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24: 羅武と色々祝う大晦日。
しおりを挟む笑い転げる綺羅を無視してカウチから離れ、ダイニングの方に歩けば、テーブルの上にケーキとでっかいプレゼントボックスが置いてあった。
『 Happy Birthday ♡Love♡ 』
ケーキに突き刺さったチョコのプレートを見て俺は首を傾げた。
「俺、誕生日とっくに過ぎちまってるけど?」
8月末だから、何かと間違えた訳でもないだろうし…。
「ずっと、君の誕生日を祝いたかったんだ。」
笑いから回復したらしい綺羅が、後ろから抱き締めて耳許で囁く。
そっか。それは、ちょっと…や、かなり嬉しいな。何だかワクワクしながら開ける。
プレゼントボックスの中身は綺麗なコバルトブルーのマフラーと使いやすそうなリュックだった。
「フフ、二年分。一昨年、君の誕生日を知りたい、君にプレゼントしたいって思った時には誕生日過ぎてたんだよね。」
「ふーん……。何か高そうだけど、……いいの?」
顔が燃えそう。思わず、俯いて顔を隠して、可愛くないことを言ってしまった。馬鹿だな、俺。
「羅武、可愛い。耳も首も真っ赤だよ……?
嬉しいな…。君の喜ぶ顔が見たかったんだ。」
そう言いながら耳を齧る綺羅に、顔見えてねーじゃん、と思いつつマフラーをざっくり首に巻いて、赤いって言われた首と耳を隠して振り向いた。
「おら、こんな…顔だよ。ありがとう、な。」
前髪を上げて、赤くなってるだろう顔を晒して綺羅を見れば、何とも言えないきゅうっとした顔をした。困ってる……?
「ヤバい!羅武!好き好き好き!」
…どうやら喜んで貰えた様だ。ちょっと引く勢いで抱き付かれた。
その後、何だか生クリームが尋常じゃない旨さのケーキを食べたり、カロリーのある炭酸やカロリーのない炭酸を飲みながら、綺羅が盛り付けてくれたカラフルな野菜たっぷりの飯を食った。
監禁小屋には余り荷物は無かったが、こっちのコテージにはちょっと前から準備してたらしくて、綺羅が買い揃えたという俺の服やら何やらがずらっとクローゼットに並べられていた。
え?俺、ここに住んでた?って位何でも揃ってる。
でも、パンツが全部派手な柄しかないとか、ちょっと綺羅の中の俺のイメージを疑う。
何でこんな、パンツで世界平和処か宇宙平和すら守れそうな位、ヒーロー柄パンツ並んでんの??てか、これ誰?知らんヤツいっぱいおる。
一体、パンツに股間以外の何を守らせるつもりなんだよ??正座させて問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
綺羅の趣味なのかと思ったら、綺羅のパンツはどれも落ち着いた色で、無地が中心だった。
何で俺だけ……くっそムカつく。
取り敢えず、ワンダーウ○マンぽいやつを掴んで綺羅の待つシャワールームに行く。他の着替えは何処のどれをどう使えばいいか全く判らなかった。何かお洒落だ。おいておこう。
「あれ?パンツ持ってきたの?……でも、要らないよ?履く暇ないからね♡」
タオルやシャンプーなんかを抱えた綺羅に言われて、俺は一瞬意味を考えてから、うっかり真っ赤になってしまった。
くそっ。
腹が立ったのでパンツをその辺に投げ捨てて俺はシャワールームに入った。
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