庫とか、電子レンジとか家電は、さすがに売ってないよな。リアルな恐竜に乗れるアトラクションもあるじゃん。子どもにとっては俺のいた世界のイ〇ンよりも楽しい場所だよ」
哲朗は大興奮で散策する。
広場に設けられたステージ上ではイベントが行われていて、
「お姉さん、大学はどこですか?」
「バチ大学です」
「バチ大やって」
「バチ大か。まあまあやな」
「なんてこと言い張りますの。ええ大学やん」
二人組の芸人さんらしき人が客弄りをしている様子も窺えた。
「芸人さんやアイドルのイベントもここでよくやってるよ。今日はザロンっていうワガデ王国の西域を中心に活動してるお笑いコンビの人が来てるんだ。イケメンの方がガスロミヒフくんで、大学名を訊いて弄る人相の悪い方がハジウラくんっていうの。ハジウラくんは凄く頭が良くて、ワガデ王国でロブウトツネ大学に次いで二番目に難しいトヨウキ大学出てるの。ザロンはギムナジウム生クイズのゲストに来てた年もあるよ」
「へぇ。ロ〇ンみたいな奴もいるんだな」
「ハジウラくんも、クイズ大会のプロの人には全然歯が立たなくて、いっしょにまじって参加した時にはビリになったこともあるのよ。相方のガスちゃんはゼロハジって弄ったわ」
コスヤさんは楽しそうに伝えた。
「そこもロ〇ンのエピソードによく似てるな」
「ザロンの二人、話し口調がロブウトツネの人達とちょっと違うでしょ。やねんとか、せやろとか、なんとかしはるって言う言い方は、同じワガデ語なんだけど西域の方言なんだ」
「関西弁そっくりで馴染みやすいっすね」
哲朗はフフッと笑う。
「お兄さんどこの大学ですか?」
「ロブウトツネ大学です」
「ロブ大やって」
「……まあまあやな」
「何言うて張りますの。ハジウラさんの出たトヨ大より難関やん」
「だからオレ、ロブウトツネのイベントに来たくなかってん。ロブ大生や卒業生との遭遇率高過ぎやもん」
「せやかて依頼されたもんは受けんと干されてまうやん」
引き続き、ザロンがショーを繰り広げる中、
「俺も弄られに行って来ますわ」
哲朗も堂々とステージに登壇。
「「「「「哲朗だぁ~」」」」」
おうううううううう!
パチパチパチパチパチッ!
観客達から拍手喝采。
「哲朗さんやん。ロブウトツネで今大人気と噂の」
ガスロミヒフくん、
「生では初めて見たわ~。ロブウトツネ来てやっぱよかったかも。哲朗さんもイベントに呼ばれてはったんやね」
ハジウラくんも哲朗のことを知っていたようだ。
「いや、今日は完全プライベートだよ」
「そうでしたか。ところで哲朗さん、大学はどこ出てますか?」
ハジウラくんの問いかけに、
「大学は出てねえよ。俺の最終学歴は横浜放送映画専門学院だ」
哲朗は自信たっぷりにこう答えた。
「よこはま? ほうそう? えいが? 専門学院やって」
ガスロミヒフくんはぽかんとした表情で突っ込む。
「よこはまほうそうえいが専門学院か……まあまあやな」
ハシウラくんは少し間を置いてこう突っ込んだ。
「なんてこと言い張りますの。謎過ぎる経歴ですやん。ロブウトツネ大よりむずいかもしれへんやん。ほうそうって法律の専門家の法曹? それともきれいにラッピングする技術? えいがって何なん?」
「映画ってのはこの世界じゃまだないのか。芸術の一種だけど入るの超むずいぞ。リアルガチに。採点基準も人によって大きく変わるからな」
哲朗が大きな声で伝えると、
パチパチパチパチパチッパチパチパチパチパチッ!
