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激突!神聖騎士団
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連合軍は城に向かって前陣がポーレン公国の軍、後陣が神聖騎士団となっていた。これは『水牛』レンドーンの軍が野戦を得意としており、城攻めに向いていないことに起因するものでる。
そして『暁の鷲』の遊撃部隊3隊が、それを取り囲むように布陣していた。
ゆえに、後方から突撃してきたドイエベルン軍三千を相手するのは必然的に神聖騎士団となった。
ドイエベルンと神聖騎士団がぶつかり合う最前線ではレンドーンが身の丈もある大斧を振り回しながら、指揮を執っていた。
「どけどけぇ! 信心の足らぬ愚か者どもめ! 我が大斧の錆にしてくれよう!」
戦局は一方的であった。神聖騎士団が一方的にドイエベルンを蹂躙し、前線を押し込んでいた。
たまらずドイエベルンは撤退をしていく。その様子を見て、レンドーンはさらに吠えた。
「なんと! たった数回当たっただけでもう撤退するか。ドイエベルンに戦士なし! せめて女神の元に儂が送ってやろう」
レンドーンは早速追撃の指示を出した。軍馬がうなりを上げてドイエベルン軍の後背を突かんと、全力で追った。数刻後にはポーレン公国軍ははるか後方に位置するところまで追いかけることになった。
「うん? なんだあれは?」
ドイエベルン軍の背にあと一歩というところでレンドーンは異変に気付いた。
ドイエベルン軍の最後方、約千が分離し、大きく旋回したのだ。当然、レンドーンは対処した。
「分離した軍と目の前の軍で挟撃するつもりか? 浅はかだな。こちらからも1千ほど出して奴らにぶつけたやれ。各個撃破で終わるだけだ」
だが、ドイエベルン軍の千の部隊はレンドーンの思惑とは違う動きをすることになった。
なんと神聖騎士団には目もくれず横を素通りしていったのだ。これにはレンドーンも驚いた。
「どういうことだ? あの千でポーレン公国を相手にする気か? 千対五千、しかも『暁の鷲』までいるというのに勝てるわけが......」
だが、そこでレンドーンは言葉を切ることになった。逃げていた残りの二千が反転し攻めてきたからだ。
「ぬう、意図はわからんが各個撃破することに変わりはない。全軍! 前方の軍を蹂躙せよ。女神エリンの加護があるぞ!」
エリンの名を出しただけで、騎士たちの眼の色が変わった。みな狂信者さながらにひたすら前進を試みた。
「うむうむ。流石はエリン様だ。兵たちも喜んで死地に向かっておるわ」
だがレンドーンの喜びは長く続かなかった。先ほどとは打って変わり、思うように前進できないのだ。それどころか、一部ではこちらが押し込まれる事態になった。
「これは何事だ! 我が第二軍が押し返されるなど過去に例がない。いったいなぜ......ぬ!」
原因はすぐにわかった。あちらから来たからだ。
レンドーンの前にいた兵たちがどかんっと吹っ飛ばされた。
目の前で爆ぜる兵たちには目もくれず、その原因を作った存在をレンドーンは油断なく睨みつけた。
「なるほど。貴殿が『紅雌虎』か......噂に違わぬ戦士のようだ......」
そこには大剣を肩に担ぎ、挑発的に唇をにやりと歪ませるミアの姿があった。
そして『暁の鷲』の遊撃部隊3隊が、それを取り囲むように布陣していた。
ゆえに、後方から突撃してきたドイエベルン軍三千を相手するのは必然的に神聖騎士団となった。
ドイエベルンと神聖騎士団がぶつかり合う最前線ではレンドーンが身の丈もある大斧を振り回しながら、指揮を執っていた。
「どけどけぇ! 信心の足らぬ愚か者どもめ! 我が大斧の錆にしてくれよう!」
戦局は一方的であった。神聖騎士団が一方的にドイエベルンを蹂躙し、前線を押し込んでいた。
たまらずドイエベルンは撤退をしていく。その様子を見て、レンドーンはさらに吠えた。
「なんと! たった数回当たっただけでもう撤退するか。ドイエベルンに戦士なし! せめて女神の元に儂が送ってやろう」
レンドーンは早速追撃の指示を出した。軍馬がうなりを上げてドイエベルン軍の後背を突かんと、全力で追った。数刻後にはポーレン公国軍ははるか後方に位置するところまで追いかけることになった。
「うん? なんだあれは?」
ドイエベルン軍の背にあと一歩というところでレンドーンは異変に気付いた。
ドイエベルン軍の最後方、約千が分離し、大きく旋回したのだ。当然、レンドーンは対処した。
「分離した軍と目の前の軍で挟撃するつもりか? 浅はかだな。こちらからも1千ほど出して奴らにぶつけたやれ。各個撃破で終わるだけだ」
だが、ドイエベルン軍の千の部隊はレンドーンの思惑とは違う動きをすることになった。
なんと神聖騎士団には目もくれず横を素通りしていったのだ。これにはレンドーンも驚いた。
「どういうことだ? あの千でポーレン公国を相手にする気か? 千対五千、しかも『暁の鷲』までいるというのに勝てるわけが......」
だが、そこでレンドーンは言葉を切ることになった。逃げていた残りの二千が反転し攻めてきたからだ。
「ぬう、意図はわからんが各個撃破することに変わりはない。全軍! 前方の軍を蹂躙せよ。女神エリンの加護があるぞ!」
エリンの名を出しただけで、騎士たちの眼の色が変わった。みな狂信者さながらにひたすら前進を試みた。
「うむうむ。流石はエリン様だ。兵たちも喜んで死地に向かっておるわ」
だがレンドーンの喜びは長く続かなかった。先ほどとは打って変わり、思うように前進できないのだ。それどころか、一部ではこちらが押し込まれる事態になった。
「これは何事だ! 我が第二軍が押し返されるなど過去に例がない。いったいなぜ......ぬ!」
原因はすぐにわかった。あちらから来たからだ。
レンドーンの前にいた兵たちがどかんっと吹っ飛ばされた。
目の前で爆ぜる兵たちには目もくれず、その原因を作った存在をレンドーンは油断なく睨みつけた。
「なるほど。貴殿が『紅雌虎』か......噂に違わぬ戦士のようだ......」
そこには大剣を肩に担ぎ、挑発的に唇をにやりと歪ませるミアの姿があった。
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