異世界転移したら、死んだはずの妹が敵国の将軍に転生していた件

有沢天水

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「おかえりなさい! みなさん!」

 ルルがこちらに走り寄って抱きついてきた。烈はそれを怪我しないように優しく受け止めた。

 下からあどけなく覗き込んでくるルルに、烈は微笑みながら話しかけた。

「ただいま。ルル。何か連絡とかはあった?」

「いいえ、特に何もありませんでした。レツさんたちは街の方で何か見つかりましたか?」

「いや、こっちもに行ってみたけど、何もなかったよ」

「そうですか......」

 ルルはがっかりしていた。無理もない。もう何も収穫なく一週間もこの町はずれの宿に泊まっているのだ。しかも敵地である。

 全員がこの何も進展のない状況に辟易していた。

「よお! どうやら何も収穫がなかったようだな! はっはっは! マジウケる!」

 全員がその能天気な笑い声にいらっとした表情を向けた。

 笑い声の主はボンド城から一緒に来ていたフィズだった。

 特に苛ついていたのはアイネだったのであろう。彼女は喧嘩腰にフィズに詰め寄った。

「おい! いつになったら私たちはガーランド軍団長にお会いできるのだ! 貴様が任せろといってからどれだけ経ったと思っている!」

「そんなこと言われてもな~。俺もボスに待ってろって言われて、ここでこうして君らを面倒見ているわけで。どうしようもできないんだよな」

「ならそのボスとやらに会わせろ! 話をつけてやる!」

「はっはっは! 無理無理! うちのボスは割と大物だからね! 簡単には顔を見せないさ! それよりボスとカイエン公爵の娘であるアイネ様が関係あるってばれる方がまずい!」

「ほ~う? つまりお前のボスとやらはペルセウス側ってことかい?」

 ラングが話に割り込んだ。フィズは露骨に「しまった! 話過ぎた!」という顔をした。

「な......なんでそう思うんだい? 俺は関係がばれたら困るって話しかしてないぜ?」

「そりゃそうだ。俺らが会おうとしているのは近衛第五軍団軍団長ガーランド・オラウス。近衛軍団の中で唯一の中立派だ。まあ、基本的には国王陛下に従うみたいだがな。その相手に姫サン派のアイネが関係あることがばれたらまずいってのは、姫サン派や中立派ならありえねえ。両方とも味方のはずだからな。っていうことは、味方しているのがばれたらまずいペルセウス派ってことだ」

「ぬぬぬ。まあ、認めないがね!」

「構わねえさ。ちなみに言えば大物で、しかもお前の仲間がちょこちょこ各地で姿を見せていることを考えると、それなりに兵力を持っている奴だ。今のドイエベルンで三大公爵やペルセウス以外で兵力を持っている奴なんて、中小貴族じゃあり得ねえ。だが、残りの大貴族はほとんど姫サンに味方しているってことを考えると、残るは......」

「わーーー! わーーー! 聞こえません~~!! 何言われても答えません~!!」

 耳を抑えて大騒ぎするフィズにラングはやれやれと肩をすくめた。

「ま、密偵としても実力が半端で、王都にそれなりに繋がりがあるって考えると、もうの人間しかいないわな」

「ラングちゃ~ん、やめてよ~。俺ボスに正体ばれたって知られたら小指の骨折られちゃうよ~」

「なんで小指なんだよ......まあいいが、実際俺らもそんなに待ってられないぜ? 姫サンもここの国王もそれなりに軍備が整いつつある。決戦の日は近そうだからな」

「わかってるって。まあ連絡が来るか、もしくは決められている場所での連絡待ちしかないわけだ。だから情報収集がてら、外に出てその決められた場所の目印を毎日チェックしてもらってるわけだ」

「誰誰の貴族の屋敷の木に布が結ばれていたり、どこどこの酒場の隅っこの樽が一つ増えていたりだろ? ちゃんと全員でチェックしてきたぜ?」

「で、何もなかったんだろ? じゃあしゃーないしゃーない。待ってるしかない。それより騒ぎとか起こしてないよな?」

 フィズに言われて全員目線をすっと反らした。

「おい!? なんかあったのか?」

 焦るフィズに烈が口笛混じりに答えた。

「いや、何もなかったよ? 騒ぎは」

「なんか、引っかかる言い方だな? 言っとくけど、見つかったらヤバいのは間違いないんだぜ?」

「わかってるよ。まあ安心して......」

 落ち着けと言おうとしたその時であった。

 烈たちの後方の扉がばたんっと乱暴に開かれた。そしてぞろぞろと兵士崩れの男たちがなだれ込んできた。兵士たちは二十人はいるだろうか。あっという間に烈たちは囲まれてしまった。

 そのうちの一人が烈たちを指差す。

「隊長! こいつらですぜ! 俺らを卑怯な手で気絶させたのは!」

 どうやら先ほどアイネにちょっかいを出してきた連中らしい。戦力が不足していると見て、隊ごと今度は連れてきたようである。

 奥からぬっと大柄な男が現れた。

「おう! どうやら部下たちが世話になったようじゃねえか」

 フィズは案の定面倒ごとに絡まれていると知って天を仰いだ。
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