「哲朗天才だぁっ!」
観客席から大拍手。
「ロブ芸大みたいなとこか。あっこはロブ大生も一生かかっても合格無理っていうくらい才能が全てのヤバい難易度やからな。学力はアホでもええけど」
ハジウラくんも、
「さすが哲朗さんやね」
ガスロミヒフくんも感心する。
本当は無試験で金さえ払えば誰でも入れるけどな。
そんな事実は伏せておいて。
哲朗は大拍手で見送られ、ステージから降りたあとも、コリル、コスヤさんとザロンのお笑い芸を見ることに。
途中、小さな子ども達とのふれあいの時間もあり、ザロンの二人と握手したりハイタッチしたり出来たが……。
子ども達が近寄っていくのはガスロミヒフくんの方ばかりで、
「わぁ~ん」
「こっちのお兄さんの方とも握手してきぃ」
「いやぁ~」
「こわい~」
ハジウラくんの方は避けられてしまい、泣き出してママやパパ、おじいちゃんおばあちゃんの後ろに隠れてしまう子もいた。
「ハジウラさん顔怖いもんね」
学歴では劣るガスロミヒフくんは朗らかに突っ込んで勝ち誇る。
「オレ、どこの地域行っても子どもに泣かれるねん」
ハジウラくん、慣れてはいるもののちょっぴり悲しむ。
☆
「学生さんの参考書にもぴったり。『トヨ大芸人式ワガデ王国史』と『ガスちゃんシュツリグンイ語で道案内しよっ!』、この二冊、モール内の本屋さんにも売られてると思うから、見かけたらぜひ買うたってや~」
「ガスちゃん、なにさりげなく著書の宣伝してはんの」
「だって売れたら印税入って来ますやん」
哲朗達はザロンの芸を最後まで見届けて、
「ザロンもロ〇ンと同じく漫才自体は正直面白くないな」
「微糖ケタシはハジウラくんのこと漫才は下手くそなのにバカな知識だけあるやつ。なんだ、あの野郎はって批判してたよ」
「ケタシくんはお笑いに学歴は不要って考えの人だから」
「その考え方も、ビートた〇しさんと似てますね」
引き続きショッピングモールを散策する。
「この薬草ジュースを飲めば、わたしのようにスリムになれますよ」
ほっとりとしたエルフ耳のきれいなお姉さんが、中で魔女が怪しげな薬を調合してそうな雰囲気のお店の前で、行き交う人々に呼びかけていた。
横には、そのお方の以前のふくよかなお姿のイラストが描かれた看板が。
周囲にはふくよかなおば様達が群がっていた。
「コキアちゃんは、ダイエット系の商品は全部詐欺って言ってたわ」
「あのイラスト、本当に本人なのか分からないもんね」
コリルも同感する。
「ダイエットといえば、あれを思い出しますよ。女優の泉ピ〇子さんっていうお方といっしょにMCを務めている通販番組のダイエットの企画で、あのお方のイラストみたいに体型のビフォーアフターの写真が出まして、僕らもお客さんもびっくりしてたんですけど、ピ〇子さんが『これ怪しいな? ちがう人なんじゃねぇか!』って言いだして。『怪しいから、この商品買わなくていい!』って、通販のMCですよ。しかも客前でスポンサーもいるんですよ。初めて心の底から『お前はバカか?!』って。でも、すごいのはそれがそのまま放送されて。ピ〇子さんがそう言ったから逆にその商品が一番売れたんですよ」
「あらあら。面白エピソードね」
そんな会話を弾ませていると、
「ババア、これ買えよっ!」
おもちゃ屋さんの前で、おねだりする子どもの声が。
「この声、聞き覚えあるな」
哲朗はにやけ顔で呟く。
あの悪がきがいたのだ。
「クシフ、ダメって言ってるでしょ」
「いいじゃんババア。買えよ。こんなに金持ってるじゃん」
クシフ君、そう言いながらパパの財布を奪い取り、床に札束を大量にばらまいてしまう。
「ハハハッ」
クシフ君パパ、ミロヒツさんは朗らかに笑っていた。
「クシフ、お金をそんな風に扱っちゃ、ダメでしょ!」
クシフ君ママの怒号が飛ぶ。
周囲にいた人達にも笑われてしまう。
「クシフ伝説、また一つ増えた!」
ミロヒツさんの側にいた雑誌記者らしき人は大喜びだ。
「クシフ君、相変わらずの悪がきっぷりっすね」
「クシフ、買ってあげたいんだけど、パパがあとでママから制裁を受けるから勘弁して欲しいんだ」
パパのミロヒツさん、申し訳なさそうな表情でお願いする。
「しょうがないなぁ。じゃあ哲朗、おまえが代わりに買ってくれよ。哲朗も人気芸人なんだからパパには遠く追ばないけどおまえも金いっぱい持ってるだろ」
