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9: 羅武の敗北と願い事。
しおりを挟むとうとう、最後の追加した一日が過ぎた。
勿論。イイネは付かなかった。
「さぁ、羅武、タイムアップだよ……。」
監禁野郎が、酷く優しい、慈愛に満ちた声で言う。
パイプベッドの上に胡座をかいて俯く俺の肩を優しく撫でて、慰めるように、諭すように。
考えてみれば、途中からは惰性だったのかもしれない。
なんだっけ……。ほら、ギャンブルとかでさ、こんだけ金をつぎ込んだんだからって、引けなくなる心理。
あれだったのかもしれない。
緋狼はずっと態度で示してたんだし、もっと早く諦めるべきだったのかもしれない。
俺の行為は只、緋狼に迷惑かけてるだけで……。
きっと、これは良い機会だったんだ。
もう、いい加減、俺は別れを受け入れるべきだったんだ……。
そう思うものの、やっぱり、ソレは酷く辛くて…。離れがたくて……。
さっきまで流していた涙とは違う涙が、止めどなく溢れた。
監禁野郎がそんな俺の頭をそっと抱き締め、あやすように頭を撫で続けてくれた。
俺は幸運なのかもしれない。
あのまま緋狼に付き纏い続けて、我慢の限界を迎えた緋狼に直接別れを告げられて、一人でこの悲しみに打ちのめされるよりは。
今こうやって、俺を無理矢理緋狼から引き剥がして、その傷に愛情をたっぷり注いで慰めてくれるヤツが居るんだから。
「なぁ、もう、緋狼の事は諦めるよ。賭けは俺の敗けだ。認める。
……だから、最後に、もう一回緋狼に呟き送らせてよ……。」
涙を拳でぐしぐしと拭って、俺は監禁野郎をしっかり見つめて言った。
監禁野郎の顔があからさまに曇った。
「勘違いすんなよ。本当に、もう、諦める。
でも、最後にそれを緋狼に伝えておきたいんだ。イイネとかは付いても付かなくても、もう、どうでも良い。
只、あの時送ったさよならは、緋狼が一番反応しそうだから選んだ言葉で、本当にさよならするつもりで送った訳じゃなかった。
……だから、本当に、さよならするって伝えておきたいんだ。」
監禁野郎の白くて長い指が、俺の目にかかる髪をさらりと掻き上げて、俺の金茶に微かに緑が混じった瞳を露にする。
俺はそっと、その手に俺の手を重ねた。
「………判った。尿道プラグ、自分で100回出し入れして。そしたら、送らせてあげる。」
結構えげつない条件を提示してきたが、譲歩してくれる気は一切なさそうだったので、俺は黙って受け入れた。
只、ちんこ串刺しにするのだけは、どうやっても自分では出来そうになかったので、監禁野郎に頼んだ。
監禁野郎は快く引き受けてくれた。
「……ふっ……はぁ、ぁぅ……」
パイプベッドの中央、胡座をかいた監禁野郎の膝の中に横向きに座らされて、意外とふかふかしてる胸板に額を押し付けて目を瞑る。
つぷつぷと入っちゃいけない所に侵入してくるこの恐怖は何時まで経っても慣れる気がしない。
こんなものを出し入れして、機能に問題とか起きないんだろうな、なんて思いつつも、合意したのは俺だと覚悟を決める。
「づあっ!?」
とん、と先端が奥をつつき、強烈な快感が電流となって背骨から脳天まで突き抜ける。
「はい、全部入ったよ、羅武♡」
酷く嬉しそうに俺の目蓋にキスを落として、監禁野郎が俺の手をちんこに被せ、尿道プラグの根元の輪っかを俺の指に通す。
「最低3センチは動かしてね♪でなきゃノーカンだよ、羅武。」
何だかんだで、俺にギブアップさせたいんだろう監禁野郎が、厳しくルールを設定してくる。
俺は、覚悟を決めて輪っかを上に引っ張った。
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