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19: 羅武は喜び庭駆け回る。
しおりを挟む「羅武……ん……はぁっ……羅…」「ぇえい!いい加減にしろよ!」
車に乗り込んだ俺は、隙あらば唇を奪ってくる綺羅にいい加減腹が立って、思いっきり、その肩をどついた。
「俺は腹が減ってイライラしてるんだ!キスをしたいなら何か食わせてからにしてくれ!」
「ぁゎゎごめんよ羅武!直ぐ出る!直ぐ出るから!」
ギャースカ喚く俺の剣幕に、綺羅が慌てて俺のシートベルトを着ける。いや、シートベルトなんか自分で着けれるんだから、一秒でも早く俺をカロリーのある所に連れてってくれ!腹ペコで死にそうだ!!
「怒らないで…羅武!直ぐ着く!直ぐ着くからね!………でも、雪ではしゃいで腹ペコになるまで遊んじゃったのは羅武じゃないか……。」
「うるせーよ!人間は腹が減るとイライラすんだよ!!」
ペコペコしながらボソッとぼやく綺羅に、噛みつかんばかりに喚く。
やっぱりペコペコしながら車を発進させた綺羅は、凄く楽しそうだった。
そう、実は、服を着て外に出た途端、一面の銀世界で。
普段雪と縁の無い俺はうっかり大はしゃぎしてしまったんだ。
楽しかった。凄かった。なんせ、滅茶苦茶雪。
俺は走り回り転げ回り、雪の上に人間スタンプを沢山押し、雪を食べてみて、固めて投げてみて、転がして雪だるまを作った。
綺羅が何か言ってた気がするけど、テンション爆上がりしてた俺は止まらず、手を真っ赤にして雪を転がした。
そうして、丁度お座りした大型犬位のサイズの雪だるまを爆速で作った俺は、ふと、自分が物凄い空腹であることに気付いてしまった。
正直、この数日の監禁生活で貯蓄が全然無い事を忘れてた。
俺は、慌てて綺羅の待つ駐車場に戻り、何か食い物!とねだった。
所が、綺羅は、何にも食い物を持ってなかった。
飲み物も、水と炭酸水しか持ってなかったんだ。俺は絶望した。
そして空腹に気が狂いそうになりながら喚き、車に乗り込み、今に至る。
雪が両側に積もった広い道路を綺羅はスイスイと車を走らせ、国道的な道路に出る。暫く進んだ所に、焼き肉とラーメンと回転寿司が並んでいて、俺は綺羅の肩をベシベシ叩いてラーメンに入らせた。
焼き肉も悩んだが、兎に角今は炭水化物だ!炭水化物が俺を呼んでいた!!
「餃子二人前、ライス大一つ、デラックスラーメンのチャーシューダブルメンマダブルと、赤辛味噌ラーメンのチャーシューダブルメンマダブルとあ、キュウリと、チャーハン小も。」
ふぅ。店に飛び込んで取り敢えず注文。俺は自分のメニュー表を畳んで綺羅に聞いた。
「で、綺羅は何も頼まねぇの?」
「えっ」「………え?…えっ、あっ、えっっ ぇえっ??」
俺の言葉に店員が驚いたような声をあげ、何だかボーッとしてた綺羅が慌ててメニューを見出したので、俺は呆れながら店員さんに先に俺のだけオーダーをお願いした。
全く……男子たるもの、ラーメン屋では手早く注文しろよなー。
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