「嫌だね。なんで俺がクシフのためにおもちゃ買ってやらなきゃいけねえんだよ」
哲朗は朗らかな表情でお断りした。
「クシフ、いい加減にしなさい! 哲朗さん、クシフが多大なご迷惑をかけて申し訳ございません」
クシフ君ママ、深々と謝罪。
「いやいや、べつに迷惑でもないっすから。ミロヒツさん一家も帰省土産を買いに来たんですか?」
「明後日からパパ達と豪華客船に乗って外国旅行へ行くんだ。ナバンマナ諸島のリゾート地で過ごすんだよ。いいだろ」
クシフ君は即、自慢げに伝えてくる。
「ミロヒツさん一家の外国旅行の取材も兼ねてます。面白い記事にしますのでご期待下さい」
同行の記者さんが伝える。
「おまえらは来なくていいんだよ。邪魔なんだよ。パパに付き纏うなよ」
クシフ君は迷惑顔だ。
「俺はあっちの世界じゃ外国行きまくってたけど、この世界の外国にもそのうち行ってみたいっすね。ミロヒツさん、そこの土産期待して待ってますよ」
「お任せ下さい哲朗さん」
ミロヒツさん一家と別れを告げて、哲朗達はお昼ご飯をとることに。
「魔物料理もフルーツもデザートも、ワガデ王国はグルメも最高っすね」
フードコートにて、哲朗は初めて見る形状の魔物料理にも舌鼓を打っていると、
「みんな、夏休み楽しんでる? お姉さんとダンスの時間だよ」
付近のステージ上から、そんな声が聞こえてくる。
ケットシーっぽい着ぐるみを身に纏ったお方がいた。
「この声も聞き覚えあるな。カバリチタナさんって方のような」
「その通りだよ。カバリチタナさんは他にも数え切れないほどの着ぐるみのキャラクターの声を当ててる超売れっ子アイドルなんだよ」
コリルは楽しそうに伝える。
客席には、いろんな種族の幼い子ども連れの親子を中心に、大きなお兄さんお姉さんおっさん達もまじっていた。
ケットシー:CVカバリチタナさんのパフォーマンスが繰り広げられる中、
「おばちゃん、この着ぐるみの声、ぼくにやらせろよ」
突然そんな要求をして、ステージ上にずかずか上がっていく男の子の姿が。
「クシフ君、またしても迷惑なことしてますね」
哲朗は微笑ましく眺める。
「ちょっとあんた、なにわがままで勝手なこと言ってんのよ。ぶっ〇すぞ!」
ケットシー:CVカバリチタナさん、お怒りだ。
「カバリしゃま、キャラのイメージ壊さないで下さぁい」
スタッフさんから苦笑いで注意されてしまうも、
「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」
「「「「「カバリしゃまぁ~」」」」」
「おれに向かっても言ってくれぇ~」
一部の観客からは大好評だ。
そんな中、
「クシフの将来に向けた勉強のために、やらせてあげて下さい」
ミロヒツさん、息子のためにスタッフに頼み込む。
「ミロヒツさんのお願いなら、仕方ないですね」
スタッフさん、苦笑いで引き受けた。
さらにはミロヒツさん、
「カバリチタナさん、今日のギャラを十倍払いますので、どうか、クシフに声の役を譲ってあげて下さい」
ステージ裏にいて、ケットシーの動きに合わせて声を出していたカバリチタナさんにも直談判。
「ふんっ、それだけの額が貰えるって言うのなら……譲ってあげてもいいわよ」
カバリチタナさん、ほんのり頬を赤らめながら承諾した。
これにて着ぐるみの中の人は同じまま、声は交代。
「てめえの声なんか聞きたくねえぞ」
「クソガキ引っ込め」
「クシフ、帰れ!」
「おまえの声はむかつくんだよ」
クシフ君、一部の観客からヤジを飛ばされるも、お構いなし。
「こんにちは、ぼく、ケットシーだよ」
堂々と声を当てる。
そして着ぐるみは踊り出す。
子ども達もいっしょに楽しそうに踊り出す。
「スタッフさんよぉ、カバリしゃまの癒しボイスに戻せよ」
その後も一部の観客からヤジを飛ばされるも、
「みんな、楽しんでるみたいだね。僕も楽しんでるよ」
クシフ君は気にせず声を演じ続け、着ぐるみといっしょにダンスショーを終えたのだった。
「クシフ君、なかなか上手いじゃないっすか」
哲朗は絶賛する。
「ふぅん、なかなかやるじゃない。あのクソガキ。まっ、わたしの足元にも及ばないけどね」
カバリチタナさんもお褒めの言葉を呟いた。
