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番外編ですよ。
14: ヤンキー、ベッドで余所見は許さない。
しおりを挟む「フェロー、どうした?」
フフッと笑う声がして、滑らかな肌に腕を絡ませなから問えば、慌てて身を捩る姿が可愛い。ダメだ、逃がさない。俺とベッドにいて、余所見をしたんだから。
昨夜、プレゼント交換した後から今日まで、散々弄ってやったせいか、直ぐに秘所をガードする手が可愛い。
その手をそのまま魔力の蔦で固定し、身体中を撫で回せば、ヒョコヒョコと面白いように体が跳ねる。
「ぁゎゎ…や、ぅひひ…。」
「どうした?フェロー…。何だか見たこと無い動きしてるぞ。」
「あっ、ちょっと……ぁあ、ボウフラみたいになってるからやめてぇ!」
ブフッ!しまっ…フッ!ぁ、ダメだ。
「ハッハッハ……ボウフラ!ハッハッハッハッハッハ…!」
やられた。ボウフラの喩えが秀逸過ぎて俺は思わず笑い転げてしまった。
魔力の蔦が解けば、フェローが一緒になってクスクスと笑っている。
「ハッハッハ…はーぁ……それで?誰からの手紙?」
何とか笑いを引っ込めて聞けば、あ、そうだったと思い出したようにスマートブレスレットの手紙を開く。ダメだ、まだ腹筋と口角がヒクつく。
たすたすとフェローが手紙に返信を打ち込む。
俺はそれを、後ろからフェローを抱き締めて耳にキスをしながら読んだ。
「弟のクリスマスプレゼントにスマートブレスレットをプレゼントしたんです♪そしたら、さっき早速メッセージが来て。」
筆談形式で表示されるやり取りを読みながら、俺はそっとフェローの耳たぶを撫でた。
スマートブレスレットは、俺があげたドリームキャッチャー風メッセージ板を元に作られている。あれは使用者以外には見えないようにする機能がありスマートブレスレットも同じ様にしているから、フェローは今こうやっていても俺にはメッセージが見えないと信じているようだ。
実際は、俺のピアスの一つに付与された効果で丸見えなんだが、まぁ、影なんかの職についてるヤツは大抵そうだから特に言うつもりは無い。
「さっき、笑いながらバレちゃったと呟かなかったか?」
なんて、指摘すれば、白い肩がビクリと跳ねる。
"マジックボックスの術式、フェリたんのコトだ、先生にチェックして貰ったんでしょう。"
"勿論♪学生が先生に質問するのは無料だからね♡"
「あー……マジックボックスの術式、先生の力を借りたことがバレちゃってて…。弟のラインハルトって本当に賢いんですよねー♪」
タイミング良く来た返信に即座に返信しつつ、俺への言い訳にも使う。
どうやら、男と旅行に来ている事がバレたのは俺には言わないつもりらしい。
まぁ、文脈からして、秘密にしてくれる自信があるのだろう。
「彼か。バイカラー殿下の護衛任務の時に何度か見かけたよ…。向こうは俺を見たこと無いだろうがな。」
俺は基本的には影だからな。姿を見せたのはムンストーン家にお邪魔した時位だ。
「ええ?テリー君だけじゃなくて、ラインハルトもバイカラー殿下と仲良しさんなんですか?ラインハルト凄ーい!」
うちの弟凄い!と屈託無く笑うフェローに少し嫉妬を覚える。
「そういや確かに、中々賢い少年だったな。バイカラー殿下と色々な施策について語り合ってたぞ。」
なんて言えば、嬉しそうに、トライアイアンの伯父様が色んな学問を学ばせてくれてるそうなんです。ラインハルトは私達兄弟一賢いんですよー♪なんて言う。
弟君は、"姉が教えてくれた""姉から学びました"が口癖だったけどな…。
賢い弟君は気付いただろうか…。まぁ、気付いたからこそ、好きな人が居るのかとか聞いてきてるんだろう。
俺のレターセットでフェローが間違えて手紙を書いてたのは最初驚いたが、相手が弟君だったのでそのまま指摘しなかったのだ。
まぁ、ムンストーンの兄姉なら絶対気付かないだろうがな…。
ダメだな……。もう後二月頑張れば、こんなコソコソせずに済むと思うと、色々大胆になってきてしまう。
……いや、秋頃から割と大胆には行動してたか。
「……ん、アレックス…?あの……?」
鎌首をもたげる俺の存在に気付いたフェローが、モゾモゾと恥ずかしそうに身動ぎする。そんなフェローの白い肩を軽く甘噛みして、俺は囁いた。
「ボウフラで涙が出る程笑わせてくれたからな。お返しに、泣いて悦ぶ程イカせまくってやろうかな…と。」
「ぇえええあああ……ぁ、ダメ!ァアッ!」
その後何度かスマートブレスレットにメッセージが届いてたみたいだが、俺は見るのを許さなかったし、フェローも着信に気付く余裕は無かったようだ。
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