本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why？

番外編ですよ。

16: 賢弟、激震。

ガタガタと馬車がエントランスに入ってくる音がして、僕、ラインハルト・ムンストーンは部屋を飛び出し、猟犬の様に屋敷を駆け抜けた。

年に一度の学園の卒業パーティに出席していた父上と兄上が帰ってきたのだ！
フェリたんも春休みはムンストーンに帰るって言ってたから、一緒にちがいない！俺は驚く使用人達を華麗にかわして玄関から躍り出た。

クリスマスに、ムンストーンの要らない子じゃなかったと思い直した僕は最近、やっぱり皆を父上と母上と上呼びに戻した。でも、

「やっぱり、父様呼びは恥ずかしいので、父上と呼んで良いですか？僕はもう、そんな子供じゃないんです。」

と言えば、

「勿論、好きに呼びなさい。少し寂しいが、ラインハルトはもうそんなに大きくなったんだなぁ…。」

「私なんて、未だに時々パパって呼んじゃうのに、ラインハルトってば大人ね♪」

なんて、すんなり受け入れられ、もう余所余所しくなったりしなかった。
きっと、トライアイアン家に行ってから突然父上母上って呼び出したから、距離を取りたがってると思われたんだな。

"彼らは思ってる以上に繊細"

フェリたんに言われた言葉を深く心に刻んで、僕はそれから思いっきり甘えまくった。
そうして、時々トライアイアンに行っては又直ぐムンストーンに帰る様になれば、焦った伯父様が僕の気を引こうとして、向こうでの待遇も格段に上がった。

どうやら、僕が付け上がらないようにと待遇を少し厳しめにしていたらしい。
トライアイアン領はムンストーン領より貧しいから仕方無いんだと思ってました。と素直に伝えたら、更に僕に手厚く対応するようになった。笑っちゃうよね。

そんなこんなで自信に溢れてピッカピカになった僕を見て貰おうと、僕は馬車の前でクリンナップをかけて軽く身嗜みを整えた。

「父上！兄上！お帰りなさい！！姉上！あれ？姉上は？？」

フェリたん♪フェリたん♪フェリたん♪フェリたん♪
弾む心を抑えて聞く僕に、父上と兄上は笑顔で地獄へ叩き落とす様な事実を告げた。

「おお！ラインハルト！お出迎えありがとう♪父上嬉しいぞ♪
ん？フェリ？？フェリはもう四、五日後になるんじゃないかな？」

「……へ？」

「ラインハルト！只今！兄ちゃん居なくて寂しかったかー！？？
そうだ、ビッグニュースだ！フェリが婚約したんだ！凄いぞ！オブシディアン公爵家の三男だそうだ♪中々の美男子だったぞぉ！」

「………へ？？」



　　こ　ん　や　く　？



おぶしでぃあんこうしゃくけのさんなん？



おぶしでぃあ……




「お、おまえがーーーーーーー！！！！」


「「ラ、ラインハルト！？？」」


お前が僕の大事なフェリたんをーーーー！！

僕は驚く父上と兄上を他所に力の限り叫び、怒り狂い、そしていつの間にかやってきたヘンリー兄さんに眠らされた。


暫くして起きた僕は、母上とキャロ姉上の膝の上で泣き続け、ヘンリー兄さんに睨まれつつもキャロ姉上に抱っこされたり頭を撫でられ続け、兄上にお菓子を食べさせて貰い、父上に服を着替えさせて貰ったり慰めれたりしながらも泣き続けた。

賢弟？誰それ。僕はムンストーンの末っ子だよ。フェリたんが帰ってくるまで泣き止まないんだから！うぇーーんチクショー！！



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「ん……？」

「どうした？フェロー」

卒業パーティの後、課題が残ってるなんて言い訳して、たっぷり婚約者としての時間を楽しんだ俺達だったが、流石にいつかはムンストーン領に行かねばならず、今、大急ぎで馬を走らせている所だ。先に出た馬車に追い付くまで、もう暫く馬には頑張って貰わないといけない。

「再従兄弟のヘンリーから、早く帰って来いって催促でした。何でもラインハルトが、私が婚約したと知って泣き止まないんですって。流石に誇張しすぎですよねー？」

「そうだな…。」

あながち誇張では無いんじゃないか、とも思いつつ、俺は相槌を打って腕の中のフェローを抱き締めた。

メッセージには、泣いてるラインハルトを慰める為に姉のキャロリエンがラインハルトを抱っこしたりキスしたりして耐えられない、デートもキャンセルされた、どうしてくれると続き、金銭での賠償を求められていた。
どうせ姉に使われるから、と、フェローは気前良く払うんだろうが、ネチネチとした文脈に少し腹立たしく思う。

溝鼠は直ぐにお金寄越せって言うからなー、なんて独り言ちるので、

「そんな事言うなら予定よりゆっくり帰る、予定より早く帰って来て欲しければ金払えって言ってやれよ。」

なんて笑って言えば、フェローはニコニコしながらその通りに返信していた。

"ちょっと！誰に入れ知恵されたの？！ムカつく！絶対入れ知恵したヤツ居るだろ！！ムカつく！ムカつく！！"

なんて、直ぐに帰ってきた返事が地団駄踏んでる様で、俺は笑いながら馬を少し速めた。


仕方無いから、馬上でフェローを啼かすのは又今度にしてやろう。








　　　　　　　　　　　　　　　～Fin～










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ふぅ(*´∀`)やっと出てきたシスコンショタ、終わりです。

読んで下さっていつもありがとうございます♪