ちなみにクシフ君が声を演じたこのイベント、付近に設置されたお客様の声ノートに、
クシフ君意外といい声しててワロタ。
十数年後、リアルガチにプロになってそう。ミロヒツさんのコネ関係なく。
とかの感想も書かれていた。
哲朗達は、いよいよ一番のお目当ての帰省土産売り場へ。
ロブウトツネご当地のお土産がたくさん並べられていた。
「俺の商品もあるじゃないっすか!」
哲朗は朗らかに微笑む。哲朗おじさんのチーズケーキ、哲朗を模ったクッキー、チョコレート菓子なんかも売られていたのだ。
「哲朗ちゃんのおかげで新商品が今年はいっぱいね」
コスヤさんはフフッと微笑む。
「哲朗おじさんはすっかりロブウトツネの名物になったね。これ買って帰ったらお祖父ちゃんとお祖母ちゃん喜びそう」
「そうなったら俺としても光栄なことっすね」
引き続き、土産物選びを楽しんでいると、
「ボコボコにするから」
どこからか、こんな声が聞こえてくる。
「この声は――! さっきヤバい発言が聞こえたような」
哲朗は声のした方へ近寄る。
「やはりビーボさんじゃないっすか」
ビーボさんと、奥様。子ども達がいた。
「ビーボさん、さっきヤバい発言されてましたよね?」
哲朗が苦笑いで問うと、
「哲朗、何がヤバいんだよ? わけ分かんねえよ」
ビーボさんはいつものリアクション時と同じく素っ頓狂な表情へ。
「さっきボコボコにするって」
「ボコボコの何がヤバいんだよ?」
「日本語じゃヤバい発言なんすよ」
「ボコボコは、この果物のことよ。ロブウトツネ近郊の山に自生してて、これからの時期が旬なの。甘くて瑞々しくて、とっても美味しいわ」
奥様は微笑み顔で伝える。
エメラルドグリーン色で、形はドラゴンフルーツっぽかった。
「そうなんっすか。いやぁ、安心しました。ボコボコを帰省土産に選ぼうとしてたんすね。俺のいた世界のビーボそっくりのボビーって奴はボコボコ発言で逮捕されて罰金刑食らって芸能活動しばらく自粛を余儀なくされてましたからね」
「日本っていう謎の国ではボコボコはヤバい言葉なのかよ。日本恐ろしいよ」
ビーボさんは強張った表情を浮かべていた。
「ワガデ語ではボコボコにするは、その美味しさから『あなたを愛してます』って愛情表現の意味も込められてるのよ。ねっ、ビーボさん♪」
ビーボさんの奥様はそう伝えて、夫のビーボさんにふふっと微笑みかけた。
「オッ、オッ、オレは、そういう意味では言ってねえよ」
ビーボさんは俯き加減でそう伝え、両手で顔を覆った。
「ボコボコって宝石みたいでめっちゃ美味そうっすね。俺も記念に買っときますよ」
哲朗は手に取って買い物籠に入れる。
「哲朗おじちゃん、リジェアイナ王国のお土産楽しみにしててね」
ビーボさんの一番下の息子、プテッス君から無邪気な笑顔で言われ、
「おう、楽しみに待ってるよ、少年」
哲朗は朗らかな表情で応えた。
ビーボさん一家と別れを告げて、ショッピングモールをあとにした哲朗達、
「スイカよりもメロンよりも、ずっと高級感が出てて最高じゃないっすか!」
夕飯にボコボコをいただいたのだった。
ちなみにワガデ語辞典には、
【ボコボコ】エメラルドグリーンに輝く凹凸のある木の実。ロブウトツネ近郊の山々がワガデ王国一の産地となっている。甘くて瑞々しい味で、晩夏から秋にかけてが旬である。
【ボコボコにする】ボコボコの実の見た目、手触りや味が多くの人々から愛されていることから生まれた俗語。あなたを愛しています。よりも強い愛情表現の意味が込められている。古くから初恋の相手への告白や、プロポーズの言葉によく使われている。
と現地の文字で記載されていた。
「ビーボさん、昼間に言ったあの言葉、わたしの顔を見つめながらもう一回言って欲しいな♪」
「あっ、あんな恐ろしい言葉、使いたくねえよ。哲朗の故郷じゃ、相手に恐怖心を抱かせる言葉なんだろ。もう二度とボコボコにするって言わない人生を生きていきたいよ」
「さりげなく言ってくれた。嬉しい♪」
「さっ、さっきのは、その意味じゃないから……」
この日の夜遅く、ビーボさん宅の寝室にて、奥様とこんな会話が繰り広げられたのだった。
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