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11: 羅武と今傍に居る綺羅。
しおりを挟む「ねぇ、羅武?緋狼、緋狼って、あんなヤツの名前ばっか呼ばないでよ。
今、羅武のちんこシゴいてるのは俺だよ。綺羅だよ。」
監禁野郎が手を止めて、ぐちゃぐちゃの俺を見つめて言う。
いつの間にか、強すぎる快楽に、何かに縋りたくて緋狼の名前を呼んでいたらしい。
嫉妬の滲んだ監禁野郎の声に、少し嬉しくなる俺がいる。
「羅武が必死に縋りついてるのも、そんな羅武を抱っこしてるのも俺、綺羅だよ。ねえ、羅武。俺の名前を呼んでよ。」
お前、今初めて名前教えてくれたじゃん。
なんて、思いつつも、やっと知った監禁野郎の名前を口の中で転がす。
「…っぁ……キ、ら……綺、羅…。」
「そう。綺羅だよ。羅武。」
嬉しそうに返事をする綺羅の声が甘く蕩けそうで…、俺はそのふかふかの胸板に額をぐりぐり押し付けた。
58、59…と抜き差しとカウントが再開される。
「…ぐぅ……き、綺羅…ぁあ"あ"っ!綺羅っ!綺羅ァ!!」
「羅武……。好きだよ、羅武。俺が羅武をぐちゃぐちゃにしてあげる。」
「ぁ待てっっ~~~!!」
グチュングチュンと卑猥な音をさせて、綺羅がリズミカルにプラグを上下させ始め、俺は綺羅の腕の中で仰け反って悶えた。
トントンと奥をつつかれ、息が出来ない程、全身に快感が走る。
「羅武、羅武…!何も考えられなくしてあげる。だから、あんなヤツ忘れて…!俺を好きになってよ…、羅武!」
「ぁ"、あ"ああっ!ぐっ…綺羅っ…ぁがっ…はぁぁ"っ!き、らァ…!きら……!!」
脳味噌を貫く快感に思考が掻き消され、獣の様に吼える俺の声の隙間から、綺羅が切羽詰まった声で囁く。
心の中から、少しだけ残っていた緋狼への気持ちが、綺麗な想い出へと書き換えられていく。
快感が突き破った穴から、サラサラと洩れ出すみたいに緋狼が居なくなって、空っぽになった大きな空洞に、どんどん綺羅の言葉が入ってくる。
綺羅が甘く蕩ける様に呼ぶ俺の名前で穴が埋まっていく。
綺羅が切羽詰まった声で、愛を乞う姿で埋まっていく。
綺羅、綺羅、綺羅……………。
泣きながら、叫びながら、何度も名前を呼ぶ。
羅武、羅武、と甘い声が俺を呼び返してくれる。
ファセットだった昔のアイツとは違う……低く優しいバリトン。
羅武、と甘く呼んでくれる声が……上書きされていく……。
綺羅、と俺の舌が、縋る様に呼ぶ名前を覚えていく……。
綺羅、と呼び慣れていく……。
馬鹿な綺羅。俺なんかを好きだなんて。
不器用な綺羅。口説きたくて監禁とか頭おかしいだろ。
変な綺羅。色んなとこにキスする癖に、唇には、水や食い物を与えるって言い訳が無いとキス出来ないのか?基準が色々おかしいだろ。
腹立ち紛れに綺羅のロンTに顔を擦り付けて涙その他諸々を拭いてやる。ぐちょぐちょだ、ザマーミロ。
仕方がないな、なんて、久し振りの感情を味わいながら、綺羅の首にキスをする。
驚いて俺を見る綺羅の頬に手を添えて、その唇にキスをすれば、俺を見つめるダルブルーの瞳がじゅわりと愛しそうに蕩けて……。
俺は、その眼差しがくれる愛情を味わうようにゆっくりと瞳を閉じて、綺羅の舌を受け入れた。
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