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17: そうして羅武は綺羅に捕まった。
しおりを挟むふ、と目が覚めたら、俺、羅武は綺羅に腕枕されていた。
腕、痺れないかな……。なんて思ってそっと、起き上がる。
ぐっすり眠ってる綺羅の顔。スッゲェ、イケメン。
ハーフ?だから、鼻の根本の高さが根本的に違うな、とか、アッシュゴールドの髪がキレイだとか、睫毛長過ぎ、とか、今までまともに観察出来なかったから、ここぞとばかりに観察する。
そして、ふいに思い出す。
「そうだ……俺、あん時…綺羅に話し掛けられて……。」
そう、そうだった。イブの夕方、いや、もう夜だったか。
緋狼達がイルミネーションで飾られた公園でクリスマスパーティーをしてて、俺はいつもみたいにそれを見てた。
「ねぇ、君、羅武君だよね?…ちょっといいかな?緋狼君の事で話したい事があるんだけど…。」
そんな俺に、声を掛けてきた長身の男。黒いお洒落なコートに目深に被った帽子、カラーレンズの眼鏡、マスク。
今思い出せば、明らかに綺羅。
緋狼がもうすぐ所属する予定のモデル事務所に所属してる、先輩だって言われて……。
いかにもお忍び芸能人って格好に眼鏡をずらして見せるダルブルーの瞳。わぁ、モデルなんて初めて見た、と俺はホイホイ付いていった。
近くのコインパーキングに停められた車の後部座席に2人で座って、「いきなり話をするのもなんだし、これでも飲んで。外、寒かったでしょ…。」なんて、綺羅に薦められるままに、甘くてクリームいっぱいのカフェラテを飲んだ。
キャラメルとかローストアーモンドが乗ってたから、これ、クリスマス限定のヤツだなぁ、なんて思いながら。
綺羅の、慈愛に満ちた眼差しに、てっきり、緋狼にもう付き纏うなとか言われるもんだと思ってた俺は、美味しいです、なんて言ったり、愛想笑いをしながら覚悟を決めてた。
思えば、俺はもう疲れ果てていて、ずっと止める理由を探してたのかもしれない。
飲み終わって、紙カップを返して…、中々本題に入らないな…。先輩だからって、こんな役目大変だな…なんて思ってて……。
次に気が付いたら、全裸M字開脚拘束で賭けをしよう、だもんな。
ひでェ……。
でも確かに、賭けに負けたら緋狼を諦めろって話だったから、嘘だけは言ってないな、コイツ。
あ、でも、モデル事務所の先輩って話は本当なんだろうか……。
「……ん。……あ、羅武♡……おはよう♡」
目が覚めた綺羅がボケッと綺羅を眺めていた俺を見て、じゅわり、とダルブルーの瞳を喜びで蕩けさせる。
なんだか、それがひどく嬉しくて、俺はそっと、綺羅の薄い桜色の唇にキスをした。
綺羅の白くて長い腕が俺を絡めとる。
ああ、俺、捕まっちまったな……。
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